相手に届く話し方を意識 心をつかみ意見を伝える「ビジネス対話力」
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リアルでもリモートでも、ビジネスシーンに必要なのは、相手の心に働きかけ、行動に移してもらうための対話力です。人と話すことに苦手意識を持っている人も、話し方のコツを意識することで、対話力を磨くことができます。ここに挙げる項目を、ビジネスをスムーズに進めるためのヒントにしてください。
共感力を高めれば対話がはずむ
対話でまず必要なのは「共感力」です。相手を受け入れる心の器ができて初めて、相手に「この人なら話を聞いてくれそうだ」と思ってもらうことができ、対話の環境が整うのです。共感力を高めるポイントを紹介します。
1.まずは雑談力で打ち解ける
対話とは単なる情報交換ではなく、心のスキンシップに近いものととらえましょう。ここで重要なのが、自分と相手の気持ちを和ませる雑談です。難しく考えず、相手と仲良くなるための手段として、雑談の機会を増やしましょう。
心理学には「ザイオンス効果(単純接触効果)」と呼ばれる考えがあり、人は何度も繰り返し会う人を好きになるといわれています。つまり、1回だけ長く話すよりも、数回に分けて短く話すほうが、仲良くなりやすいのです。上司やクライアントへの挨拶に雑談を加え、「短く多く」を心がけましょう。「おはようございます」「相変わらず〇〇ですね」「きっと〇〇ですね!」のように、「挨拶」「共感」「驚き・励まし」の3つの要素を心がければ、1分程度の雑談が成立します。
ちなみに、リモート会議が増えたことで、雑談の機会が減ったと感じている人も多いようです。それなら、早めに入室して最後に退出することを心がけて、リモート会議の前後に雑談の機会を作ってみてはいかがでしょうか。1分でも雑談ができれば、ザイオンス効果が期待できます。
2.傾聴力で信頼関係を築く
対話では、黙って人の話を聞くことも大切です。「いろいろ教えてください」と謙虚に話を聞く姿勢を持ちましょう。「驚き」をベースに、「知りませんでした」「勉強になります」などの言葉を上手に使うことができれば、信頼関係を築きながら貴重な情報を得ることができます。リモートではリアクションが伝わりにくいので、大げさなくらいに首を振るなどすると効果的です。
また、対話の中で、相手の話の重要な部分を3つ覚えることを意識してみましょう。固有名詞や数字ではなく、話の骨格になる言葉をメモしつつ、3語を選ぶのです。そうして、話の要点を掴むスキルが身につけば、相手の発言のきりのいいところで「今の発言はこのような理解でよろしいでしょうか」と、要約を返せるようになります。すると、相手に「自分が話した内容をすっきりまとめて返してくれる」と思ってもらうことができ、さらに大きな共感力が生まれます。
3.スピーチアクションで心をつかむ
対話では、手の動きも意識してみましょう。特に、手のひらを見せる姿勢は自己開示のポーズといわれ、話の重要な部分で取り入れることで、相手に共感を与えることができます。胸の少し上のあたりで、バレーボールのトスのように手を開き、相手に手のひらを見せましょう。相手の話を聞くときには言葉をキャッチするように、自分が話をするときには言葉を両手で送り出すようにイメージすると効果的です。
さらに、話に合わせて片手を開いてゆっくり動かすことで、リズムや強弱を表現することもできます。対話は、言葉と言葉を交わすだけのものではありません。ときに、全身で演技することが求められる場面もあります。手を使うことで表現力が上がり、共感力が増すことを覚えておきましょう。
理解を深めるための伝え方
対話では、話を盛り上げながら自分の主張を過不足なく伝え、思わず相手が動きたくなるようにアプローチすることも大切です。話し方と伝え方のポイントを紹介します。
1.最速で理解を得るように意識
最速で理解を得るためには、いちばん主張したいことや結論を、しっかりと定めてから口を開きましょう。その上で、それを上回るアイデアが相手から出れば、躊躇なくそちらを採用すべきです。意固地に自分の結論にこだわっても、また、空気を読んで相手に忖度しても、何も生まれません。仕事をおもしろくするには、自分の結論を持ちつつ、対話をコントロールする意識を持つことが大切です。
よく「結論を先に言え」といわれますが、ここで使われる「結論」とは、「相手がいちばん聞きたいこと」です。話の順番は相手本位で組み立て、無駄はなるべく省略しましょう。相手の望む順番で語るためには、「結論から言いますと」という言葉を、話の最初の段階で使うといいでしょう。
2.対話を盛り上げて理解を深める
対話を盛り上げるためには、一人でしゃべり過ぎないことです。ライブ感のある生きた言葉は、話し手と聞き手の声が交互に入れ替わることで生まれます。自分が語る場面でも、相手に話しかけて声を聞くことを意識し、相互の理解を深めましょう。
