美容・ケア

マスクを日常的につける今、肌荒れやニキビで受診する方が増えている!?

感染症対策でマスクをつけることが日常的になった今、肌トラブルに悩む方が増えてきているという声を多く聞きます。今回は皮膚科医の監修のもと、マスク生活での肌トラブルやニキビのメカニズム、マスクとの関係からお手入れについてご紹介します。

監修者

金城 里美(かねしろ さとみ)
皮膚科医/薬剤師

国立大学薬学部卒業後、国立大学医学部卒業。大学病院で初期研修後、皮膚科医としてこれまで一般病院、クリニックで臨床に従事。皮膚がよくなる喜びを患者様と共有することを生き甲斐にして日々診療にあたっている。

肌荒れにはどんなものが?

肌を気にする女性
肌トラブルは肌のタイプによって異なり、大きくは以下の4つに分けられます。どのような肌を指すのか、またそれぞれの要因についても見ていきましょう。

乾燥肌

肌が全体的にカサカサして、酷くなると痒みを伴うタイプが「乾燥肌」です。洗顔した後に、すぐに保湿をしないと突っ張ってしまうので、保湿がとても重要になります。
要因としては、乾燥しやすい体質であることの他に、肌自体がきめ細かく皮膚が薄い人は、乾燥肌になりやすいと言われています。また、ホルモンバランスの影響で、更年期を境に乾燥が酷くなることが多いです。

オイリー肌

顔全体がテカテカして汗ばんでいたり、ニキビが多く出来る肌が「オイリー肌」です。乾燥肌と反対に、洗顔後も突っ張ることは少なく、汗ばんだようになります。
オイリー肌になる一番の要因は、皮脂の過剰分泌です。日常生活の乱れなどでバランスが崩れると、男性ホルモンが増え、皮脂分泌が増えてくるので、生活習慣を整えることが大切です。

混合肌

部分的に、乾燥肌とオイリー肌が混在している肌が「混合肌」です。おでこや鼻はテカテカとしていても、頬の部分や口の周りが乾燥してカサついているという肌を指します。
元々の肌質と、食生活・生活習慣の乱れが要因と考えられています。

普通肌

トラブルが起きにくく、落ち着いた肌の状態が普通肌です。この肌の方は、4つのタイプの中で最も落ち着いている肌といえます。

マスクをすると肌荒れやニキビは増すのでしょうか?

マスクをする女性
最近では、マスクによる肌荒れのトラブルが増えていると言われています。実際、皮膚科に来る患者さんは多くなっており、特にニキビで来院する方の割合が増えています。マスクをすることによる肌荒れの主な要因には、以下が挙げられます。

  1. マスクによる擦れ(ずっと摩擦がある状態)
  2. 蒸れ(温度と湿度が高くなる)
  3. 汚れ(雑菌の繁殖)

その他、マスクを取ったあとの急激な環境変化もトラブルの元です。なかなかマスクを外すことができないこのご時世ですが、マスクの選び方やつけ方でトラブルを軽減させることができますので、ここからはそのポイントを見ていきましょう。

マスクの素材・大きさ選び

一口にマスクと言っても、様々な素材のものがあります。肌トラブルが気になる場合は、綿やシルクなど、刺激の少ない素材のマスクを選んでみましょう。マスクが擦れると、その部分の角質が厚くなり、ニキビが出来やすくなります。この素材をつけると痒くなるなど、自身の肌と合わないものを外していくことで、肌トラブルを軽減することができます。

また、サイズも自身の顔に合ったものを選んでください。サイズが合わないと話す度にずれてしまい、擦れる要因になります。そして蒸れや汚れを防止するために、通気性の良い素材のものや、立体マスクなども効果的です。

マスクを装着時の対策

マスクをしていると、どうしても呼気で蒸れが生じます。マスク内の汗はこまめにふき取り、清潔に保ちましょう。装着する際も、刺激を抑えるためにそっとつけるように気をつけてみてください。

ニキビの原因とお手入れは?

