管理栄養士監修:カカオポリフェノールの5つの効果!摂取方法・食べ方のコツも解説
そこで今回は、カカオポリフェノールが体に与える影響や、より効果を高める食べ方について解説します。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。
目次 [CLOSE]
カカオポリフェノールとは?【カカオ豆の抗酸化物質】
カカオポリフェノールとは、チョコレートの原料であるカカオ豆に含まれる抗酸化物質であるポリフェノールの一種です。とくに、カカオマス(カカオ豆の胚乳を発酵または乾燥させ、焙煎し、すりつぶしたもの)に豊富に含まれています。
カカオポリフェノールの特長は、その抗酸化作用にあります。体内の酸素が過剰に活性化することを防ぐ点が、健康維持につながるとされています。そのほか、動脈硬化を防ぐ効果にも期待が持てます。
「高カカオチョコレート」に多く含まれている
チョコレートから健康効果を得たい場合は、カカオ含有率が高いチョコレートを選ぶことが重要です。具体的には、カカオの含有率が70%以上の「高カカオチョコレート」がおすすめです。主成分であるカカオ豆には、豊富なカカオポリフェノールが含まれており、さまざまな健康に良い効果を得られる可能性が高くなります。
カカオポリフェノールがもたらす5つの効果
より具体的に、カカオポリフェノールが持つ健康に良い効果についても見ていきましょう。
血圧を低下させる
カカオのポリフェノールに含まれる、強力な抗酸化作用を持つフラボノイドにより、さまざまな健康効果が期待できます。なかでも、最も注目すべきは、血圧を下げる効果です。
カカオポリフェノールを摂取すると、血管壁で一酸化窒素(NO)という血管を広げる作用を持つ物質が生成されます。血管が広がると血圧は低下するため、カカオポリフェノールを摂取することは、血圧低下につながります[1]。
また、カカオポリフェノールには、血管を柔らかくし、動脈硬化を抑える効果もあります。
美容効果がある
カカオポリフェノールには、フラボノイドという抗酸化作用がある成分を含んでいるため美容効果も期待できます。
カカオポリフェノールに含まれるフラボノイドには、肌の老化を促進する「活性酸素」を抑制する効果があると言われています。カカオポリフェノールを体内へ取り入れると、結果として、肌の老化(シワ、たるみなど)の防止につながると言えます。
動脈硬化を予防する
カカオポリフェノールには、動脈硬化の予防にも役立つと考えられています。動脈硬化は、血管壁にプラーク(動脈硬化巣)という組織が蓄積することで起こります[2]。カカオポリフェノールに含まれるフラボノイドが、悪玉コレステロールの酸化を防ぐことで、血管内にプラークを形成することを抑制します。
便通を改善する
カカオポリフェノールは、食物繊維が豊富なため、便通の改善に役立つ効果が期待できます。
また、カカオに含まれるカカオプロテインは、腸内の善玉菌のエサとなります。善玉菌は消化システムの健康を維持し、便通の正常化を助ける働きを持っています。さらに、善玉菌が増えることにより、便秘を引き起こす可能性のある微生物の影響を抑えることも可能です。
ダイエット効果もある
カカオポリフェノールには、血液中のコレステロール値を正常範囲に保つ効果も期待できます。
また、カカオポリフェノールは基礎代謝の向上にも役立ちます。基礎代謝とは、私たちが安静時に消費するエネルギーのことを指します。基礎代謝が高まると、体がエネルギーを消費する量が増え、体重の管理やダイエット効果も期待できます。
高カカオチョコレートと普通のチョコレートの違い
健康のためにチョコレートを生活へ取り入れようとする場合には、高カカオチョコレートと普通のチョコレートとの違いについて知っておく必要があります。注意点を含めて解説します。
含まれているカカオの量が多い
高カカオチョコレートと普通のチョコレートの最も大きな違いは、「カカオの含有量」です。一般的に、普通のチョコレートではカカオの含有量が30~40%程度ですが、高カカオチョコレートではカカオ含有量が70%以上になります。
