【管理栄養士監修】初夏の野菜8選!選び方からレシピまで旬の野菜を徹底解説
今回は、初夏が旬の野菜や果物の種類とその特徴について、選び方からレシピ、栄養を逃さない調理方法まで徹底的に解説いたします。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。
目次 [CLOSE]
野菜の旬とは?
旬とは、野菜や魚が自然にとれ、一番美味しく食べられる時期のことをいいます。ハウス栽培や養殖技術の進歩により、たいていの食材は旬ではない時期でも買うことができるようになりましたが、自然にとれた旬の食材は、鮮度が良く栄養も豊富だと言われています。
たとえば、トマトに含まれるカロテンの量は旬とそうでない時期では2倍以上も差があります。また、旬のものは市場にたくさん出回るので値段も手頃。日々の献立を考えるときの軸になりやすいのではないでしょうか。
初夏ってどんな季節?
一般的に、初夏とは5月初旬から6月初旬の頃とされています。ゴールデンウィークから梅雨入りまでの間だとイメージすればよいでしょう。この時期は、日照時間も長くなり暑く感じる日も増えていきます。行楽にはもってこいのシーズンともいえます。
一方で、五月病といわれるように新しい学校や職場での疲れが一気に出てくる頃でもあります。環境の変化のストレスから体調を崩したり、気持ちが落ち込んでしまったりしがちですので、お疲れぎみな心身を食からサポートしたい季節でもあります。
初夏の野菜の特徴とは?
初夏は「春と夏のまんなか」とも言えます。そのため、初夏の野菜には、春の若々として柔らかくしなやかな食材と、夏の太陽を浴びた色鮮やかでみずみずしい食材が共存していると言えるでしょう。
また、ハウスでは栽培されることの少ない食材が出回るのも特徴です。山菜やタケノコなどは土から顔を出してきた頃が美味しい時期。このように初夏でないと手に入りにくい食材は、まさに「旬」といえるでしょう。
どんな野菜があるの?
初夏の野菜は、山菜や茎を頂くものが多いことが特徴です。また、春キャベツやチンゲン菜といった葉物野菜や豆類などのように、青々とした食材も食卓を楽しませてくれます。
初夏に旬を迎える野菜の代表例は、以下のとおりです。
- タケノコ
- ワラビ
- ゼンマイ
- 春キャベツ
- チンゲン菜
- アスパラガス
- ニンニクの芽
- スナップエンドウ
- そら豆
- トマト
- 新玉ねぎ
ここからは、この中から8つの野菜について、詳しく説明していきます。
初夏に旬を迎える山菜
タケノコ
豊かな香りと味、そして歯ごたえが特徴のタケノコ。ピーク時には、1日でなんと1メートルも成長するというから驚きですよね。国産の生のタケノコを食べることができる時期は旬である初夏に限られており、他の時期に見かけるものは輸入品がほとんどでしょう。
もっとも有名なタケノコは「モウソウチク」と呼ばれるもので、スーパーでよく見かける品種です。その他にも細身でまだら模様が特徴の「マダケ」や、赤茶色の皮でさっぱりとした味わいの「ハチク」もあります。
煮てよし、焼いてよし、炊き込んでもよしと使い勝手の良いタケノコは、食物繊維が豊富なほか、カリウムなど栄養も豊富です。腸内環境を整え、コレステロールの吸収を抑えてくれるので、動脈硬化や高血圧の予防も期待できます。
タケノコを選ぶときには穂先が黄色く、切り口が白く乾燥していないものがよいでしょう。皮は薄茶色のものがおすすめで、濃い色のものは避けるのがポイントです。タケノコは日光を浴びると光合成をするので、エグみやアクが増してしまうからです。
日光だけでなく時間の経過もアクが増えてしまう原因になるので、手に入れたらすぐに茹でてアク抜きをすることが大切です。スーパーで売っているタケノコは収穫から時間が経っているものもあるので、米ぬかや赤唐辛子を使うとよいでしょう。
