管理栄養士監修:柿は皮ごと食べて大丈夫?栄養素や効能を解説
柿は生のまま、皮ごと食べても問題ありません。柿の皮には、ビタミンCやポリフェノールなどの栄養素が豊富に含まれています。
今回は、柿の皮に含まれる栄養素やその健康効果、皮ごとおいしく食べるための方法をご紹介します。
監修者
- 保科 琴美(ほしな ことみ)
- 東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士
管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。
柿は生のまま皮ごと食べられる
柿は皮ごと食べることができます。表面を適切に洗えば、農薬などの心配もありません。完熟して柔らかくなった柿は、美味しく食べられるうえに栄養価が高く、皮を剥いて食べるよりも栄養素を多く摂取できます。
柿の皮と実の間である「皮目」には、ビタミンCやβカロテン、タンニンなどの栄養素が含まれています。果肉以上の栄養価があることから、健康維持や疾病予防を目的に皮ごと柿を食べる人も少なくありません。
ただし、柿の食べ過ぎには注意しましょう。柿に含まれるタンニンやペクチンの過剰摂取は、便秘や下痢、腹痛といった消化器疾患の原因になります。成人の場合、1日あたり1〜2個、子供や妊婦は1個を目安に食べるといいでしょう。
柿の皮に含まれる栄養素と効能
先述のように、柿の皮にはたくさんの栄養が含まれているので、できるだけ捨てずに食べるのがおすすめです。ここからは、柿の皮に含まれる主な栄養素とその健康効果について解説します。
食物繊維で満腹感を得られる
柿の皮は、食物繊維がとても豊富に含まれています。食物繊維は腸内で水分を吸収して膨らむため、少量でも満腹感を得られます。
さらに、食物繊維には糖質の吸収を緩やかにする働きがあります。糖質の吸収が抑えられることで、血糖値の急激な上昇も抑えられ、糖尿病や高血圧など、生活習慣病の発症リスクを低減させることができます。
ポリフェノールが生活習慣病を予防する
柿の皮に含まれるポリフェノールには、抗酸化作用があります。これが体内の活性酸素などの有害物質を除去し、細胞の酸化を防止することで、動脈硬化や心臓病、がんなどの生活習慣病のリスクを低減させます。
また、抗酸化作用により、肌を引き締めたり、肌へのダメージを保護したりと、美肌効果も期待できます。
ビタミンCがしわ・たるみを防ぐ
柿の皮には、果肉以上に多くのビタミンCが含まれており、お肌のしわ・たるみを防ぐことで知られるコラーゲンの生成に役立ちます。十分に摂取することで、肌トラブルを未然に防ぎやすくなるでしょう。
また、ビタミンCはシミやそばかすの予防にも役立ち、効果的に摂取することで、肌や爪、髪の毛の健康維持に繋がります。
βカロテンにより免疫力が向上する
βカロテンは体内でビタミンAに変換され、身体の免疫力を強化します。柿を皮ごと食べることで、感染症や風邪などの予防に役立ちます。
また、βカロテンそのものにも抗酸化作用があり、免疫細胞を活性化させ、皮膚や粘膜の健康維持をサポートします。
カリウムが老廃物を排出する
柿の皮に含まれるカリウムには、体内の余分なナトリウムを尿中に排出する作用があります。これにより、体内の塩分バランスが調整されるため、高血圧の予防や改善の効果があります。
また、カリウムが水分と塩分のバランスを適切に保つことで、顔や手足のむくみが解消されやすくなります。このように美容の観点からも、カリウムは大切な役割を担う栄養素といえるでしょう。
タンニンが二日酔いを予防する
渋み成分として知られるタンニンですが、二日酔いの原因物質であるアセトアルデヒドの体外への排出を促す効果があります。また、タンニンはアルコールの吸収を遅らせるため、二日酔いの予防・改善に役立ちます。
さらに、胃粘膜を保護する働きもあり、胃もたれや胃痛の軽減にも効果的です。
ペクチンが腸の働きを活性化させる
水溶性食物繊維の一種であるペクチンは、腸内で発酵して善玉菌の餌となり、腸内環境を改善します。
そのため、柿の皮を食べると腸の動きが活発になり、便秘の改善や予防に貢献します。
鉄分が貧血を防止する
柿の皮には、少量ですが赤血球の生成に不可欠な栄養素であり、貧血の予防や改善に役立つ鉄分も含まれています。
また、柿に含まれる豊富なビタミンCは、鉄分の吸収を促進する効果もあるため、皮と一緒に食べることで効率的に鉄分を摂取できるでしょう。
柿を皮ごと食べる際の注意点は?
