食の知識

管理栄養士監修:アサイーとは?健康効果やおいしい食べ方も解説

アサイーは、美容や健康に関心の高い人たちの間で人気の果物です。栄養価が高いイメージがありますが、「実際にどんな効果があるの?」と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、アサイーに含まれる栄養素とその効果、おすすめの食べ方を紹介します。アサイーを食べる際の注意点も解説しますので、アサイーの効果に興味のある方は、ぜひ参考にしてください。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

アサイーとは【ヤシ科のスーパーフード】

アサイーとは、ブラジルのアマゾン地域に自生している、ヤシ科の「アサイーヤシ」から採れる果実のことです。見た目はブルーベリーに似ていますが、実の中心に大きな種があり、食べられる部分は全体の5%ほどしかないのが特徴です。

アサイーは、アマゾンの先住民が過酷な自然環境の中で生き抜くための栄養源として、古くから食べられてきました。アサイーとキャッサバ芋を粉にしたものを混ぜて食べたり、魚料理に添えたりしていたようです。

アサイーは、ポリフェノールをはじめとした栄養素を豊富に含んでいることから、近年ではスーパーフードとして注目されるようになりました。スーパーフードとは、栄養素が高かったり、健康成分が多く含まれたりしている食材を指します。

アサイーを使った食品としては、「アサイーボウル」や「スムージー」が有名で、スーパーフード専門店やカフェなどで販売されています。

アサイーとは

アサイーの主な栄養素と効果

アサイーの主な栄養素と効果は、次のとおりです。

ここでは、それぞれの栄養素と効果を詳しく紹介します。なお、以下で紹介する100gあたりの各栄養素の含有量は、文部科学省「食品データベース」[1]より引用しています。

ポリフェノール(アントシアニン):美肌効果・疲れ目防止

アサイーは、ポリフェノールの一種であるアントシアニンを豊富に含み、その含有量は、ブルーベリーよりも多いといわれています。アントシアニンには抗酸化作用があり、紫外線を浴びることによって発生するシミを防ぐなど、美肌効果が期待できます。

また、アントシアニンは、目の血行を促進させる働きもあるため、現代人が陥りがちなスマホやパソコンによる疲れ目などを防止できるでしょう。

不溶性食物繊維:便通の改善

アサイーには、100gあたり4.7gの食物繊維が含まれています。なかでも注目したいのは、水に溶けにくい性質の「不溶性食物繊維」を多く含んでいる点です。

不溶性食物繊維は大腸の粘膜を刺激し、水分や粘液の分泌を促す効果があるため、便通をスムーズにする効果が期待できます。ただし、腸の動きが過敏な人がアサイーを食べ過ぎると、過剰に反応してしまうおそれがあるため、食べる量には注意が必要です。

鉄分:集中力の向上・貧血予防

アサイーには、100gあたり0.5mgの鉄分が含まれています。鉄分は酸素を運ぶ役割があるヘモグロビンを構成するため、集中力の向上や記憶力の改善が期待できます。

鉄分が不足すると、貧血による立ちくらみや頭痛などの悪影響があります。厚生労働省によると、1日あたりの鉄分推奨量は、以下のとおりです。

性別 推奨量(mg/日)
成人男性 7.0~7.5
成人女性(月経なし) 6.0~6.5
成人女性(月経あり) 10.5~11.0

出典:厚生労働省「鉄の食事摂取基準(mg/日)」[2]

現代人の多くは鉄分が不足しているといわれるため、アサイーの摂取によって不足しがちな鉄分を補えるでしょう。

鉄分

カルシウム:骨や歯の形成

アサイーには、100gあたり45mgのカルシウムが含まれています。これは、牛乳1杯(200mL)の1/4程度に相当します。カルシウムは、骨や歯のもととなるほか、神経を安定させる効果があり、イライラ防止も期待できる栄養素です。

アサイーをスムージーにする際は、牛乳などのカルシウムの多い食品と合わせると、よりカルシウムを摂取できるでしょう。

ビタミンE:美肌効果・血行の促進

アサイーに含まれるビタミンEは、100gあたり3.7mgです。1日あたりのビタミンEの摂取目安量は5~7mg[3]なので、アサイー100gで目安量の半分以上のビタミンEを摂取できます。

