自然な強さを身につけよう 弱いメンタルを強くするポイント
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不安や落ち込みなどのマイナス思考は、なるべく回避したいと考えがちです。しかし、ネガティブな感情は避けるべきものではなく、強くなるために利用すべきものなのです。ここに紹介する内容を上手に取り入れて、メンタルを強くするヒントにしてください。
メンタルが弱っている理由とは
人間はみんな、自然な弱さを持っています。自然な弱さは、身を守るための警告システムであり、行動を最適化するきっかけとなります。「メンタルが弱い」「メンタルが強い」とは、どのような状態を指すのでしょうか。
1.二つの軸で考えると真実が見える
メンタルを「強いか弱いか」のひとつの軸で考えると、自然な落ち込みや不安までもが、悪いものに見えてしまいます。メンタルを正しくとらえるためには、「自然か不自然か」を加えた、ふたつの軸で考えてみましょう。
たとえば、「同僚の昇進を素直に喜べず、劣等感を感じている」とします。ライバルに負けて、くやしさや劣等感を覚えることは、「自然な弱さ」といえます。心の底から喜べないことを、悪いことだと思う必要はありません。
くやしさは、深く向き合うほど成長する力を与えてくれます。自分も頑張ろうと「自然な強さ」が生まれるのは、「自然な弱さ」を消化したあとのことです。それらをごまかし、喜んでいるフリをしたとしたら、それは「不自然な強さ」であり、成長にはつながりません。
2.自然な弱さは防御反応
感情として湧いてくる「くやしさ」「妬み」「落ち込み」「不安」などは、どれも意味があって生じる自然な弱さです。これらはどれも、防御反応として何かを警告しているととらえましょう。
たとえば、目の前にライオンが現れたとします。そこで「怖い」と感じるのは、「その場を離れなさい」という警告なのです。この経験から「またライオンに遭遇したらどうしよう」と不安を感じるのも自然な弱さであり、「未来の危機に備えなさい」という防御反応といえます。
同じように、プレゼンに不安を感じているとします。不安を感じること自体は自然な弱さとして何も問題ありません。自然な強さへ導くためには、不安と向き合い、万全の準備や対策を行えばいいのです。どんなに不快なものでも自然と湧いてくる感情には意味があり、すべて自分を守る防御反応といえるのです。
3.感情が自分を守る行動をもたらす
マイナスの感情は、特定の行動を動機づけるための機能といえます。恐怖心はその場から「逃げる」という行動の動機づけとなり、不安は向き合って「準備する」、後悔は過去について「反省する」、劣等感は努力して「成長する」のように紐づいていくのです。
これらのメンタルに関わる感情は、すべて環境の変化によって生じ、動機づけとなる行動を自身で行うことによってのみ解決できます。まずは自然な弱さを認めつつ、自分を高めるチャンスと解釈することです。このような意識を持つことで、能力的にも精神的にも成長することができ、メンタルの強さが身についていくでしょう。
自然な弱さを「人間らしい」と認めよう
落ち込みや不安を感じたときは、ネガティブな気分で過ごす時間があっても構いません。「自然に弱っている状態なんだな」と受け入れつつ、メンタルを強くするきっかけにしましょう。
1.人の目が気になるのも自然な弱さ
「人からどう見られているか」を気にしてしまうのも、自然な弱さのひとつです。人の目を気にするのは社会性の表れであり、「人を気にしちゃいけない」と自分の気持ちをおさえつけることは、自分を否定することにつながってしまいます。
人の目が気になるという感情は、「嫌われているかもしれない」「必要とされていないかもしれない」といった、自分の疑念が生み出した警告信号です。これを払拭するためには、自分の得意なことを磨き、人から好かれたり必要とされたりするように、行動を変えることが望まれます。
とはいえ、「人から好かれよう」とばかり意識し過ぎると、人からどう見られるかに振り回され、より「人の目が気になってしかたない」という状態になってしまいます。無理をして好かれようとするのではなく、人の役に立ち、その結果として好かれるような生き方をしていれば、人の目を気にして悩むことも少なくなっていくことでしょう。
2.不安なときは行動に移す
不安を感じたときに、考え過ぎてはいけません。最悪のパータンを予測したり、懸念材料を洗い出したりと、ある程度は考えることも必要です。しかし、「本当に大丈夫か」と考え過ぎたり、安心材料を見つけようとしたりすると、不安が大きくなってしまうことがあります。
