食の知識

【あんこの種類?水分?】おしるこ(お汁粉)とぜんざい(善哉)の違いを解説

「おしるこ(お汁粉)」と「ぜんざい(善哉)」はどちらも小豆を使った人気の和菓子ですが、小豆の粒の有無に違いがあります。ただし、地域によって違いを判断する基準はさまざまです。

この記事では、その違いを詳しく解説しながら、基本の作り方やアレンジレシピも紹介します。ぜひ参考にしてください。

おしるこ(お汁粉)とぜんざい(善哉)の違いとは?

「おしるこ」と「ぜんざい」はどちらも小豆を砂糖で甘く煮て、餅や白玉などを加えて楽しむ、冬に人気の温かい和菓子です。この2つの違いは、小豆の粒が残っているかどうかにあります。

  • おしるこ:こしあんを使って、小豆の粒が残らないようにしたもの。とろっとした滑らかな口当たりが特徴。
  • ぜんざい:小豆の粒を残したまま煮たもの。粒感や小豆本来の食感が楽しめる。

ただし、地域によって、おしることぜんざいの呼び名や定義は異なります。詳しくは、後述の「▼地域によって変わる?おしるこ(お汁粉)とぜんざい(善哉)の違い」で詳しく解説します。

ここから、おしることぜんざいについて、特徴や由来を紹介します。

おしるこ:小豆の粒が残っていない

おしるこ:小豆の粒が残っていない
おしるこは、粒のない「こしあん」を使うのが主流で、なめらかな口当たりが特徴です。また、おしるこは、水分を多く加えて汁状にしたあんこに、餅や白玉団子などを入れて食べる和菓子です。

このように、小豆を煮て作った汁に具材を加えた料理は、総称して「汁粉(しるこ)」と呼ばれます。もともと「汁粉」という言葉は、「さらしあん(粉末状のこしあん)」を水で溶いて温めた汁物に由来するとされ、これが現在の「おしるこ」の漢字の語源になったといわれています。

ただし、地域によっては粒あんを使って「おしるこ」と呼ぶ場合もあるため、呼び方やスタイルには幅があります。

ぜんざい:小豆の粒が残っている

ぜんざい:小豆の粒が残っている
ぜんざいとは、小豆の粒を残したまま煮た甘い和菓子です。主に粒あんが使われ、しっかりとした小豆の食感と素朴な甘さを楽しめるのが魅力です。

おしることの違いとして、粒の有無とあわせて挙げられるのが「汁気の少なさ」です。ぜんざいはおしるこよりもとろみがあり、水分が控えめな仕上がりになるのが特徴です。器に盛られたときも、やや煮物に近い印象を受けることがあります。

ぜんざいの名前の由来は主に2つあるといわれています。一つは、昔ある僧侶がこの和菓子を初めて食べた際に、仏教の賞賛の言葉である「善き哉(よきかな)」と言ったことから、「善哉(ぜんざい)」という名前が定着した、とする説。もう一つは、出雲大社の「神在祭(かみありさい)」でふるまわれた、餅と小豆を一緒に煮た「神在餅(じんざいもち)」がなまって「ぜんざい」になった、という説です。

地域によって変わる?おしるこ(お汁粉)とぜんざい(善哉)の違い

「おしるこ」と「ぜんざい」は、の呼び名や定義は地域によって異なるのが特徴です。

北海道の呼び方
北海道では、「おしるこ」と「ぜんざい」の呼び分けが明確に区別されていないことが多く、同じ料理でも呼び方が混在する傾向があります。また、餅の代わりにかぼちゃを入れた「かぼちゃしるこ」が食べられる地域もあり、北海道ならではのアレンジが見られます。
関東の呼び方
関東では、汁気の多さが基準になります。汁気があるものをおしること呼び、汁気が少ないものをぜんざいと呼びます。粒あんでもこしあんでも、汁があれば「おしるこ」と呼ばれることがあります。おしるこのなかでも、粒あんのものを「田舎汁粉」または「小倉汁粉」、こしあんのものを「御膳汁粉」と呼び分けることもあります。
関西の呼び方
関西では、使われるあんこの種類で呼び名が決まります。こしあんを使う場合おしるこ、粒あんを使う場合はぜんざいと呼びます。関東と異なり、どちらとも汁気があるのがポイントです。汁気が無いものは「亀山」や「金時」という別の食べ物として区分されることがあります。
九州の一部地域
九州地方の一部では、一緒に入れる具材の違いで名称が分かれます。餅を入れるのがおしるこ、白玉団子を入れるのがぜんざいです。
沖縄の呼び方
沖縄では、「ぜんざい」といえば冷たい甘味を指すのが一般的です。甘く煮た金時豆や押し麦などをかき氷の上にのせたスタイルが定番で、暑い気候にぴったりのスイーツとして親しまれています。一方、温かい汁物の「おしるこ」に相当するものは「ホットぜんざい」と呼ばれることもあります。

このように、「おしるこ」と「ぜんざい」の違いは全国共通ではなく、地域ごとの文化や食習慣が色濃く反映されています

おしるこ(お汁粉)とぜんざい(善哉)のレシピ

おしることぜんざいは、小豆を砂糖で煮たものに具材を入れる、というシンプルなレシピです。そのため、小豆の種類や具材を変えることで味わいが変化し、楽しみ方の幅も広がります。

