【2024年】初午とは?いつ?意味・由来や過ごし方を解説
「初午(はつうま)の日」とは、2月最初の午の日を指す言葉です。ただ、「言葉は知っていても、どんな日なのかよく分からない」という方も多いでしょう。各地の稲荷神社で行われる「初午祭」を前に、初午の風習について詳しく知りたいという方もいるかもしれません。
そこでこの記事では、今年の初午の日付から、初午の意味・由来、初午の日の過ごし方まで解説します。初午祭が行われる稲荷神社もご紹介しますので、今年の初午は稲荷神社に参拝して、家族の健康や五穀豊穣を祈願してみてはいかがでしょうか。
目次 [CLOSE]
初午(はつうま)の日とは
初午とはどのような日で、何に祈願するのでしょうか?まずは初午の日の意味について、見ていきましょう。
意味:豊作を祈願する日
初午の日には、豊作を祈願するという意味が込められています。作物の収穫が多くなるように、そしてその年の作物が安定して育つことを願う重要な日として、昔から大切にされてきました。
なお、なぜ豊作がもたらされるかについては、豊作にご利益がある稲荷大神が関係しています。次項から、その由来について解説します。
豊作祈願と稲荷信仰の結びつきが由来
初午の日の由来とされるのが、穀物や農耕の神様である稲荷神を祀る稲荷信仰との関連です。
稲荷神は、和銅4年(711年)に稲荷山(現在の伏見稲荷大社)に鎮座したと伝えられています。その日が初午の日だったことから初午と稲荷信仰が結びつき、初午の日に豊作を祈願する「初午祭」が行われるようになりました。
また、稲荷神は親しみを込めて「お稲荷さん」とも呼ばれています。狐はその使者として知られており、狐が好むとされるのが油揚げです。そのことから、人々はお稲荷さんに油揚げや油揚げで酢飯を包んだものを奉納するようになったとされ、それが「いなり寿司」になりました。
現在でも、初午の日には稲荷神社にいなり寿司を奉納したり、豊作祈願としていなり寿司を食べたりする習慣が残っています。
2024年の初午の日は「2月12日」
初午とは、2月の最初の午の日を指します。
かつて、日付は十二支(子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥)を用いて数えられていました。この十二支の順番は「子」から始まり「亥」で終わり、その後再び「子」から続きます。この日付の数え方を使用して、2月の最初の「午」の日を「初午」と呼ぶのです。
そのため、初午は毎年その日付が変わります。2024年の初午は2月12日(月)で、2025年は2月6日(木)となります。
2023年 | 2月5日(日) |
---|---|
2024年 | 2月12日(月) |
2025年 | 2月6日(木) |
2026年 | 2月1日(日) |
2027年 | 2月8日(月) |
なお、一般的には新暦の2月が初午とされますが、現代でも旧暦の2月(新暦の3月)に行事を行う地方もあるようです。
旧暦基準での初午の日付は以下のとおりです。2024年の旧暦基準での初午は、3月19日(火)となります。
2023年 | 3月1日(水)=旧暦2月10日 |
---|---|
2024年 | 3月19日(火)=旧暦2月10日 |
2025年 | 3月2日(日)=旧暦2月3日 |
2026年 | 3月21日(土)=旧暦2月3日 |
2027年 | 3月16日(火)=旧暦2月9日 |
また、毎年2月11日は「初午いなりの日」という記念日です。この記念日は一般社団法人「全日本いなり寿司協会」が制定したもので、「日々の健康や実りに感謝し、改めて家族や皆の幸せを願う」という初午いなりの伝統を伝える日になっています[1]。
「初午いなりの日」は毎年固定で2月11日とされているため、初午の日とは重ならない年が多いようです。
初午の日の過ごし方
初午の日には、そこまで特別な決まりはありません。それでも、今年一年の豊作や家族の健康などを願うのであれば、昔からの習わしに従うことも大切です。以下で、初午の日の過ごし方をご紹介します。
