食の知識

シュトーレンとは?日持ちする理由や食べ方・レシピを解説

クリスマスの定番の1つになりつつある「シュトーレン」は、ヨーロッパを中心に食べられてきた伝統的なお菓子(菓子パン・フルーツケーキ)です。しかし、「シュトーレンってどんなお菓子なの?」「上手な食べ方は?」「なぜ日持ちするの?」といった疑問を持つ方も多いでしょう。

そこで今回は、シュトーレンについて詳しく解説します。また、食べ方や保存方法、長く楽しむためのアレンジレシピも紹介します。この冬はシュトーレンを食べて、クリスマスをより楽しんでみませんか?

シュトーレンとは?【クリスマスに食べる定番お菓子】

「シュトーレン」とは、ドイツ発祥のお菓子(菓子パン・フルーツケーキ)です。古くからドイツやオランダ、デンマークなどの地域で、クリスマスの時期に食べるお菓子として愛されてきました。

まずはどんなケーキなのか、そして本場での伝統的な食べ方を見ていきましょう。

ドイツ発祥の伝統的な菓子パン

「シュトーレン」とは、本場のドイツを始めとするヨーロッパの各地域で広く親しまれてきたクリスマス菓子です。ドイツ語の発音に近い「シュトレン」とも表記され、オランダ語の「ストル」、デンマーク語の「クルーベン」などの名前でも呼ばれています。

生地には、たっぷりのバターやスパイス、そして洋酒に漬け込んだドライフルーツやナッツがぎっしりと練り込まれており、表面は粉砂糖で覆われています。濃厚でどっしりとした、風味豊かな食べごたえが特徴のスイーツです。

具材や味付けは、地域やお店、家庭ごとに少しずつ異なるようで、独自のシュトーレンレシピが脈々と受け継がれています。

シュトーレンの写真

伝統的な食べ方は「クリスマスまで少しずつ食べ進める」

ドイツには、クリスマスを待つ約1か月間の「アドヴェント(待降節)」の期間にシュトーレンを少しずつスライスして食べ進める習慣があります。

シュトーレンはこの期間に熟成が進み、練り込まれたフルーツの風味が生地に移っていきます。そのため、クリスマスが近づくにつれて味わいが深まっていくとされています。

1~2日程度で食べ切ってしまう一般的なケーキとは異なり、クリスマスを待ちながら少しずつ食べ進めるのがシュトーレンの伝統的な食べ方です。クリスマスを待つ時間そのものも楽しむお菓子であることが、古くから親しまれてきた理由の1つと言えるでしょう。

切り分けたシュトーレンの写真

シュトーレンはどのくらい日持ちする?日持ちする理由は?

本場ドイツでは、室温で熟成させながらクリスマスまでの1か月ほどをかけて食べるのが、伝統的なシュトーレンの食べ方です。

なぜこんなに日持ちするのでしょうか?

シュトーレンの日持ちは「約1~3か月」

本場の製法で作られた伝統的なシュトーレンは、油分・糖分が多く含まれており、1~3か月ほど日持ちします

本場ドイツの市販のシュトーレンには、日持ちを良くするための伝統的な材料の規定があります。ただし、日本で販売されているシュトーレンは、必ずしもこの伝統的な規定を踏襲しているとは限りません。ヨーロッパと日本では気候も異なりますので、必ず商品ごとの賞味期限を確認しましょう。

クリスマスのシュトーレン

日持ちする理由は材料と製法にあり!

本場ドイツでは、先述したように、市販されるシュトーレンの材料に規定があります。1か月以上日持ちさせることを前提に、小麦粉100kgに対して、「60kg以上のドライフルーツ」「30kg以上のバター」などを含めることが定められています。

さらに、シュトーレンは製法にも特徴があります。生地にはたっぷりの砂糖と、ラム酒に漬け込んだドライフルーツやナッツが練り込まれます。また、焼き時間を長くすることで水分を飛ばし、通常のパンより水分量が少なくしています。これらによって、内側からの腐敗やカビの繁殖を抑えています。

加えて、シュトーレンは焼き上がり後、表面にバターを何度も塗り重ね、その上に粉砂糖でコーティングが施されます。バターの油分には湿気を防ぐ効果があり、粉砂糖には油分の酸化を抑える効果があるため、結果的に表面からの傷みを抑えることができます。

これらの効果によって、シュトーレンは日持ちが良いのです。

ラム酒に付け込んだドライフルーツ

シュトーレンを日持ちさせるコツや保存方法

ここからは、市販のシュトーレンを最後までおいしく、長く楽しむためのコツをご紹介します。

開封前後の保存方法と日持ちさせるための食べ方のコツをご紹介しますので、シュトーレンを開封する前に、ぜひ確認してみてください。

シュトーレンの保存方法(開封前)

