御朱印帳
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御朱印帳の正しい使い方を初心者向けに解説!マナー・保管方法も知っておこう

「御朱印集めをしたくて御朱印帳を買ったけれど、何から始めたらいいか分からない」「御朱印をもらいに行く前に、正しい知識を身につけておきたい」こうしたお悩みをお持ちの方も多いでしょう。

御朱印帳の使い方には、とくに決まったルールはありません。しかし、自由度が高いからこそ、その扱いに困る人も少なくないのです。

そこでこの記事では、御朱印帳の使い方や選び方、忘れたときの対処法、保管方法に加え、御朱印を頂くときのマナーなどについても、詳しく解説します。

御朱印帳とは?

御朱印(ごしゅいん)とは、神社やお寺を参拝した証明として頂く印のことです。その御朱印を記入していく台紙が「御朱印帳」です。

御朱印の起源は諸説ありますが、もともとは「六十六部廻国聖(ろくじゅうろくぶかいこくひじり)」、略して「六十六部」と呼ばれる行脚僧の「納経請取状(のうきょう うけとりじょう)」と言われています。これは、六十六部の行脚僧が「写経」をして、お寺に納めた証明として朱印(ご宝印)を頂くものでした。

江戸時代になると神社仏閣の巡礼が庶民の間でブームになったことを背景に御朱印集めが始まり、現代に受け継がれました。御朱印帳も、六十六部の納経請取状の時代に誕生したと言われています。

御朱印帳の使い方

ここからは、御朱印帳の使い方について解説します。御朱印帳には、購入後に表題書きをはじめとした準備がいくつかあります。

それぞれのポイントも含めてお伝えします。

STEP①表紙に「御朱印帳」と記入する

販売されている御朱印帳には、以下の3種類があります。

  1. 「御朱印帳」と書かれた表紙があるもの
  2. 白紙のラベルだけが貼ってあるもの
  3. 白紙のラベルが付属しているもの

上記のうち、2と3に付属するラベルは「表題」と呼ばれるもので、「御朱印帳」と記入して使います。その他、御朱印帖、納経帳、集印帳と書く人もいます。

記入はご自身でも良いですし、達筆な方に頼んでも構いません。なお、購入先の寺社に頼む方法もありますが、観光名所など忙しい場所では断られる場合があります。お願いしたい場合は、事前に表題を書いてもらえるか確認しておくと安心です。

御朱印帳 題名

STEP②名前・住所を記入する(任意)

意外に多いのが、他の人と御朱印帳のデザインが被ることです。人気の御朱印帳をネットで購入する人も多いので、よく見かける光景でもあります。

ここで注意したいのが、御朱印帳の取り違いです。大切な御朱印帳をなくしてしまうのは悲しいもの。こうした事態に備えるために「表題」または「表紙裏」に、名前を書くことをおすすめします。

氏名のような個人情報の記載に抵抗がある場合は、自分にとって分かりやすいポイントマークなどを記載しても構いません。自分の御朱印帳だと見分けられることが大切です。

なお、表紙の裏側には、紛失に備えて住所や連絡先を記入しておいても良いでしょう。旅行先の寺社に置き忘れてしまった場合に、誰かが拾ってくれるかもしれません。

STEP③1ページ目は「伊勢神宮」に残す(任意)

御朱印帳の1ページ目をあえて空けて使う人もいます。この理由は、日本の神社の頂点とも言われる「伊勢神宮」で御朱印を書いてもらうためです。もしも1ページ目を残したいのであれば、御朱印をもらうときにその旨を伝えましょう。

なお、1ページ目残しはあくまでも任意であり、必ず行うべきことではありません。実際、寺社オリジナルの御朱印帳だと、1ページ目にあらかじめ御朱印が書かれているようなものもあります。決まりはありませんので、自由に御朱印集めを楽しみましょう。

STEP④片面と両面どちらで使うかを決める

御朱印を集める際には、片面使いと両面使い、どちらにするかが悩ましいところです。とくに決まりはないので、それぞれのメリット・デメリットを見比べた上で決めましょう。

メリット デメリット
片面
  • 裏写りの心配なし
  • 御朱印が見やすい
  • 冊数が増える
  • コストと保管場所が必要
両面
  • ページを節約できる
  • コストと保管場所が減る
  • 裏写りが心配
  • 御朱印が見にくい

片面使いは、御朱印の見やすさが魅力です。とくに蛇腹(じゃばら)式の御朱印帳だと、広げた際に御朱印が片面一列に並び美しいです。一方、両面使いに比べるとかかる費用は単純計算で2倍。冊数も増えるため、保管場所に困ることがあります。

両面使いは御朱印が2倍集められるので、冊数が減り、コストの心配を軽減できます。ただし、裏写りの心配があるため、特定の紙質を選ぶか、和紙やクリアファイルを挟むことが推奨されています。

また、裏面に御朱印をもらうことは一部で「失礼」とされる可能性があるので注意しましょう。

STEP⑤御朱印帳入れ・カバーを用意する

御朱印帳は和紙というデリケートな素材でできています。そのため、たとえば雨に濡れたり、バッグのなかで擦れたりすると、傷や汚れなどのダメージが残ります。とくに水分は大敵です。せっかくの御朱印が滲むなどの事態も考えられるでしょう。