ここでは、おしることぜんざいの基本的な作り方とアレンジレシピを紹介します。

基本のおしるこ

基本のおしるこ

もちもちの餅と優しい甘さのあんこの組み合わせは寒い日にほっと体を温めてくれます。こしあんの滑らかさに、ひとつまみの塩が甘みを引き立て、焼いた餅の香ばしさがアクセントになるおしるこは、ひと口ずつ心も落ち着く和のおやつです。手軽に作れるので、おやつタイムやお正月気分を味わいたいときにぴったりです。

材料(2人分)

  • こしあん:150〜200g
  • 水:100〜200mL
  • 餅:2個
  • 塩:少々(ひとつまみ)

作り方

  1. あんこを溶かす
    鍋にこしあんと水を入れ、中火でかき混ぜながら温め、あんこが完全に溶けるまで加熱する。
  2. 餅を柔らかくする
    餅をオーブントースターで焼く(または水を加えてレンジで加熱する)。
  3. あんこと餅を合わせる
    溶けたあんこの鍋に2の餅を入れてひと煮立ちさせ、全体をなじませる。
  4. 仕上げ
    3に塩をひとつまみ加えて甘さを調整し、器によそって完成。

おしるこのアレンジレシピ:濃厚おしるこバター

おしるこのアレンジレシピ:濃厚おしるこバター

いつものおしるこにひと工夫を加えるだけで、よりリッチな甘みとまろやかな風味が楽しめるアレンジレシピです。牛乳やバターをプラスすることで、小豆のやさしい甘さがふんわりと広がります。寒い日のほっとするおやつとしてはもちろん、余った餅を使い切るためのメニューとしてもおすすめです。

材料(2人分)

  • ゆで小豆缶:約150g
  • 牛乳:約80mL
  • 餅:2個
  • バター:約10g(お好みで)

作り方

  1. 小豆と牛乳を混ぜる
    耐熱の容器にゆで小豆と牛乳を入れ、よくかき混ぜる。
  2. 餅の下ごしらえ
    餅を食べやすいサイズに切る。
  3. 加熱する
    混ぜた小豆と牛乳の容器に餅を加え、電子レンジ(600W)で約3分加熱し、餅が柔らかくなるまで温める。
  4. 仕上げにバターをのせる
    器によそい、熱いうちにバターを乗せて溶かしながら混ぜて完成。

基本のぜんざい

基本のぜんざい

小豆の深い甘みと、餅のもちもち感が絶妙な食感のぜんざいは、心と体をじんわり温めてくれる日本の冬のおやつの定番です。甘さやだしの風味を調整できるので、自分好みの味に仕上げられます。香ばしく焼いた餅を浮かべれば、香りも楽しさもアップ。お正月や寒い夜のひとときにぴったりです。

材料(2人分)

  • ゆで小豆缶:約200g
  • 水またはだし水:約400mL
  • 砂糖:小さじ2~大さじ2(お好みで調整)
  • 塩:少々
  • 餅:2個
  • トッピング(きな粉、黒蜜、抹茶など):適量

作り方

  1. 小豆に甘みを加える
    ゆで小豆に、砂糖と塩を加えて味を調整する。
  2. 餅を柔らかくする
    餅をオーブントースターで焼く(または水を加えてレンジで加熱する)。
  3. 盛り付けて仕上げ
    あんこを器によそい、焼いた餅をのせる。好みできな粉や黒蜜、抹茶などトッピングを加えて完成。

ぜんざいのアレンジレシピ:黒豆ココナッツミルクぜんざい

ぜんざいのアレンジレシピ:黒豆ココナッツミルクぜんざい

小豆を黒豆に置き換えるだけで、ぜんざいの味が一新されます。そこに牛乳とココナッツミルクの甘みが加わることですっきりとしたミルクぜんざいになります。さらに、トッピングの甘さと酸味がアクセントとなり、さっぱりとした後味が楽しめる、食後のデザートにおすすめの一品です。

材料(2人分)

  • サツマイモ:1/5本(40g)
  • 餅:1/2個(25g)
  • バナナ:1/2本
  • レモン汁:少々
  • キウイ:1/2個
  • 黒豆煮:100g
  • ココナッツミルク:100mL
  • 牛乳:100mL
  • 砂糖:大さじ1

作り方

  1. サツマイモの準備
    サツマイモは皮をむいて、1cm角に切り、耐熱容器に入れてラップをかけ、500Wの電子レンジで3分加熱する。
  2. 果物の調理
    バナナは皮をむいて輪切りにし、レモン汁をまぶす。キウイは皮をむいて銀杏切りにする。
  3. 餅を焼く
    餅は1/4に切り、オーブントースターで焼く。
  4. 黒豆を温める
    ボウルに黒豆煮、ココナッツミルク、牛乳、砂糖を入れて混ぜ、器に盛ったら、加熱したサツマイモ、バナナ、キウイ、焼き餅をのせて完成。

このレシピの詳細はこちら

まとめ

「おしるこ」と「ぜんざい」は、どちらも小豆の甘煮に餅や白玉を合わせた日本の伝統的な和菓子で、小豆の粒が残っているかどうかで区別されます。一方で、地域ごとに呼び方や基準が異なるという特徴もあります。例えば、関東では汁気の有無、関西ではあんこの種類、九州では具材によって呼び分けられるなど、日本各地で多様な文化が受け継がれています。

どちらも寒い季節にぴったりの和菓子で、作り方もシンプルです。餅や白玉、アレンジの材料を工夫すれば、家庭でも気軽に楽しめます。ぜひ好みのスタイルで「おしるこ」と「ぜんざい」を味わいながら、冬ならではのひとときをお過ごしください。

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くらひろ編集部
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