生姜
食の知識

管理栄養士監修:生姜の9つの効能!健康に良い食べ方やレシピも解説

生姜(しょうが)は昔から薬としても用いられ、さまざまな効能が期待できる食材です。その効能から漢方薬にも配合されている一方で、肉料理や魚料理、茶碗蒸し、漬物など、さまざまな料理にもアクセントとして用いられています。

そんな万能食材の生姜ですが、具体的にどのような効果が期待できるのでしょうか?また、「生姜の効果的な調理方法についても知りたい」という方も多いはずです。

そこで今回は、生姜の主な効能や、摂取する上での注意点について解説します。生姜の効果を十分に発揮できる調理方法もあわせて紹介しているので、ぜひ参考にしてください。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

生姜には「血行促進」「冷え解消」の効果がある

生姜は、ショウガ科に属する多年草の植物であり、香辛料・調味料として広く親しまれています。活性力の向上や消化・吸収をサポートする効果が期待できるため、食材の味付けに使われるのはもちろん、風邪の症状を和らげる際にも役立つのが生姜の特徴です。

また、生で使用する場合と加熱した場合とで、得られる効能・効果が異なることもポイントです。ここでは、生姜に期待できる主な2つの効果について触れていくので、摂取目的に合わせて調理方法を工夫しましょう。

生の生姜:血行促進

生の生姜に多く含まれる「ジンゲロール」には、血行促進の効果があります。血管を拡張して血流を良くするため、手足が冷える末端冷え性や水分代謝が原因のむくみなどの解消に役立ちます。

また、発汗促進作用もありますので、夏場には体内の熱を排出する効果も期待できます。

加熱した生姜:冷え解消

生の生姜に含まれる「ジンゲロール」は、加熱することで体の芯を温める作用がある「ショウガオール」という成分に変化します。さらに、ショウガオールにも血行促進の効果があるため、体の内部で作られた熱を効率的に体に行きわたらせることができます。スープや煮込み料理、ココアやコーヒーなど、冬場に温かい食べ物・飲み物と一緒に摂るのがおすすめです。

生の生姜に含まれるジンゲロールをショウガオールに変化させるためには、生姜を刻んで10分ほど加熱して調理すると良いでしょう。ただし、摂取しすぎると体が乾燥しやすくなるので注意が必要です。妊婦さんや熱がある方は、控えることをおすすめします。

生姜

生姜を食べて得られる9つの効能

前述した通り、生姜には「血行促進」と「冷え解消」の効果が期待でき、以下9つの効能が期待できるのも特徴です。

生姜は料理に加えることで簡単に摂取でき、上記に挙げた効能を実感しやすいのがメリットです。

むくみ解消

生姜に含まれる「ジンゲロール」という辛味成分には、むくみ解消の効果が期待できます。

ジンゲロールの効能で血行が促進されると、余分な水分の滞留が改善されます。さらに、水分は発汗作用によって排出されやすくなりますので、結果としてむくみの解消につながります。

このように、むくみ解消にはジンゲロールが有効ですので、生の生姜で摂取するのがおすすめです。

殺菌作用・食中毒の予防

生姜に含まれるジンゲロールやショウガオールには、殺菌作用があります。これらの物質は「ファイトケミカル(フィトケミカル)」と呼ばれる化合物の一種で、炎症を抑える抗生物質に似た作用があると言われています。

殺菌作用をより実感するためには、生の生姜を摂取しましょう。生の生姜には、細菌の成長を抑制する効果もあるためです。

また、食材に生の生姜を入れることで、殺菌作用による食中毒の予防も期待できます。

消化促進

胃腸の調子が良くないときにも、生姜はおすすめです。生姜の血行促進効果は胃腸にも働き、消化を促進する効果があります。そのため、生姜は古くから胃腸の症状を緩和する漢方薬にも使用されてきました。

さらに、消化を促進することで吐き気や胃もたれも軽減する効果も期待できます。ただし、過剰に摂取すると胃腸を刺激して逆効果になってしまいますので、少量を慎重に摂取するようにしましょう。

