女性にこそ知ってほしい!健康になるにはまず腸からと言われる理由!
今回は、その腸内フローラに注目して、理想的な腸の状態や、摂取すると良い食べ物など、健康な身体を手に入れるための秘訣を内科医の先生監修のもと、ご紹介していきます。
監修者
- エリクソン 安香(えりくそん やすか)
- 医師(日本内科学会/消化器病学会/消化器内視鏡学会/日本肝臓学会員)
救急病院で研修後、大学病院や地域のかかりつけクリニックで勤務し内科全般の診療に従事。現在はキプロス共和国赤十字Limassol Branchにて活動中。
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腸内フローラとは?
腸内フローラとは、私たちの腸に住む多種多様な細菌たちのことで、「腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)」とも言います。細菌たちは腸の壁にびっしりと張り付き、顕微鏡で見るとお花畑(フローラ)のように見えることから、腸内フローラと呼ばれています。
私たちの身体は、皮膚や消化官、呼吸器などあらゆる箇所に細菌が存在し、種類は約1000種類、数にすると100兆~1000兆、重さにすると1~2kgの常在菌が存在するといわれています。そして、その細菌の90%は消化管に生息しているのです。そんな多種多様な細菌達(=腸内フローラ)には、次のような役割があります。
①食べ物の分解
人間の身体で消化できない食べ物を分解し、大事な栄養素へと作り変えます。
②腸内バリア機能向上
腸内のバリア機能を高め、病原菌の定着を阻害したり、増殖を抑えたりします。また腸には免疫細胞の60%が集まっており、腸内細菌がこの免疫細胞を刺激することで免疫機能を鍛え、感染防御やアレルギー症状改善等の効果があることが分かっています。
腸は第二の脳!
緊張やストレスを感じた時、お腹が痛くなったり、便通異常が生じたりした経験はありませんか?これは、脳がストレスを感じると、自律神経を通してその刺激が「腸管神経叢(ちょうかんしんけいそう)」に伝わるからです。
またその反対に、腹痛などの症状が脳に不安や緊張といったストレスを与え、頭痛や不安感、集中力欠如など、消化器以外の症状を引き起こすこともあると言われています。これは、腸には「腸管神経系」という独自の神経ネットワークが発達していて、感知した情報を処理して脳へ伝達するためです。
そして、この変化が「ホルモン放出因子」や「自律神経」を介して、今度はまた腸に伝えられる、という具合に、脳と腸はお互いにそれぞれ影響し合っています。この関係を「脳腸相関」と呼びますが、実は腸内フローラがここにも影響しており、近年では腸内フローラと脳との関係にも大きな注目が集まっています。
望ましい腸は「バランス」と「多様性」
心と身体の健康の鍵を握る腸内フローラ。その腸内フローラの望ましい状態は、腸内細菌の多様性が維持され、バランスが取れていることです。
腸内には、整腸作用の働きをするビフィズス菌などの「善玉菌(有用菌)」と、食中毒の要因になるウェルシュ菌などの「悪玉菌(有害菌)」、そしてそのどちらにも属さない「日和見菌」が存在し、その割合は「善玉菌:悪玉菌:日和見菌=2:1:7」が適切なバランスと言われています。
悪玉菌も身体には必要な存在
悪玉菌は腸内の腐敗活動を行い、腸に害を与えたり、腸から吸収され血液の流れに乗って腸以外の部分にも悪影響を及ぼすため、悪者と思われがちです。しかし、同時に肉類などのたんぱく質を分解して排泄する働きも持っているため、生命活動にはなくてはならない存在でもあります。
つまり、善玉菌が多いほうがいい、悪玉菌が少ないほうがいいということではなく、最適なバランスを保つことが重要です。
腸内細菌も多様性が大切
近年では、このバランスだけでなく、より多くの菌種が存在することが望ましいと言われています。腸内細菌も「多様性(ダイバーシティ)」が大切ということですね。
その大事なバランスが何らかの理由で崩れると、菌の種類や量に異常をきたし、「ディスバイオシス」と呼ばれる状態になります。前述したとおり、腸内フローラには免疫機能を鍛える役目があるため、ディスバイオシスが起きると、腸管免疫のバランスが崩れ、代謝の乱れが生じてしまうのです。
健康維持にはバランスと多様性が重要
最近の研究によると、「炎症性腸疾患」や「過敏性腸症候群」、さらには「肥満」「糖尿病」「うつ病」なども、このディスバイオシスに関係していると報告されています。つまり、腸内フローラのバランスと菌の多様性を保つことが、病気の予防や健康維持につながるんですね。
普段は腸の調子の目安として便の状態を見ると良いでしょう。腸が望ましい状態にあると、臭いもきつくなく、一般的にバナナ型と言われる形の便が出ます。自身の排便習慣を意識し、腸の状態を確認しましょう。
腸のバランスを整える「腸活」とは?
