花粉症による頭痛
健康・美容

【医師監修】花粉症で頭痛が起きるのはなぜ?和らげる方法や予防法も解説!

花粉シーズンになり、鼻づまりや目の充血に加えて、頭痛を感じるという方もいるでしょう。目と鼻を中心に症状を引き起こす花粉症ですが、なぜ頭痛が起きるのでしょうか?そのメカニズムや、花粉症による頭痛の症状を和らげる方法、予防法をご紹介します。花粉症にお悩みの方はぜひご覧ください。

監修者

老木 浩之(おいき ひろゆき)
医療法人hi−mex理事長
耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院院長

近畿大学医学部卒業、神戸市立中央市民病院で副医長を務めた後、近畿大学病院講師、生長会府中病院耳鼻咽喉科部長を経て、2001年、大阪府和泉市で、耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院を開設。
現在、医療法人理事長として3院を運営。耳鼻咽喉科の地域医療を担う開業医の勉強会も主催している。また、メディアに対しての取材・監修協力なども積極的に行っている。
耳鼻咽喉科サージクリニック老木医院(https://www.oikiiin.com)。

老木 浩之

花粉症になると頭痛が起こるのはなぜ?原因は?

花粉症とは、スギやヒノキなどの花粉が引き起こすアレルギー疾患の総称です。代表的な病気は、アレルギー性鼻炎(くしゃみ、鼻水、鼻づまりなど)と、アレルギー性結膜炎(目のかゆみ、充血、涙目など)です。

人によって、上記の症状のほかに頭痛の症状が現れることがあります。花粉症による頭痛の原因としては、主に以下の3つが考えられます。

花粉症による頭痛の原因①慢性副鼻腔炎(蓄膿症)

慢性副鼻腔炎(蓄膿症)が理由で起こる頭痛です。
花粉が原因のアレルギー性鼻炎は、慢性副鼻腔炎(蓄膿症)を併発する場合があります。副鼻腔炎とは、鼻の周囲にある骨の空洞(副鼻腔)に炎症が起こり、膿が溜まる症状のことです。

粘膜に炎症を起こしたり、膿が溜まったりすると、顔面や目の奥の痛みを感じたり、頭痛を感じることもあります。

花粉症による頭痛の原因②抗原抗体反応

アレルギー反応が頭痛を引き起こすケースです。
花粉が体内に取り込まれると、体内の免疫システムが反応し、抗体が作られます。その後、さらに花粉が体に入ってくると、抗原抗体反応によってサイトカイン(主に免疫細胞から分泌される低分子のタンパク質)などの化学物質が放出されます。これらの物質が、頭痛の原因になる可能性があるのです。

花粉症による頭痛の原因③鼻づまりやマスク着用による酸欠・脳の血流低下

マスクのために十分な呼吸ができなかったりすると、ストレスが増して頭痛につながったりする可能性があります。

アレルギー性鼻炎によって鼻づまりが起こると、呼吸困難にまでは至らなくても、息苦しさなどのストレスを感じたりすることがあります。さらにマスクの着用がそれらの症状を助長・増幅し、頭痛を感じることがあるのです。酸素欠乏状態から、それを補うため血管拡張が起こり、三叉神経を刺激して頭痛につながるという説もあるようです。

なお、マスクが原因の頭痛には、マスクの紐による耳や肩、首への負担が理由となる可能性も考えられます。

マスク着用による酸欠

花粉症による頭痛と間違われやすい頭痛の種類

頭痛の原因はさまざまであり、花粉症の時期だからとって、必ずしも花粉症が理由とは限りません。花粉症による頭痛と間違われやすい頭痛には、以下のようなものがあります。

頭痛の種類 主な原因
緊張型頭痛 精神的・身体的ストレスが原因で筋肉が緊張し、頭痛につながる。
片頭痛 ホルモン変動やストレスなどを原因とした頭痛で、女性に起こりやすい傾向にある。
三叉神経痛 血管の拡張等により顔面の三叉神経が圧迫され、頭痛につながる。

