ブリ 出世魚
季節の食材

出世魚「ブリ」の名前の順番は?ハマチ・カンパチ・ヒラマサとの違いも解説

「出世魚」と呼ばれるブリは、成長とともに名前が変わる珍しい魚です。しかし、ブリの名前がどのような順番で変化するのか、詳しく知らない方も多いのではないでしょうか。そもそも「出世魚」とは何か、よく知らない方もいるかもしれません。

そこで今回は、ブリの名前が変化する順番について、出世魚の概要も踏まえながら解説します。また、ハマチやカンパチといった他の出世魚についても解説しているので、ぜひ参考にしてください。

出世魚「ブリ」は成長とともに名前が変わる

ブリは出世魚に分類される魚で、成長・大きさに応じて名前が変化していきます。ブリと同程度に有名な魚にハマチがいますが、ハマチが成長するとブリになるため同じ種類の魚です。

成長につれ見た目も変わるので、「実はブリと同じ魚だと知らなかった」という方も多いかもしれませんね。

「80㎝」を超えるとブリになる

「ブリ」という名前になるのは、80cm以上に成長してからとされています。ブリの呼び名の次は存在しないため、出世魚として成長し切った状態ということです。

大きさでブリの名前が変化

80cm以下の段階に関しては、成長度合いにより他の名称が付けられています。ブリが成長につれ変化していく名前の順番について詳しくは、後述の「▼ブリの名前が変化する順番」をご覧ください。

そもそも出世魚とは?【大きさで名前が変わる魚の総称】

出世魚とは、成長とともに名前を変化させていく魚の総称です。戸籍法が制定される明治時代以前まで続いていた、武士・学者の風習が由来となっています。

明治時代まで、武士や学者は「成人」を迎えると自身の名前を幼名から大人の名前に変え、併せて身に付けるものも変える風習がありました。また当時は、出世に応じて身分ごとに改名する風習もあり、こういった風習から名前の変わる魚を「出世魚」とするようになったと言われています。

今回ご紹介する出世魚はブリですが、出世魚はブリ以外にも存在します。詳しくは後述の「▼ブリ以外の出世魚一覧」でまとめていますのでご覧ください。

ブリの名前が変化する順番

「ブリ」という呼称に変化するまでの名前は、地域によって大きく異なります。以下の表では、東北・関東・北陸・関西・九州それぞれの名称の変化をまとめました。

また、ブリの名前は成長の順番だけでなく、サイズによって異なることも覚えておくとよいでしょう

東北地方
  1. ツバエリ(稚魚)
  2. コズクラ(35㎝以下)
  3. フクラギ/フクラゲ(35~60㎝)
  4. ガンド/ガンドブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
関東地方
  1. ジャコ/モジャコ(稚魚)
  2. ワカシ/ワカナゴ(35㎝以下)
  3. イナダ(35~60㎝)
  4. ワラサ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
北陸地方
  1. ツバス/ツバイソ(稚魚)
  2. コゾクラ/コズクラ/ハマチ(35㎝以下)
  3. フクラギ(35~60㎝)
  4. ガンド/ガンドブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
関西地方
  1. ジャコ/モジャコ(稚魚)
  2. ワカナ/ツバス/ヤズ(35㎝以下)
  3. ハマチ(35~60㎝)
  4. メジロ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)
九州地方
  1. ワカナゴ(稚魚)
  2. ヤズ(35㎝以下)
  3. ハマチ(35~60㎝)
  4. メジロ/コブリ(60~80㎝)
  5. ブリ(80㎝以上)

北陸・関西・九州方面では「ハマチ」も有名

北陸・関西・九州方面では、「ハマチ」の名前もブリと同程度に有名です。しかし、上記の表を見てもわかるように、ハマチはブリに成長していく過程の名前です。

東北・関東地方は、ハマチの名が成長過程に含まれないため、ブリとハマチが別の魚だと認識している方もいるかもしれません。しかし、名前こそ異なるものの、ブリとハマチは同じ種類の出世魚です。

成長とともに味わいも変化する

出世魚は成長の過程で、名前だけでなく味わいや食感も変化します。成長過程ごとに最適な調理方法も異なるため、覚えておくとよいでしょう。

例えば幼魚の「ツバス」は、ブリと比べて脂が乗っていないため、火を入れずに刺身で食べるのがおすすめです。

一方でブリは、脂がしっかりのっていることから、刺身はもちろん焼き魚にもぴったりです。また「ハマチ」もほとんどブリに近い状態であるため、どのように調理しても美味しく食べられます。