たとえば、台風が接近したときに、「台風が来ても大丈夫かなぁ」と考えを巡らせていても、状況は変わりません。雨戸を閉めるなり、食料の備蓄を確認するなり、適切な行動をとる必要があるのです。不安は危険に備えるための警告信号なので、なるべく早く具体的な行動をとって対処しましょう。そう心がけることで、不安を最小限に止めることができるようになるでしょう。
3.精神的な痛みは筋肉痛と同じ
落ち込みや不安など、精神的な痛みを伴う感情は、なるべく回避したいと思うかもしれません。しかし、筋肉痛を経て筋肉が増えていくように、自然な弱さを認めて痛みを受け止めることで、自然な強さが育まれていくのです。
たとえば、仕事でミスをして上司から怒られたとします。無力な自分を認めるのはつらいことですが、この痛みがあるからこそ、能力不足を補おうとする改善の意思が生まれるのです。精神的な痛みをごまかしたいからと、上司の悪口を言ったり、ミスを忘れようとしたりしても、成長が生まれることはありません。
もし自分のことを「メンタルが弱い」と感じているとしたら、環境の変化という負荷に耐えるための、精神的な筋肉が足りないのかもしれません。落ち込みや不安といった精神的な痛みと向き合って、自分の能力不足を補うために努力しましょう。
感情の力でメンタルは強くなる
感情の指示にしたがって行動をあらためていけば、より安全に過ごすことができます。最後に、感情との寄り添い方を紹介します。
1.ネガティブな感情は人生のカーナビ
感情はカーナビのような案内システムと考えることができ、目指している方向は「安全に生きること」です。そして、「このまま進んでいいよ」と安全な方向へ誘導するのがポジティブな感情であり、「このままだと危ないよ」と回避や対処を求めるのがネガティブな感情です。
たとえば、スピーチの前に不安を感じるのは、失敗することについて、「危ないよ」と警告が出されているからです。感情のカーナビを上手に扱うためには、自然な弱さが何を警告しているのか、意味を理解することに意識を働かせましょう。そうすれば、回避や安全に向けた行動をいち早くとることができるようになるでしょう。
2.過去が気になるのは今に不安を感じているから
過去にあった記憶をふと思い出して、落ち込んだり不安になったりすることはないでしょうか。過去にあったイヤな記憶がよみがえるのも、警告信号のひとつといえます。無理にかき消そうとするのではなく、いま現在の自分に起きている問題に関するヒントととらえてみましょう。
たとえば、仕事でミスをした記憶がよみがえってきたのなら、「いま何かでミスを犯しているかもしれない」と疑心暗鬼になっていることなどが考えられます。また、人間関係のトラブルを思い出したのなら、「いま人との関わりに悩んでいる」ことなどが考えられるのです。
過去の不安がよみがえるのは、多くの場合が、何か新しいことに挑戦しようとしているときです。その点を理解した上で、「もし転んでもまた起き上がればいい」と一歩踏み出すことができれば、大きな成長につながるでしょう。
3.怒りを感じたら理由を見つけよう
「つい怒ってしまった」という経験は誰にでもあることでしょう。しかし、怒りの感情は「自然な弱さ」とはいえないことを覚えておきましょう。
たとえば、何かを注意されてカッとなったとします。注意されて「恥ずかしい」「情けない」と思う気持ちは、自然な弱さです。しかし、怒りの気持ちが起こるのは、恥ずかしさや情けなさが、不自然な弱さや不自然な強さにすり変わっているからと考えられます。
自然な弱さを否定してしまうと、無駄な自己否定が増えたり、不自然に強がったりしてしまいます。怒りの感情が湧いてきたときは、その理由となる自然な弱さが何なのか、探してみましょう。向き合うべき自然な弱さを見けることができれば、怒りの感情から解放されることでしょう。
まとめ
メンタルを正しくとらえるためには、「強いか弱いか」だけではなく、「自然か不自然か」を加えたふたつの軸で考えることが望まれます。不安や焦りなどは「自然な弱さ」であるということができ、これらと深く向き合うことで、「自然な強さ」を育てることができるのです。
また、ネガティブな感情が起きたときは、回避や安全に向けた行動をとるための警告と受け止めましょう。自然な弱さと向き合いながら、自分の能力不足を補うために努力することができれば、新たな挑戦に臨む強いメンタルを養うことができるでしょう。
書籍紹介:『「メンタル弱い」が一瞬で変わる本 何をしてもダメだった心が強くなる習慣』(片田智也著/PHP研究所)2021年3月出版
出版社書籍紹介:『「メンタル弱い」が一瞬で変わる本 何をしてもダメだった心が強くなる習慣』(片田智也著/PHP研究所)2021年3月出版
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