知っているだけでちょっとお得になる「お金」の知識。公共料金や税金、保険など
今回は、1級ファイナンシャルプランニング技能士、CFP®など、数々の資格を保有する前田晃介氏の著書『読むだけで1億円以上得する!お金ドリル88(徳間書店)』をもとに、公共料金や医療費など身近な生活に関わる「お金」のことから、マイホーム購入や保険など人生を左右する大きな「お金」のことまでを解説します。お得になるお金の知識を深めて、日々の生活にゆとりをもたらしましょう!
目次 [CLOSE]
毎月の支出に関するお金のこと
毎月の支出はできるだけおさえたいものです。ここでは、水道代やクレジットカードについてお得なお金の知識を紹介します。
1.シャワーヘッドを替えるだけで節約できる?
家庭のなかで最も水を使う場所といえば、お風呂ですが、見落としがちなのがシャワーです。シャワーは、使う水の量もあなどれません。最近では、節水効果の高いシャワーヘッドが登場しています。手元のボタンでお湯を止めるタイプだと、環境省のサイトによると約48%(※1)の節水が見込めるそうです。
例えば、4人家族がシャワーを1日10分、1人あたり毎分10リットル使用したとしましょう。1ヶ月は30日、1リットルあたりの単価は0.24円で試算します。そうすると、1年間で約1万6,600円、10年間では約16万6,000円の節約になります。
また、シャワーヘッドの交換は、水道代だけでなくガス代の節約にもつながります。その節約額は、おおよそ年間で約6,330円、10年間では約6万3,300円(※2)となります。なお、シャワーヘッドの価格は会社にもよりますが、1,000円台から数千円までとさまざまです。長い目で考えるのであれば、シャワーヘッドを見直してみるのも一案でしょう。
※1:環境省:対策名 節水型シャワーヘッドの導入
※2:環境省:節水型シャワーヘッドへの交換で、お風呂のCOOL CHOICE!
2.現金払いからクレジットカード払いに変えると、どのくらいお得か
次に、普段のお買い物について見てみましょう。
例えば、毎月の支出が30万円だとします。これらをすべてクレジットカード(還元率1%)で支払ったら、20年間でどのくらい得をするのでしょう。答えは「72万円」。
クレジットカードで還元率1%とは、100円使ったらそのカード会社のポイントが1ポイント貯まることを意味します。つまり、1ヶ月だと30万円×1%=「3,000ポイント」、1年だと3,000×12ヶ月=「36,000ポイント」、20年間だと36,000×20年=「72万ポイント」が還元されます。
さらに、ネットショッピングで買い物をするとき、ショッピングモールを経由してクレジットカード払いにすると、ダブルでポイントが付きます。ポイントは、ほとんどの会社で1ポイント=1円で計算され、購入したショッピングモールで使用できたり、他のポイントに移行できたりします。
昨今、クレジットカードやQR・バーコード決済など、キャッシュレス支払いができるお店は増えています。毎日何気なく払っている買い物やランチなど、支出するすべてをクレジットカードをはじめとするキャッシュレス支払いに変更すると、年間で多くのポイントを得ることができます。
3.車を所有するのと、借りるのとではどちらがお得か
住環境によって変わりますが、移動費も生活費の中では大きな出費です。
もし、週2回の買い物に車を利用していて、月間走行距離が320kmだったとします。この生活を10年続けた場合、車を所有するのと、借りるのではどちらがお得でしょうか。
(ここでは、首都圏在住(中心地ではなく郊外)の場合で車両を1,500cc以下のコンパクトカー、ベーシックグレード、オプションはマット、ETC、最安のナビを前提とします。)
車を所有した場合、購入費・オプション・諸経費を約191万円、10年のランニングコストで約346万円、さらに車を売却した際の利益が約19万円になったとすると、10年間の出費は約518万円となります。
