健康・美容

免疫力向上を目指すために。今すぐ実践できる「体と心を温める方法」

新生活や季節の変わり目など、環境や気温の変化が多いこの時季は心や体調が不安定になりがちです。体調のゆらぎやすい時季こそ、免疫力を高め、細菌やウイルスから身を守ることが大切です。
今回は、「冷えとり健康法」の生みの親・進藤義晴氏の次女である進藤幸恵氏の著書『免疫力が高まるシンプルな暮らし 〜体と心が温まる冷えとり習慣のすすめ〜(徳間書店)』をもとに、免疫力向上を目指す体と心を温める方法を見ていきましょう。
免疫力向上を目指すために。今すぐ実践できる「体と心を温める方法」

なぜ人は免疫力が低くなるのか?

なぜ人は免疫力が低くなるのか?
人間の体は、生命の維持に必要な臓器の多い上半身と、臓器の少ない下半身とで体温差があります。上半身が36度前後、下半身が31度前後と、上と下で5〜6度も差があるのです。この体温差が「免疫力」に関係してきます。
上半身と下半身の体温差が開きすぎると、血のめぐりが悪くなり「冷え」が生じてしまいます。冷えがある状態では、臓器の働きも落ちてしまい、免疫力低下につながりやすいのです。そうすると、ウイルスや病に対抗するのも難しくなってきます。
この体温差からくる「冷え」を解消するには、体温の低い下半身を温めて、上半身と体温を近づけるように整えてあげることが大切です。体温差が少なくなると、血のめぐりがスムーズになり「冷え」が解消へと導かれます。すると、臓器の機能も整えられて、免疫力の向上につながっていきます。
これは、東洋医学の健康法の1つ「頭寒足熱」に則った考えで、頭部を冷やし、足部を温かい状態にすることが大切とされています。では、どのように「頭寒足熱」の状態をつくり出すのかというと、著者は次のことをおすすめしています。

① 半身浴をする
② 足元を温める
③ 正しい食事をする

たった3つのことを意識して実践することで、血のめぐりをスムーズにし、心身ともに明るい状態へ導いてくれるそうです。では次に、これらを実践する際のポイントを見ていきましょう。

実践① 半身浴をして体を温める

半身浴をして体を温める
体を温める方法として、最初におすすめしたいのが「半身浴」。湯船に浸かると、体も心もリラックスした状態になれます。また、自宅で簡単に「頭寒足熱」の状態をつくりだすことができるため、実践しやすいでしょう。先に紹介した、免疫力と冷えの関係性を理解したうえで取り組むと、より効果を期待できます。

半身浴のポイント

・浴槽に自分の体温より1〜2度高いお湯をはる
・腕を出した状態で、みぞおちから下だけお湯につかる
・20分はお湯につかる(体調に注意を払い、無理はしないこと)

上記のポイントをおさえることで、血液が循環し、体を芯から温めてくれます。寒くなったら、足し湯や追い焚きで調整するといいでしょう。同じ39度に設定しても、外の気温が低い日などはすぐに冷めてしまうこともあるので、湯温計でチェックするのも一つのやり方です。逆に熱すぎるとのぼせてしまうので、自分にとって心地よい適温を探してください。湯上がりは、靴下→下着→ズボン→上着と、下から着ていくといいでしょう。これは下半身の方が体温が低いためです。上と下の温度差をなくすためにも、上半身は下半身より薄着にするというのがポイントです。

実践② 足元を温める3つの方法

足元を温める3つの方法
次におすすめしたいのが、足湯と湯たんぽを使って「足元を温める」方法です。ちょっとした工夫で、生活のなかに上手に取り入れることができます。

手軽に足湯をしてぽかぽかに

お風呂にお湯を入れなくても半身浴より手軽にできるのが足湯です。TVや映画などを見ながらでもできるため、取り入れやすいでしょう。足湯を行うポイントは、次の3つです。

<足湯を行うポイント>

・大きめのバケツなどの容器に、足首がつかる程度までお湯を入れる
・お湯が冷めるのを防ぐため、バケツや容器を大きなビニール袋で包む
・ぽかぽかと温まるまで両足を30分以上つけておく

