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教えて家電王!Vol.16 家電王の快眠講座(番外編)脳に90分の空白を。南青山にある隠れ家「Medicha」で瞑想体験

3回にわたりお届けしてきた家電王の快眠講座。空気から照明、脳波にいたるまで、さまざまなアプローチで、家電王とともに快眠を探求してきました。4回目となる今回は、ちょっと家電から離れて、快眠について探ってみたいと思います。やってきたのは南青山の裏道にあるメディテーションスタジオ「Medicha(メディーチャ)」。メディテーション(瞑想)という言葉はよく耳にしますが、実際に体験するのは初めてです。果たしてどんなものなのでしょうか。

この記事は2022年1月に執筆されており、記事内容には過去の情報が含まれています。

教えてくれる人

中村 剛(なかむら つよし)さん

中村 剛
(なかむら つよし)さん

東京電力エナジーパートナー株式会社 勤務
2002年に『TVチャンピオン』スーパー家電通選手権で優勝し、銀座にて体験型ショールーム「くらしのラボ」の開設と運営に従事。現在は“家電王”として動画マガジン『くらしのラボ』をFacebookとYouTubeで毎週配信しているほか、テレビや雑誌、新聞などの様々なメディアで暮らしに役立つ情報を発信している。無類のネコ好き!

今日ご案内するのは、誰でも簡単にメディテーション(瞑想)を体験できるサロン「メディーチャ」です。メディテーションは昨今、Googleやナイキ、Appleなどさまざまな企業が取り入れていることでも話題になっていますね。瞑想には集中力アップや生産性の向上など様々な効果がありますが、なかでも注目したいのがリラックスとストレス緩和効果です。不眠の原因は照明や騒音など物理的なものだけでなく、不安やストレスなどの精神的なものという方も多いよう。瞑想を取り入れ、不安を取り除くことで、心地良い眠りを手に入れることができるかもしれません。とはいえ、いきなり瞑想をしようと思ってもなかなか難しいものです。「メディーチャ」は初心者でも簡単に瞑想が体験できる場所なんです。

いざ、南青山の地下に広がる秘密の空間へ

いきなり瞑想といわれても、知識も経験も乏しい私は正直戸惑っていました。これまで瞑想らしい経験といえば、ヨガ教室の最後に先生の言葉に従ってやってみたくらい。メディーチャのある表参道に向かう間、ぼんやりとそのときのことを思い出していました。
「自分の呼吸に集中して。おでこのあたりにぼんやり光る球を思い浮かべます。その球を吐く息と一緒に身体のおへそ側に沿ってお腹に下ろし、吸う息と共に背骨に沿っておでこに戻します。何回か繰り返したら、最後はその光る球をおでこのあたりに置いたまま維持します」
正直、手応えはありませんでした。まず、光りの球がよくわからないし、がんばって想像してみても、光りの球を落として転がっていっちゃった!みたいな想像をして一人で笑ったりして、全く瞑想になっていなかったような気がします。
不安を抱えつつも、表通りの喧噪とは無縁の閑静な南青山の路地裏にあるメディーチャに到着。さりげなく「Medicha」と書かれたサインを目印に、地下へとつながる階段をおりていきます。
いざ、南青山の地下に広がる秘密の空間へ
靴を脱ぎ、不要なものはロッカーへ。ほの暗い照明に照らされた内部は思いのほか広く、いくつかの部屋がありそうです。「まあ、まずは体験してみましょう」。中村さんに促されて、最初の部屋に入ります。