タケノコを使ったおすすめレシピ
- タケノコのピリ辛炒め
-
旬のタケノコをごま油と豆板醤で炒めたレシピです。ごま油の香りと豆板醤の辛みがタケノコによく合い、ご飯が進む一品です。
「たけのこのピリ辛炒め」のレシピはこちら
ワラビ
春になると野山で芽を出し始めるワラビ。山奥でなくとも採れるので、古くから愛されてきた身近な山菜の1つです。ワラビの根にはデンプンが多く含まれ、わらび餅の原材料としても利用されます。新鮮なワラビは緑色で産毛がたくさんついており、茎が太くて短く、先端が伸びず曲がっているものを選ぶとよいでしょう。
ワラビにはビタミンB2、ビタミンE、食物繊維が含まれています。皮膚・粘膜・髪・爪などの細胞の再生、動脈硬化予防や血圧低下、腸内環境の改善に役に立つと考えられています。ただし、ワラビは山菜の中ではアクが強く、毒性のある成分も含まれているので、しっかりとアク抜きをしてくださいね。
ワラビはお浸しにして苦味と粘り気を楽しむのが定番の食べ方ですが、何にでも合わせやすく、和え物、佃煮、天ぷら、炊き込みご飯など料理のバリエーションは豊富です。ごま油や調味料でさっと炒めてナムル風にしても美味しいですよ。
ゼンマイ
先端がくるっと丸まっている見た目が特徴的なゼンマイ。ワラビと共に山菜を代表する存在です。丸まっている若葉をワタ毛が包んでおり、そのワタ毛が落ちて大きくなる前の新芽を食用としています。
ゼンマイの選び方は白いワタ毛がヒント。新鮮なゼンマイにはワタ毛が残っています。さらに、巻きがしっかりしていて、葉が広がっていないものが美味しいとされています。
ゼンマイに多く含まれるβカロテンは体内でビタミンAとなり、目や皮膚の粘膜の健康維持や、抵抗力を高める働きがあります。ビタミンAに変換されなかった分のβカロテンには抗酸化作用があり、老化抑制、動脈硬化予防なども期待できます。その他にビタミンCや食物繊維も含まれています。
スーパーで売られている水煮と違い、生のゼンマイはアク抜きが必要です。ゼンマイはクセが少なく、他の食材と一緒に油で炒めたり、煮物にしたりするのが定番。常備菜やお弁当のおかずとしても使いやすい食材です。
初夏に旬を迎える葉物野菜
春キャベツ
春キャベツはふんわりとした丸い形をしているのが特徴です。普通のキャベツに見慣れていると「中身が詰まっていない」と敬遠してしまいそうですが、葉がやわらかく生でも食べやすいので、サラダとして好まれています。調理する場合は、和え物に使うなど素材の味を活かした使い方がおすすめです。
キャベツに含まれるビタミンKは胃腸薬の成分としても使われています。傷んだ胃粘膜の修復を助けてお腹の調子をよくする作用が期待できます。その他にもカルシウム、ビタミンC、カリウムなどたくさんの栄養が含まれています。
春キャベツを使ったおすすめレシピ
- キャベツとお豆腐入りメンチカツ
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栄養価の高い春キャベツと豆腐を使った身体に優しいメンチカツ。アルコールから胃粘膜や肝臓を守る栄養素を多く含むため、二日酔い予防にもなるおつまみとしてもおすすめです。
「キャベツとお豆腐入りメンチカツ」のレシピはこちら
チンゲン菜
中国の食材であるチンゲン菜は日本に来てまだ50年ほどですが、和食にも洋食にも取り入れられるおなじみの食材。シャキシャキとした食感と癖のないほのかな甘みが特徴です。中華食材ということもあって炒めものとの相性は抜群。煮崩れもしにくいので、スープやお浸しにも活躍します。
チンゲン菜に含まれるβカロテンは、免疫力アップや目や皮膚の粘膜の健康維持に期待できます。その他にも、皮膚のシミやしわを防ぐビタミンCや血行を促進するビタミンEなどを含む、栄養満点の食材です。
チンゲン菜を使ったおすすめレシピ
