子どもの自己肯定感を育むには? 接し方・ほめ方・叱り方のコツ
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自立した子どもに成長するために必要なものは、自己肯定感です。困難に直面したときに、そのまま倒れてしまうか立ち上がれるかの違いは、心の土台である自己肯定感が育まれているかどうかにあります。ここでは、子どもの自己肯定感を育むコツを、「接し方」「ほめ方」「叱り方」の3つのポイントでまとめています。何事にもチャレンジする意欲を持ち、自分で生き抜くことができる子どもを育てるためのヒントにしてください。
愛情を正しく伝える「接し方」
子どもの自己肯定感を育むために「これが正解」という答えはありません。ただひとつ、親である自分たちが愛情を持って接していると子どもに伝わるように心がけましょう。愛情を伝えるための主なポイントを紹介します。
1.スキンシップをとる
子どもが成長する過程において、スキンシップはとても重要です。抱っこしたり、抱きしめたり、手を握ったりなど、スキンシップは子どもの心を安心させ、幸せな気持ちにさせます。スキンシップを繰り返すことで、子どもは「自分は大事にされている」「自分は大切な存在なんだ」ということを肌や感覚で自然に感じるようになります。
この感じた気持ちこそが、自己肯定感です。そして、その気持ちを繰り返し感じることによって、自己肯定感が育まれていきます。当たり前のことと感じる人も多いかもしれませんが、スキンシップができていない親は意外と多いので、積極的に行うように意識しましょう。特に、スキンシップに慣れないまま大人になった人は、スキンシップをとることに躊躇する傾向があります。
2.言葉をかけて話を聞く
自己肯定感は何歳からでも育み直すことができますが、最初に自己肯定感の土台をつくるのは0〜3歳といわれています。言葉を覚える前でも、気持ちを汲んでたくさんの言葉をかけてあげましょう。すると、子どもは、自分の気持ちを表現する言葉を覚えていきます。そして、話しかけられることで安心し、「自分は大切な存在なんだ」と感じることができます。
また、子どもと目を合わせて「そうなんだね」と肯定しながら、話を聞いてあげることも大切です。親が子どもを大切な存在だと思っていても、子どもにうまく伝わっていない場合があります。怒られたことで不安になってしまう子どももいます。子どもにとって、しっかりと話を聞いてもらえるということは、「自分は大切にされているんだ」と感じるきっかけとなり、自己肯定感を育むためのエネルギーになります。
3.ありがとうを伝える
子どもの自己肯定感を育むために、一番有効ともいえる言葉が「ありがとう」です。子どもは、感謝の気持ちを伝えられることで嬉しいと感じ、「感謝してもらえる存在なんだ」と存在価値を確認できます。
自己肯定感が低い子どもは、「自分が必要とされていない存在だ」と思っている傾向があります。小さなことでも「ありがとう」「助かったよ」とたくさん伝えて、子どもが自分の存在価値を高められるように導きましょう。日頃から「ありがとう」という言葉をたくさん聞いている子どもは、自分も「ありがとう」と言えるようになります。すると、周囲の親や大人の自己肯定感も高まります。「ありがとう」の連鎖を広げましょう。
やる気を生み出す「ほめ方」
上手にほめるという行為は、簡単そうで難しいものです。ほめ方を間違えると、子どもはほめられることを当たり前と思ってしまうので注意しましょう。正しいほめ方を身に付けましょう。
1.ほめるときの注意点
なんでもかんでもほめていると、子どもはほめられることを目的に行動するようになり、自分のしたいことややりたいことを見失って、自分の意思を持ちにくくなってしまうことがあります。自分の力で生き抜くためには、自分の意思で決めることも大切です。
また、「いい子ね」「お利口さんね」と言われると、子どもは嬉しいと感じて頑張ろうとします。多用してしまいがちなほめ言葉ですが、それが弊害になることもあります。ずっと「いい子」と言われ続けた子どもは「いい子」であろうとして、大人の顔色を気にし、自分のしたいことややりたいことを我慢するようになってしまうからです。ほめるときは、心から素直に、そして、どこがよかったのかを具体的に伝えましょう。
2.過程をほめて、いいところに目を向ける
たとえば、子どもが良い成績をとったときに、「すごいね!」とほめるだけでは不十分です。「毎日頑張った」「日々努力した」という過程や姿勢をほめる必要があるからです。「成績」や「結果」だけに注目すると、大人の顔色を伺う子どもになってしまうかもしれません。また、結果を残せなかったときに、「自分はダメだ」と自己肯定感が下がってしまうかもしれません。頑張っている姿勢を認め、子どもの良いところを言葉に出して伝えましょう。
また、子育てでは、子どものできていないところが目につきがちです。しかし、子どもは子どもなりに頑張って毎日を過ごしているはずです。子どもの頑張っているところや、できているところに目を向けましょう。子どものできていないところを叱るのではなく、できていることころをほめるように心がければ、子どもは「認められた」という気持ちになり、やる気が出るのです。
