5月は花粉症がつらい…乗り切るための予防と対策
そんな国民病とも言える花粉症を防ぐためにはどうしたらよいでしょうか?今回は、花粉症の基礎知識や予防・対策方法などを学んでいきましょう。
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5月は花粉のシーズン
スギ花粉の飛散は2月から3月が多く、その頃が花粉症シーズンというイメージが強いのではないでしょうか。ですが、花粉は一年中飛んでいて、スギ花粉以外の花粉に苦しむ人もたくさんいます。イネ科、ヒノキ、ハンノキなど5月前後にピークを迎えるものも少なくありません。
そんなツラい花粉症はどうして起きてしまうのでしょうか?
どうして花粉症は起きるの?
花粉症はくしゃみ、鼻水、鼻づまり、目のかゆみが主な症状として知られていますが、これらは体の防御反応として現れたものです。体は常に菌やウイルスなど外敵と戦っていて、花粉も外敵の1つです。
体は入ってきた花粉を「異物」と判断して、くしゃみなどで外に出そうとするのです。この排出するための反応は体にとって悪いことではありませんが、過敏に反応してしまうことをアレルギーと呼び、日常生活が不便になってしまいます。
アレルギーは花粉だけではなく、食べ物によっても現れます。トマト、小麦、牛乳など特定の食品により、喉が腫れたりかゆくなったりすることも。
アレルギーは、原因となるものが一定量以上体の中に侵入すると症状が現れてきます。アレルギー症状が現れるまでの量は個人差がありますが、取りこまないようにすることで防ぐことができます。
風邪と花粉症の見分け方とは?
毎年ほぼ同じシーズンに症状が現れる花粉症。花粉症の症状は風邪とよく似ているので、花粉のシーズンではどちらか見分けがつきにくいですよね。
花粉症の特徴は鼻水が透明でサラッとして、熱は出ないか出ても微熱程度です。鼻をかむ回数やくしゃみが多く、さらに鼻がつまっているなら花粉症の可能性は高いでしょう。目のかゆみが強いのも花粉症の特徴です。
一方、鼻水に粘り気があって黄色っぽく、熱が37.6度以上ある場合は風邪の疑いがあります。
ただし、これらは一般的な傾向ですので必ずしも当てはまるわけではありません。気になる症状がある方は医師の診断を受けてくださいね。
花粉の種類とは?
5月ごろに飛んでいる花粉にはどのような種類があるのでしょうか。植物なので気候や地域によって時期に差はあります。ですが、飛んでいる可能性がある花粉を知れば、その植物に近づかないようにするなどの自衛ができるかもしれません。
イネ科の植物
5月の花粉の主役はイネ科と言っていいでしょう。イネ科というとお米(稲)を思いつくかもしれませんが、花粉症とはあまり関係ありません。代表的なものはカモガヤ、ハルガヤ、オオアワガエリです。お米の穂先に似ているものもあれば、雑草と見分けがつかないものもあります。
イネ科は公園、河川敷、道路脇、家の庭などに生えています。花粉が遠くに飛ばない特徴があるので、近づかなければ防ぎやすいでしょう。ですが、5月は行楽シーズンでもあり、バーベキューをしたり、アクティビティを楽しんだりとイネ科が多い場所に行く機会も多く、発症してしまうことも少なくありません。
ヒノキ
香り高いヒノキ風呂でも人気の高いヒノキ。東海地方から西に多く、4月のピークを過ぎても飛散は続き油断できません。
ヒノキ花粉はスギ花粉と似ていて、花粉を風によって広げる特徴があります。イネ科と違ってどこにいても発症するリスクが高いと言えるでしょう。また、構造も似ているのでスギ花粉の症状がある人は、ヒノキ花粉にも反応することが多いとも言われています。
ハンノキ
ハンノキは北海道から沖縄まで広く分布しており、スギ花粉と共に発症することも少なくありません。一部の地方を除いて、5月頃までは飛散しています。
野山の湿地に生えていることが多いですが、都市部の公園にも植えられていることもあります。花粉の大きさがスギよりも小さく、より遠くまで飛ぶのが特徴です。
スギ
花粉の代名詞ともいえるスギ。ピークは2月から4月ですが、関東地方を中心として5月もスギ花粉は飛散しています。その年の花粉の量は、前年の日照時間が長く、気温が高いほど多くなる傾向があります。