花粉症による頭痛との見分け方

頭痛の原因が花粉症であるかを見極める際には、別の症状を確認します。前述のとおり、花粉症の主な症状は以下です。

  • くしゃみ
  • 鼻水
  • 鼻づまり
  • 目のかゆみ
  • 充血
  • 涙目 など

上記の症状と頭痛が併発している場合は、花粉症頭痛の疑いがあります。一方、いずれの症状にも該当しない場合は、花粉症以外の原因で頭痛が引き起こされた可能性があります。

花粉症による頭痛を和らげる方法

花粉症による頭痛の症状緩和には、内服薬や点鼻薬が用いられるのが一般的です。病院を受診し医師から薬の処方を受けるほか、一部市販薬にも効果が望めます。それぞれ詳しく見ていきましょう。

医療機関の受診

頭痛の原因が花粉症にある場合は、花粉症の症状緩和が頭痛を抑えることにもつながります。そのため、医療機関の受診がおすすめです。鼻炎があるなら耳鼻咽喉科、結膜炎症状なら眼科といった具合に、花粉症の症状に合わせて受診する診療科を選びましょう。

副鼻腔炎が理由で頭痛が起こっている場合は、はじめに抗菌薬の内服治療が行われます。これらは市販薬ではないので、医師に処方してもらいましょう。服薬により副鼻腔の炎症が治まれば、溜まった膿もなくなり、頭痛の症状が緩和される可能性があります。

ほかにもカルボシステインなどの炎症を抑える助けとなる薬が処方される場合があります。副鼻腔炎は頭痛などの症状がなくなっても治りきっていない場合が多いので、医師の指示通りに治療を継続しましょう。

その他、花粉症の治療に使われる薬には飲み薬や点鼻薬、点眼薬があります。花粉シーズン2週間前から治療を開始すると効果が高まる傾向にあるため、花粉症に毎年苦しんでいるという方は、早めの受診がおすすめです。

点眼薬

市販薬の服用

花粉症による頭痛の原因が、抗原抗体反応によって放出されるサイトカインなどの化学物質である場合は、市販でも購入できる抗ヒスタミン薬の服用によって症状が緩和できる可能性があります。

なお、抗ヒスタミン薬は第1世代と第2世代に分かれます。前者は古くから市販されていますが、眠気や口の渇きといった副作用や、一部の症状を持つ方は使用できないといった欠点があります。一方、第2世代ではこうした欠点の多くが改善されており、持続時間も長いので服用回数も少なくて済むのが特徴です。

セルフケア

花粉症の症状によるストレスなどから筋肉が緊張し、結果として緊張型頭痛を引き起こしている場合があります。たとえばくしゃみや鼻づまりで、肩や首回りが緊張しているようなケースです。

筋肉の緊張をほぐすためには、入浴(肩や首を重視して温める)やストレッチ、マッサージが効果的です。蒸しタオルで肩や首を温めるだけでも効果が期待できます。

そのほか、マスクが原因の頭痛であれば、着用時間をできる限り減らすことが重要です。とはいえマスクは花粉のブロックに有効ですので、例えば自宅にいるときはマスクを着けず、酸素をしっかり取り込むなどの対策を考えましょう。

花粉症による頭痛を予防する方法

花粉症が原因の頭痛を予防するためには、花粉症を予防することが最も大切です。花粉症の予防は、体内に取り込む花粉の量を減らすことからはじめます。具体的な対策としては以下が挙げられます。

  • マスクやメガネ、サングラス、帽子などの着用
  • 花粉が付きにくい素材(ポリエステルなど)を使った衣類の着用
  • 花粉が舞いやすい日は外出を控える
  • 帰宅後は衣服や髪に付いた花粉をはたいて落とし家へ入る
  • 手洗い・うがい、洗顔を徹底する
  • 室内では空気清浄器を使用し、窓・戸はなるべく開けない
  • 洗濯物は部屋干しにする など

うがい

まとめ

花粉症に併発する頭痛は、アレルギーの治療で十分に効果の出る可能性があります。まずは病院を受診し、医師に相談しましょう。

同時に、マスクや帽子、衣服などで花粉の吸引・吸着をブロックする対策を行いましょう。

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