- しらすとチンゲン菜のペペロン炒め
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初夏に旬を迎えるチンゲン菜としらすを使った炒め物です。中華のイメージが強いチンゲン菜ですが、オリーブオイルで炒めても美味しく頂けます。
「しらすとチンゲン菜のペペロン炒め」のレシピはこちら
初夏に旬を迎える茎野菜
アスパラガス
可愛らしい形のアスパラガス。実は収穫まで2年から3年もかかります。食用になったのは明治以降で、一般家庭で広く食べられるようになったのは1950年代からと言われています。青臭さもありますが、シャキシャキとした食感が楽しめます。
アスパラガスは栄養が豊富で、疲労回復にはもってこいの食材です。アスパラガスに多く含まれる「アスパラギン酸」は栄養ドリンクにも使われ、ビタミンA、ビタミンB1、B2、ビタミンC、ルチン、ビタミンE、食物繊維なども多く含みます。
ただし、アスパラガスに含まれる栄養成分は水に溶け出しやすいので、茹でる調理方法はなるべく避けましょう。そのまま油と一緒に短時間でサッと炒めるのがよいでしょう。油を避けたい場合には、ラップをかけてから電子レンジで1~2分(600W)ほど蒸す調理方法がおすすめです。
アスパラガスを使ったおすすめレシピ
- 釜揚げしらすとアスパラのスパゲティ
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アスパラガスの栄養素を逃さず食べるなら、さっと油で炒める調理方法が一番です。初夏に旬を迎えるしらすと合わせれば、栄養満点なパスタに仕上がります。
「釜揚げしらすとアスパラのスパゲティ」のレシピはこちら
ニンニクの芽
お肉料理などで大活躍するニンニク。よく目にするのは地中に埋まっている球根の部分で、ニンニクの芽と言われている部分は実は「茎」なのです。
ニンニクは春から初夏にかけて花をつけるため、この時期に茎が地上に伸びていきます。しかし、花が咲くとニンニクの球根の栄養が減ってしまうので、一般的には茎を切ってしまいます。それがニンニクの芽として食べられています。ニンニクの芽の多くは中国からの輸入品ですが、旬の初夏には国産のものも売られています。
ニンニクの芽にはアリシン、ビタミンB6、ビタミンCなど、疲労回復や新陳代謝に効果のある成分が多く含まれています。ニンニクの香りも適度にあり、食材の臭み消しとしても使えます。炒めものを中心に、和洋中問わず様々なレシピで活躍してくれるでしょう。
初夏に旬を迎える意外な野菜
トマト
夏野菜と思われがちなトマト。実は旬が初夏であることをご存知でしょうか? たしかに夏の出荷量も多いですが、トマトは高い気温が得意ではありません。夏に採れるトマトは水気が多く、さっぱりとしています。一方、初夏のトマトは甘みが強く、濃い味で栄養価も高いのです。
そんな初夏のトマトには、リコピンが豊富。リコピンはトマトを赤くさせる成分で、抗酸化作用による老化の抑制、生活習慣病の予防、美肌効果が期待されます。その他、体の抵抗力を高めるビタミンC、高血圧予防が期待できるカリウムなどが含まれています。
甘みの強い初夏のトマトは、サラダにしても美味しいでしょう。栄養を効果的にとるには油を使うと効果的。オリーブオイルを使ってカプレーゼにするのもおすすめです。また、リコピンは加熱すると栄養の吸収率がアップするので、スープや煮込み料理に取り入れてもよいですね。
トマトを使ったおすすめレシピ
- アボカドとトマトとサーモンのマリネ
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夏のイメージが強いミニトマトも、実は初夏に旬を迎えます。マリネにすれば、甘みの詰まった初夏のミニトマトをおいしく味わうことができます。
