健康

自分の身体を知るきっかけに!『健康診断』の正しい受け方・見方・活かし方

皆さんには、職場で行われる定期健診や自ら予約する人間ドッグなど、様々なかたちで健康診断を受ける機会があるはずです。しかし、つい受けることが目的になってしまっていたり、標準値かどうかしか見ていなかったりといったことはないでしょうか。

せっかく健康診断を受けるのなら、受けたまま終わりにするのではなく、結果を見て自分の身体を知るきっかけにしていけたら良いですよね。今回は、その健康診断について、受け方や結果の見方を中心に、どんな点に気を付けていけばいいのか、健康診断の活かし方など広くアドバイスをくださるほしの先生に、お話を伺いました。

監修者

ほしの ゆりこ
内科医

専門は循環器。出産を機に健診センターにて非常勤勤務。

健康診断の正しい受け方

健康診断の正しい受け方

健康診断は症状がない時に受けるもの

「健康診断ってどんな症状が出た時に受けたらよいでしょうか?」「受診の目安などありますか?」と訊かれることがありますが、健康診断は『何も症状がない時に受けるもの』『身体に異常がないか発見するもの』です。

健診には会社などで定期的に受ける健康診断や、自治体で年齢や性別によって案内が来る特定健診、そして、健診センターなどに自ら赴き多くの項目検査を受ける人間ドッグなどあります。そのどれも、「頭痛があるから」「胃が重たいから」「最近動悸がするから」など、何か症状が出た時に受けるものではありません。普段通りの体調の時に受診し、その結果から、危険因子を見つけ早期に治療するためのものです。

自分の健康状態を知ることは、病気の早期発見につながるだけでなく、安心した生活を送る上でも大切なことです。そのためにも、お勤めの方は職場での健診を、自営業の方は自治体などの健診を、年に1回は必ず受診してほしいと思います。

健康診断は受けることが目的ではない

健診は、受けること自体が目的ではありません。一人ひとりが自身の身体と向き合い、疾病を予防するための指針にすることが大切です。毎年必ず受診し、結果をきちんと確認しましょう。また、改善点に着目し、気になることがあったら面倒がらずに再検査をしっかり受けましょう。

健康診断を正しく受けるために気を付けたいこと

健康診断を正しく受診するために、気を付けることがあります。最も言われていることは、前日の食事・飲酒・喫煙です。前日21時以降は食事を控え、お酒・たばこも控えるようにしましょう。また激しい運動も、血液検査でCK(クレアチンキナーゼ)が上昇する可能性があるので控えたほうが良いといわれています。

しかしながら、健診の本来の目的は、普段通りの生活をしていて、健康上の危険因子がないかを見極めることです。そのため、日常とあまりにも異なる生活スタイルを送って受診するのではなく、ある程度いつも通りの生活スタイルで、受診することが望ましいといえます。

健康診断結果の見方・活かし方

「労働安全衛生規則」による定期健康診断項目は、10~11項目ほどあります。どれも大切な検査ですが、その中でも血圧身体測定尿検査血液検査はしっかり経過を見て、身体の変化を確認してください。

健康診断結果の見方・活かし方

血圧

収縮期(最高)血圧/拡張期(最低)血圧の基準は、それぞれ130/80mmHg以下です。もし、基準値を超えている場合は、まずは減塩の食生活・適度な運動・節酒・禁煙を心掛けてください。減塩の目安は6g/日です。

身体測定

体重の増減に加え、BMIにも注意してください。25以上の場合は、脂肪肝や糖尿病につながる場合があるので、カロリー過多や間食に注意が必要になります。

尿検査

たんぱく尿・血尿がないかと併せて、腎臓の老廃物を尿へ排泄する能力の指標であるeGFR(推算糸球体濾過量)に異常がないかを確認してください。eGFR値が60以下であれば腎機能の低下が疑われます。

血液検査

糖代謝

血糖値は現代病と言われる糖尿病の大切な指標で、空腹時血糖値の正常は100mg/dl以下です。空腹時血糖値が126mg/dl以上の場合、または特に食事からの時間を決めずに測る随時血糖値が200mg/dl以上の場合、加えてHbA1cが6.5%以上の場合は、糖尿病と診断されます。

HbA1cは、過去1~2ヶ月間の血糖値の指標となるので、もし、受診時点の血糖値が基準値以内でも、HbA1cが高いという場合は、健診日より遡った1~2ヶ月の間の血糖値の変動が大きかったことを示しています。

健診時点だけでなく、ライフスタイル全般の食生活や運動習慣を見直していくとよいでしょう。

脂質異常症

動脈硬化を進行させる生活習慣病の一つに脂質異常症があります。悪玉と呼ばれる「LDLコレステロール」、善玉と呼ばれる「HDLコレステロール」、「中性脂肪」、これらがそれぞれ 140mg/dl以上、 40mg/dl 未満、・150mg/dl以上で、脂質異常症と診断されます。禁煙、肉類を控えた青魚・野菜多めの食生活を心掛け、運動習慣を見直すとよいでしょう。

代表的な項目を取り上げましたが、これらの値にならないために、自身でコントロールできることが生活習慣の改善です。血糖値や血圧、肝機能やコレステロールに注意を払い、暴飲暴食、脂質や塩分の多い食事、それらを控えるだけでも、身体の中は変化していきます。

まとめ

健康診断とは
健康診断は、一人ひとりが自身の身体と向き合い疾病を予防するための指針にすることが大切だとお伝えしました。結果を日常生活に活かしてこそ、意味あるものになります。

たとえ標準値であっても、昨年と比較して値に変化があったら(血圧やLDLコレステロールが上がっているか、eGFR値が下がっているか等)、年齢によって変化したものなのか、生活習慣の中で悪化してきたものなのかを見極めることが大切です。

病気によっては、糖尿病のように、発症してから10年後に症状が出てくるというものもあります。そのためにも、健診は結果を集積し、自身の適正を知ることが最も大切です。若いから、面倒だからと後回しにせず、毎年1度、身体の棚卸しだと思って自分の身体と向き合う機会にしてください。

この記事をご覧になっている方へのメッセージ

健診は病気の早期発見だけでなく、経年変化も見ることで、病気になる前の早い段階で予防策をとることができます。是非定期的に健診を受けて、毎年の生活習慣を見直すきっかけ作りとして、ご自身の健康管理に役立ててください。

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