セロトニン増加!おすすめ食べ物一覧|作用と効率的な摂取方法を解説
気候や環境の変化に伴い、ストレスや軽い体調不良などで心身が不安定になってしまう方も多いでしょう。
緊張やストレスを感じた際に発生する脳内ホルモン「セロトニン」を増加させることで、自律神経の安定につながります。セロトニンを意図的に増やすには、「トリプトファン」という栄養素を摂取することが必要です。
そこで、セロトニン増加に役立つトリプトファンが多く含まれる食べ物を一覧で紹介していきます。ぜひこの記事を参考に心身のバランスを整えましょう!
監修者
- 木村 眞樹子(きむら まきこ)
- 総合内科専門医/循環器内科専門医/日本睡眠学会専門医
医学部卒業後、大学病院で循環器内科に入局。循環器内科、睡眠科にて10年以上臨床に従事。現在は訪問診療で臨床にあたり、産業医として複数事業所の健康経営にも携わる。一般向けの医療系商品、コンテンツの作成にも関わっている。
目次 [CLOSE]
セロトニンとは?
セロトニンは、ノルアドレナリン、ドーパミンと並ぶ脳内の神経伝達物質のひとつです。セロトニンには、恐怖・驚きなどに関与するノルアドレナリン、喜び・快楽などに関与するドーパミンのバランスを取り、精神を安定させる働きがあります[1]。
セロトニンが脳内で分泌されると、安心感、幸福感がもたらされるとされています。このことから、「幸せホルモン」と呼ばれることもあります。脳はストレスや緊張を感じるとセロトニンを分泌して、自律神経のバランスを整えようするのです。
セロトニンは何からできている?
セロトニンは、必須アミノ酸の一種であるトリプトファンという物質から生成されます。必須アミノ酸とは、タンパク質の構成要素であるアミノ酸のうち、ヒトの体内で生成されないものを指します。したがって、トリプトファンがヒトの体内で自然に生成されることはありません。
セロトニンを適切に生成するためには、食事からトリプトファンを摂取する必要があるのです。
セロトニン不足はメンタルヘルスに悪影響を及ぼす
セロトニンはメンタルヘルスと密接に結びついている神経伝達物質です。以下は、セロトニン不足による症状の代表例です。
- 精神不安定になる
- 眠れなくなる
- 物事への意欲がなくなる
メンタルヘルスを健康な状態に保つためには、セロトニンの減少を抑え、分泌を増やすことが大切です。ストレスをなるべく回避し、トリプトファンが含まれる食生活を維持することが求められます。
セロトニンを増やす食べ物15選
上記のとおり、適切なセロトニンの分泌量を維持するためには、ストレスを回避することとともに、食事からトリプトファンを摂取することも大切です。トリプトファンを摂取することで、セロトニンの適切な分泌が期待できます。
ここでは、トリプトファンが含まれている食材の中から、普段の生活で取り入れやすいものを15種類紹介します。
- バナナ
- 赤身魚
- 牛肉
- 豚肉
- 鶏肉
- 卵
- 乳製品
- 大豆製品
- ナッツ類
- トマト
- アボカド
- パン
- 米
- 麺類
- 芋類
乳製品や大豆製品にはトリプトファンが多く含まれているため、意識して食べることをおすすめします。また、タンパク質にはトリプトファンのほか、ドーパミン、ノルアドレナリンの生成に必要なフェニルアラニンも含まれています。セロトニンだけでなく、神経伝達物質全体のバランスを保つためには、タンパク質を含む食べ物を積極的にとることが大切です。
ここからは、セロトニンを増やすための食事のポイントを詳しく解説します。食材の選定や、外食時のメニュー選択の際は、ぜひ以下のポイントに気を付けてみてください。
食事のポイント①:トリプトファンやビタミンB6が含まれる食品を食べる
前述のとおり、セロトニンを合成するためのトリプトファンは必須アミノ酸の一種であり、体内で自然に生成されることはありません。
トリプトファンはタンパク質に含まれているため、タンパク質が多く含まれる食材を多くとることをおすすめします。卵や肉類、豆類などが代表例です。
トリプトファンの1日の摂取量の目安は、18歳以上の場合体重1㎏あたり4㎎[2]です。つまり、体重60kgの方の場合、240 ㎎のトリプトファンを摂取することが求められます。
主な食材の可食部100gあたりのトリプトファン含有量は以下のとおりです[3]。
- バナナ:約290㎎
- マグロ:約270㎎
- ツナ缶:約210㎎
- 豚ヒレ肉:約290㎎
- 牛ランプ肉:約280㎎
- 豚ロース肉:約280㎎
- 牛レバー:約290㎎
- 豚レバー:約290㎎
- 鶏レバー:約270㎎
- 鶏むね肉:約290㎎
