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フリーランスで節税できてる?知っておくべき税金の知識と節税のポイント

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毎年、確定申告を迎えるたびに、税金を安くできないかなと思うフリーランスの方も多いはず。そんな悩めるフリーランスの方に向けて、税金を1円でも下げるためのノウハウを解説します。

今回は、元国税調査官で現在、税理士である松嶋洋氏の著書『元国税調査官の税理士に聞いてみた「フリーランスの税金を1円でも安くする方法を教えてください」(フォレスト出版)』をもとに、納税者が知っておくべき税金の正しい知識や、節税テクニックを紹介します。

まず、所得税について理解しよう

まず、所得税について理解しよう

会社から給与をもらうサラリーマンのことを「給与所得者」と言い、一方、フリーランスは事業を行い、その対価として報酬を得ているため「事業所得者」となります。これら双方で共通した言葉が使われているものが「所得」です。

所得とは、収入から経費や各種控除を引いたもの。所得税の対象となるのは、「収入」ではなく「所得」にあたる部分です。そのため、経費と各種控除が多ければ、所得にあたる部分を抑えることができ、所得税も下がることになります。

所得金額に応じて税率が変わる

所得税には「超過累進課税」という特徴があります。累進とは、数量の増加にしたがい比率が増すことを意味します。所得が下がれば所得税も下がり、所得が上がればそれだけ所得税も上がる。つまり、所得金額に応じて税率は変わるということです。

下記は、国税庁が出している「所得税・復興特別所得税の速算表」です。表を見ると、所得が195万円以下で所得税率5%なのに対し、所得が4,000万円を超えると所得税率は45%に上がっていることが分かります。

所得税・復興特別所得税の速算表
課税される所得金額 税率 控除額
1,000円 から 1,949,000円まで 5% 0円
1,950,000円 から 3,299,000円まで 10% 97,500円
3,300,000円 から 6,949,000円まで 20% 427,500円
6,950,000円 から 8,999,000円まで 23% 636,000円
9,000,000円 から 17,999,000円まで 33% 1,536,000円
40,000,000円 以上 45% 4,796,000円

参考:国税庁 No.2260 所得税の税率

所得控除をきちんと把握しよう

所得を抑えるためのポイントには、まず「所得控除」が挙げられます。収入から、経費以外に差し引くことができる要素なので、どの控除を受けられるか確認しましょう。

<所得控除一覧>
社会保険料控除/小規模企業共済等掛金控除/生命保険料控除/地震保険料控除/寡婦控除/ひとり親控除/勤労学生控除/障害者控除/配偶者控除/配偶者特別控除/扶養控除/基礎控除/雑損控除/医療費控除/寄附金控除

所得控除の代表的なものとしては、「社会保険料控除」「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」などが挙げられます。社会保険料控除は、国民年金保険や国民健康保険料などの全額が控除の対象となります。配偶者がいる場合は「配偶者控除」と「配偶者特別控除」、子供がいる場合は「扶養控除」が適用されますが、いずれも「納税者の扶養に入っていること」が条件となります。

配偶者控除の適用を受けるには、「納税者本人の所得が1,000万円以下」であるとともに、「配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下(パートタイマーなど給与収入のみの場合は年間103万円以下)」という条件があります。

また、配偶者特別控除は、「納税者本人の所得が1,000万円以下」であるとともに、「配偶者の年間の合計所得金額が48万円超133万円以下」という条件になります。どちらも、所得に応じて段階的に控除額が変わります。

一方、扶養控除は、16歳以上19歳未満、23歳以上70歳未満で38万円、70歳以上だと原則48万円、19歳以上23歳未満で63万円を控除できます。ただし、給与収入が103万円を超えるような場合は、扶養控除の適用は受けられなくなります。

※詳しくは国税庁のページをご確認ください。
参考:国税庁 No.1180 扶養控除

所得が高いと住民税や国民健康保険料も高くなる

所得が高くなると、所得税だけでなく「住民税」や「事業税」、そして「国民健康保険料」も高くなります。住民税とは、都道府県と市区町村に収める税金のことで、「所得割」と「均等割」からなっています。所得割とは、所得に税率を乗じて計算されるもので、税率は原則、市町村民税6%、道府県民税4%の合わせて10%です。

均等割は定額で、市町村民税(特別区民税)3,500円、道府県民税(都民税)1,500円の合わせて5,000円となっています。ちなみに、自治体ごとに税率が異なることや、都道府県においても上乗せをしているケースがあります。

事業税とは、事業を営んでいる人が収める税金のことです。第一種事業、第二種事業、第三種事業と、事業の種類によって区分けされ、それぞれ税率が異なります。なお、事業税は年間290万円の控除が認められており、所得が290万円以下の場合、税金がかかりません。また、第一種事業、第二種事業、第三種事業に当てはまらない、文筆業やスポーツ選手、芸能人、音楽家、漫画家などは事業税がかかりません。

青色申告「10万円控除」にもメリットはある

確定申告には、「白色申告」と「青色申告」の2種類があり、さらに青色申告は「10万円控除」と「最大65万円控除」を選択できます。青色申告の「最大65万円控除」を受ける場合は、借方と貸方に分けて仕訳する複式簿記を申告時に提出しますが、この複式簿記に難しいイメージを持っている方もいることでしょう。一方で、複式簿記を簡略化させた簡易簿記ならば、作成も簡単です。この簡易簿記での申告は、白色申告と青色申告の「10万円控除」が該当します。