消化促進の効果はジンゲロールにもショウガオールにもありますので、生姜は生でも加熱しても、どちらでも良いでしょう。ただ、胃腸への負担を考えると温かい食べ物・飲み物に加えて摂取するのがおすすめです。

消化促進

つわり・生理痛の緩和

生姜に含まれる胃腸の調子を整える効果は、つわりの症状である吐き気・嘔吐の改善も期待できます。生姜特有の成分であるジンゲロールとショウガオールには、生理痛の原因を抑制する「プロスタグラン」も含まれているため、生理痛がつらいときに摂取することもおすすめできます。

ちなみに、古くから船酔いの薬として生姜が使われてきたように、生姜はいわゆる「酔い止め」のような役割で摂取することも可能です。

胃や腸内環境の改善

血行促進効果により、胃腸の環境を改善できるのも生姜の特徴です。

ジンゲロールやショウガオールが胃腸内壁の血行を促進することで、生姜には胃腸の働きを活発する効果があるとされています。生姜に含まれる「ジンジベイン」には、タンパク質の分解をサポートする効果もありますので、あわせて胃腸に良い影響をもたらすでしょう。

また、これらの効果により、食べ過ぎによる胃もたれや腸内にガスが溜まることを緩和できるのも、生姜がもつ効能の一つです。

糖尿病のリスクを緩和

生姜に含まれる活性化合物には、インスリン値と代謝を改善させる効果があります。インスリン値が改善されれば血糖を効果的に処理できるようになるため、糖尿病のリスク緩和が期待できるでしょう。

生姜を乾燥させることで、さらに活性化合物の効果を強められるので、糖尿病予防として生姜を摂取したい場合には乾燥させて摂取するのがおすすめです。

口臭の予防・解消

生姜に含まれるジンゲロールには、唾液の中の酵素を活性化する効能もあります。唾液の中の酵素が活性化すると、口臭の原因となる物質が分解されるため、嫌な口臭が緩和できるでしょう。

さらに生姜による口臭予防・解消は、短期間で効果が期待できるのもメリットです。食後、口臭が気になってから摂取しても効果があり、ジンゲロールを含む生の生姜で摂取するのがおすすめです。

口臭確認

夏バテ予防

生姜に含まれるジンゲロールには、夏バテ予防につながる血行・発汗促進作用があります。血行・発汗促進作用は体内の老廃物の排出をサポートし、効果的に夏バテを予防できますので、生の生姜で摂取するのがおすすめです。

また「シネオール」という香り成分により、食欲増進や疲労回復効果が期待できるのも生姜の特徴です。これらの効果は、夏バテからの回復にもぴったりです。

冷え性の改善

加熱した生姜に含まれるショウガオールには、体温上昇や血行促進の効果が期待できるので、冷え性対策にもおすすめです。体の内部で熱を生み出し、血流によって手足の末端まで熱を届けることができるため、特に冬場は積極的な摂取をおすすめします。

また、生姜には基礎代謝を高める効果もあるため、慢性的な冷え性を根本から解消することにも効果が期待できます。

生姜を扱う際の注意点

生姜は、適切に摂取することでより優れた効能が期待できます。ここで挙げる注意点を把握しつつ、正しく摂取しましょう。

食べ過ぎはNG

生姜はさまざまな効果が期待できる食材ですが、食べ過ぎてしまうとバランスが偏り、かえって体調が悪くなることも少なくありません。過剰に摂取することで、腹痛・下痢・胸焼け・動悸・アレルギーなどの症状を引き起こすこともあるため、注意が必要です。