無意識の状態になれる、不思議な空間

ドアを開けると、おもわず「わあっ」と声を上げてしまいました。あたりはこれまでみたことのない真っ白な空間。光に満たされて、天井も壁も、なにも見えないのです。
明るいのに一寸先も見えないなんて奇妙ですが、そんな空間のなかを手探りで進み、適当なところに腰を下ろします。
無意識の状態になれる、不思議な空間
視界を奪われたことで脳が混乱したのか「真っ白」ということ以外、なにも考えられません。今自分がどこにいるのか、自分の身体がどこにあるのか、なんだか迷子になったよう。徐々に自分の思考が消えていき、なにかに吸い込まれてしまいそうな気分になります。
次に向かったのは、打って変わって漆黒の世界。先ほどの明るさもあって、暗闇に目が慣れるまではしばらくかかります。床に置かれたソファに身体を横たえてぼんやりしていると、しばらくして天井に無限の星空が広がっていることがわかりました。先ほどの昂揚した気分が一気にクールダウン。自分の身体と心が一致してくるような感覚です。
無意識の状態になれる、不思議な空間
部屋はほどよく暖かく、心地良い音楽の流れる優しい空間です。しばらく身体と心を休めたあとは、先ほどの明るい部屋と暗い部屋を自分のペースで行ったり来たりします。昂揚と沈静が交互に訪れる感じです。
何回か繰り返したら、次の部屋へ。こちらは竹がカゴのように部屋を覆うドーム状の空間です。座イスが置かれていているので、そこに楽な姿勢で座ります。音声ガイダンスに合わせて、呼吸を整えたり、問いかけに従っていろいろなものをイメージしたり。
無意識の状態になれる、不思議な空間
用意されているアロマオイルを手首に垂らして吸い込んでみると、サンダルウッドやジャスミンの香りに心が落ち着き、ペパーミントのすがすがしさが心のもやもやをすっと晴らしてくれるよう。この数十分で私の心に起きたまとまりのない感情が、ひとつに収束していくような気がします。
そんな感じでプログラムが終了。終了後は別の部屋に移動します。

お茶を飲みながら、ゆっくりと自分の心と向き合う

最後の部屋には、ひとり1セットずつ茶器が用意されていました。壁に並んだ器のなかから好きなものを選び、自分でお茶を淹れて味わいます。
お茶を飲みながら、ゆっくりと自分の心と向き合う
小さな急須でお湯を沸かし、コポコポと自分のためにお茶を淹れ、それをゆっくりと味わいます。テーブルには和紙が用意されており、この80分で思い浮かんだこと、感じたことなどを書き留めます。大切と感じたものはなにか、不快なもの、不安なものはなにか。自分の思考のクセや、行動を決定するうえで足かせとなっているものを改めて認識することができました。

メディーチャのチャはお茶を意味しています。古来より茶室というのは精神を統一させるという場としても利用されてきました。余計な考えをそぎ落とし精神を整える場。私もふだんteploでお茶を楽しんでいます。(関連記事:教えて家電王!Vol.6 脈拍や指の温度などを分析し今の自分にぴったりなお茶を淹れてくれる「teplo ティーポット」って?)。
慌ただしく過ごす日々も、お茶を淹れて飲むという時間を持つことで、心に余裕ができて思考が整理されるんです。昨年は特別イベントとしてメディーチャとteploのコラボイベントもここで開催され、好評だったようですよ。

情報の多い現代だからこそ、自分のなかに空白の時間を

メディーチャは三菱地所が取り組む社内公募で採用され実現した新規事業。代表の長嶋彩加さんは、無意識にがんばり過ぎてしまう方のために、内側からのケアを手伝える場を作りたいと思いこの事業を提案したといいます。
情報の多い現代だからこそ、自分のなかに空白の時間を
メディテーションという方法に着目したものの、やはり初心者にいきなり瞑想というのは難しいもの。そこで、さまざまな専門家やアーティストの力を借り、光りや音、香りなどを用いて、誰でも瞑想に近い状態になれる場所を作りあげました。核となるのはあの明るい部屋と暗い部屋を行き来する反復動作。サウナを好む方なら“整う”という言葉を耳にしたことがあると思いますが、明るい部屋と暗い部屋を行き来することにより生まれる独特のクリアな精神状態は、サウナの温冷交代浴で達する一種のトランス状態と似ているといいます。
「美容院に行くように、心の内側のケアをする時代になってもいいのではないでしょうか」。そう語る長嶋さんの言葉通り、メディーチャからの帰り道は髪を切ったかのように心がすっきり。そういえば、ここ数年、いつもなにかに追われているように過ごしています。ときどきこんな空白の時間を確保して、心をリセットしてあげることも必要なのかもしれません。

最近では、企業の研修でメディーチャが活用されているようです。共に働くチームでここを訪れて皆がそれぞれに自分の心を見つめます。その後、その思いを話し合ってもいいし、それぞれが自分で解決していってもいいのです。また、お子さんと一緒に訪れたご家族もいらっしゃるとか(12歳以上が体験可能)。情報にあふれた現代では、情報を取捨選択したり、あるいは情報をあえて遮断し心を平安に保つ能力も必要です。メディーチャは心に安寧を与える手段のひとつ。心が穏やかになれば、心地良い眠りがやってくるかもしれませんよ。

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