スギは日本列島に広く分布しているのでよく目にする木です。まっすぐと伸びて、強度がある上に加工がラクという特徴から、古くから住宅などに利用され、人の手によっても多く植えられてきました。花粉の元凶とも言われますが、日本の文化や歴史と深い関わりがある木でもあります。
花粉以外の原因がある
鼻づまりで夜も眠れず睡眠不足や体調不良になってしまうこともある花粉症。その症状をさらに悪化させてしまうと言われているのがPM2.5や黄砂です。アレルギーとしてだけではなく、体にもよくないとされている理由を見ていきましょう。
PM2.5
PM2.5は大気中に浮遊する粒子のうち、2.5µm(マイクロメートル:1µmは1mmの1/1000)以下の非常に小さな粒子のことです。「モノの燃焼から直接発生するもの」と「大気中で化学反応により生まれるもの」の2種類があります。焼却炉のばい煙(ススなど)、自動車や飛行機、工場等の排ガスなどから排出されることがあります。
PM2.5は粒子がとても小さいので肺の奥に入りやすく、呼吸器の病気のリスクを高めたり、悪い影響を与えたりしてしまいます。PM2.5によって炎症などが起こりやすくなると、花粉によるアレルギー反応も起こりやすくなるといわれています。
黄砂
黄砂は中国大陸のタクラマカン砂漠、ゴビ砂漠などの砂が風によって巻き上げられ、偏西風にのって日本にまで飛来してきたものです。衛星写真で撮ることができるほど大量で、日本でも空が黄色くなることがあります。
これらは自然現象とされて来ましたが、都市開発などによって頻度と影響が増してきています。黄砂は日本に届くまでに大気汚染物質を取り込んでいる可能性があるのも問題です。花粉よりも粒子が小さいため肺の奥に入りやすく、黄砂によりアレルギーが起きることも考えられます。また、花粉症の症状を悪化させる可能性もあります。
花粉症を予防するには?
花粉症は体の過剰な免疫反応によるものなので、花粉を体に取り込まなければ発生しません。逆に一定以上の花粉を取り込むと反応は強いものになるので、予防することが重要です。では、どのように花粉症の対策をすればよいのでしょうか。
参考:
厚生労働省(花粉症Q&A集(平成22年度))
厚生労働省(的確な花粉症の 治療のために(PDF))
天気予報をチェック
次のような日は花粉が多く飛散しやすいので、普段よりもしっかりとした対策が必要です。
- 晴れていて気温が高い日
- 乾燥していて風が強い日
- 雨上がりの翌日
花粉の時期は特に天気予報をチェックしましょう。また、花粉の種類や気象条件にもよりますが、花粉は昼前後と日没後に多いと言われています。昼食のための外出や、退勤時間などが重なる人は意識してみましょう。
グッズでしっかり守る
屋外は花粉が飛散しているのでなるべく外に出たくありませんよね。それでも外出しなければならないときには、まずはしっかり顔をガードしましょう。
花粉が侵入してアレルギーを起こすのは主に鼻と目です。マスクをして鼻を、メガネや専用ゴーグルで目を守るようにしましょう。マスクは感染症予防も兼ねて定期的に交換することも効果的です。
また、ツバのある帽子は顔や頭部に花粉が付着するのを防いでくれます。頭髪には花粉が付着しやすいので、髪に触れた手で目や鼻をこすってしまうのを防いでくれます。
家に持ち込まない
花粉が家の中に入ってしまうと症状が治まりにくくなり、ゆっくりと休息をとることもできなくなってしまいます。家に入る前に、玄関の外で花粉を払い落としてから入りましょう。
ウールの上着やコートは避けて、なるべく表面がツルツルしたものにすると花粉が付きにくく、また落としやすくなります。
室内に入ったら部屋を歩きまわらず、着ている服を洗濯機に入れて、シャワーを浴びて体についた花粉を洗い落とします。部屋の換気も天気予報をチェックして花粉が少ない日を選ぶようにするとよいでしょう。
生活習慣も大切
風邪などで免疫力が落ちてしまうと花粉症の症状が悪化してしまいます。健康の維持に大切なことは規則正しい睡眠とバランスのとれた食事です。お酒の飲み過ぎは眠りを浅くして、食事も偏ったものになりやすいので注意しましょう。
適度な運動も体力を維持して免疫力を高めるのに重要です。しかし、花粉シーズンは外に出るのを避けてしまい、運動不足になりがちです。花粉の少ない時間帯を選んだり、ジムやプールなどの屋内施設を利用したりして運動するのも良いでしょう。
花粉症になってしまったら?
