初夏の魚をおいしく食べよう!旬を迎える魚とおすすめレシピ
春から夏へと移り変わり、お店に並ぶ魚にも季節を感じます。初夏は初ガツオが旬真っ盛り。その他にも、初夏に旬を迎える魚がたくさん登場してきます。今回はその中でもおすすめの7種をピックアップ。その他にもこの時期おいしくなる貝類などもご紹介します。それぞれの美味しい食べ方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。
目次 [CLOSE]
初夏に旬を迎える魚、どんなものがあるか知っていますか? 初夏は初ガツオをはじめアジやイワシ、アユなどが旬を迎えます。サワラもまだまだおいしく、イサキがそろそろおいしい時期に。それぞれの特徴や選び方、栄養価、おいしい食べ方を知って、日本の初夏の魚を存分に楽しみましょう。魚のほかサザエやアワビなどもこれからがおいしい季節。それらの特徴や食べ方もご紹介します。
日本の魚と旬
日本は海に囲まれ、周辺の海にはたくさんの魚が生息しています。また、日本には春夏秋冬の四季があり、魚がよく獲れ、最もおいしくなる季節をその魚の旬と言います。今回は、初夏に旬を迎える魚についてご紹介します。毎日の食事に今が旬の魚を取り入れて、豊かな食生活を送りましょう!
初夏に旬を迎える魚7選。栄養価や選び方は?おいしい食べ方もご紹介
まずは、初夏が旬の魚7種をピックアップ。含まれる栄養価や選び方のポイント、おいしい食べ方を解説します。ぜひ参考にして、旬の味を楽しんでください。
アジ
アジはもっとも馴染みのある魚のひとつではないでしょうか。マアジをはじめ、ムロアジやシマアジなど種類も多く、刺身や干物、塩焼きなど、さまざまな調理法で食べられてきました。
アジは低カロリーで、たんぱく質を豊富に含むと言われています。さらに、脂肪の代謝を助けるビタミンB2や、タンパク質の代謝を助けるビタミンB6も豊富。また、血栓予防などの効果があるEPA、脳の発達促進や認知症予防などの効果があるDHAも含んでいます。
選ぶときは、表面が銀色に光っていて、目が澄んでいるものを。また、お腹が張っていて、頭より太いものを選ぶのもポイントです。
新鮮なものなら、ぜひお刺身で。生の身を味噌、ネギ、生姜と一緒にたたいて作る「なめろう」も人気のメニューです。そのほか、塩焼きやフライなど、さまざまな食べ方が楽しめます。
過去にくらひろでご紹介した「鯵のソテーケチャップ野菜ソース」もおすすめです。彩り豊かで食卓が華やかになります。こちらもぜひ試してみてください。
イワシ
イワシも日本人にとって馴染み深い魚のひとつ。マイワシやウルメイワシ、カタクチイワシなどの種類があります。中でもマイワシやカタクチイワシは初夏から秋が旬。脂のりがよく味の良いものを食べることができます。
イワシの中でもマイワシはビタミンやカルシウムなどのミネラルが豊富。また、脂肪には血中コレステロールを低下させる不飽和脂肪酸を含み、EPAやDHAが多く含まれています。さらに、血圧を正常に保ち、脳出血などの予防効果があると言われるタウリンも豊富です。
おいしいイワシのポイントは、「目が黒い」「尻がしまっている」「頭が小さく身が厚い」の3つ。鮮度が落ちると、目が赤くなって尻がゆるくなるのだそう。頭が小さく身が厚いイワシは、脂がのっていて美味!