稲荷詣をする
稲荷詣とは、初午の日に稲荷神社へ参詣をすることです。
祈祷の方法は神社によって異なります。たとえば伏見稲荷大社では、商売繁盛・家内安全のお守りとして、稲荷山の杉の小枝で作られた縁起物である「しるしの杉」が参拝者に授与されます。
その他、神社によって「狐の面と呼ばれる干菓子を食べる」「野菜の辛子和えを食べる」「布袋そんけいの伏見人形が売られる」といったさまざまなものがあります。
いなり寿司を食べる
初午の日にいなり寿司をみんなで食べることも、定番の過ごし方です。
狐は農作物を荒らすネズミを好んで食べることから、農作物の守り神、あるいは稲荷神の使者として考えられてきました。そこで感謝の意を込めて、狐にお供え物をしようとなったのですが、動物の殺生をしてお供え物にするのは仏教の教えに反しています。
そのため、代わりにお肉の質感に近い油揚げをお供えするようになったそうです。これにちなんで油揚げ料理を「稲荷」と呼び、いなり寿司の習慣が始まったとされます。
なお、東西でその形や呼び名に違いがあり、東日本のいなり寿司は米俵型、西日本は狐の耳を模した三角形が主流になっています。
初午団子を食べる
初午の日の食べ物は稲荷だけではありません。その他にも、さまざまな食べ物が供えられ、食べられています。
たとえば、岐阜県や富山県などの養蚕(ようさん)が盛んな地域では「初午団子」が、初午の日にお供えする食べ物の定番となっています。これは蚕の繭をイメージしたもので、繭がたくさんできることを願って食べられていたという経緯があるようです。
北関東の郷土料理「しもつかれ」を食べる
栃木や群馬、茨城県では、初午の日に「しもつかれ」という郷土料理が赤飯と一緒に稲荷神社へ供えられる習慣があります。もちろん、初午の日に家族で食べる習わしもあります。
しもつかれは温かな食べ物で、まだ寒さが残る2月にはぴったりです。また、食べると病気にならない、といった言い伝えもあります。
全国のおすすめ稲荷神社
最後に、初午の日に初午祭を開催している、全国の稲荷神社をご紹介します。
伏見稲荷大社(京都府京都市)
伏見稲荷大社の「初午大祭」には、商売繁昌や家内安全を祈る多くの参拝者が訪れ、賑わいを見せます。注目は、縁起の良い「しるしの杉」の小枝の授与です。これは平安時代に、帰路の安全を示すための杉の小枝を身につけることが由来です。
なお、京都では、初午の日に特定の料理を食べる伝統もあり、その背景には伏見稲荷大社の創建者や狐の色に関する逸話があります。
所在地:〒612-0882 京都府京都市伏見区深草藪之内町68
祐徳稲荷神社(佐賀県鹿島市)
商売繁盛の神様を祀るとして有名な祐徳稲荷神社。初午祭の際には金運を引き寄せる「熊手」という縁起物が人気を集めています。
初午祭は単に参拝や縁起物の購入だけでなく、神社の境内で行われる貴重な地元の伝統芸能も大きな魅力の一つです。この伝統芸能は、毎年カメラマンやマスメディア、そして多くの参拝者が楽しみにして訪れるイベントとなっています。
所在地:〒849-1321 佐賀県鹿島市古枝乙1855
笠間稲荷神社(茨城県笠間市)
初午の日には、稲荷神の使者とされる狐が好む油揚げやいなり寿司をお供えし、五穀豊穣を祈る風習が存在していました。その伝統を引き継ぐ形で、笠間稲荷神社のある笠間では、地元の特色ある「笠間いなり寿司」を中心にした町興しのイベントが行われています。
初午祭は2月に行われますが、旧暦の初午大祭にあわせて、3月に「絵馬祭」も行われています。絵馬に書かれた祈願が成就するようお祈りする神事です。
所在地:〒309-1611 茨城県笠間市笠間 1番地
まとめ
初午の日は豊作を祈願する日であり、現代でもその風習が続いています。
2024年は2月12日が該当日となりますので、ぜひ稲荷神社への参詣などに出かけてみましょう。
- 一般社団法人 全日本いなり寿司協会:
初午いなりの日
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