しっかりと予防をしていても花粉症の症状がでてしまうことはあります。そういった場合には、症状を和らげる花粉症薬を飲むのも良いでしょう。くしゃみや鼻水などの症状からくる肉体的疲労や精神的ストレスを和らげてくれます。
花粉症薬には種類があるので自分の状態や体に合った薬を選ぶのも大切です。
自分に合った薬を選ぼう
花粉症薬には飲み薬、点鼻薬(鼻スプレー)、点眼薬(目薬)の3種類があり、飲み薬の中でも違いがあります。どんな違いがあるのか見ていきましょう。
第1世代抗ヒスタミン薬
ヒスタミンは脳の睡眠に関係する神経細胞の刺激をして、日中活動できるように覚醒させる働きがありますが、アレルギーの発生にも関わっています。このヒスタミンを抑えることで症状を緩和させることができます。
くしゃみや鼻水の症状が強いときには効果的ですが、眠気やのどの乾きなど副作用も出やすく、車の運転をはじめとして日中の仕事にも支障があることもあります。
第2世代抗ヒスタミン薬
くしゃみや鼻水が主症状である場合に使用され、抗アレルギー薬とも呼ばれます。アレルギー物質が発生するのを抑える点に特徴があります。服用すると眠気がでることがありますが、第1世代抗ヒスタミン薬より副作用が弱いとされています。アレルギーを抑え、また持続性も長いので症状が軽いうちからの使用も効果的です。
生薬混合タイプ
抗ヒスタミン薬は症状を抑えるために使いやすいですが、一方で副作用が出やすい面があります。デメリットを抑えるために副作用が穏やかとされる生薬を取り入れたのがこのタイプです。抗ヒスタミン成分は抑えめにして、シンイ、サイシン、ケイガイといった生薬を配合しています。副作用は弱いとはいえ、車の運転など「してはいけないこと」の注意は守りましょう。
漢方
お仕事などで副作用が出てしまうと困るという方には漢方を試してみるのもよいでしょう。漢方は副作用が穏やかで、アレルギー性の症状にも効果があるものがあります。調合内容によってはまったく眠気の心配がないものもあります。
点鼻薬
鼻づまり、鼻水、くしゃみ、頭が重い感覚を抑えるために、鼻の中でスプレーして使うのが点鼻薬です。鼻の充血を和らげる成分がメインであることが多く、飲み薬だと副作用が心配…という場面でも使いやすいのが特徴です。
スプレー後には鼻水が逆流することがあるので、鼻水をよくかんでから使用します。使用後は清潔なティッシュペーパーなどで拭き、キャップを閉めた状態で保管するようにしましょう。
点眼薬
アレルギー用の点眼薬は、花粉やハウスダストなどによる目のかゆみ、充血といったアレルギー症状を和らげる成分を配合しています。目薬をさすときに容器の先端がまぶたやまつげに触れると、容器内で雑菌が繁殖する可能性があるので注意が必要です。
目薬は片目につき1滴させば十分。逆に1回に何度も点眼すると悪影響を及ぼすこともあります。点眼後はしばらくまぶたを閉じながら指で目頭を抑えると、液が行き渡りやすくなりますよ。
参考:
厚生労働省(試験問題作成に関する手引き(令和4年3月))
厚生労働省(的確な花粉症の 治療のために(第2版)(PDF))
まとめ
花粉症は体を守るための免疫反応が過剰に起きることで発生する症状です。自分がどの花粉に反応するのかを知って、植物が生えている場所に近寄らないようにしたり、マスクやゴーグルなどのグッズを使ったりすれば花粉を取り込んでしまう可能性を下げることができます。
ですが、予防をしたとしても症状が出てしまうことはあります。そんなときは自分の体や状態にあった薬を使うことで症状を緩和するという方法もあります。
ただし、花粉症だと思っていても実は風邪や違う病気だった…ということもありえます。長期間の不調や心配なことがあれば、医師の診断を受けるようにしましょう。
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