まずはパッケージに記載された賞味期限を確認しましょう。伝統的な作り方、もしくはそれに近い作り方のものであれば、製造日から1~3か月程度の賞味期限が記載されていることが多いでしょう。作り方によっては、それよりも短いこともあります。

保存方法もパッケージに従うことを基本としてください。伝統的な作り方のシュトーレンであれば、常温保存も可能です。ただし、冬とはいえ暖房の効いた部屋では傷みやすくなってしまいますので、冷蔵庫での保存もおすすめです。

シュトーレンの食べ方・切り方

シュトーレンを日持ちさせるには、その切り方にコツがあります。先述のように、シュトーレンは表面にバターや粉砂糖でコーティングが施されており、これが日持ちの理由になっています。逆に言えば、カットした断面はコーティングがなく、傷みやすいということです。

そのため、シュトーレンを少しずつ食べ進める場合には、バゲットのように端から切っていくのはNGです。まずはシュトーレンの真ん中で2つに切り分け、食べる分だけ両側を薄くスライスしてください。切った後は、残ったシュトーレンの切り口同士をぴったりと合わせます。これによって空気に触れる面積が減り、シュトーレンを日持ちさせることができます。

シュトーレンを切り分ける際は、1枚当たり1cm程度に薄く切るのがおすすめです。シュトーレンは味が濃厚ですので、薄めに切っても十分に楽しむことができます。

シュトーレンの切り方

シュトーレンの保存方法(開封後:冷蔵保存の場合)

シュトーレンはヨーロッパでは開封後も常温保存されることがありますが、湿度が高い日本では冷蔵庫に入れて保管するのがおすすめです。

先述の「食べ方・切り方」でもご紹介したとおり、食べる分だけ真ん中からスライスしたシュトーレンは、切り口同士をぴったりと合わせて保存します。全体をラップで覆い、密封できるジッパー付き保存袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保管するのが良いでしょう。

再び食べる際には、野菜室から取り出して切り口からスライスし、同じ方法で野菜室に戻します。空気に触れさせないように注意することで傷みにくくなり、おいしさを損なわずに保管することができます。

冷蔵保存のイメージ

シュトーレンの保存方法(開封後:冷凍保存の場合)

野菜室に保管しても、賞味期限が近づいて来てしまったらどうすれば良いのでしょうか?期限内に食べ切れなさそうな場合は、冷凍保存に切り替えることで、より長く楽しむことができます。

冷凍保存する場合には、残ったシュトーレンを1枚ずつ切り分け、それぞれをラップで包みます。密閉できる冷凍用のジッパー付き保存袋にまとめて入れて、冷凍庫で保存しましょう。

食べる時には30分ほど室温で自然解凍するか、お好みでトーストするのもおすすめです。

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シュトーレンのアレンジレシピ3選

何日もかけてシュトーレンを食べていると、だんだんと変わった食べ方がしたくなることもありますよね。

そんなときにおすすめの、簡単にできるアレンジレシピをご紹介します。

トーストして香ばしさをアップ

そのまま食べるシュトーレンとは一味違った、サクサクのトーストはいかがですか?

普段食べるパンと同じようにトースターで軽く加熱すると、サクッカリッとした食感の良さと、香ばしい風味が楽しめます。シュトーレンは食パンよりは固めの生地なので、トーストするとラスクのような食感に近くなります。

さらに、冷えた有塩バターを載せたり、チーズを載せたりすると、塩気がほど良いアクセントを醸し出してくれます。

トーストするイメージ

冷やして控えめな甘さを楽しむ

トーストとは逆に、ラップをして冷蔵庫に30分ほど入れて冷やしてから食べるのもおすすめです。甘さが抑えられ、爽やかなシュトーレンを味わうことができます。

後味にじわじわとフルーツやお酒の香りが立ち上がってきて、癖になる味わいが魅力です。

冷やして食べるイメージ

パンプディング風にすれば朝食にもおすすめ

溶いた卵と牛乳を混ぜた卵液にシュトーレンをちぎって入れ、トースターで焼けばパンプディング風になります。元々シュトーレンには洋酒やフルーツの味が付いているので、パンプディングに欠かせないラム酒やレーズンを加えなくても、簡単に奥行きのある味わいが楽しめます。