イワシは刺身のほか、すりつぶして団子汁や甘露煮などでよく食べられています。から揚げにしてから酢漬けにするエスカベッシュは、小ぶりのイワシならぜひ丸ごと調理して。イワシのおいしさを余すところなく楽しめて、カルシウムも摂ることができます。
初ガツオ
カツオは年に2度旬があります。最初の旬は5月~6月で、この時期のカツオは初ガツオと呼ばれ、脂肪が少なくさっぱりとしているのが特徴です。2度目の旬は9月頃。戻りガツオと呼ばれ、脂ののった濃厚な味わいが特徴です。
初ガツオは低脂肪でたんぱく質を豊富に含みます。肝機能を高めると言われるタウリンも豊富。血合いの部分はビタミンA, B1, B2, B12、鉄分などが豊富に含まれ、中でも貧血を予防すると言われるビタミンB12は魚の中でもトップクラスの含有量です。
生のカツオは特に鮮度が大事。鮮度が落ちるほど生臭くなってしまいます。刺身にしやすい大きさに切られたサクで買う場合には、血合いの部分が鮮やかなえんじ色をしているもの、身は赤色で透き通っているように見えるものが◎。鮮度が落ちると色が悪くなり、黒っぽくなります。丸ごと1尾で買う場合は目が澄んでいて、黒色と銀色の縞模様が鮮やかなものを選びましょう。
初ガツオはなんといってもたたき。さっぱりと引き締った初ガツオの魅力を存分に味わいたいですね。特に鮮度の良いものは刺身のままでもおいしくいただけます。ニンニクや生姜、たまねぎなど、たっぷりの薬味と一緒に味わいましょう。生姜、酒、塩、醤油で煮たカツオを炊きたてのご飯と混ぜる「カツオめし」もおすすめです。
アユ
鮎の漁は、天然のものも養殖され放流されるものも厳しく規制されていて、関東では6月頃に解禁されます。清流の藻を食べて育つため独特の青臭さがあり、「香魚」とも呼ばれています。解禁直後の6月頃のものを「若鮎」、8月下旬頃から卵を持ち始めたものを「子持ち鮎」といい、若鮎は骨も柔らかく独特の風味が楽しめます。
鮎はカルシウムが多く、頭と中骨を除いてもマイワシの3倍近く含まれているそう。内臓にはカルシウムの吸収に必要なビタミンDや、体内でカルシウムを活用するのに必要なリンも含まれているので、1匹丸ごと食べるのがおすすめ。また、抗酸化作用があるビタミンEや、EPA、DHAなども豊富です。
新鮮な鮎はぬめりが多く、全体に黄褐色で、まだら模様が鮮やかなもの、さらに、お腹がふっくらとしているものを選ぶようにしましょう。
鮎のおいしい食べ方といえば、なんといっても塩焼きでしょう。初夏の若鮎は骨も柔らかく丸ごと食べられるので、内臓のおいしさや鮎ならではの香りも楽しむことができます。また、甘露煮にするとさらに柔らかくなり、内臓が苦手な方にもおすすめです。
イサキ
イサキの旬は5月~7月。麦の収穫の頃なので「麦わらイサキ」と呼ばれたり、梅雨の時期なので「梅雨イサキ」と呼ばれたりすることもあるそう。脂ののった味わい深いおいしさを楽しむことができます。
たんぱく質が多く、旬のイサキは脂質も豊富。脂質の中にはオメガ3と呼ばれるn-3系多価不飽和脂肪酸が多く含まれていて、EPAやDHAが豊富です。
イサキは目が濁りやすく、新鮮なものでも目が曇っていることがあるので、エラの色が鮮やかなものや、身が張っていて弾力があるものを選びましょう。
イサキといえば塩焼きが浮かびますが、白身で淡白な味わいなので、アレンジ次第で和洋中とさまざまな料理にすることができます。皮目を炙って薬味と食べるたたきもおすすめ。
サワラ
サワラは漁獲量が少なく、やや高価な魚。漢字では「鰆」と書き3月から旬を迎え、初夏の時期もおいしく食べることができます。全長は1mほどで、細長い形が特徴。ふんわりとした身質で淡白ながら上品な甘みのある味わいが楽しめます。
たんぱく質やビタミン B2、ビタミンD、ナイアシンを含み、特にカリウムを多く含んでいるのがサワラの特徴。さらにEPAやDHA、タウリンなども豊富で、視覚障害の予防に効果があると言われるビタミンAも含んでいます。
おいしいサワラの特徴は、身がしっかりとかたく張っていること。目が澄んでいて、全体にツヤがあり銀色に光っているものを選ぶようにしましょう。
サワラは刺身や照り焼き、塩焼きなど、身の繊細な味わいを引き立てるシンプルな食べ方が基本。風味よく焼きあがる西京漬けもおすすめです。
過去にくらひろでご紹介した、サワラにポテトサラダを乗せトースターで焼く「さわらのポテトサラダ焼き」もおすすめ。まろやかな味わいのポテトサラダとサワラの相性が抜群です。こちらもぜひ試してみてください。
キビナゴ
キビナゴは、体長10cmほどの小型魚。4月~6月が旬とされています。小さいながらしっかりとした旨みがあり、刺身でも十分においしさを楽しむことができます。淡白で甘みがあり、丸ごと食べられるので調理が簡単なのも魅力です。