言葉の好循環をつくるためには、相手のアイデアを肯定的に受け入れる姿勢も大切です。内容の吟味はひとまず後に回し、提案した勇気を賞賛することで、アイデアが生まれやすい環境をつくることができます。「確かに」のような舵取り言葉を上手に使えば、さらに対話が盛り上がります。
3.心に響く言葉の作り方
心に響く言葉とは、相手の期待する内容に応えた言葉です。相手の質問に的確に対応するためには、相手が「5W1H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように)」のどれを聞いているかを、明確にとらえましょう。
たとえば、「いつ商品が届くのか」という質問は、「いつ(When)」を尋ねているので、「◯日の◯時」と日時を答える必要があります。ここで「〇〇配送センターに到着しました」のように、「どこ(Where)」を答えても「話がずれている」と思われてしまいます。
さらに、「〜のように」「〜のようだ」と例えを入れることで、相手の心に響く言葉を作ることができます。「美しい」という言葉なら、「花のように美しい」「冬の夜空のように美しい」など、いろいろな例えで表現してみましょう。このトレーニングを続けることで、思いを相手に伝えることが得意になっていくはずです。
相手の満足を引き出す話し方
対話では、信頼関係を築きながらも、自分の意見を賢く通し、相手に動いてもらう工夫も必要です。相手の満足を引き出しつつ意見する方法を紹介します。
1.相手のやる気をONにする
プレゼンで使われる手法に「ゴールデンサークル」という理論があります。「WHY(なぜやるのか)」「HOW(どうやるのか)」「WHAT(何をするのか)」の順番で話すもので、「WHY」からはじめることが特に重要です。
「なぜやるのか」を熱く語ると、信念が熱を帯び、自分の哲学が明確になります。さらに「なぜやるのか」を何度も語ると、相手と一緒に「これからやろうとしていることの存在意義」を確認し合うことができます。プレゼンの際は、ただ商品情報や企画内容などの情報を伝えるよりも、なぜやるのかという哲学を語ったほうが、人のやる気に働きかけられる場合が多いのです。
2.相手に動いてもらう語りかけ
相手の心に働きかけ、実際に行動を起こしてもらうには、具体的な行動指針を示すことが有効です。たとえば、学校の教室をきれいにしたいときに、ただ「教室をきれいにしましょう」というのでは、抽象的すぎます。「毎日ゴミを10個拾いましょう」なら、具体的な行動指針となり、目的の達成につながっていくはずです。より具体性を高めるためには、シンプルな行動を数字と共に伝えましょう。
さらに、ロジックでは伝えにくいイメージやニュアンスは、「オノマトペ(擬音語)」を使うと効果的です。「実現したらドキドキしますね」「サクサク進めましょう」「グッとくる企画を考えます」など、オノマトペを上手に使えば、言葉が相手の心に染み込み、ともに行動を起こしたくなる気持ちにさせることができます。
3.最後は次の対話につなげよう
対話では、相手に「また会って話したい」と思ってもらうことも大切です。そのためには、対話の中で記憶に残るワンフレーズを繰り返しましょう。そして、相手の記憶に「〇〇について語ったな」と刻みこむことができれば、次のチャンスにつながります。
また、対話の最後は「充実したお話ができました」とまとめてしまいがちです。しかし、次につなげるのであれば、話しきれなかったことを共有しておくことも望まれます。「今回は、この点とこの点を語ることができませんでした」のように、「あなたとこの点についてもっと話したい」というメッセージを送ることで、次の対話につながる確率がアップするのです。
まとめ
ビジネスにおける対話では、まず、他人の意見を受け止める共感力が大切です。相手の心を和ませる雑談力や、言葉を引き出す傾聴力を意識しながら、「この人なら話を聞いてくれそうだ」と相手に思ってもらえるように話を進めましょう。
また、相手がいちばん聞きたいことから伝える話し方や、相手の記憶に残るワンフレーズの織りまぜ方など、対話のスキルを磨く努力も必要です。相手に「また会いたい」「また話したい」と思ってもらえる対話力は、ビジネスのチャンスへとつながります。
書籍紹介:『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(ひきたよしあき著/三笠書房)2021年12月出版
出版社書籍紹介:『一瞬で心をつかみ意見を通す対話力』(ひきたよしあき著/三笠書房)2021年12月出版
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