一方で、カーシェアで車を借りた場合、借り賃と免責を1回あたり4,620円で計算すると、10年間で約443万円の出費となります。よって、この想定の場合はカーシェアの方がお得といえます。
カーシェアは基本的には入会金と月額固定費を払うことで、車を借りることができます。会社によっては、6時間以内に返却するときはガソリン代が不要というプランもあります。しかし、加入したきり全然乗らないのであれば、毎月の固定費だけずっとかかってしまいます。その点には注意しましょう。
なお、上記のパターンは首都圏を想定していますが、お住まいの地域によって車の利用頻度は異なると思います。ご自身のライフスタイルでどのくらい車を使う必要があるかを振り返ってみるとよいかもしれません。
医療費や税金に関するお金のこと
人生をトータルで考えると、支出の大きな割合を占めるのが医療費や税金です。ここでは、知っているのと知らないのとでは大きな差がつくお金の知識を紹介します。
1.医療費控除って?家族全員分申告することで節税になる
医療費控除とは、1年間に家庭でかかった医療費の合計が10万円を超えた場合に受けられる制度です。本人以外にも、生計を同一にする家族の分もまとめて申告することができます。
医療費控除できる金額は、以下の計算式で算出できます。なお、保険金や給付金をもらった場合は、それらを医療費から差し引いて控除額を算出します。また、医療費控除できる金額は、200万円が上限となります。
<総所得金額等が200万円以上の人>
(年間にかかった医療費の合計額-もらった保険金や給付金額)-10万円=医療費控除できる金額
総所得金額等(※3)が200万円未満の人は、10万円ではなく、総所得金額等の5%を超えた分を控除できます。
<総所得金額等が200万円未満の人>
(年間にかかった医療費総額-もらった保険金や給付金額)-総所得金額等の5%=医療費控除できる金額
例えば、子どもの歯医者、夫の整骨院、妻の内科通いなど、今年の一家の医療費が18万円とします。医療保険からはお金をもらっていません。年収500万円で所得税率10%の夫が医療費控除を申告すれば、どのくらい所得税は安くなるでしょう。この場合、10万円を超えた分の8万円が医療費控除の金額となり、所得税率が10%なので、所得税は8,000円安くなる計算です。
医療費控除の対象は、保険がきかない治療にかかる費用、病気やケガの市販薬、出産にかかる公共交通機関を利用した通院費用や検診費用なども含まれます。一方、美容や健康増進のための治療、予防接種費用などは対象にならないため注意しましょう。
※3:総所得金額等|国税庁
2.「ふるさと納税」を活用すると住民税がお得に!
CMなどでも目にすることが多い「ふるさと納税」について見てみましょう。
年収500万円、共働きの夫婦と1歳の子どもの3人家族のケースで考えてみます。この家族が「ふるさと納税」を5万円した場合、翌年の住民税はいくらお得になるでしょう。答えは「4万8,000円」です。
ふるさと納税とは、応援したい自治体に「寄付」ができる仕組みで、寄付した金額に応じて税金を控除できる制度です。寄付すると、その自治体の特産品など返礼品を受け取ることができます。控除の対象となる金額は、寄附した金額から自己負担分の2,000円を引いた金額となります。つまり、5万円の寄付なら、4万8,000円が翌年の住民税から控除されます。(ワンストップ特例制度利用の場合。)
なお、年収に応じて「全額控除されるふるさと納税額の目安」が決められています。家族構成や年収(所得)、生命保険控除といった各種控除によって、金額は異なります。総務省のサイトでも案内があるので、参考にしてみてください。
参考:総務省 ふるさと納税ポータルサイト ふるさと納税のしくみ
マイホームや保険に関するお金のこと
ゆくゆく購入したいマイホームや、健康や老後を意識して加入しておきたい生命保険に関するお金の知識についても見ていきましょう。
1.金利0.5%。家は頭金を貯めてから買う方がいいか、今すぐ買うべきか?