- 卵(全卵):約190㎎
- カシューナッツ:約360㎎
- ピーナッツ:約270㎎
- アーモンド:約200㎎
- クルミ:約200㎎
- 牛乳:約45㎎
- ヨーグルト:約60㎎
- プロセスチーズ:約300㎎
- 木綿豆腐:約98㎎
- 豆乳:約53㎎
- 凍り豆腐:約750㎎
- 味噌:約140㎎
また、トリプトファンからセロトニンを生成する際には、ビタミンB6のサポートが必要となります。そのため、上記の食べ物に合わせて、ビタミンB6を含む食材を摂取しましょう。
ビタミンB6は以下のような食べ物で摂取できます。
- 大豆
- 青魚
- バナナ
- にんにく
- ショウガ
トリプトファンを含む食材とビタミンB6を含む食材をバランスよく摂取することで、効率よくセロトニンの分泌を促します。
食事のポイント②:腸内環境を整える
セロトニンは腸で生成されます。上記で紹介したトリプトファンや、セロトニンの合成を助けるビタミンB6を含む食材を摂取していたとしても、腸内環境が悪いとセロトニンが脳に届きづらくなります。
腸内環境を整えるためには、食物繊維や水分をしっかりととることが大切です。また、基本的な栄養バランスを意識して健康的な食生活を続けることも重要です。
以下は、腸内環境の改善作用があるとされている食材です。トリプトファンやビタミンB6を含む食材に合わせて、以下のような食材をとることも意識してみてください。
- オクラ
- なめこ
- アボカド
- 発酵食品
- きな粉
- 豆乳
食生活のほかにもある!セロトニンを増やす方法
セロトニンを増やすためには、食生活以外の生活習慣を見直すことも大切です。以下では、手軽に始められるセロトニンを増やすための生活習慣を紹介します。
適度な運動
適度な運動はセロトニンの分泌を促進するといわれています。運動後の不安感の低下、セロトニンの増加を示す研究結果も発表されています[4]。
運動といっても、負担が大きいハードなトレーニングに取り組む必要はありません。ウォーキングやジョギングなど、軽度の有酸素運動がおすすめです。息を切らさず言葉を発せる程度の有酸素運動を続けてみましょう。有酸素運動には、ランニング、サイクリング、水泳、エアロビ、ダンスなどさまざまなものがあります。自分が楽しく、無理なく続けられる運動を探してみてください。
なお、ストレッチで筋肉をほぐすのも効果的です。筋肉を緩め体の歪みを改善することで、心身共にリラックスしやすい状態になります。
太陽光を積極的に浴びる
日光を浴びるとセロトニンの分泌が活性化されます[5]。上記のように軽い運動もセロトニンの分泌を促すため、朝にウォーキングを取り入れると効果的です。
なお、光の刺激によってセロトニンが合成されることには、セロトニンから生成される睡眠を促すホルモン物質、「メラトニン」が深く関係しています。
光の刺激があるとセロトニンが合成される一方、メラトニンは抑制されます。メラトニンを正しく分泌し、睡眠を促すためには、昼間光を浴びてセロトニンを十分に合成しつつ、夜間には光の刺激をおさえて、セロトニンからメラトニンを多く生成する必要があるのです。
ちなみに、冬は日照時間が短くなるため、セロトニンの分泌量が少なくなりがちです。これは、うつ病の一種である「冬季うつ病」が発症する原因のひとつと考えられています[6]。日照時間が少ない時期はビタミンDを摂取することでセロトニンの分泌が促されます。冬場はビタミンDを含むきのこ類や魚を積極的に摂取しましょう。
まとめ
日常のストレスや健康面の不安は、セロトニンの分泌量を増やすことで改善されるかもしれません。
セロトニンは食事や運動などの生活習慣を見直すことで増加が期待できます。食生活の面では、タンパク質やビタミンB6を含む食材を積極的に取り入れることが大切です。また、腸内環境を整えることで、摂取したトリプトファンを効率よく吸収できるようになります。
運動や日光浴など、食生活以外のアプローチも効果的です。すっきりしない気持ちや体調不良に悩まされている方は、今回紹介したようなセロトニンを増やすためのポイントを意識して生活してみてはいかがでしょうか。
- 厚生労働省
e-ヘルスネット「セロトニン」 - 厚生労働省
日本人の食事摂取基準(2020年版) - 文部科学省
食品成分データベース - 幾央大学ニューロリハビリテーション研究センター
運動によるセロトニンシステムの活性化が不安を軽減する - 厚生労働省
セルフメンタルヘルス - 厚生労働省
こころの耳「季節性うつ病」
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