また、ブリは天然物と養殖物があり、それぞれ適した味わい方があります。天然ブリは脂が少なめなので、刺身・焼き物はもちろん、鍋物やムニエルにもおすすめです。一方、養殖ブリは脂が強めであるため、刺身や焼き物、お寿司などに向いています。

ブリの刺身

ブリ以外の出世魚一覧

ブリは出世魚の中でも有名な名前ですが、出世魚はブリだけではありません。ここでは、ブリ以外の主な出世魚をまとめています

カンパチ
  1. ショッコ/シオッコ
  2. シオゴ
  3. アカハナ
  4. カンパチ
コハダ
  1. シンコ(関西地方では「ツナシ」)
  2. コハダ
  3. ナカズミ
  4. コノシロ
スズキ
  1. コッパ
  2. セイゴ
  3. フッコ(関西地方では「ハネ」)
  4. スズキ
サワラ
  1. サゴチ(関西地方では「サゴシ」)
  2. ナギ(関西地方では「ヤナギ」)
  3. サワラ
ボラ
  1. オボコ(関西地方では「ハク」)
  2. イナッコ/スバシリ
  3. イナ
  4. ボラ
  5. トド
クロダイ
  1. チン
  2. チンチン(関西地方では「ババタレ」)
  3. カイズ/ケイズ(関西地方では「チヌ」)
  4. クロダイ(関西地方では「オオスケ」)
マグロ
  1. メジ/カキノタネ(関西地方では「ヨコワ」)
  2. チュウボウ
  3. マグロ
ヒラマサ 成長段階で名前が変わることはないが、ヒラ・ヒラス・ヒラソウジといった別名がある

ブリと同様、成長を終えた段階でよく知られる名前になるものもあれば、成長過程の名前が有名になっている出世魚までさまざまです。

「カンパチ」「ヒラマサ」とブリは別の魚

ブリと混同されやすい魚として知られているのが、「カンパチ」と「ヒラマサ」です。

「ブリ御三家」とも呼ばれるカンパチやヒラマサは、特に見た目の点において混同しやすいと言えるでしょう。しかし、細部をしっかり確認すればそれぞれに違いがあります。

例えばカンパチの場合、ブリと比べて体全体が丸っこく黄色味を帯びています。もっとも大きな違いは、カンパチという名前の由来でもある「八」の黄色模様が口から背ヒレにかけて黒く浮き上がっている点です。

カンパチ

カンパチ

一方でヒラマサの場合は、少し見分けるのが難しくなります。体に走る黄色いラインと胸ヒレと近いのがヒラマサ、胸ヒレから離れているのがブリと覚えておくのが良いでしょう。また、カンパチ同様、ブリに比べて体全体が丸みを帯びています。

ヒラマサ

ヒラマサ

ちなみにヒラマサは「ブリ御三家」ではあるものの、出世魚ではないため、ブリのように成長過程で名称が変化しません。

【くらひろお手軽レシピ】ブリのおすすめ料理を紹介

ブリは12~2月が旬とされており、この時期のブリは「寒ブリ」と呼ばれています。脂がのり、身が引き締まっていて美味しい寒ブリを食卓の一品に加えてみてはいかがでしょうか?

「くらひろ」では、日々の食卓を彩る簡単・お手軽な一品料理のレシピを公開しています。ここでは、そんなくらひろレシピの中から、ブリを使ったおすすめレシピをご紹介します。

ブリと大根のコチュジャン炒め

ブリと大根のコチュジャン炒め

お互いに冬が旬で相性の良いブリと大根を、コチュジャンでピリ辛に炒めた一品です。コチュジャンの唐辛子に含まれる「カプサイシン」は体を温める効果があるため、血行を良くして冷えの改善に役立ちます。

「ブリと大根のコチュジャン炒め」のレシピはこちら

ブリのカレー粉焼き

ブリのカレー粉焼き

ブリの焼き魚をカレー粉でアレンジしました。ブリには動脈硬化や高血圧の防止に役立つEPAやDHA、疲労回復効果のあるタウリンが豊富に含まれており、寒い季節におすすめです。

「ブリのカレー粉焼き」のレシピはこちら

まとめ

今回は、出世魚であるブリがどのような過程で名前を変えていくのか解説しました。成長を経て、もっとも大きくなった姿を「ブリ」と呼びます。ブリになるまでの名前は、地域ごとに大きく異なるのも特徴です。また今回は、ブリと混在しやすい出世魚の種類もまとめました。

出世魚は種類や旬の時期ごとに美味しい食べ方があります。当記事の内容を参考に、ブリをはじめとしたさまざまな出世魚を味わってみてはいかがでしょうか!

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