掃除・洗濯

これはわかりやすい!新しくなった洗濯表示のおさらい

衣類についている洗濯表示が2016年(平成28年)12月から新しく変わっています。洗濯表示は簡単な記号で表されていますが、衣類の取扱いに関する情報がつまっています。衣類を大切にメンテナンスして良い状態で長く着られるように、洗濯表示についていま一度確認してみま
しょう。

執筆者

有賀 照枝
整理収納コンサルタント/ハウスクリーニング技能士
株式会社ハート・コード代表取締役

“部屋磨きは自分磨き・職場磨きはスタッフ磨き”をモットーに家事代行・整理収納関連事業で2007年独立。自身の体験から環境を整えると色々なことが整ってくることを痛感し、個人や企業にコンサルティングやセミナーなど様々な形でその大切さをお伝えしている。ジュピターショップチャンネルほかメディア多数出演。著書『「片付けが苦手な子」が驚くほど変わる本』(青春出版)。

記号の構成

記号の構成
洗濯記号は、おもに5つの基本記号と4つの付加記号で構成されています。この基本記号と付加記号の意味がわかると、組み合わせでどう洗濯をしたらいいのかがわかるようになっています。

基本記号5つ

衣類についている基本記号は、「洗濯」「漂白」「乾燥」「アイロン仕上げ」「商業クリーニング」の順に並べて表示されています。5つの基本記号のうち表示されていない基本記号がある場合は、その記号の処理がすべてできるとされています。たとえば、アイロン仕上げ処理記号の表記がない場合は、アイロン仕上げ処理記号の3種類のすべての処理ができるという意味になります。

  1. 洗濯処理記号(洗濯桶のマーク)
    洗濯処理記号(洗濯桶のマーク)
  2. 漂白処理記号(三角形のマーク)
    漂白処理記号
  3. 乾燥処理記号(正方形のマーク)
    乾燥処理記号
  4. アイロン仕上げ処理記号(アイロンのマーク)
    アイロン仕上げ処理記号
  5. 商業クリーニング処理記号(円のマーク)
    商業クリーニング処理記号

付加記号4つ

洗濯表示は衣類にダメージを与えないように、すべて「上限表示」になっています。おもに4つの意味合いの記号で表現されています。

  1. 洗濯作用(機械力)の強さ
    線が増えるほど弱さを表しています。
    洗濯作用(機械力)の強さ
  2. アイロンや乾燥の温度
    点が増えるほど温度の高さを表しています。
    アイロンや乾燥の温度
  3. 数字
    洗濯液の上限温度を表しています。
    数字
  4. 禁止
    基本記号と組み合わせて禁止を表しています。
    禁止

新しい洗濯表示の記号7種類

新しい洗濯表示の記号7種類

22種類だった旧洗濯表示から新JIS規格に沿って41種類に増え、衣類の取り扱いが細かく表示されることになりました。それぞれの記号の意味を確認していきましょう。

洗濯のしかた

洗濯処理記号は全14種類で基本記号の中でも一番種類が多いです。とくに押さえておきたい記号は、家庭で洗濯ができるかどうか、です。洗濯桶のマークに×印がある場合は、「家庭での洗濯はできない」ことを表していますので、クリーニングに出すようにしましょう。

それ以外の洗濯桶のマークは基本的には家庭での洗濯が可能です。洗濯桶のマークの意味は、家庭で洗濯機での洗濯処理ができ、桶の中の数字は水温の上限を、桶の下に表示された横線は水流の強さの上限をそれぞれ表しています。

  • 家庭で洗濯機での洗濯処理ができる
    家庭で洗濯機での洗濯処理ができる
  • 家庭での洗濯処理はできない
    家庭での洗濯処理はできない
  • 液温は40℃を限度とし、手洗いができる
    液温は40℃を限度とし、手洗いができる

手洗い表示は『手を使って「押し洗い」や「ふり洗い」などの方法で、優しく洗うことを表していて、洗濯機で洗うことは想定されていない』と政府広報に記載がありますが、桶などで必ず手洗いしなければダメなのか、というと実際はそうでもありません。おしゃれ着用中性洗剤を使って家庭の洗濯機で洗えるケースがあります。

洗濯機のメーカーや機種によって「手洗いコース」「おしゃれ着コース」など呼び方が異なりますが、手洗いと同じように洗える場合も多いです。また、逆に家庭の洗濯機で洗える表示があっても、素材によってはご家庭の洗濯機では洗えないものもあるので、事前にお使いの洗濯機の取扱い説明書を確認しましょう。

漂白のしかた

漂白処理記号は全3種類です。古い洗濯表示のときは「漂白剤が使えるのか、そうでないのか」の表示しかありませんでしたが、塩素系漂白剤または酸素系漂白剤が使えるのかどうか、詳しくわかるようになりました。

塩素系漂白剤は漂白力が強いため、色柄物に使うと色落ちや色抜けがあったり、使える素材が限られていたりするので取扱いには注意が必要です。白い衣類をより白くしたいときに使います。