素材やつけ方に気を付けていても、どうしても出来てしまうのがニキビです。ニキビができてしまうメカニズムとお手入れ方法について見ていきましょう。
まず、ニキビの主な原因は以下の3つです。

  1. 皮脂の過剰分泌
  2. 毛穴の角質が厚くなる
  3. アクネ菌増加

皮脂分泌が増え、そこにアクネ菌が増殖したり、刺激で角質肥厚(かくしつひこう:角質が暑くなってしまった状態)が起きたりすると、毛穴が閉じてしまいます。そうするとニキビのできやすい肌環境となってしまい、ニキビが増えやすくなります。

マスクは、その要因が全て揃ってしまう状況といえます。少しでも早く治したいニキビ。マスク選び以外にも日頃できるセルフケアがありますので、ここからはそれを紹介します。

ニキビは触らない・つぶさない!

気になって触ってしまったり、潰してなくしてしまいたいと思っても、そこはストップ!触ることで雑菌が増えたり、つぶして跡になることがあります。気になっても触らないようにするのがよいでしょう。

洗顔は摩擦が起きないようやさしく

洗顔時、綺麗に洗いたくてゴシゴシこすってしまいがちですが、刺激はニキビの大敵です。刺激の少ない洗顔料で泡をたっぷりと作り、クッションのようにしてやさしく洗いましょう。洗顔時に擦ってしまうと、ニキビだけでなく色素沈着や肝斑を引き起こす原因にもなるそうです。

低刺激なスキンケア

保湿が大事な大人ニキビ。基礎化粧品選びも低刺激で保湿力の高いものがおすすめ。基礎化粧品は「ノンコメドジェニックテスト済」と書かれたものを使うと良いでしょう。

様々な成分が入っているものは、それだけアレルギーを獲得しやすくなるので、出来るだけシンプルなものが良いでしょう。また化粧水をつける時は、擦ったり叩いたりして刺激を与えないように、手で包み込み軽く抑えるようにつけるのがポイントです。

意外と知られていない生活習慣・食生活と肌トラブル

眠る女性
つい、基礎化粧品や薬、マスクなど肌につけるものに目が行きがちですが、毎日の食事や生活習慣は、身体の内側からニキビや肌荒れに影響します。特にニキビが出来やすい時は、>バランスの良い食事と充分な睡眠を心がけると良いでしょう。

また、肌作りの土台となるたんぱく質を始め、肌の代謝を助けるビタミンC、血行を促進するビタミンE、皮脂分泌をコントロールするビタミンBなどを積極的に摂るのも大切です。そして、活発な細胞分裂のために、質の良い充分な睡眠も欠かせません。決まった時間に就寝できるよう生活習慣を見直し、健康のためにも、肌のためにも、深い眠りにつける工夫をしましょう。

セルフケアやマスク選びだけでは治らない時は

スキンケアに気を付け、生活習慣や食生活を整えても、なかなか治らない場合や、痒みが酷くなった場合は、皮膚科を受診するようにしましょう。肌荒れやニキビで受診するなんて…と思う方もいるかもしれませんが、セルフケアでも改善しないニキビは、痕ができたり、クレーターになったりする場合もあります。皮脂欠乏性湿疹や酷い痒みなどは、放置せずに、すぐに病院へ行くようにしましょう。

最近の皮膚科治療では、『ピーリング的塗り薬』を使うことが多くなっています。これは硬くなった角質を削り、中の詰まりを取る薬です。以前は、抗菌薬を使うことが主流でしたが、抗菌薬では使っているうちに耐性菌(薬が効かない菌)が出てきてしまうことがあります。最近ではピーリング的塗り薬を使うことで以前よりも治りやすくなっていますので、早めの受診をおすすめします。

まとめ

肌は健康のバロメーターと言われています。肌が荒れてきたり、ニキビが出来やすい時は、身体からのサインだと思い、生活習慣や食生活の乱れを見直し、セルフケアを心がけてください。そうすれば、きっと綺麗な肌も健康も取り戻せるでしょう。

肌荒れ・ニキビが出来やすいマスク生活も、肌と健康を守りながら、上手に付き合っていきましょう。

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