調理・保存のコツ

料理家監修:さつまいもをより甘くする調理方法は?甘さが増す保存方法も紹介

さつまいもは、調理方法を工夫することで自宅でもお店のように甘くすることができるという話を聞いたことはありませんか?しかし、「本当にお店で売られているように甘くできる?」「簡単に甘くできる調理方法は?」といったことが気になっている方も少なくないでしょう。

そこで今回は、さつまいもが甘くなる仕組みや、さつまいもを甘くする調理方法を調理器具ごとに解説します。より甘くする保存方法も紹介するため、自宅で甘いさつまいもを味わいたい方は、参考にしてみてください。

監修者

川久 景子(かわく けいこ)
料理家

食品の企画・メニュー開発を行う他、WEB媒体にレシピ・コラムを掲載。旬の食材を取り入れた、白ごはんに合うお手軽おかず料理が好評。

川久景子_プロフィール写真

さつまいもが甘くなる仕組み

さつまいもが甘くなる過程では、「デンプンの分解」と「保存するときの温度」が大きく影響します。ここからはさつまいもが甘くなる仕組みについて、詳しく解説します。

デンプンが糖に分解されて甘くなる

さつまいもは、デンプンが酵素の力によって糖に分解されることで甘くなります。さつまいもに含まれる「β-アミラーゼ」と呼ばれる酵素がデンプンを糖に分解します。

β-アミラーゼは60〜65℃の温度で最も活発に働く性質があるので、温度管理に気を付けることにより、さつまいもを甘くできます。

また、収穫直後のさつまいもにはそれほど甘さはありません。収穫後にデンプンが分解され始めることで、徐々に甘さが増していきます。そのため、さつまいもを甘くするには、収穫後に一定期間寝かせて完熟させる「追熟」の期間が欠かせません。

デンプンが糖に分解されて甘くなる

13~14℃の環境で追熟すると甘くなる

デンプンが酵素によって糖に分解される追熟に最適な温度は、13〜14℃とされています。

さつまいもは、9℃以下で保存すると低温障害を引き起こしやすく、変色したり味が落ちたりする原因になります。反対に15℃以上では腐敗しやすくなるため、温度管理や保存場所には注意が必要です。

追熟する期間の目安は、家庭菜園などで収穫されたさつまいもであれば1〜2カ月程度、スーパーなどで購入したものは2週間程度です。

熟成の進んださつまいもには、黒いシミや塊が確認できます。これはさつまいもの蜜で、糖度が高いサインです。糖度が高まった時期を判断するには、さつまいもの表面や切り口に、黒いシミや塊があるかどうか見てみましょう。

さつまいもを甘くする調理方法

さつまいもを甘くする調理では、次の5つの調理器具を使う方法があります。

なお、調理器具の種類によっては、できあがるまでの時間が変動します。調理の具合を見ながら、時間を調節してみてください。さつまいもの火の通りを確認するには、竹串がスムーズに刺さるかどうかチェックしましょう。

ここからは、それぞれの調理方法について詳しく紹介します。

電子レンジ:600Wで2分温めた後、200Wで10分加熱

電子レンジを使ってさつまいもを甘くするには、以下の順序で調理します。

  1. さつまいもを洗う
  2. さつまいもを濡らしたキッチンペーパーで包み、ラップで覆う
  3. 600Wで2分ほど加熱する
  4. 200Wで10分ほど加熱する

電子レンジでの調理では、2回に分けて加熱するのがポイントです。初めの加熱で酵素が働きやすい温度まで上昇させ、その後は酵素が働きやすい最適な温度を維持して、さつまいもの甘さを引き出します。

200Wの出力設定がない電子レンジを使用する場合は、「解凍モード」で代用できます。しっとりとした仕上がりにするには、濡らしたキッチンペーパー(※電子レンジ対応タイプ)で包み、ラップを巻いて温めるのがおすすめです。

電子レンジ:600Wで2分温めた後200Wで10分加熱

オーブン:アルミホイルに包み160℃で1時間30分加熱

オーブンでさつまいもの甘さを引き出すには、以下の手順で調理します。

  1. さつまいもを洗う
  2. 濡れた状態のさつまいもをアルミホイルで包む
  3. 予熱せず、160℃の温度で1時間30分加熱

一定の温度に維持しやすいオーブンは、酵素の働きやすい温度を保ちやすく、さつまいもの甘さを十分に引き出せます

オーブンでさつまいもを調理する際は、予熱しないことがポイントです。時間をかけてじっくり加熱すると、β-アミラーゼが活性化しやすくなります。

炊飯器:通常の炊飯モードで50分加熱

炊飯器を使ってさつまいもを調理する手順は、以下のとおりです。

  1. さつまいもを洗う
  2. 炊飯器にさつまいもと、さつまいもが半分くらい浸る程度の水を入れる
  3. さつまいもが入りきらない場合は、適度に切って重ならないように並べる
  4. 通常の炊飯モードで炊く