では、その大事な腸内フローラのバランスを保つ「腸活」をするには、どうしたらいいのでしょうか?やはり、食事・運動・睡眠といった規則正しい日常生活が大切ですが、その中でも重要視されるのは、バランスの良い食事です。バランスの良い食事は、菌の多様性を作り出すカギになります。
腸内フローラを整える「シンバイオティクス」とは?
ヨーグルトや納豆といった「発酵食品(プロバイオティクス)」には善玉菌を増やす働きがあります。また、オリゴ糖やワカメ等の「食物繊維(プレバイオティクス)」は善玉菌のエサになります。
これらをセットで摂取することを「シンバイオティクス」と呼び、これが効果的に腸内フローラを整える方法だと言われています。
- 発酵食品(プロバイオティクス)
- 特徴:善玉菌を増やす働きがある
例:ヨーグルト、納豆、ぬか漬け、チーズ、味噌など - 食物繊維(プレバイオティクス)
- 特徴:善玉菌のエサになる
例:オリゴ糖、ワカメ、豆類、イモ類、キノコなど
どれぐらいの量を摂取すればいい?
腸内フローラを形成する菌は、人によって種類や量が異なるため、摂取の目安は一概に言えません。ただ、多くの研究では10億から100億の生きた細菌培養の摂取が望ましいと言われています。
といわれても、ピンとくる方も少ないですね。分かりやすい具体例としては、特定保健用食品のヨーグルトを1日あたり100g~300g程度を食べるといいでしょう。以下に挙げる研究報告の一例も、食事による腸活の参考になることでしょう。
- 納豆50gを2週間摂取し続ける
- →ビフィズス菌の増加と排便改善の報告
- 白米の摂取
- →悪玉菌減少
- 緑茶の摂取量を増加
- →ビフィズス菌の相対量増加
(※研究報告の一例であり、効果には個人差があります)
どのぐらいの期間で効果が出る?
意識的な食事を続けて、どのくらい期間で効果が出るのかも気になるところですが、実感するまでの期間は個人差が大きいです。
いくつかの例を見てみましょう。成人女性135人の「慢性便秘症」患者を対象に行われた試験では、プロバイオティクスを取り入れた1週間後から排便回数や排便状態に改善が見られたという結果があります。ほかにも「感染性下痢」の期間を2日間で短縮できたり、3ヶ月間プロバイオティクス飲料を飲み続けた人と飲んでいない人とでは、風邪やインフルエンザに掛かる割合に差が出たという結果も出ているそうです。
症状や元の状態にもよりますし、個人差が大きいものではありますが、まずは10日~2週間を目安にバランスの取れた食事を続けてみるとよいでしょう。
近頃は、善玉菌のサプリメントなども手に入りやすくなっていますが、サプリメント摂取による効果は、明確には実証されていないようです。サプリよりも日頃の食事で出来ることから無理なく始められることが望ましいので、自分の生活に取り入れられそうな事から始めてみるとよいでしょう。
まとめ
第二の脳と言われるほど私たちの心と健康を左右する腸。その腸内を整えるのは、やはりバランスの良い食事です。食物繊維や発酵食品、海藻類などを摂取し、善玉菌を増やし、多様性とバランスの取れた腸を作り出していきましょう。そしてストレスを溜めずに、質の良い睡眠と適度な運動を心掛けるようにしましょう。
腸の健康状態を知るために、腸内フローラキットなどを使うこともできますが、最も手軽で継続的に自己確認できるのは、便の状態を知ることです。自身の便状態を良く把握し、腸内環境を整えていくことで、免疫力をアップを目指しましょう。
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女性にこそ知ってほしい!健康になるにはまず腸からと言われる理由!【医師にインタビュー】
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