なお、カカオの含有量が増えると、含まれる脂質の量も増える点には注意が必要です。当然カロリーも増加するため、食べ過ぎには注意してください。
低糖質
一般的に、高カカオチョコレートは普通のチョコレートよりも糖分が少ないため、糖質を制限したい、ダイエット中の方々におすすめです。カカオ含有量が高いチョコレートは、砂糖の代わりにカカオが多く使用されているため、結果的に糖質量が抑えられています。
また、カカオには「テオブロミン」という成分が含まれています。テオブロミンは、チョコレート特有の苦味を引き立てるだけでなく、脂肪分解作用も持っているのが特徴です。
カフェインが多く含まれている
高カカオチョコレートは、普通のチョコレートと比較してカフェインの含有量が2.3~4倍程度多いとされています。そのため、適度な摂取は集中力の向上や一時的なパフォーマンス向上につながる可能性があります。
しかし、カフェインの過剰摂取は健康に悪影響を及ぼすこともあります。たとえば、不眠や下痢などの症状を引き起こすことも。高カカオチョコレートを摂取する際には、カフェイン摂取量に注意しましょう。
高カカオチョコレートの効果を引き出す食べ方
最後に、高カカオチョコレートの効果をより引き出せる食べ方のポイントを、注意点と合わせてご紹介します。
栄養成分を確認してから食べる
高カカオチョコレートは、製品によってカロリーが異なる点に注意が必要です。高カカオチョコレートは低糖質ではあるものの、カカオの含有量が多い分、カロリーは比較的高めになります。
一般的に、菓子や嗜好飲料から摂取してよいカロリーは1日あたり約200kcalとされています[3]。これを超えるとカロリーが体内に蓄積され、ダイエット効果を損なう可能性があります。また、カフェインや脂質の過剰摂取になるおそれもあるので注意しましょう。
ナッツやドライフルーツと一緒に食べるのもおすすめ
高カカオチョコレートは単体でもその健康効果が期待できますが、ナッツやドライフルーツと一緒に食べると、さらに効率よく栄養を摂取できます。
たとえばナッツの一種であるアーモンドには、カルシウムや食物繊維が豊富に含まれています。また、抗酸化作用が高いビタミンEも豊富です。これらの成分は高カカオチョコレートの効果を補強してくれるでしょう。
また、ドライフルーツの一つである干しブドウにも、ポリフェノールが豊富に含まれています。乾燥させることで、栄養が凝縮され、摂取することでさらなる抗酸化効果が得られます。ただし、干しブドウは糖分も多く含んでいるので、食べ過ぎには注意が必要です。
お手軽チョコレシピ2選!カカオポリフェノールを効率的に摂取できる
くらひろで公開している簡単・お手軽レシピのなかから、チョコレートを使ったものを2つピックアップしました。ぜひカカオポリフェノールを効率的に摂取したいときにお試しください。
ビーフストロガノフチョコレート入り
鉄やビタミンB12が含まれている牛肉を使った料理です。貧血予防・改善に役立つほか、ワンポイントでチョコレートも含まれているので、カカオポリフェノールの摂取も可能です。
炊飯器ガトーショコラ
炊飯器で調理できるお手軽ガトーショコラです。材料を混ぜて炊飯器に入れるだけで完成するのが、このレシピの良いポイントです。卵を使用するため、良質なたんぱく質も摂取できます。
まとめ
チョコレートに含まれるカカオポリフェノールには、大きな健康効果が期待できます。定期的に摂取することで、さまざまな好影響を受けられるでしょう。
ただし、いずれも一度に食べる量にはご注意ください。カロリー過多になってしまっては、せっかくの効果が台無しになる可能性も十分あります。適量を美味しく食べることが、カカオポリフェノールを上手に生かすポイントです。
- 国立研究開発法人 国立がん研究センターがん対策研究所:
チョコレート摂取と脳卒中発症リスクとの関連 - 厚生労働省 e-ヘルスネット:
動脈硬化 - 厚生労働省 e-ヘルスネット:
間食のエネルギー(カロリー)
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