生姜を摂取する際は、1〜2片を基準に適切な量を摂取するよう心がけてください。特に、栄養の偏りを極力避けたい妊婦さんの場合は、過剰に摂取しないよう注意が必要です。

水が入った容器に入れて保存する必要がある

生姜は、水の入った容器に入れて冷蔵庫に保存してください。その際、容器を事前に煮沸消毒しておくと、雑菌が発生しにくくなり安心です。

また、保存前に生姜を水でしっかり洗うことも大切です。生姜の水洗いは、保存していた生姜を使用する際にも実施しましょう。

保存期間が長くなる場合は、1週間ごとに水を入れ替えて鮮度を保つ必要があります。

【くらひろお手軽レシピ】生姜を使ったおすすめ料理をご紹介

生姜はさまざまな効果が期待でき、かつ料理に使用しやすい食材として知られています。体調を整える生姜の効果を、料理により実感してみてはいかがでしょうか。

「くらひろ」では、日々の食卓を彩る簡単・お手軽な一品料理のレシピを公開しています。ここでは、生姜を使ったおすすめレシピをご紹介します。

豚とじゃが芋のしょうが焼き

豚とじゃが芋のしょうが焼き

糖質の代謝や疲労回復、スタミナ増強が期待できる豚肉と、糖質をエネルギーに変えるじゃがいもを生姜で焼き上げた一品です。疲労回復効果があるので、疲れた時のエネルギー補給におすすめです。

「豚とじゃが芋のしょうが焼き」のレシピはこちら

たらのレンジ蒸しピリ辛生姜ダレ

たらのレンジ蒸しピリ辛生姜ダレ

骨の健康を保つビタミンDや、貧血予防効果のあるビタミンB12が含まれたたらをレンジで蒸して、ピリ辛の生姜ダレをかけています。辛味が体を内側から温めてくれるので、特に冬場などに味わって欲しいレシピです。

「たらのレンジ蒸しピリ辛生姜ダレ」のレシピはこちら

レンコンとひじきのつくね

レンコンとひじきのつくね

血糖値の上昇を防止するレンコンと、老化防止の効果が期待できるひじきを、ひき肉と混ぜてつくねにしています。すりおろした生姜を少量入れることで、消化促進効果も期待できるレシピです。

「レンコンとひじきのつくね」のレシピはこちら

まぐろとネギの生姜煮

たらのレンジ蒸しピリ辛生姜ダレ

代謝を促進する酵素の働きをサポートしつつ、ストレスによるダメージや認知症予防にも効果があるマグロを、ネギと生姜で煮込んだ一品です。刻んだ生姜がアクセントになり、煮込む際も少し加えることでより生姜の効能を実感できるでしょう。

「まぐろとネギの生姜煮」のレシピはこちら

ほうれん草入り麻婆豆腐

ほうれん草入り麻婆豆腐

高血圧や動脈硬化の防止につながる木綿豆腐と、ビタミンAや鉄分を多く含むほうれん草とあわせて麻婆豆腐にしました。麻婆豆腐の特徴でもある「とろみ」部分に生姜を入れることで、辛味成分による効能が期待できる一品です。

「ほうれん草入り麻婆豆腐」のレシピはこちら

セロリのナンプラー炒め

セロリのナンプラー炒め

セロリは精神安定・頭痛緩和・食欲増進・整腸作用のある食材で、さまざまな効能のある生姜と合わせることで相乗効果が期待できます。油で炒めて吸収力を高めつつ、ナンプラーの香りで食欲もそそる一品に仕上げました。

「セロリのナンプラー炒め」のレシピはこちら

炊飯器カオマンガイパクチー入り

炊飯器カオマンガイパクチー入り

必須アミノ酸のバランスが良く、体内で利用しやすいタンパク質を豊富に含んだ鶏肉を、米や生姜と一緒に炊飯器で炊き上げた一品です。生姜に加え、ビタミンAやビタミンCが含まれたパクチーも入っているので、消化促進などとあわせて抗酸化作用も期待できます。

「炊飯器カオマンガイパクチー入り」のレシピはこちら

まとめ

今回は、生姜を摂取することで期待できる効能や、摂取するうえでの注意点を紹介しました。

生姜には「血行促進」や「冷え解消」をサポートする効果があり、消化促進や胃腸環境の改善、冷えの改善といった作用も発揮します。

生姜を摂取する際は食べ過ぎないように注意しつつ、鮮度を保ち続けることが大切です。効能や注意点も理解したうえで、当記事で紹介したおすすめレシピで生姜を楽しく味わってみてはいかがでしょうか。

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