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ぐっすり眠ってすっきり目覚める!今日から始める睡眠トレーニング

就職や引越しなど、環境の変化でよく眠れていないという人はいませんか。心地よく眠りにつくためには、睡眠のための準備が整っている必要があります。ここでは、快眠セラピスト・睡眠環境プランナーの三橋美穂氏の著書『眠トレ!―ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)をもとに、よい睡眠をとるための眠トレ術を紹介します。

ぐっすり眠ってすっきり目覚めるためには、睡眠の正しい知識を持つことが必要です。まずは、睡眠のしくみを理解して、自分に必要な改善ポイントを見つけましょう。大切なのは、1日の生活を夜の睡眠も含めてとらえることです。夜に眠れないなら昼に体を動かすなど、睡眠を土台に行動を見直せば、快適な睡眠を手にいれることができるでしょう。頑張りすぎずに力を抜いて、自分に合う眠トレ術を試してください。

まずは睡眠の知識を身につけよう


「しっかり睡眠時間をとったのに寝た気がしない」と思うことがあったら、それは、熟睡感を得られていないからかもしれません。よい睡眠とは、どんな眠りを指すのでしょうか。

1.よい睡眠は「長さ」と「深さ」で決まる

よい睡眠を得るには、「長さ(量)」と「深さ(質)」のバランスが重要です。眠りにはレム睡眠とノンレム睡眠があり、レム睡眠中は体の力は抜けていますが、脳は活動しています。はっきりとした夢を見るのはレム睡眠中で、記憶の整理や定着が行われ、心の疲れを癒します。

対して、ノンレム睡眠中の脳は休んでいます。「うとうと」「すやすや」「ぐっすり」「熟睡」の4ステージがあり、ステージ3と4は「深睡眠(しんすいみん)と」呼ばれ、大脳を深く休ませます。さらに、成長ホルモンが出て、疲労を回復させます。
よい睡眠は、寝始めに深睡眠に入り、だんだん眠りが浅くなっていくのが特徴です。寝つきが悪いと睡眠全体が浅くなって何度も目覚めてしまうので、寝つきをよくすることを目指しましょう。よい寝つきの目安は、若い人なら20分以内、シニアなら30分以内に眠れることです。

2.不眠症状があるから不眠症とは限らない

思うように眠れないからといって、「私は不眠症だ」と決めつけるべきではありません。不眠症状とは「寝つきが悪い」「夜中に何度も目を覚ます」「早朝に目が覚める」「眠りが浅くて熟睡感がない」ことです。そして、これらの症状が週3回以上あり、日中に支障をきたし、それが3カ月以上続いている場合に、不眠症と診断されます。

日中に支障とは、「昼間に眠気や疲労感がある」「仕事や運転に集中できない」「気分や体調がすぐれない」「意欲が低下している」などの症状を指します。つまり、不眠症状があっても日中に元気で過ごせているなら、不眠症ではないのです。
本人は眠っている実感がなくても、脳波などを検査すると、睡眠に入っていると確認できることがよくあります。眠っている自覚のない人は、眠りのステージ1で約6割、ステージ2で2~3割いるとの研究結果もあるほどです。不眠症状があるからといって不眠症ではないことを知り、不安を軽くすることも大切です。

眠りを深める5つのルールと眠トレ術


寝つきをよくするためには、就寝のタイミングで眠気が高まっている必要があります。眠りを深めるための5つの基本ルールと、具体的な眠トレ術を紹介します。

1.体内時計を整える

時計を見なくても一定の時間に眠くなるのは、体内時計のはたらきによるものです。朝は決まった時間に起きて日光を浴び、朝食をとりましょう。体内時計の最も強力な親時計(中枢時計)は脳の中にあり、太陽の光が体内時計のズレをリセットすると考えられています。朝起きたらカーテンを開け、親時計に光を届けましょう。
また、朝食をとることで内臓が動き出し、全身の体内時計の調和がとれます。そして、体温のリズムやホルモンの分泌リズム、睡眠と覚醒のリズムなどが整います。朝食のタイミングは起床後1時間以内がベストです。起きてからなるべく早い時間に食べるように心がけましょう。

2.日中を活動的に過ごす

日中は仕事や家事を積極的に行い、活動的に過ごしましょう。すると、疲れに比例して睡眠物質が脳にたまり、眠気を覚えやすくなります。軽い運動で心地よい疲れを得ることができれば、より自然に眠りやすくなります。
おすすめは、明るい太陽光の下でのウォーキングです。太陽光を浴びると脳内物質のセロトニンが活性化し、暗くなると睡眠ホルモンのメラトニンに変わり、ぐっすり眠れます。海水浴をした日に熟睡しやすくなるのは、体の疲れだけではなく、太陽光の効果もあるのです。会社で過ごす日は、ランチタイムに日なたを歩くことなどを心がけましょう。