夢のマイホーム購入。いざ買うとなると頭金を用意すべきか?フルローンにすべきかなど悩みますよね。まずは一例を見てみましょう。
例えば、4,000万円の物件があり、住宅ローンの金利は0.5%だとします。今すぐ購入するのと、毎月5万円を貯めて10年後に購入するのとでは、総支払額はどちらがお得でしょう。購入者は、現在40歳とします。この場合の答えは、「今すぐ購入」です。
4,000万円をフルローンにした場合、月々の支払いは約10万3,000円、35年間の総支払額は4,360万円です(金利0.5%)。現状、一定の基準を満たす購入者には、ローン借入当初の10年間は「住宅ローン減税」が適用されます。
一般的な住宅は最大で400万円、所得税・住民税の還付を受けられます。住宅ローン減税の金額は、借入額や所得によって異なりますが、ここでは一般住宅を購入した際の限度額400万円で算出します。これらを加味すると、総支払額は3,960万円となります。
一方で、毎月5万円を貯めて10年後に50歳で購入した場合は、頭金が600万円となるため、住宅ローンは3,400万円になります。しかし、住宅ローンの完済年齢は80歳までとしている金融期間が多く、この場合借入期間が30年に短縮されてしまいます。
毎月の支払いは約10万1,000円、30年間の支払額は3,660万円(金利0.5%)ですので、ここに頭金を加えると、総支払い額は4,260万円となります。将来的には分かりませんが、現行法では10年後は住宅ローン減税が適用されないので、総支払額は4,260万円のまま。
つまり、この場合は「今すぐ購入」の方が、300万円お得となる計算です。
購入者の年齢や収入、貯蓄額の状況で購入のタイミングは異なります。上記の例を参考に、ご自身の場合に当てはめて考えてみるとよいでしょう。
2.固定金利と変動金利はどちらがお得か
住宅ローンを借り入れるときは、「固定金利」か「変動金利」を選びます。固定金利は、金利が固定される期間(特約期間)を、2年、3年、5年、10年、15年、20年、30年から選びます。
35年間ずっと固定金利が続く住宅ローンは、全期間固定金利と呼ばれます。一方で、変動金利は、世の中の経済動向に応じて金利が変化します。
では、4,000万円(諸経費込)住宅ローンで、借入期間の35年間ずっと金利が変わらない場合、固定金利と変動金利はどちらがお得なのでしょう。この場合の答えは、「変動金利」です。固定金利1.3%の場合だと、毎月に返済額は11万8,592円、返済総額は約4,981万円。変動金利0.41%の場合だと、毎月の返済額は10万2,250円、返済総額は約4,295万円となります。その差は、約686万円という結果になります。
通常、変動金利より固定金利の方が、金利は高く設定されています。では、金利が上がった場合はどうなのでしょう。
10年後1.5%金利が上がったと仮定します。金利が上がると固定金利の方がお得と思う方も多いと思いますが、答えは、1.5%の上昇であれば変動金利の方がお得です。上記と同条件で、10年後に金利が1.5%上昇し1.91%になったとしても、返済総額は約4,891万円となり固定金利よりも安くなります。
この時注意したいのが、変動金利の場合、当初は月々の返済が10万2,250円だったところ、10年後は12万2,215円に上がることです。毎月の返済をずっと固定にし、返済を安定的にしたい場合は固定金利を選択するとよいでしょう。
3.生命保険は掛け捨て型と貯蓄型、どちらがお得か
生命保険は、住宅に次ぐ大きな買い物です。生命保険文化センターの調査(※4)によると、年間に支払う保険料の平均は1世帯あたり、38万2,000円です。では、「掛け捨て型」の定期保険と「貯蓄型」の終身保険では、どちらがお得なのでしょうか。答えは、「掛け捨て型」です。
ここでは、30歳から65歳まで保険(死亡保険金1,000万円)に入った場合を想定して、保険料を比べてみます。定期保険の保険料は、月額2,146円、35年間の総額は90万1,320円。終身保険は、月額の保険料が1万8,740円、35年間の総額は787万800円です。その差は、696万9,480円となります。
掛け捨て型なら、安い保険料で大きな保障を得られます。一方、貯蓄型は、死亡時や解約時に必ずお金を受け取れますが、低金利の今、商品によっては払い込んだ保険料を下回ってしまう場合もあります。よって、支払い総額で考えると、現状は「掛け捨て型」がお得と言えるでしょう。
ただ、通常の終身保険料より保険料が割安に設定されている「低解約返戻金型」ならば、保険料の払い込みが終わったあとは、解約返戻金が増えます。保険は30年、40年と長期で加入するため、総額やプラン内容、将来について総合的に考えて自分に合ったものを選択しましょう。
※4:公益財団法人 生命保険文化センター「平成30年度 生命保険に関する全国実態調査」
まとめ
普段のくらしから、就職、結婚など人生のさまざまな場面で「お金」が関わってきます。毎月の光熱費から、税金に関すること、マイホーム購入における金利についてまで、お得なことはたくさんあります。「知っている」か「知らないか」では大違い。節約するところは節約して、その浮いたお金を自分のやりたいことに投資し、将来に役立てることもできます。
ぜひ、お金のリテラシーを高めて、人生の選択肢を増やしてみてはいかがでしょうか。
引用書籍:『読むだけで1億円以上得する!お金ドリル88』(前田晃介氏著/徳間書店)2020年11月出版
出版社書籍紹介:『読むだけで1億円以上得する!お金ドリル88』(前田晃介氏著/徳間書店)2020年11月出版
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