胃腸に優しい食べ物
食の知識

管理栄養士監修|胃腸に優しい食べ物一覧!消化に良い食品を解説

「お腹が痛い」「胃がもたれる」「食欲がない」などのお腹の不調。この不調、もしかすると胃や腸の疲れが原因かもしれません。

この記事ではちょっと胃が疲れていると感じたときに役立つ、胃に優しく消化によい食べ物を中心に、胃腸の調子が悪いときに避けるべき食べ物やおすすめの調理方法なども解説していきます。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

胃腸に優しく消化の良い食べ物

胃腸の調子が悪いと感じたら、消化に良い食べ物を選ぶようにしましょう。胃にかかる負担が少ないと言われている食べ物には大きく2つの特徴があります。

  • 胃にたまる時間が少ない
  • 食物繊維や脂肪が少ない

ここからは、胃腸に優しく、消化に良い食べ物をご紹介していきます。

主食:おかゆ・うどん・そうめん

おかゆやうどんなどは比較的消化吸収が早く、胃腸に負担がかかりにくいのが特徴です。

ただし、麺類でも中華麺は避けた方が無難です。調理過程で油を使用しているために、うどんやそうめんと比較すると消化しにくいのです。

また、おかゆはよく噛まなくても食べやすく、体力が落ちているときの栄養補給としてもおすすめです。

おかゆ

肉・魚類:ささみ・鯛・カレイ

ささみや鶏むね肉、そして鯛やカレイといった脂肪分の少ない食材も胃腸に優しい食材です。

白身魚はたんぱく質やビタミンが豊富で、対して脂肪分やコレステロールが少ない高たんぱく・低脂肪食材なので、弱った胃腸に優しく栄養補給にも優れているのがポイントです。

野菜・果物類:人参・じゃがいも・りんご・バナナ

人参やじゃがいもといった、野菜の中でも食物繊維が少なくビタミンが豊富に含まれている食材もおすすめです。

ただし、果物は胃腸に優しいものも多いのですが、柑橘類など酸味の強いフルーツは要注意です。酸性成分が胃の粘膜を刺激して胃酸の分泌を促してしまうためです。

胃腸が弱っているときはリンゴやバナナを選びましょう。リンゴは消化吸収が良く、胃粘膜を守る働きがあります。また、バナナには胃腸の働きを助ける栄養素アミラーゼが含まれています。

大豆製品・乳製品:豆腐・納豆・ヨーグルト・チーズ

豆腐や納豆などの大豆製品には植物性タンパク質、ビタミン、ミネラルなど多くの栄養素が含まれています。納豆の中で最も消化吸収が良いひきわり納豆もおすすめです。

また、ヨーグルトやチーズといった乳製品には胃酸を中和する働きがあります。乳製品の中でもチーズは手軽に食べられる上に吸収が早いため、胃腸が弱っている際におすすめです。

胃腸の調子が悪いときに避けるべき食べ物の特徴

胃腸の調子が悪いときに胃腸に負担をかける食事を摂ってしまうのはNGです。以下にご紹介する食材は、できる限り控えてください。

食物繊維の多いもの

食物繊維には栄養素の吸収スピードを緩やかにする特性があります。本来、吸収を緩やかにすることでのメリットは多いのですが、腸はその間働きつづけることになり、疲労が蓄積してしまいます。そのため、胃腸の調子が悪いときには食物繊維の多い食品は控えましょう。

特に胃の負担になると言われているのは「不溶性食物繊維」と呼ばれるものです。不溶性食物繊維は、水に溶けない食物繊維のことを指します。ごぼうや大根、きのこなど、スジのある食材に多く含まれている食物繊維です。便秘改善には効果的であるものの、胃腸の調子が悪いときは逆に胃腸に負担をかけてしまいます。

一方で、水に溶けやすい性質の「水溶性食物繊維」も存在します。その名の通り不溶性食物繊維に比べると胃の負担になりにくいという特徴があります。水溶性食物繊維は、りんごなどの果物、じゃがいもなどのイモ類、海藻類、大麦などに多く含まれています。

刺激の強いものや炭酸飲料

辛い食べ物や味を濃く感じる食べ物は、胃の粘膜を刺激することで胃酸の分泌を高めてしまい、結果として胃を荒らす原因になります。甘みや塩味、酸味の強いような味の濃いものや、香辛料を使ったものは胃腸への負担が大きいと覚えておきましょう。

それと同時にアルコールやカフェインが多く含まれた飲料、炭酸飲料も胃腸へ大きく負担をかけてしまいます。

炭酸飲料

脂肪分の多いもの

脂質を摂ると、腸での脂肪の消化吸収を促進させる「消化管ホルモン」が発生します。このホルモンは脂肪の消化吸収を促す一方で、胃の運動を抑える作用もあります。そのため、食べたものが胃にたまり、胃もたれなどの症状に繋がってしまうことがあります。