炊飯器を使えば、米を炊くのと同じ要領で、手軽にさつまいもを調理できます。しっとりとした食感が好みの方にはおすすめの調理方法です。

ただし、米を炊く以外の調理が推奨されていない炊飯器もあります。取扱説明書を確認してから調理しましょう。

フライパン:アルミホイルを巻いて弱火で15分ずつ両面を加熱

フライパンでの調理方法は、次のとおりです。

  1. さつまいもを洗う
  2. 濡れた状態のさつまいもをアルミホイルで二重に巻く
  3. フライパンの底から1cmくらいになるまで水を注ぐ
  4. さつまいもを入れてふたをする
  5. 弱火で約15分蒸し焼きにする
  6. 裏返してさらに約15分加熱

塩水(水1L:塩小さじ1)に半日浸してから調理すると、さらに甘みが増します。時間がない場合は、塩水に1時間ほど浸すだけでも甘みが増すでしょう。

フライパンの種類によっては、調理中に水がなくなるケースもあるため、フライパンの中の様子を確認し、必要に応じて水を足しましょう。

オーブントースター:800Wで15分ずつ両面を加熱

オーブントースターを使ってさつまいもを甘くするには、以下の手順で調理します。

  1. さつまいもを洗う
  2. 濡れた状態のサツマイモを15分加熱
  3. ひっくり返してさらに15分加熱

皮の焦げ付きを防ぐために、15分を目安にひっくり返します。しっとりとした食感が好みであれば、加熱する前にさつまいもをアルミホイルで包みましょう

アルミホイルに包まずそのまま焼くと、外側はパリッと中はホクホクに仕上がります。調理方法を変えることで、違った食感を楽しめます。

生のさつまいもを甘くする保存方法

生のさつまいもを甘くするためには、季節に合わせて以下の方法で保存しましょう。

それぞれの保存方法について、詳しく解説します。

春〜夏:新聞紙とポリ袋に包み野菜室に保存する

気温が高く、品質が劣化しやすい春や夏は、さつまいもを以下の方法で保存しましょう。

  1. 1本ずつ新聞紙で包む
  2. ポリ袋に入れ、袋の口を密閉しないように緩く結ぶ
  3. 冷蔵庫の野菜室で保存する

春や夏は、冷蔵庫の野菜室での保存が最適です。さつまいもは15℃以上の環境下に置くと、皮が劣化したり芽が出てきたりします。反対に冷やし過ぎてしまうと、低温障害を引き起こす可能性が高くなります。

また、さつまいもを乾燥から守るために、ある程度の湿度が保たれるようポリ袋に入れましょう。口を緩めに結ぶと、蒸れない環境が作れます。

保存期間は1週間程度を目安として、なるべく早く食べ切りましょう。

秋〜冬:新聞紙に包み風通しの良い冷暗所で熟成する

気温の下がる秋や冬は、以下の方法で保存しましょう。

  1. 1本ずつ新聞紙で二重に包む
  2. 風通しの良い冷暗所に置く

さつまいもは、空気に触れると劣化が進みやすくなります。空気に触れないよう、新聞紙を二重にして1本ずつ包みましょう。

家庭菜園などで収穫した場合、土は手で払う程度に抑え、土を残したまま保存すると長持ちします。朝露(あさつゆ)などで濡れている場合は、腐らないよう天日に干して乾かしましょう。

保存できる期間は、土の付いていないさつまいもで1カ月程度、土付きのさつまいもで3カ月程度が目安です。

秋〜冬:新聞紙に包み風通しの良い冷暗所で熟成する

まとめ

さつまいもは、自宅でも甘くすることが可能です。電子レンジのほか、オーブンや炊飯器、フライパンなどで、60〜65℃の温度を保って調理するとデンプンを糖に分解する酵素が活発化し、より甘くなります。

また、保存場所は、春から夏の間は冷蔵庫の野菜室、秋から冬にかけては風通しの良い冷暗所を選ぶなど季節に応じて変えると追熟しやすくなり、甘みが増します。

今回紹介した調理方法や保存方法を参考に、自宅で甘いさつまいもを味わってみてはいかがでしょうか。

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