カツオノエボシ
レジャー・アウトドア

2024年版:カツオノエボシに刺されたときの対処法!刺されない方法も紹介

2024年も全国の海岸で目撃されている「カツオノエボシ」。日本では太平洋側で多く目撃されていますが、瀬戸内海や日本海側にも漂着し、国内の広い範囲が生息地とされています。

カツオノエボシの触手には強い毒性があります。刺されると、赤く腫れたり炎症したりして傷みが出るほか、アナフィラキシーショックなどの重篤な症状を引き起こす可能性もあるため、放置せずすぐに応急手当が必要です。

この記事では、カツオノエボシに刺されたときの対処方法について、間違えられやすい方法や予防方法と併せて解説します。手当ての方法はクラゲとは大きく異なりますので、ぜひ一度ご確認ください。

ビニール袋と見間違える?カツオノエボシに注意!

カツオノエボシは、見た目がビニール袋に似ており、青みがかった透明な色彩を持つ特殊な生物です。体長3~10cm程度の大きさで、数mにも及ぶ長い触手を持っています。

浮袋のような形状は、海洋の中で見つけるとプラスチック片や、ビニール質のゴミと見間違えることがあります。

実態は、ヒドロ虫と呼ばれる生物が集合して形成される群体の一部です。「毒クラゲ」と紹介されることも多いのですが、厳密にはクラゲではありません。

カツオノエボシに注意

主に海の浅瀬に生息していますが、海岸に打ち上がることも少なくありません。そのため、海岸で散歩や海水浴をしている人々によって頻繁に目撃されています。

例年、5月の大型連休明けから7月にかけて海岸に打ち上げられているケースが多いですが、2023年は一部地域で例年より早く4月中旬から確認されたという情報[1]もあります。

過去には、神奈川県などの太平洋沿岸で多く目撃されています[2]が、他にも京都府[3]や鳥取県[4]などの日本海沿岸、兵庫県の瀬戸内海沿岸[5]、長崎県の五島列島[6]、鹿児島県の鹿児島湾内[7]など様々な場所で目撃情報があり、国内の広い範囲で出現すると考えてよいでしょう。

カツオノエボシは、その独特な見た目と生態で、海岸で見つけたときには興味を惹かれてしまうかもしれません。ただ、後述するように、触手には強い毒があり、注意すべき危険な生物です。

カツオノエボシの危険ポイント

カツオノエボシに刺されると、場合によっては死に至る可能性もあります。さらに、カツオノエボシは死んでいても毒針を発射することがあるので、浜辺で見つけても絶対に触ってはいけません。

ここからは、カツオノエボシが持つ危険性についてお伝えします。

触手に強い毒性がある

カツオノエボシの触手は強い毒性を持っています。そのため、触手に触れてしまうと、毒針が皮膚に刺さり、電気ショックを受けたような激痛を生じさせます[2]

痛みだけでなく、触れた部位が赤く腫れたり炎症を起こしたりすることも。さらに、体の中に毒が回ると、くしゃみやせき、脱力感、呼吸困難といった全身の症状が出る可能性もあります。

さらに危険なことに、2回以上刺されると、アナフィラキシーショックという重篤な症状を引き起こす可能性があり、最悪の場合は命に関わることもあります[2]

死んでいても毒針が刺さる

カツオノエボシは、死んだ状態でも危険です。波打ち際に打ち上げられて動かない個体を見つけた場合でも、絶対に触れてはいけません。

カツオノエボシが持つ「刺胞」という毒針は、物理的な刺激に反応して発射されるとされています。死んだ固体やちぎれた触手であっても毒性は失われていません[8]

カツオノエボシに刺された際の対処方法・応急手当

万が一、カツオノエボシに刺されてしまった場合には、正しい応急処置と対処が求められます。以下は、触手の引き抜きから炎症を抑えるまでの一連の対処法です。

なお、応急処置とはあくまでも“応急”であるため、早めに近くの医療機関を受診してください。また、本人が「気分が悪い」などと体調不良を訴えてきた場合や、蕁麻疹が出た場合、呼吸困難になっている場合は、直ちに救急車を呼んでください。

ピンセットや手袋を使って触手を引き抜く

カツオノエボシに刺された際には、慌てずに触手を引き抜くことを考えましょう。ただし、素手で取り除こうとすると、触れた手にも毒が広がってしまう恐れがあります。そのため、ピンセットや手袋の使用がおすすめです。

道具を持っていない場合は、海水を使って触手を洗い流してください。どこまで深く刺さっているかにもよりますが、うまくいけば自然に触手が抜け落ちてくれます。

なお、洗い流す際に真水や酢を使うと、毒がより一層広がってしまう可能性があるため、必ず海水を用いるようにしてください[5]