丸ごと食べられるキビナゴはカルシウムを摂ることができます。さらにカルシウムの吸収などを助けるビタミンDも含まれ、たんぱく質やDHAも豊富です。
新鮮なキビナゴは他の魚と同じように、ツヤがあってお腹が張っているもの。銀色の輝きがしっかりとしているものを選ぶようにしましょう。
キビナゴは刺身や天ぷら、塩焼きのほか、一夜干しやみりん干しでも親しまれています。生のまま背開きにして酢締めにしたり、丸ごと揚げて野菜と南蛮酢に漬ける南蛮漬けにしたりするものおすすめ。
魚のほかにも初夏においしい海の幸
ここまで紹介した魚の他にも、日本には初夏のおいしい海の幸がたくさん。その中でも特におすすめの4種をご紹介します。
サザエ
サザエは今でも伝統漁法で獲られていて、漁師が素潜りして網を海底に這わせる「刺網漁」、木箱にガラスをはめ込んだ「箱めがね」で漁船から海底をのぞき漁具で突いてとる「かなぎ漁」などがあります。生で食べればコリコリとした食感を楽しめ、火を入れれば優しい口当たりで、奥行きのある味わいが楽しめます。
サザエはタウリンが豊富です。タウリンはアミノ酸の一種で、よく知られている疲労回復のほか、動脈硬化や心疾患などの予防にも効果があると言われています。また、体内でつくることができない微量ミネラルの亜鉛も含んでいます。
新鮮なサザエは蓋がしっかりと閉じているものです。触ると素早く蓋を閉めるものを選ぶようにしましょう。蓋が開いてしまっているものは、死んでいて鮮度が悪い可能性があります。また、他のサザエよりも重いものを選ぶと良いでしょう。
サザエは殻のまま醤油や日本酒を注いで焼く壺焼きのほか、サザエ本来の食感が楽しめる刺身で食べるのが一般的。お米と一緒に炊き込む「サザエ飯」も旨みたっぷりのおいしさが楽しめます。島根県の隠岐ではこの「サザエ飯」を海苔巻きにして食べることもあるそうです。
アワビ
古来、高級食材として食べられてきたアワビ。干しアワビは日本の内陸部や、中国などでも珍重されてきました。アワビはいくつかの種類があり、中でもエゾアワビやクロアワビが人気と言われています。アカアワビは身が柔らかくステーキなど火を通す料理に向いています。
アワビはビタミンB1、B2、ナトリウム、マグネシウム、亜鉛を含み、旨み成分であるグルタミン酸も豊富です。
殻の中で身がうねうねと動いていれば、新鮮なアワビである証拠。水槽の中であれば、触覚を出して動いているものを選ぶようにしましょう。
アワビの魅力を味わうなら、コリコリとした食感が楽しめる刺身のほか、柔らかく豊かな旨みが楽しめるステーキで。薄くスライスし、ウニと一緒に煮る「いちご煮」は、炊き込みご飯にしても美味。
ウニ
雑食で、主に昆布を餌としているウニ。良質な昆布を食べて育ったウニは特に味が良いと言われているそう。甘みが強く濃厚なバフンウニや、淡くあっさりした味わいのムラサキウニなどが人気です。
ウニにはEPAやDHAなどが含まれているほか、ビタミンAやビタミンB群、ビタミンEなども含まれています。比較的コレステロールが多い食品ですが、卵に比べるとそれほど高くはなく、摂りすぎてしまう心配はそれほどなさそうです。
ウニは刺身や寿司、丼など生で食べるほか、お米と一緒に炊き込む「サザエ飯」も美味。アワビと一緒に煮る青森の郷土料理「いちご煮」も、ぜひ一度試してほしい一品です。
ホヤ
ホヤは「海のパイナップル」と呼ばれ、みずみずしい身に五味(甘味、酸味、塩味、うま味、苦味)の全てを持つ食材です。成長するのに3~4年かかり、天然のものは水深20~30メートルの海底に生息しています。三陸沿岸北部の洋野町では100年以上前に生まれた「南部潜り」という特殊な潜水技術で採取しています。
ホヤは、疲労回復などが期待できるタウリンやグリコーゲンのほか、亜鉛、ビタミンEやビタミンB12などを含んでいます。
鮮度が落ちると臭みやえぐみが出てしまうホヤ。ツヤとハリがあり、表面の赤みが濃いものを選ぶようにしましょう。
ホヤといえば酢の物。からと内臓を取り除き、二杯酢できゅうりなどと一緒に和えていただきましょう。独特の風味を楽しむことができます。鮮度の良いものや天然物が手に入ったら、炙りや天ぷら、炊き込みご飯でもおいしく食べられます。
初夏に旬を迎える魚をおいしく食べて、日本の季節を感じよう
魚は旬の時期に食べるのが一番です。冬の魚に比べると脂乗りは少ないですが、高タンパク質、低カロリーの魚も多いのが初夏の特徴。また、この時期に出るカツオは初ガツオといい、さっぱりとした赤みの旨味が楽しめます。旬の魚をおいしく食べて、日本の季節を感じましょう。
監修:東京電力HD 管理栄養士 保科 琴美
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