お湯は、体調や季節によって感じ方が違うので、自分に適した湯温にしてください。湯量は足首がつかる程度であればOKですが、膝下までお湯につかっても大丈夫です。また、湯温が下がったときや足湯を終える前に、お湯をつぎたすと湯冷めしにくくなります。足湯を終えたら、タオルでしっかりとふいて、靴下をすぐに履くと温かい状態がより持続します。

湯たんぽを取り入れる方法

さらに手軽に足元を温めることができるのが、湯たんぽです。お湯による熱伝導で体を芯からやさしく温めてくれます。著者によると、寒い冬の布団だけではなく、気温の高い夏の布団にも取り入れることがおすすめだそうです。ポイントは3つ。

<湯たんぽを使うときのポイント>

・湯たんぽに熱湯を入れて、しっかりと口を閉める
・湯たんぽは天然素材で包む(カバーがなければバスタオルでもOK)
・冷えが強いときは湯たんぽの数を増やす

冬の寒いときに著者がおすすめするのは、2個、3個と布団の中に湯たんぽを増やす方法です。冷えやすい足元をさらに温めてくれます。夏の暑いときは、上半身を薄着にし、布団は膝より下にかけて、その中に湯たんぽを入れてください。足から離してもOKです。疲れがとれて、目覚めの良い朝を迎えられるでしょう。
湯たんぽは、オフィスや自宅のデスクワークなど、決まった場所で作業する際にもおすすめです。段ボール箱や木箱に入れて足元におき、膝掛けをすれば「頭寒足熱」の状態をつくることができます。なお、今は素材や大きさもさまざまな種類の湯たんぽがあります。用途に合わせて選んでみてください。

<湯たんぽを選ぶときのポイント>

陶器製:保温力があり、熱の伝わり方がやわらか。ただし衝撃に弱いので、取扱いに注意
ゴム製:軽量で旅行先や会社での使用に便利。デザインも多彩
金属製:耐久性が高く、お湯をたっぷり入れられるものが多い
合成樹脂製:価格が手頃。腐食や破損が少ない。保温力はやや劣る

靴下の重ね履きもおすすめ

免疫力のある体づくりには、上半身と下半身の温度差をなくし、「頭寒足熱」の状態にすることが大切だと言われています。有効的なのが、足の裏と足元を温める「靴下の重ね履き」です。足の裏は内臓と直接繋がっており、最も汗腺が発達しているところだとされています。著者がおすすめしている靴下の履き方は、「基本の4足履き」と呼んでいるものです。

<基本の4足履きの履く順番>

1. 絹の5本指靴下
2. コットン素材の5本指靴下 ※ウール5本指靴下でも可
3. 絹の先丸靴下(指無し靴下)
4. コットン素材の先丸靴下(指無し靴下) ※ウール先丸靴下でも可

ちなみに、片足4足です。さらに履ける方は、お手持ちの靴下を重ねてもよいですし、逆に4足履けないという方は、最初の絹の5本指靴下に、お手持ちの靴下を重ねてみてください。

実践③ 正しい食事で、体の内側からもケア

正しい食事で、体の内側からもケア
免疫力のある体づくりには、「正しい食事」も大切なことです。食べ物を選ぶポイントや、体を温める食品、冷やす食品を知って、内側からケアしていきましょう。

正しい食生活は正しい食材選びから

正しい食生活を送るためには、食材選びが基本です。食べ物を選ぶときに大切なことは、「身土不二(しんどふじ)」という、なるべく自分の生活している土地で穫れたものを食べるといいというものです。今ではスーパーや道の駅などでも新鮮な野菜は販売されています。地産地消を意識して、そのうえで、農薬や化学肥料をなるべく使っていない自然なもの選びましょう。また、旬のものを意識して選ぶことも大切です。旬のものは安価ですし、栄養も豊富です。