卵液が染み込んでやわらかくなった生地は、普通に食べるシュトーレンとは違った食感で新鮮です。

パンプディング風のイメージ

シュトーレンにちょい足ししたい味変アイテム3選

シュトーレンそのものの味に慣れてきたら、意外さやフレッシュさを求めてトッピングを足す「味変」も試してしてみてください。

ぜひ試してほしいおすすめのちょい足しアイテムを3つご紹介します。

ホイップクリーム(無糖)

ホイップクリームを載せて食べると、お酒やスパイスの大人な香りをクリームがまろやかに包み込み、マイルドに食べることができます。シュトーレン自体の甘みが強いため、ホイップは無糖がおすすめです。

どっしりした濃厚な味わいのシュトーレンにふわふわの食感が合わさって、新鮮味が感じられること請け合いです。

ホイップクリームのイメージ

生ハム

甘いシュトーレンに生ハムを載せて、塩気をプラスしてみませんか?生ハムのやわらかな食感と塩気がシュトーレンの甘みに意外にもマッチして、甘じょっぱさが絶妙です。大人な味わいなので、お酒と合わせておつまみとしても良いですね。

上からレモン汁やペッパーを振るとアクセントが加わり、さらに大きな味変になってくれます。

生ハムのイメージ

クリームチーズ

ほど良い酸味をプラスしてくれるクリームチーズも、シュトーレンにぴったりの優秀な味変アイテムです。甘さに爽やかさが加わり、さっぱりでマイルドなテイストになるため、手軽にガラッと味変したい時におすすめです。

ただし、塗りすぎるとシュトーレンの味がクリームチーズに負けてしまうのでちょうど良い塩梅を探してみてくださいね。

クリームチーズのイメージ

一度は食べてみたい!日本で購入できる人気のシュトーレン4選

これまで日本ではあまり馴染みのなかったシュトーレンですが、だんだんと店先で見かける機会が増えてきました。有名なベーカリーやパティスリー、ラグジュアリーホテルなどでは、毎年クリスマス時期の定番商品として販売されています。

また、スーパーのパンコーナーやケーキコーナーでお手頃価格のシュトーレンが売られていることもあり、今では手に取りやすい冬のお菓子の定番になってきています。

ここからは、日本で購入できる有名店のシュトーレンをいくつかご紹介します。味の違いを食べ比べてみるのも面白いですね。

ベーカリーのイメージ

「ラ ブティック ドゥ ジョエル・ロブション」のシュトーレン

「ジョエル・ロブション」は、ミシュランの星を世界でもっとも多く持つ人物としても名高いフランスのシェフです。ジョエル・ロブションの作り出すシュトーレンは、日本でも毎年販売され、人気の定番商品になっています。

ラム酒やキルシュといった香り高い洋酒に漬け込んだ7種類のフルーツやナッツが贅沢に練り込まれ、希少な日本の和三盆糖を使用した上品な甘さや口どけも魅力です。プレーンのほかに、デザートワインに漬けたレーズンやビターチョコが練り込まれたショコラ味も人気です。

「メゾンカイザー」のシュトーレン

日本の有名ベーカリー、「メゾンカイザー」も毎年クリスマス時期になるとシュトーレンを販売しています。

具材にはドライフルーツとナッツが加えられ、時間が経つごとに生地にフルーツの風味が染み込み、 味わいが変化していく特別な一品です。一切れずつ、 クリスマスまでのひとときを楽しみながら味の深まりを楽しめます。

「パティスリー・サダハル・アオキ・パリ」のシュトーレン

パリを中心に活躍する日本人パティシエ、サダハルアオキが手がけるシュトーレンです。フルーツをふんだんに練り込んだものなど、オリジナリティのあるシュトーレンが並んでいます。

主役となる具材と基本となるオレンジピールやアーモンド、スパイスが調和し、奥行きのある味わいを楽しむことができます。

「帝国ホテル」のシュトーレン

帝国ホテルのシュトーレンは、本場ドイツで修業した伝統的なレシピで仕上げた正統派の味わいが魅力です。

洋酒に漬け込んだドライフルーツがバター風味のしっとりとした生地に練り込まれ、中心にマジパンを詰めて焼いたシュトーレンは、ひとつひとつの素材が引き立つ王道な味わいを楽しめます。

まとめ

シュトーレンは、だんだん変化していく味わいを楽しみながらじっくり食べ進めるクリスマスのお菓子です。伝統的な作り方のシュトーレンであれば、切り方や保存方法に気を付けることで1か月以上の日持ちが期待できます。アレンジや味変も意外と簡単にできますので、工夫することで飽きずに楽しめます。

近年は、日本でも冬にはさまざまななお店で見かけることができるようになりました。今まで食べ方がわからずに敬遠していた方も、今年はぜひシュトーレンを味わってみてくださいね!

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