柿は栄養価の高い果物ですが、皮ごと食べる際にはいくつかの注意点があります。ここでは、柿の皮を摂取しすぎることで起こる人体への影響を解説します。
腎臓の働きを活性化させることでトイレが近くなる
柿の皮に多く含まれるカリウムは、腎臓でナトリウムの再吸収を促進する効果があります。結果として尿の生成が増加し、トイレに行く頻度が高くなる可能性があります。
さらに、柿が旬を迎える秋は気温が低下しやすい時期です。頻繁にトイレに行くことで体温が奪われ、体が冷えやすくなります。そのため、特に冷え性の方や高齢者の方は、柿の皮の食べ過ぎに注意しましょう。
胃に悪影響を及ぼす可能性がある
柿の皮を過剰に摂取すると、胃内で消化されずに塊を形成することがあります。
これは「柿胃石」と呼ばれ、柿の皮に含まれるタンニンが胃酸と反応して、食物繊維を凝固させることで発生すると考えられています。主に食欲不振や胃痛、吐き気・嘔吐などの症状を招きます。
腸の働きが悪くなるリスクがある
柿の皮は便を柔らかくするペクチンと、便を固めるタンニンの両方を含む果物です。
そのため、柿の皮を食べ過ぎると便秘や下痢、腹痛を引き起こす原因になります。
柿の皮に付いた農薬の落とし方
日本において、残留農薬が基準値を超える食品は法律で販売が禁止されています。そのため、農薬の付着を過度に心配する必要はありませんが、それでも気になる方は以下の方法をお試しください。
50℃前後のお湯で洗う
残留農薬は熱に弱く、溶けやすい性質があります。50℃前後のお湯に柿を2分ほど浸けて、その後水で洗い流すことで柿に付着した残留農薬が落ちやすくなるでしょう。
なお、43度以下のお湯で洗うと、逆に雑菌などが繁殖する可能性があるため注意しましょう。
食用の重曹で洗う
大きなボウルに水と小さじ1~2杯程度の食用の重曹を投入し、そこに柿を1分程度浸します。次に流水でしっかりと洗い流しましょう。
長時間浸すと、柿の水溶性栄養素(水に溶ける性質をもつ栄養素)が流出するので、あまり長い時間浸さないように注意してください。
酢水で洗う
ボウルにお酢と水を1:2もしくは1:3の割合で混ぜ、そこに柿を1分ほど浸します。その後、酢の臭いが気にならない程度まで、しっかりと水で洗い流します。
柿を皮ごと食べるおすすめの食べ方3選
柿を皮ごと食べることで効率的に豊富な栄養素を摂取できます。ここでは、柿を皮ごと食べるときのおすすめの食べ方やレシピをご紹介します。
丸ごと柿のスムージー
柿を皮ごとカットし、ヘタや種を取り除いてミキサーに入れるだけで、栄養満点のスムージーが完成します。
皮特有の食感や味わいを気にせず、ゴクゴクと飲める一杯です。他の果物や野菜、ヨーグルトなどを加えて、オリジナルスムージーを作るのもよいでしょう。
皮付き柿の天ぷら
皮付きのまま適当な大きさにカットした柿に天ぷら粉をまぶし、180℃の油で揚げて完成です。
天ぷらにすることで甘みが増し、独特のトロッとした食感も楽しめる一品です。塩を少し振りかけると、甘みと塩味のコントラストが絶妙で、より美味しくいただけます。
柿の皮チップス
柿の皮を捨てずにおいしく食べる方法として、「柿の皮チップス」があります。作り方は以下の通りです。
- 柿の表面を洗浄し、しっかりと拭き取る
- 柿の皮を剥く
- 天板にオーブンシートを敷いて皮を並べる
- オーブンを予熱してから130℃で60分焼く
- 完成
ポイントは、皮をしっかりと焼くことです。火がきちんと通っていないとカリッとした食感が得られず、美味しさが半減してしまいます。焦げすぎないように、定期的に焼き加減をチェックするといいでしょう。
まとめ
柿の皮には、栄養素が豊富に含まれています。皮ごと食べることで、これらの栄養素を効率的に摂取できるでしょう。
ただし、柿の皮の食べ過ぎにはリスクがあるため注意してください。スムージー、天ぷら、柿の皮チップスなどのレシピを試し、柿を皮ごと美味しく食べてみてください。
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