3.体温のメリハリをつくる

睡眠中に体温がしっかりと下がると、熟睡感が得られます。まずは、就寝3~7時間前に軽い運動をすることを心がけましょう。ジョギングやウォーキング、水泳などの有酸素運動や、筋力トレーニングなどを組み合わせて、1日20~60分程度、週3日以上行うのがベストです。決まった時間の運動習慣は、体内時計の安定化にも役立ち、快眠をサポートします。
さらに、就寝1~2時間前の入浴も効果的です。38~40℃(冬は39~41℃)のぬるめの湯船に、15~20分ほど浸かりましょう。入浴で体温を上げると、その後に体温が下がり始め、眠気が増します。

4.就寝前にリラックスする

体が疲れているのに眠れないとしたら、神経が高ぶっていることが考えられます。心を落ち着かせるために、ストレッチやマッサージを取り入れましょう。「手足をぶらぶらさせる」「首や手首、足首を回す」「頭皮を動かすようにほぐす」などの方法で、体をゆるめて心地よくリラックスできれば、快眠につながります。
さらに、心地よい香りのアロマや、呼吸が落ち着くテンポの音楽なども、上手に利用すればリラックス効果を期待できます。

5.寝室を快適な環境にする

寝具や温湿度などに不快を感じると、心身が緊張して寝つきが悪くなります。まずは、温度や湿度を整えましょう。諸説ありますが、寝床内(布団の中)の温湿度は「温度は33℃を中心にプラスマイナス1℃」「湿度は50%を中心にプラスマイナス5%」が、一年を通して快適に感じられるとされています。寝室の温度は18~28℃、湿度は40~60%に保つように心がけましょう。
さらに、寝室の照明はすべて消しましょう。豆電球程度の明るさでも、睡眠に悪影響を与えるという研究報告があります。エアコンや加湿器の運転ランプが気になるときは、テープを貼って隠すなどの対応をしましょう。

忙しい人のための戦略的な眠トレ術


慌ただしい生活の中で時間に追われ、睡眠不足を感じている人はいませんか。睡眠不足は、酒酔い状態と同じように判断力を低下させるといわれ、健康に悪影響を与える危険もあります。戦略的な眠トレ術を取り入れましょう。

1.就寝アラームをセットする

気づいたら寝る時間が遅くなり、睡眠時間が少なくなったという経験は、誰にもあることでしょう。そんな失敗を防ぐためには、就寝アラームをセットしましょう。アラームは目覚ましに使うのが一般的ですが、眠る時間を知るためにも役に立つのです。
おすすめなのは、入浴のタイミングに設定することです。アラームが鳴ったらすべてのことをやめて、お風呂に入って寝る準備をするのです。ちなみに、スマートフォンが発するブルーライトは脳を覚醒させるので、ベッドには持ち込まないことが得策です。

2.アラームのスヌーズはオフ

アラームを止めてもまた鳴るスヌーズ機能は、睡眠効率を落としてしまう可能性があります。たとえば、6時ちょうどに起床すればいいのに、「1回のアラームでは起きられないかも」と、5時30分にスヌーズをセットしたとします。すると、5時30分からの睡眠は細切れになり、結果として睡眠効率が落ちてしまいます。
寝坊の不安があるなら、目覚まし時計を寝床の遠くに置いてみましょう。そして、起床時はベッドから立ち上がってアラームを止め、カーテンを開けて光を目に入れ、大きく伸びをしましょう。すると、体が覚醒し、寝起きのだるさもなくなるはずです。

3.「仮眠」と「早寝」を取り入れる

平日の睡眠不足を補いたいからといって、休日に朝寝坊をするのは避けましょう。なぜなら、体内時計が乱れてしまい、余計に疲れが残ってしまうからです。足りない睡眠は、昼休みの仮眠で補いましょう。おすすめの方法は、ランチのあとにコーヒーを飲み、椅子に座って15分間目を閉じることです。視覚からの情報を遮断するだけでも脳の休息となり、目を開けた頃にはコーヒーのカフェインが効き始め、スッキリと起きられます。さらに、週の半ばに早寝をするのも有効です。たとえば、毎週水曜日には早く寝ると決めれば、睡眠不足を補うとともに、週後半のパフォーマンスの低下を抑えることができます。

まとめ

よい睡眠には「長さ(量)」と「深さ(質)」のバランスが重要で、寝始めに深睡眠に入り、だんだん眠りが浅くなっていくのが理想的です。眠りを深めるためには、「体内時計を整える」「日中を活動的に過ごす」「体温のメリハリをつくる」「就寝前にリラックスする」「寝室を快適な環境にする」の5つのルールを意識しましょう。
また、睡眠不足は脳の機能を低下させるため、仕事のパフォーマンスを落とし、ミスを誘発してしまうこともあります。就寝時間を決めて、仮眠と早寝を取り入れるなど、戦略的な眠トレ術を心がけましょう。

書籍紹介:『眠トレ!―ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三橋美穂著/三笠書房)2019年6月出版

出版社書籍紹介:『眠トレ!―ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三橋美穂著/三笠書房)2019年6月出版
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