この特性から、脂っこい食べ物は消化のために胃の中にとどまる時間が長く、胃腸の負担になるのです。

白米や果物が30分〜1時間程度で消化できるのに対し、ステーキや天ぷらなどの脂っこい食べ物は消化までなんと4時間前後もかかってしまいます。

夕飯後から時間をおかずに寝る生活をしていると、胃にとどまる時間がさらに長くなります。胃もたれを起こすだけでなく、逆流性食道炎になるリスクも高まってしまうので要注意です。

胃腸が弱っているときはもちろん、就寝前などは脂っこい食べ物を控えましょう。

胃腸・消化に良い食べ方と調理方法

胃腸に優しい食材や栄養素を解説したところで、いよいよ調理方法のご紹介に入ります。普段は食材の皮を剥いたり、ひと口大に切ったりしますが、胃腸が弱っている日は、ひと手間かけて調理していきましょう。

食材を小さく・柔らかくするように調理する

食材は大きいほど胃腸への負担がかかりやすいため、小さくカットして食べると消化がよくなり、胃に負担がかかりにくくなります。

ただし、煮込み料理は味が濃くなったり、熱くなりすぎたりしやすいので気を付けましょう。

味付けを薄めにする

濃い味付けや、香辛料、油分は、胃腸の負担になります。胃を刺激して胃酸の分泌を促してしまう可能性があります。

胃酸は消化のために重要な働きをしていますが、多すぎると胃壁を消化してしまい胃潰瘍の原因になることも。疲れているときは、刺激の強い香辛料を多用せず、いつもより薄味の料理を選びましょう。

ゆっくりとよく噛んで食べる

よく噛むことで胃腸は食物を消化・吸収しやすくなるため、特に胃腸が弱い方はよく噛むことを心がけるようにしてください。よく噛むことで唾液からアミラーゼという酵素が出され、ご飯などのでんぷんを糖に変えてくれます。

余談ですが、戦前に比べて現代は噛む平均回数や食事時間が実に半分ほどになったというデータもあります[1]

食後に休憩をとる

食物を消化するためには、胃や腸に血液が必要になります。そのため、食後すぐに仕事や運動などで頭や体を働かせると、脳や筋肉に血液が多く必要になり、消化器系の臓器への血流量が不足してしまいます。

食後30分~1時間程度を目安に、ゆったり体を休めてあげてください。

休憩の様子

胃腸を良い調子に保つための3つのポイント

胃腸に負担をかけないためには生活習慣の見直しも必要です。

特に以下の3点には注意して生活してみましょう。

栄養バランスを整え暴飲暴食を避ける

栄養バランスが偏っていると体調不良になりやすく、同時に胃腸も弱りやすくなってしまいます。可能であれば主食、主菜、副菜の揃った食事を1日3食しっかり食べるように心がけてみてください。

また、暴飲暴食をすると、一度にたくさんの食材を消化しようとするため胃腸への負担が過剰にかかってしまいます。満腹まで食べるのではなく、腹八分目を心がけて食事を摂ることも意識してみましょう。

適度な運動と十分な睡眠をとる

運動をすることで腸の蠕動運動(ぜんどううんどう)が活発化し、便に含まれる水分の吸収が促進されます。そのため、適度な運動は便秘や下痢の予防にも役立つと言われています。

胃腸を整えるためには睡眠も重要です。適度な運動と十分な睡眠によって自律神経をしっかり整えることで、腸内環境の改善や免疫力向上が期待できます。

就寝の直前に食事をしない

食後30分は血液が胃腸に集まりやすく、体が消化に集中する時間です。胃の消化活動が活発になるため、脳が興奮してなかなか寝付けなかったり浅い眠りになったりする可能性があります。

また、夜間は食物の消化、吸収に使われる消化酵素が減少します。消化しきれなかった食物が胃に残り、翌朝胃もたれるなど、健康面にも悪影響を及ぼしてしまうかもしれません。就寝の前には食事を摂ることは控えておきましょう。

胃腸の不調が続いたら病気のサインかも?医療機関を受診しよう

「胃の不調が長く続いている」「胸やけや体重の減少」「長期の食欲不振」などが症状として現れた場合は速やかに医療機関で受診してください。胃炎、機能性ディスペプシア、逆流性食道炎、胃潰瘍などの可能性も考えられます。

違和感があるタイミングで受診することで、胃炎やその他の病気の早期発見に繋がります。軽微な違和感でも疎かにせず、医療機関で相談してください。

お腹をおさえている様子

まとめ

今回は胃腸に優しい食べ物を中心に、摂取を控えた方がいい食材や望ましい生活習慣などについてご紹介してきました。

消化器官である胃腸は人体にとって非常に重要な役割を持ちます。食事に気を付けて、胃腸に負担がかかりすぎないような生活を意識するだけでも胃腸の負担は減らせるはずです。この記事でご紹介した内容を意識してみてくださいね。

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