管理栄養士監修:玄米と白米の違いは?栄養素や炊き方を解説
そこで今回は、玄米の白米の違いやそれぞれに含まれる栄養素、玄米のうれしい効果やおいしい炊き方を解説します。
監修者
- 端場 愛(はしば あい)
- 管理栄養士・栄養食育ライター
中高生から高齢者まで幅広い世代の栄養管理に従事。食べ物と体の関係を分かりやすく伝えるために、栄養食育ライターとして活動中。“今日よりもちょっとだけ健康になれるような情報”を提供するのがモットー。
目次 [CLOSE]
玄米と白米との違い
まずは、玄米と白米の主な違いを解説していきます。玄米と白米の違いは、以下のとおりです[1]。
玄米 | 白米 | |
---|---|---|
見た目 | 稲の実からもみ殻だけを取り除いた状態 | 稲の実からもみ殻・ぬか層(果皮・種皮など)・胚芽を取り除いた状態 |
100gあたりカロリー | 152kcal | 156kcal |
特徴 | 栄養価が高い | 消化吸収しやすい |
ここからは、それぞれの違いについて、詳しく解説します。
玄米はもみ殻を取ったお米、白米は精米したお米
玄米と白米の違いは、精米しているかどうかです。
収穫したお米は、最も外側にある「もみ殻」という殻を取り除く「もみすり」の工程と、お米の表面にある「ぬか」や芽が出る部分の「胚芽」を取り除く「精米」の工程を経て、白米になります。
この一連の流れで、もみすりをして精米をしていない状態のお米を玄米と呼びます。
精米していない玄米と精米したお米である白米とでは、見た目の色も異なり、玄米は茶色、白米は白色をしています。
玄米と白米のカロリーは大きく変わらない
お米の加工の仕方が異なる玄米と白米ですが、カロリーは大きく変わりません。100gあたりのカロリーで比較すると、玄米は152kcal、白米は156kcal[1]です。
カロリーはほとんど同じ値ですが、玄米は浸水時間や炊き方によって味や食感が大きく変わるため、同じ量でも白米より食べごたえがあり、満腹感を得やすい特徴があります。
玄米は栄養が豊富、白米は食べやすく消化効率が良い
ぬかや胚芽が残っている玄米は、胚乳以外を落とした白米と比べて、多くの栄養素が含まれています。特に多く含まれるのが、ビタミンやミネラル、食物繊維です。
一方、精米によってぬかや胚芽が取り除かれている白米は、脂質や食物繊維が少ないため、食べやすく消化しやすいのが特徴です。胃腸に負担をかけずに栄養素を摂取でき、離乳食やおかゆにも向いています。
それぞれの栄養素については、後述の「白米と玄米の栄養素を比較」で紹介しますので、参考にしてください。
玄米と白米の栄養素を比較
玄米と白米に含まれる主な栄養素は以下のとおりです[1]。
可食部100gあたり | 玄米 | 白米 |
---|---|---|
エネルギー(kcal) | 152 | 156 |
たんぱく質(g) | 2.8 | 2.5 |
脂質(g) | 1.0 | 0.3 |
食物繊維(g) | 1.4 | 0.3 |
炭水化物(g) | 35.6 | 37.1 |
カリウム(mg) | 95 | 29 |
マグネシウム(mg) | 49 | 7 |
鉄(mg) | 0.6 | 0.1 |
ビタミンB1(mg) | 0.16 | 0.02 |
ビタミンB2(mg) | 0.02 | 0.01 |
ビタミンB6(mg) | 0.21 | 0.02 |
葉酸(μg) | 10 | 3 |
先述のとおり、玄米と白米のカロリーに大きな差はありません。一方、食物繊維、カリウム、マグネシウム、鉄、ビタミンB群、葉酸の含有量では、玄米が白米よりも高い値を示しています。
玄米のおすすめの炊き方
ここからは、玄米のおすすめの炊き方を紹介します。
玄米の炊き方は白米と異なります。炊き方によって味や食感が大きく変わるので、ぜひ参考にしてみてください。
もみ洗いをする
はじめに、玄米を入れた容器に水を注ぎ、ホコリやもみ殻の残りを取り除くように2回洗います。
次に、玄米をすくい、両手で擦り合わせるようにもみ洗いします。もみ洗いをすることで玄米に傷がつき、水を吸いやすくなります。
1合あたり水を300mL程度入れる
玄米は水を吸うのに時間がかかるため、1合あたり300mLを目安に水を入れましょう。