こうした際、用意しておきたいのが御朱印帳カバーや御朱印帳袋です。インターネットで検索すれば、シンプルな物からデザイン性のあるものまで、さまざまなカバー・袋が見つかります。ご自身の好みに合わせて、選んでみましょう。

御朱印帳 カバー

御朱印帳の選び方

最近では、期間限定の御朱印をはじめ、キャラクターが描かれているものなど、さまざまな種類の御朱印が存在します。

御朱印のバリエーションが豊富になるのに伴い、神社などで販売されている御朱印帳のデザインもバラエティーに富んできました。また、雑貨店や文房具店、通販でも多種多様な御朱印帳が手に入ります。

ここからは、御朱印帳の選び方について紹介します。

製本の種類で選ぶ

御朱印帳の製本方法には「蛇腹(じゃばら)式」「中綴じ(なかとじ)式」「和綴じ(わとじ)式/紐綴じ(ひもとじ)式」の3タイプがあります。どの方式を選んでも御朱印は頂けるため、自分の使いやすい製本の種類を選べば問題はありません。

蛇腹式は、お経が書かれた経本のように一気にページを広げられ、集めた御朱印を眺めやすいことが特徴です。現在、販売されている御朱印帳は蛇腹式が多く、フラットに広げられることから書きやすいのも特徴です。開いた1ページ目には名前を書き、御朱印はその次のページから頂きます。

製本の種類で選ぶ

中綴じ式はページが広がりにくく、持ち運びやすいことが特徴です。御朱印をもらった後は、墨が他のページに付かないようページの間に挟む紙を用意しておきます。ただし、平たくなるようにページが開けないタイプの場合、御朱印の記入を断られることがあります。

和綴じ式は紐で綴じられており、接着されていないため、後からページの順番を変えられることが特徴です。御朱印をこだわりの順番で並べ替えたい方におすすめです。

紙質で選ぶ

御朱印帳を選ぶ際には、ページの片面と両面のどちらで使うのかをあらかじめ決めておく必要があります。

たとえば、ページの紙は「表面」と「裏面」がくっついているものが多いですが、その両面に御朱印を記入してもらうのであれば、裏写りのおそれがある紙質が薄い御朱印帳は避けた方が良いでしょう。

御朱印帳は、紙の質や素材によって値段が変わりますが、安いという理由だけで購入すると裏写りしたり、滲んだりする可能性があります。両面を使用するのであれば紙質を重視し、厚みのある奉書紙(ほうしょし)や雁皮紙(がんぴし)のものを選ぶのがおすすめです。

サイズで選ぶ

御朱印帳のサイズは、縦16cm横11cmの文庫本サイズと、縦18cm横12cmの大判サイズ(B6)が主流です。

通販サイトでは、大判サイズよりも大きなA4サイズから豆本サイズまで販売されていますが、迫力のある御朱印を残したい方には、大判サイズやA4サイズの御朱印帳がおすすめです。書き置きされている御朱印をそのまま貼れるというメリットもあります。

持ち運びの便利さを重視する方には、文庫本サイズがおすすめです。小さ過ぎるサイズの場合には、御朱印が書きづらく断られることがありますので、注意しましょう。

デザインで選ぶ

初めて御朱印帳を購入するときや、テーマが定まっていないときは、デザインを重視して探すこともひとつの方法です。

神社やお寺の御朱印帳は伝統的なものをはじめ、さまざまなデザインバリエーションのものが販売されるようになりました。通販で販売されている御朱印帳には、神社やお寺では販売されていないアニメやご当地キャラクターなどのデザインのものもあります。

また、広がり防止のバンドなど御朱印帳周りの小物類も種類が豊富です。

最近では、御朱印帳の素材やデザインは非常に豊富なため、性別や年齢を問わず好みのものが見つかりやすいでしょう。

神社やお寺で選ぶ

武将ゆかりの神社やお寺のご利益で選ぶという選択肢もあります。

好きな武将に関係する神社やお寺に足を運び、武将の家紋、旗印のデザインが入った御朱印帳を購入すれば、 1ページ目にその神社やお寺の御朱印が頂けます。

御朱印帳を頂くときのマナー

御朱印を頂く際には、神社やお寺のルールに従い、失礼なことや手間をとらせないことが最低限のマナーです。

ここからは、具体的に御朱印に関するマナーを6つ紹介します。

御朱印帳を開いて渡す

汚れを防止するためのビニールカバーが御朱印帳に付いていることがあります。ビニールを外さなくてもマナー違反にはなりませんが、開閉する手間がかかるため、外して渡した方が良いでしょう。

和綴じ式の御朱印帳は、平らに開くよう紐を緩め、御朱印帳をカバーに入れている方は、カバーは外しておきます。順番になったら、書いてもらいたいページを開いて渡すとスムーズに御朱印を受け取ることが可能です。

御朱印帳を両面使用している方は、空白のページを探すことに手間取ってしまうことがあります。そんなときには、御朱印帳にしおりがあると、すぐに目当てのページを開けるので便利です。