「アボカドとトマトとサーモンのマリネ」のレシピはこちら
初夏に旬を迎える果物
初夏に美味しいのは野菜だけではありません。暖かくなるのに合わせて、いろどり豊かな果物もドンドン増えていきます。初夏の果物は南国をイメージさせるものや、古くから日本で食べられてきたものなど種類も豊富。ギュッと味の詰まった初夏の果物は、食卓を明るくしてくれるでしょう。
初夏に旬を迎える果物の種類と選び方
初夏に旬を迎える果物の代表例は、以下のとおりです。
- さくらんぼ
- ライチ
- ビワ
- メロン
果物は野菜と比べれば食べる機会が少なく、美味しいものを選ぶコツが分からないという人もいるでしょう。選び方のポイントを知って、旬の果物を美味しく楽しみましょう。
さくらんぼ
桜の一種であるさくらんぼは、その可愛らしい姿からデザートに添えられるなど人気が高い果物です。甘みと酸味のバランスがよく、他の味を邪魔しないおしゃれさが特徴ですよね。
さくらんぼの選び方のコツは赤くて光沢・ツヤがあるものを選ぶことです。特に色はポイントで、黒ずんで茶色がかった色や、青みが残っているものは避けましょう。枝の部分が鮮やかな緑色で、シッカリしたものを選ぶことがコツです。
さくらんぼは鮮度が落ちやすいので早めに食べることが基本です。保存するには風通しのよい涼しい場所が良いですが、急激な温度変化には弱いので、冷蔵庫に入れるときは温度差に注意しましょう。
ライチ
ライチは中国やベトナムで栽培され、日本でも沖縄や九州など暖かい地域で栽培されています。ホテルのバイキングやレストランなどで目にすることが多いのではないでしょうか。きれいなピンク色で食感はプルッとした肉感があります。
ライチは硬めの皮に包まれています。皮付きの状態で購入するのであれば、皮に張りがあって鮮やかな色のものを選びましょう。
ライチにはビタミンCや葉酸が豊富に含まれていて、美肌効果があります。ただし、強い成分も含まれておりますので、1日に10個以内(子供は5個以内)にとどめるように気を付け、たくさん食べすぎないようにしましょう。どのような食べ物でも言えることですが、おいしいからといって大量に摂取すると体に負担がかかりますので気を付けてくださいね。
ビワ
やさしい甘さとみずみずしさが特徴のビワは、平安時代には日本にあったとされています。江戸時代から食用になり、品種改良が続いて今のような大粒の姿になりました。ビワにはβカロテン、カリウムなどが豊富に含まれており、健康維持に嬉しい果物です。
ビワを買う時は、全体にうぶ毛が残っていてハリとツヤがあるものを選びましょう。ヘタの部分がしっかりしており、鮮やかな赤みがかった黄色であることもポイントです。ビワは皮を剥いてそのまま食べるだけでなく、コンポートやジャムにしても楽しめます。
メロン
高級果物のイメージがあるメロンには、網目がついたものと無いものがあります。網目のついたメロンは甘みと香りが強く値段も高いですが、網目のないものは手頃な値段で買うことができます。
メロンには種類や栽培方法がたくさんあり、選び方もいろいろありますが、共通しているのは形です。しっかりと育てられたメロンは左右対称で、キズがありません。そして、ずっしりとした重みがあります。メロンは完熟すると香りが豊かになりますが、香りが強すぎる場合は熟しすぎているかもしれません。
まとめ
旬の食材は安いだけではなく、美味しく栄養も豊富で良いことがたくさん。初夏の野菜には山菜や茎野菜など芽吹いてきたものを頂く食材が多く、柔らかく食べやすい葉物野菜も特徴的です。
いつでも買えると思ってしまう野菜にも旬があり、季節によって味や栄養に変化があります。自然の恵みを取り入れて、初夏の食生活をより豊かに楽しみましょう。
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