ビタミンEを摂取することで期待できる効果は、紫外線からのバリア効果による美肌効果や、血行促進による肩こりや手足の冷えの防止、抗酸化作用による脂質の酸化防止などです。

ビタミンEは、油と一緒に摂取することで吸収率の上がる栄養素のため、ナッツなど脂質を多く含む食材と一緒に食べると、さらに効果がアップします。

ビタミンE

おすすめのアサイーの食べ方

ここでは、アサイーの食べ方として代表的な「アサイーボウル」と「スムージー」について紹介します。実際に食べる際の参考にしてください。

アサイーボウル

アサイーボウルとは、アサイーのスムージーにフルーツをトッピングしたデザートです。ハチミツやココナッツフレークを加えるなど、自由自在にアレンジしやすいのがうれしい点です。

アサイーとイチゴやバナナなどのフルーツを一緒に食べることで、一皿でたくさんの栄養素を摂取でき、見た目も鮮やかです。

アサイーを冷凍したピューレやアサイーパウダーを使えば、朝の忙しい時間帯でも手軽に楽しめます。

アサイーボウル

スムージー

アサイーのスムージーは、アサイーパウダーやピューレを牛乳や豆乳と混ぜたものです。加える具材によってさまざまな味が楽しめるのも特徴で、以下のようにアレンジもできます。

スムージーの種類 加える具材
アサイーボウル風スムージー バナナ、ヨーグルト、グラノーラなど
グリーンアサイースムージー バナナ、ほうれん草など
トロピカルアサイースムージー パイナップル、マンゴーなど

栄養を考えてアレンジしたり、旬の果物を混ぜたりなど、好みの味を探してみてください。

アサイーを食べる際の注意点

栄養素の高いアサイーですが、次の点には注意しましょう。

ここでは、アサイーを食べる際の注意点について詳しく解説します。

ダイエット効果は立証されていない

アサイーは、よくダイエットに適しているといわれますが、減量を促す効果は立証されていません。また、アサイーを使った料理では調理過程で砂糖などを入れることが多いため、逆効果になってしまう場合があります。

気になる方は、甘みは砂糖ではなく他の果物で補うなど工夫し、含まれる栄養素を摂取する感覚でアサイーを取り入れましょう。

過剰に食べないようにする

アサイーは、不溶性食物繊維を多く含むため、過剰に摂取すると消化器官の不調が起きる可能性があります。調理をして砂糖などを多く加えた場合は、先述したように過剰摂取によって肥満や糖尿病の原因にもなります。

過剰な摂取は健康被害のリスクを高めるため、適度な量を食べることを心がけましょう。市販されているアサイーを使った商品には、推奨される摂取量が表示されている場合もあります。表示をよく確認して、食べ過ぎないように気をつけましょう。

過剰に食べないようにする

コーヒー・紅茶と一緒に食べるのを避ける

コーヒーや紅茶には、鉄分の吸収を阻害するタンニンという成分が含まれており、アサイーに含まれる鉄分の吸収を妨げるおそれがあります。そのため、アサイーが含む鉄分を効果的に摂取したい方は、コーヒーや紅茶と食べるのは避けてください。

アサイーと一緒に飲み物を飲むときは、牛乳や豆乳、オレンジジュースなどと組み合わせるのがおすすめです。タンニンは赤ワインなどにも含まれているため、メニューを考える際には注意が必要です。

まとめ

アサイーには、ポリフェノール、食物繊維、鉄分などの栄養素が豊富に含まれており、それらによって美肌、便秘解消、貧血予防など、さまざまな効果が期待できます。アサイーの代表的な食べ方であるアサイーボウルやスムージーなどはアレンジがしやすく、いろいろな食材を取り入れやすいのも魅力です。

ただし、ダイエット効果への過度の期待や、食べ過ぎには注意が必要です。この記事を参考に、毎日を健やかに過ごすためアサイーを食生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。

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