もちろん、「最大65万円控除」を受けられる青色申告の方が節税効果は高いですが、青色申告の「10万円控除」でも白色申告よりはメリットがあると言えます。まず挙げられるのが、一定要件を満たせば「青色専従者給与」を適用できることです。これは、事業に携わっている家族に対して報酬を支払う場合、それを青色申告者の所得から控除できるというものです。また、その年の赤字を翌年に繰り越せる「純損失の繰越控除」も使うことができ、計3年間持ち越すことが可能です。これらは白色申告では適用できないので、青色申告の特権と言えるでしょう。

ちなみに、青色申告を選択する場合は、開業から2ヶ月以内かその年の3月15日までに、税務署に申請手続きをする必要があります。「所得税の青色申告承認申請所」を提出することで認められます。

経費の見極めが節税のカギ

経費の見極めが節税のカギ
所得金額が下がると、住民税や事業税を抑えることにつながると先述しましたが、節税するためには「経費」を精査することも大切です。では、対象となる経費とはどんなものか。基本となる考え方や、経費と判断するポイントなど節税につながるコツを見ていきましょう。

経費の基本となる考え方

経費とは、「仕事に必要であり、かつその仕事と直接関係するもの」とされます。基準としては、次のとおりです。

  • (収入を得るために)業務に関して生じるもの
  • 生活に関しないもの

衣類や食事代、居住費などの生活費は上記に該当しないため、経費とはなりません。しかし、仕事で使用しているため経費になることは間違いないものの、「生活費」と「業務上の支出」を明確に区別することが難しいケースも多くあります。

経費の対象となるか区別しにくいもの

経費として区別しにくいものの代表例として、「自宅兼事務所の家賃」が挙げられます。居住空間は生活費となる側面もあるため、全額経費とするのは難しいです。その場合、合理的な割合で適用することが可能です。具体的には、面積で按分する方法や、業務時間で按分する方法です。

例えば、3部屋ある家で1部屋だけ仕事で使っているのであれば、3分の1を経費として計上するといった方法です。区別が難しい経費として「スマートフォンの通信料」も挙げられます。この場合は、業務時間に応じた按分や自分で通話した記録をチェックし按分すると良いでしょう。

経費のメモ書きを残すと良い理由

経費として計上する際は、きちんと根拠を残しましょう。証明できるものとして、多くの人が「領収書」を残しがちですが、実は「レシート」の方がいいです。なぜなら、レシートには「支払先」「日付」「支払内容」「支払金額」の4つの内容が記録されているためです。

もし、この4つの要素が欠けている場合は、日記やメモに日付と共にメモ書きを残しておく方法でも大丈夫です。最近では、SNSを証明できるものとして使う人も増えてきています。

確定申告の科目の割り当てについて

確定申告の申告書類には、「福利厚生費」や「接待交通費」などさまざま科目があります。基本的には、その経費を見て、一番適した項目に当てはめていきましょう。例えば、ネット通販を営んでいれば、宅急便やダンボールなど配送にかかる費用が発生します。この場合は「荷造運賃」といった具合です。

面倒だからといって、「消耗品費」や「雑費」にばかり計上するなどせず、適切な科目を選定することが大切です。

経費を精査する際は、無料相談会を利用しよう

経費かどうか判断に迷う場合は、確定申告の時期に行っている「無料相談会」を活用するのもよいでしょう。個人の確定申告期は毎年2月16日から3月15日までですが、その期間前から期間中にかけて、税務署では特設会場を設けて「無料相談会」を実施しています。

申告書の書き方や添付書類について聞く場所でもありますが、経費として区別できないものを確認することもできます。無料相談会は、税務署職員が相談員として窓口業務にあたっています。そのため、経費としていいかお墨付きをもらえれば、申告する際も安心です。なお、相談会へ行くときは、経費の根拠となるレシートなど必要な書類は必ず持って行きましょう。

税務調査とは?事前に流れを知っておこう

税務調査とは?事前に流れを知っておこう
税務調査とは、国税庁が管轄する税務署などによって、納税者が正しく税務申告を行っているかを調査することです。税務調査の目的は、第一に脱税である不正取引を発見することにあります。といっても、個人事業主の税務調査が入る確率は1%弱と言われています。100年に1回程度の確率ではありますが、事前に流れを把握しておけば安心ですよね。一般的な税務調査の流れをご説明します。

税務調査の流れ

税務調査は、税務署から事前に予告電話が入ります。そのあとで、大きく3つに分けて税務調査が行われます。

<税務調査の流れ>

  1. 事業概況のヒアリング
  2. 帳簿や原始記録の確認
  3. 税務調査の結果につき、交渉を行う

一般的には、1〜2日の日程で行われます。まず1日目の午前中に(1)が行われ、(2)と(3)はそれ以降です。(1)に関しては、納税者本人が説明する必要がありますが、(2)以降の帳簿の確認や交渉は、税務調査の対応に詳しい税理士に依頼することも可能です。税理士に依頼する場合は、国税庁のホームページにある「税務代理権限証書」をダウンロードして、税務署に提出しましょう。

まとめ

フリーランスで確定申告を行う方のために、所得税の仕組みや、節税となるポイントを紹介しました。毎年確定申告を行っていても、所得控除できるものを入れていなかったり、青色申告で適用できる制度を利用していなかったり、といった方も多いのではないでしょうか。

事業が大きくなり所得が増えると、税金も多く納めなければなりません。今一度、適用できる所得控除や経費を精査し、無料相談会を活用するなどして、正しく賢く節税対策を行いましょう!

書籍紹介:『元国税調査官の税理士に聞いてみた「フリーランスの税金を1円でも安くする方法を教えてください」』(松嶋洋著/フォレスト出版)2021年9月出版

出版社書籍紹介:『元国税調査官の税理士に聞いてみた「フリーランスの税金を1円でも安くする方法を教えてください」』(松嶋洋著/フォレスト出版)2021年9月出版
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