このとき、塩をひとつまみ入れることで、玄米の酸味や苦味を抑え、食べやすくなります。また、塩には、玄米の吸水を促進し、柔らかくする効果もあります。
3~6時間浸水させる
玄米は、ぬか層と呼ばれる果皮・種皮・糊粉層(こふんそう)に覆われているため、白米と比べて浸水に時間がかかります。浸す時間の目安は、夏場は3時間以上、冬場は6時間以上です。よりふっくらと軟らかく仕上げるには8時間ほど浸しましょう。
なお、浸水させる際は、高温・常温で放置すると雑菌が増殖しやすくなるため、冷蔵庫に入れておくのがおすすめです。
また、炊飯器に玄米で炊くモードが備わっている場合には、長時間の浸水は不要になる場合があります。機種により異なるため、お持ちの炊飯器の説明書に従ってください。
玄米モードで炊く
炊飯器に玄米モードが備わっている場合は、このモードで炊きましょう。玄米モードは、炊飯に約1時間半~2時間かかります。
玄米モードで炊きあがったら、すぐにふたを開けずに、そのまま10分ほど蒸らすとおいしく仕上がります。
炊飯器に玄米モードがない場合は、白米と同じ方法で炊いた後、30分ほど蒸らすと粘りが出て柔らかくなります。
浸水時間を短縮できる加工玄米もおすすめ
通常の玄米は3~6時間の浸水時間が必要なこともあり、忙しい方や不慣れな方にとっては少しハードルが高いかもしれません。そこでおすすめしたいのが、浸水時間が30分程度で済む加工玄米です。
水がしみ込みにくいぬか層に、傷をつけるなどの加工を施すことで、浸水時間が少なく、さらに白米と同じ炊き方ができるようになっています。
栄養価も玄米とほぼ変わらず、手軽に食べられるため、まずは加工玄米から試してみるのも良いでしょう。
玄米で得られる3つのうれしい効果
玄米は、白米と比べると栄養価が高く、健康面で多くのメリットがあります。ここでは、玄米を食べることで得られる効果を紹介します。
消化が緩やかで満腹感が続く
玄米には、ぬかや胚芽が残っているため、噛みごたえがあります。玄米をよく噛むことで、脳に満腹信号が送られ、満腹感を得やすくなります。
また、玄米に豊富に含まれている食物繊維には、消化に時間がかかるという特徴があります。これも、玄米を食べることで満腹感が続く理由です。
一方で、食物繊維の多い玄米は、白米よりも消化に負担がかかります。たくさん食べると、うまく消化できずに体調不良になるおそれがあるので、食べ過ぎには注意が必要です。
ビタミンB1が多く代謝に良い
玄米には、糖質をエネルギーに変換(代謝)する際に必要なビタミンB1が白米の約8倍含まれます[1]。
ビタミンB1が十分に摂取できていない状態では、糖質のエネルギー変換効率が下がってしまい、集中力低下や倦怠感、食欲不振などさまざまな症状が現れやすくなります。
また、ビタミンB1には水に溶ける性質があり、体にためておくことができないため、毎日積極的に摂取する必要があります。
そこで、毎日の主食を玄米にすることで、ビタミンB1を無理なく摂取でき、糖質を効率良くエネルギーに代謝できるでしょう。
GI値が低く血糖値が上がりにくい
玄米は、GI値(グリセミック・インデックス)が低い食品です。
GI値とは、食品を摂取した際の血糖値の上がり方を示した数値で、高いほど血糖値が上がりやすく、低いほど上がりにくいとされています。
GI値の高い食べ物は、素早くエネルギーに変換できるというメリットがあるものの、過剰摂取すると脂肪に変わりやすい、糖尿病のリスクが高まるなどのデメリットもあります。
玄米のGI値は56、白米のGI値は84[2]のため、玄米は白米と比べて血糖値が上がりにくい食品といえます。健康的な食生活を送りたい方は、白米の代わりに玄米を取り入れるのもおすすめです。
まとめ
玄米と白米の違いは、精米され、ぬかや胚芽が取り除かれているかどうかです。
精米された白米と精米されてない玄米では、含まれる栄養素や消化吸収の効率が異なります。玄米を食べることで、白米よりも多くのビタミンやミネラルを摂取でき、健康的な生活を送る手がかりとなるでしょう。
この記事を参考に、玄米を普段の食事に取り入れてみてはいかがでしょうか。
- 文部科学省:
日本食品標準成分表(八訂)増補2023年「第2章(データ)」「1穀物」 - 全国健康保険協会:
食べ方で血糖値の上がり方が変わる!?
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