酸素系漂白剤は色柄物やおしゃれ着洗いに使え、塩素系漂白剤よりも漂白作用がソフトです。普段の洗濯のときに洗濯洗剤と一緒に使うと、ニオイの元になる皮脂汚れなどを溜めにくくしてくれる効果も期待できます。

乾燥のしかた

乾燥処理記号はタンブル乾燥が3種類、自然乾燥が8種類の合計11種類です。タンブル乾燥の記号は今までありませんでしたが、新たに追加されています。家庭での乾燥処理もどのようにしたらいいのか具体的にわかりやすくなっています。

タンブル乾燥

タンブル乾燥とは、タンブラー乾燥とも呼ばれ、洗濯層を回転させながら洗濯物に風をあてて乾燥させる方法をさします。家庭用ではドラム式洗濯乾燥機が相当します。短時間で早く衣類を乾燥させることができるのですが、衣類の装飾品が取れたりや型崩れがおこるなど衣類へのダメージも起きる場合があります。

自然乾燥

基本記号の正方形の中に表示されている縦棒はハンガーなどに吊るして干す「吊り干し」表記、横棒はネットなどに平らに広げて干す「平干し」表記とイメージするとわかりやすいでしょう。さらに縦棒、横棒が二重線になっている場合は絞らずに濡れたまま干す表示です。

古い表示では、絞り禁止表示がありましたが、その意味を含んで表示されています。麻などシワになりやすい素材に表記されることが多く、干す際にポタポタと水が垂れるので、床が濡れて困るなど問題がある場合は、タオルで挟んで軽く水分を吸わせるようにします。

また、自然乾燥は「天日干し」または「陰干し」になります。基本記号の正方形の左上に斜線がある場合は、陰干しになります。斜め線が屋根の庇(ひさし)のイメージを思わせますね。陰干しは天日干しに比べて乾燥に時間がかかりますが、紫外線によって素材が色褪せたり傷んだりするのを防いでくれます。

アイロンのかけかた

アイロン仕上げ処理記号は全4種類です。アイロンのマークの中に表示されている「・」の数が多いほど、アイロンの底面温度の限度が高くなると覚えるとよいでしょう。アイロンが使えない場合は、×印で表記されています。

クリーニングの種類-ドライクリーニング

商業クリーニング処理記号はドライクリーニングが5種類、ウェットクリーニングが4種類の合計9種類です。クリーニングの表記がより詳しくわけて表記されるようになりました。この表記の詳細については、どちらかというとクリーニング店に必要なもので、知識として知っておいたほうが損はありませんが、私たち一般人にはクリーニングに出せるかどうか、という判断ができれば大丈夫でしょう。

ドライクリーニング

ドライクリーニングとは水を使わないクリーニングで、石油系やフッ素系の有機溶剤で洗濯する方法です。クリーニングに出す、というと一般的にはドライクリーニングのことを指す場合が多いです。油溶性の汚れを落とすのが得意で、水洗いすると傷んだり縮んだりする衣類を有機溶剤で洗うと長持ちさせることができます。汗などの水溶性の汚れを落とすのには向いていません。

ドライクリーニングで使われるのは石油系とパークロロエチレンの2種類の有機溶剤が一般的で、〇の中に表記される「P」は両方、「F」は石油系のみになります。

ウェットクリーニング

逆にウェットクリーニングは、水を使って汗などの水溶性の汚れを落とす洗濯方法です。家庭にはない専用設備や特殊な技術で水溶性の汚れをきれいにすることができます。このウェットクリーニングの表示があれば、いままでドライクリーニングでしか出せなかった汗がついたジャケットも、汗汚れをしっかり落とすことができます。

付記用語

洗濯表示記号だけでは伝えきれない情報は、洗濯表示記号のそばに付記用語や文章で記載されています。たとえば「洗濯ネット使用」「飾り部分アイロン禁止」「あて布使用」などがあります。

洗濯表示を上手に活用しよう

洗濯表示を上手に活用しよう

新しく衣類を買うときにデザインやサイズだけではなく、洗濯表示も一緒に確認して、自分で洗濯できるのか、クリーニングに出したほうがいいのかなど、衣類のメンテナンスのことまでイメージできるといいでしょう。また、洗濯表示は海外で使われている表示と統一されているので、海外で洋服を購入した際も取扱い方法がわかり、安心ですね。

どのように衣類を取り扱ったらいいのか判断ができなくなってしまいますので、クリーニングに出す場合のことも考えて、洗濯表示のタグは切り取ったりしないように気を付けましょう。

まとめ

記号の構成と付加記号の組み合わせが分かれば、新しい洗濯表示を理解するのもそう難しくはないはずです。お手持ちの衣類で洗濯表示を改めて確認してみてください。お気に入りの衣類と長くつきあえるように、この機会にぜひ洗濯上手になりましょう。

執筆者:有賀 照枝(整理収納コンサルタント・ハウスクリーニング技能士)

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