氷やアイスパックで患部を冷やす

触手の除去と毒の効力を弱める作業が終わった後、患部を冷やすことで痛みを和らげることができます[9]。袋にいれた氷や、アイスパックを利用して冷やしましょう。

ただし、冷水の利用には注意が必要です。冷えた真水を使って患部を冷やすと、皮膚に残った未発射の刺胞が発射してしまうことがあります[9]。そのため、判断が難しい場合は氷やアイスパックを使うと安全です。

一方で、直接氷やアイスパックを肌に当てると、凍傷を起こす恐れもあります。布などを介して冷やすようにしましょう。

カツオノエボシ 患部を冷やす

危険!間違った対処法に注意

カツオノエボシに刺されたことで気が動転してしまう方もいらっしゃいます。しかし、そんなときこそ落ち着きましょう。以下で、絶対にしてはいけない対処方法について解説します。

酢をかけない

一部のクラゲの場合、酢を患部にかけるという対処法がありますが、カツオノエボシについては、効果がありません。カツオノエボシに酢をかけると、刺胞が刺激される可能性があります[9]

真水で洗わない

患部を真水で洗うと、皮膚に残った未発射の刺胞が発射されてしまうことがあります[9]。したがって、患部を洗う際は海水を使用するか、早急に医療機関で治療を受けることが重要です。

砂をかけない

砂をかける行為も避けるべきです。これは、未発射の刺胞が刺激され、症状を悪化させる可能性があるためです[9]

患部を覗き込まない

患部を直接覗き込むのも避けるべきです。刺された箇所から未発射の刺胞が発射されると、目や他の部分に被害が広がる可能性があります。

カツオノエボシに刺されないための予防法

カツオノエボシ対策を考える上で重要なのは、刺された後にどう対処するかではなく、いかに刺されるリスクを減らすかです。以下から、その予防法について解説します。

肌の露出を減らす

カツオノエボシに限らず、クラゲなどの生物から身を守るためには、不用意な肌の露出を避けることがもっとも効果的です。

とくに、クラゲ注意報が出ているタイミングや、長時間海に入るときには、ウェットスーツ・ラッシュガード・長そでTシャツやスパッツ等を着用しておきましょう。手足や顔など、体のすべてを保護できるわけではありませんが、毒針が刺さるリスクを大きく減らせます。

カツオノエボシ 肌の露出を減らす

打ち上げられているものにむやみやたらに触らない

冒頭でもご紹介したとおり、カツオノエボシは浜辺に打ち上げられることがあります。先述したように、死んだ状態やちぎれた触手でも毒性を持つため[8]、毒を持つ生物だと気付かずに触れてしまうと、毒針の餌食になってしまうので注意してください。

とくに、台風の通過後など海が荒れた後は漂着している可能性が高いので、波打ち際に打ち上げられていないか確認をするなどして、被害に遭わないように注意しましょう。

なお、カツオノエボシはプラスチックゴミなどに紛れて漂着しているケースも少なくありません。そのため、むやみに漂流物を触らないことも重要です。

なお、誤って足で踏んでしまうといった事態も想定されます。浜辺を歩く際には、裸足ではなくサンダルやマリンシューズなどを履いて足下に気をつけながら歩き、落ちているものを気安く拾わないといった心がけをしましょう。

クラゲ除けローションを厚めに塗る

カツオノエボシから身を守る方法として、クラゲ除けのローションやワセリンを厚めに塗る、というものがあります。これらの薬剤は、クラゲが寄りつくのを防ぎ、刺されるなどのリスクを軽減できます。

ただし、一般的な水着を着用しているような場合は、体全体に薬剤を塗布しなくてはなりません。一度の海水浴でローションを使いきるとなれば、かなりコストがかかってしまいます。よほど長時間にわたって海水浴を楽しむときを除いては、あまり現実的ではありません。

たとえば、浅瀬で短時間のみ滞在するような場合は、足だけの塗布でも十分です。もしも長い時間海で泳ぐなら、ウェットスーツ・ラッシュガード・長そでTシャツやスパッツ等で肌を保護するようにしましょう。

クラゲ除けローションを塗る

まとめ

カツオノエボシは非常に危険な生きものです。海で見かけた際は、距離を取り、決して接触しようとは考えないでください。

ただし、不意に足で踏んでしまうといったケースも考えられます。防止のためにクラゲ除けを塗っておくなどの準備は必要ですが、それでも刺されてしまった場合は、適切な対処を心がけましょう。

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