御朱印帳 開いて渡す

小銭を準備して静かに待つ

朱印料(御朱印の代金)を支払う際には、お釣りが出ないようにしておくことがマナーです。

朱印料が決められておらず、お気持ちで支払う場合は、とくに注意が必要です。お気持ちで支払う場合は、出したお金が代金となるため、小銭をあらかじめ準備しておくことをおすすめします。

また、朱印料は神社とお寺で呼び方が違います。神社では「初穂料(はつほりょう)」、お寺では「お志(こころざし)」や「志納料(しのうりょう)」と呼ぶところが多いので、間違えないようにしましょう。

御朱印を書いてもらっている間は、私語を慎み、写真や動画を撮ることも控えて静かに待ちます。どうしても撮影したいときには、必ず一声かけて、許可を得てから撮影しましょう。

小銭を準備して静かに待つ

書き方に注文をつけない

当然ですが、御朱印は書き手によって印象が違い、同じ書き手でも毎回同じ御朱印が書けるわけではありません。そのため、インターネットに掲載されている御朱印の画像を指し、書き方に注文をつけたり、見本と違うと文句を言ったりすることはマナー違反です。

祭事や法要、受付時間外には書き置きのみを扱っているという寺社もあります。参拝する前に公式サイトをチェックし、受付時間を確認しておくことをおすすめします。

授与所に預けて参拝する

参拝客が多い時期や休日は、待ち時間が長くかかるため、御朱印帳を授与所に預けて参拝できます。授与所に預ける際には、御朱印帳に貼り付けていない書き置きの御朱印や、失くしたら困るはさみ紙(下敷き・クリアファイル)、しおりは必ず外しておきます。

御朱印の受付時間は神社やお寺によって異なりますが、受付時間に御朱印帳を預け、参拝後は忘れずに受け取ってください。

頂けないところもある

御朱印がない神社やお寺もあります。とくに、浄土真宗の多くのお寺では、お参りの目的は教えを聞くことであり御朱印を集めることではないとされているところも多く、御朱印を頂けない場合があります。

ただし、いくつかの浄土真宗のお寺では御朱印や参拝記念スタンプを用意しているところもありますので、事前に確認してみてください。

転売や購入はしない

最近、フリマアプリやネットオークションでの御朱印の出品や購入が問題になっています。しかし、本来の御朱印は本人が参拝した証です。

どうしても直接足を運べない神社やお寺があるときには、御朱印の郵送をしてくれるのかを公式サイトでチェックし、問い合わせてみましょう。

インターネットで購入する際には、必ず公式サイトから購入し、神社やお寺のある方向に向かって神仏を拝む「遥拝(ようはい)」を忘れないようにしましょう。

御朱印帳は神社用とお寺用を別で用意した方が良い

冒頭でもご紹介したとおり、御朱印とは神社仏閣を巡礼したことの証であるため、実は宗教の違いなどは関係ありません。そのため、「神社用とお寺用で御朱印帳を分ける必要はない」ともされています。

ただし、実際には神仏混交をよしと思わない方もいらっしゃいます。実際、神社とお寺の御朱印が混じっていると、御朱印を断られることも稀にあるようです。

このように、実情に合わせるのであれば、御朱印帳は神社とお寺でそれぞれ別のものを用意するのが無難です。

なお、神社では文庫本サイズ、お寺では大判サイズを選ぶのが一般的とされます。ただし、これも決まりではありません。多少参考にしつつ、好みの御朱印帳を購入し、自由に使用しましょう。

神社とお寺の違い

御朱印帳を持っていくのを忘れたときは?

出先で偶然好みの寺社に出会ったり、旅行中にたまたま寺社へ立ち寄ったりした際、悔しくなるのが御朱印帳忘れです。「なんで今日に限って持ち歩いていないのだろう」と、後悔することもあります。

実は、御朱印帳がなくても御朱印自体は受け取れます。まずは授与所で御朱印帳を持参し忘れたことを伝えましょう。すると多くの寺社では、別紙に御朱印を書いてもらえます。

授受した御朱印の保管方法にも決まりはありません。後日、自宅に帰ってから御朱印を貼り付けたり、ファイルに入れて大事に取っておいたり。ご自身が管理しやすい方法を採りましょう。

御朱印帳の保管方法

御朱印帳を保管する際、粗末に扱わないのであれば、方法や方角に決まりはありません。ただし、御朱印帳には神社や仏様の名前が書かれているため、お守りやお札と考えて神棚や仏壇に保管すると良いでしょう。

神棚や仏壇がないときは、御朱印ケースや貴重品箱に入れたり、ホコリや湿気の少ない本棚に置いたりします。

まとめ

御朱印帳とは、御朱印をもらうための台紙のことです。最近では、さまざまなバリエーションの御朱印帳が販売されているため、まずはお気に入りのデザインの御朱印帳を探してみてはいかがでしょうか。

御朱印は神社やお寺を参拝した証明であり、御朱印を集めることを目的とするのは決して正しいとは言えません。しっかりとマナーを守り、感謝の気持ちを持って御朱印を拝受することを心がけましょう。

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