体を温める食品、冷やす食品

食べ物には、体を温める食品と冷やす食品があると言われています。「温める食品」は、天然の食品や精製・精白していない食品で、玄米、天然塩、根菜類、芋類、大豆製品、加熱調理した野菜などが挙げられます。一方で、「冷やす食品」は化学的、工業的に精製・加工した食品で、精製食塩、白米、化学調味料、お菓子、牛乳・乳製品、卵、動物性脂肪、生野菜、果物などです。極端に温める食品を食べるのではなく、温める食品を9割、冷やす食品を1割くらいのバランスで食べるとよいでしょう。

主食について

日本人は主にお米が主食です。理想は栄養価が高い玄米を食べることですが、白米に雑穀を混ぜるのもいいでしょう。また、パンを主食としても良いです。理想は添加物などが入っていない、国産小麦・天然酵母のパンだそうです。理想とする主食はありますが、ガチガチに考えすぎず、臨機応変に取り入れて食事を楽しみましょう。
食べるときはぜひ「腹八分目」を心がけてください。食べ過ぎは、消化器官に負担をかけて、体を冷やすからです。目安は、ひと口30回以上噛むようにして、30分以上かけて食事をすると良いでしょう。

ストレスを溜めない「心の温め方」

ストレスを溜めない「心の温め方」
体の冷えと同様に、心の冷えも免疫力に影響します。最後に、ストレスをなるべく溜めない「心の温め方」を紹介します。

感謝の気持ちを持って生活を送ろう

日々の生活のなかで、ストレスはつきものです。会社や学校、家族間や友人間でも思い通りにいかないことはよくあります。しかし、世の中は相手があるものです。感謝の気持ちと思いやりの心を持って、相手と接しましょう。すべての経験は人生の糧になり、有意義な人生を送るためにも必要不可欠なことだと、プラス思考でいることが大切です。そのうえで「心を温める」ことを意識してください。ポイントは、3つです。

<心を温めるポイント>

・頭寒足熱を保つ
・腹八分目を心がける
・自分本位にならず、心穏やかに過ごす

先にも紹介した「頭寒足熱を保ち」「腹八分目を心がける」ことは、心を温めるうえでも大切なことです。では「自分本位にならず、心穏やかに過ごす」とはどのようにすればよいのでしょうか。

自分本位ではなく他人本位になろう

紀元前に記された中国の古典「書経」に「飲食衣類、これ大薬」という言葉があります。これは、日々の生活のなかで、何を飲んで、何を食べて、何を着るかが重要という意味です。そして、「身を修め、心を治むる。これ薬源なり」ともあります。心の冷えの大きな原因の一つが、傲慢、冷酷、利己、強欲など「自分本位」な考えです。
心を温めるためには、まず自分本位にならず他人本位になり、悪いことをしないように心がけることが大切です。この考えを意識することで生活の習慣となり、心身が整って心穏やかに過ごせるでしょう。

まとめ

免疫力向上を目指すために、シンプルで具体的な「体と心の温め方」を紹介しました。半身浴も、足元を温める方法も、正しい食事を意識することも、日々の生活にすぐ取り入れやすいものばかりです。難しい知識も、高価な道具も入りません。できることから実践して、「頭寒足熱」を保ち、病やウイルスに負けない健康な体づくりを意識してみてはいかがでしょうか。
また、自分本位ではなく他人本位になり、感謝の気持ちを持って生活することも大切です。体と心を温めて、健やかで豊かな日々を送りましょう!

書籍紹介:『免疫力が高まるシンプルな暮らし 〜体と心が温まる冷えとり習慣のすすめ〜』(進藤幸恵 著、進藤義晴 監修/徳間書店)2020年6月出版

『免疫力が高まるシンプルな暮らし 〜体と心が温まる冷えとり習慣のすすめ〜』(進藤幸恵 著、進藤義晴 監修/徳間書店)2020年6月出版

出版社書籍紹介:『免疫力が高まるシンプルな暮らし 〜体と心が温まる冷えとり習慣のすすめ〜』(進藤幸恵 著、進藤義晴 監修/徳間書店)2020年6月出版
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