3.具体的にほめて、自分を主語に伝える
ただ「えらいね」「すごいね」とほめても、子どもには「何がえらいのか」「どこがすごいのか」がわかりません。たとえば、足が速いことをほめるのであれば、「足の蹴る力も強いし、手もしっかり振れているね」と、行動に対する具体的な事実やポイントを言語化して伝えましょう。すると、それを聞いた子どもに、「次はここを頑張ろう」「次はこうしてみよう」と、創意工夫の気持ちが湧いてくるのです。
また、子どもにメッセージを伝えるときは、「相手」ではなく「私」を主語にすると効果的です。「私は、〇〇ちゃんがお手伝いをしてくれたおかげで助かったよ」「私は、〇〇君が努力をしている姿を見てとても嬉しかったよ」と、自分を主語にしてメッセージを伝えることで、子どもは親の気持ちがわかり嬉しく感じます。
感情的にならない「叱り方」
叱る場面は感情が高ぶっていることが多いため、つい大声になりがちです。しかし、感情的に怒ってばかりいると、子どもは恐怖心を抱いて自分の気持ちを出せなくなり、親の顔色を伺うようになってしまいます。上手な叱り方を心がけましょう。
1.怒りすぎるとウソをついてしまう
怒ってばかりいると、子どもは怒られたくない一心でウソをつくようになります。生まれつきウソつきな子どもはいません。子どもがウソをつくのは、怒られるという恐怖感を繰り返し体験した結果なのです。子どもにウソをついてほしくないのであれば、感情的にならずに、事実を受け入れて正しく叱ることを繰り返しましょう。そして「正直に言ってくれてありがとう」と伝え続ければ、正直に話してくれる子どもになります。
とはいえ、親だって人間なので、つい感情的になってしまうこともあるはずです。そして、「またやってしまった」と自己嫌悪になることもあることでしょう。そんなときは、「感情的になってごめんね」と、子どもへ素直に謝ればいいのです。親でも間違ったら謝るという姿勢を見せれば、子どもも素直に謝ることを覚えます。何より重要なのは、「怒ることもあるけど嫌いになったりしないよ」「怒っても愛していることに変わりはないよ」と伝えることです。
2.子どもの理由を想像し、過去を持ち出さない
親には理解できなくても、子どもには子どもの理由があります。部屋が片付けられないのなら、片付け方がわからないのかもしれませんし、部屋が片付けにくい配置なのかもしれません。まずは、子どもなりの理由があることを考える意識を持ちましょう。理由を知りたいからといって、「なぜ」「どうして」を連発するのは、子どもが萎縮するだけなので避けましょう。「だらしがない」「ダメな子ね」といった子どもを否定する言葉も、自己肯定感を低くするだけなので厳禁です。
また、「この前もそうだったよね」「あのときも同じことをしたよね」と過去を持ち出されると、子どもは「また同じことで怒られるのか」と、反省する気がなくなります。親が怒ったり叱ったりするのは、「改善してほしいから」のはずです。それなのに反発心を生んでしまうのでは本末転倒です。伝えることは今起こっていることのみにとどめ、過去を持ち出さないように心がけましょう。
3.おだやかな態度で、一緒に解決策を考える
どんなに正しいことでも、きつい言葉づかいや態度では、子どもには伝わりません。「怖い」「逃げたい」「早く終わって」という気持ちばかりが湧き、話の内容を覚えていない場合がほとんどです。子どもを叱るときは、おだやかな態度や言葉づかいを心がけましょう。
また、何度も叱っても同じことを繰り返すとしたら、それは、子どもが「改善すべきポイント」をわかっていないことになります。改善すべき点について「〜してほしい」と、リクエストするように伝えましょう。そして、できるための解決策を一緒に考えましょう。たとえば、朝が苦手な子どもだったら、「ちゃんと起きてほしいな」とリクエストしてから「どうやったら起きられるかな」と問いかけて、「夜は早く寝る」「目覚まし時計を増やす」などのプランを一緒に考えます。すると、子どもも「頑張って達成しよう」と自立した考え方に意識が向いていくのです。
まとめ
自己肯定感とは、自立して生きて行くために必要な要素であり、困難に直面したときに立ち上がれるかどうかの土台になります。子どもの自己肯定感を育むための正解はありませんが、「愛情を正しく伝える接し方」「やる気を生み出すほめ方」「感情的にならない叱り方」を意識しつつ、親の愛情をしっかりと子どもに届けましょう。
子育てで重要なことは、親が子どもの心の安全基地でいることです。子どもをしっかりと見て、子どもの心に寄り添いましょう。子どもだって、家の外に出たらたくさんのストレスに囲まれているはずです。「家に戻れば心の安全基地がある」と思えることが、子どもの成長にとって、とても大事なことなのです。
引用書籍:『子どもの自己肯定感を高める「接し方・声のかけ方」 自分で考えて生き抜く力をもつ子に育てるコツ』(本多優子著/ソシム)2021年8月出版
出版社・書籍紹介:『子どもの自己肯定感を高める「接し方・声のかけ方」 自分で考えて生き抜く力をもつ子に育てるコツ』(本多優子著/ソシム)2021年8月出版
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