季節の行事

節分や豆まきの由来、子どもと節分を楽しむアイデア紹介

節分といえば、豆まき、2月3日、鬼、恵方巻など、さまざまなことが連想されます。これらの由来や節分に縁のある食べ物を知って、より節分への理解を深めましょう。家族の思い出づくりのために、ラクに豆まきができる方法など、子どもと家で節分を楽しむアイデアもご紹介します。

節分や豆まきの由来、節分の食べ物や子どもと楽しむアイデアを紹介

節分といえば、豆まきをした思い出のある方も多いのではないでしょうか。最近では、「節分は恵方巻を食べる日」になっている方も多いかもしれません。すっかり私たちの暮らしになじんでいる節分ですが、節分とはどのような日なのか?まぜ豆まきをするのか?についてはご存知でしょうか。ここでは、節分や豆まきの由来についてご紹介します。

節分の由来とは


意外と知らない節分の由来。「節分」とは、どういう意味なのでしょうか。

「節分」は一年に4回ある?

節分とは、季節が変わる日の前日を指す言葉でした。季節が変わる日には、2月4日頃の立春、5月6日頃の立夏、8月7日頃の立秋、11月7日頃の立冬があります。この4日のうち、立春の前日にあたる節分は、一年の終わりの日として扱われていました。昔の人は、一年の始まりは「春」だと考えていたのですね。立春の前日の節分は、一年を締めくくる節目の日ということで、節分のなかでも特に大事な一日だったようです。現代で言うと、大晦日のような位置づけの日だったのでしょう。

節分=2月3日は間違い!?

立春の前日が節分ですが、立春の日は何を基準に決まっているのでしょうか。立春の日に深く関わっているのが、一年を二十四の節気に分けた「二十四節気(にじゅうしせっき)」です。二十四節気上の「春の始まり」が、立春になります。

二十四節気はその年によって1日程度前後することもあります。「節分」は毎年2月3日であることがほとんどですが、2021年の節分は2月2日でした。

豆まきの由来とは


節分といえば思い浮かべるのが豆まきですね。なぜ、節分に豆をまくようになったのでしょうか。

節分に豆まきをする理由

その昔、一年間の無病息災を願い、邪気を祓い清めるものとして、大晦日には「追儺(ついな)」という宮中行事が行われていました。「追儺(ついな)」は次第に衰退していきますが、鬼を祓い、無病息災を願うために、大晦日には庶民が豆をまくようになりました。この庶民の豆まきが、節分の豆まきにつながっているという説があります。

鬼を祓うために豆をまくようになった理由については、豆は「魔目」「魔滅」の当て字から魔除けの力があると信じられていたため、などと言われています。

節分に豆をまく役はだれがする?

本来、節分に豆をまくのは、「一家の家長」の役割だったそうです。ほかには、年神様のご加護が受けられて縁起の良い年男や年女、厄を払う必要がある厄年の人も、豆をまく役に適しているようです。

豆まきの豆は炒ったものを

厄払いに使った豆から芽が出ることは、縁起が悪いことだと考えられています。そこで、豆まきに使う豆は、芽が出てこない炒り豆を使うようになったと言われています。ほかに炒り豆を使う理由としては、魔の目(豆)を射る(炒る)、という意味が込められているためだとも言われています。
また、地域によっては落花生をまくこともあります。

節分の「鬼」にまつわるギモン


節分の悪役として欠かせない、「鬼」の存在。鬼の姿にも理由がありました。

赤鬼、青鬼…鬼の色には理由がある?

「節分の鬼」といえば赤鬼や青鬼が有名ですが、実はほかに、緑鬼や黒鬼、黄鬼(白鬼)も存在します。五色の鬼がいる理由は、人間が持っている五つの煩悩を色で表しているためとされています。

赤鬼が表している煩悩は、欲望や渇望などです。赤鬼は「すべての悪い心の象徴」だと言われています。節分で赤鬼が多くみられる理由は、すべての悪い心の象徴だからなのですね。

青鬼が表している煩悩は、憎しみ、怒り、悪意などです。これらの煩悩があると、自分の心が貧しくなってしまいます。青鬼を追い払えば、福が来ると言われています。

緑鬼は、怠惰の象徴です。いつもダラダラしてしまう、つい食べ過ぎてしまう、といった煩悩は、緑鬼とともに退治しましょう。

黒鬼は、人を疑う心や愚痴の象徴です。疑いの心や愚痴は、人として卑しい行為とされています。何より、愚痴や疑いだらけの毎日では、自分自身が穏やかに過ごせませんね。

黄鬼(白鬼)は、自己中心的な考え、後悔や浮ついた心といった煩悩を表しています。黄鬼(白鬼)を退治することで、甘い考えを捨て、公平な判断ができる自分になれると言われています。

なぜ鬼はトラ柄のパンツをはいているの?

鬼がトラ柄のパンツをはいているのにも理由があります。中国から伝わる陰陽道では、鬼が出入りする方角を鬼門といいます。鬼門は、方角でいうと北東にあたります。北東の方角を十二支に当てはめると「丑寅(うしとら)」になるので、鬼は頭に牛(丑)のような角を持ち、トラ(寅)柄のパンツをはいていると言われています。

節分に縁がある食べもの


節分は、さまざまな食べ物と縁のある日です。

恵方巻

今では全国のコンビニやスーパーなどでも大々的に売られている恵方巻。恵方巻が節分に食べられるようになった理由は、いろいろな説があるようです。「節分に太巻きをかじる」というのは、もともと関西地方の風習だったそうですが、コンビニエンスストアが「恵方巻」の名称で広めたことで、この風習が全国的に知られるようになりました。

恵方巻の具材は、伊達巻、かんぴょう、きゅうり、しいたけ煮、うなぎ(あなご)、桜でんぶ、高野豆腐が入った昔ながらのものから、サーモンやマグロが入った海鮮巻、ボリュームのあるトンカツ巻、ツナマヨ味のサラダ巻など、さまざまなレパートリーがあります。

その年の恵方を向いたまま、だまって恵方巻を食べきると、幸運が訪れると言われていますね。

毎年の「恵方」はどうやって決まる?

恵方巻をかぶるときに向くと良いとされる「恵方」の方角は、毎年変わっていますね。毎年の恵方は、一体どうやって決まっているのでしょうか。

恵方は、4種類しかありません。この4種類に、中国から伝わったその年の十干(じっかん)を組み合わせることで、毎年の恵方が決まっています。

十干は、甲・乙・丙・丁・戊・己・庚・辛・壬・癸の10種類です。今の日本でも、資格の中には「甲種」「乙種」の形で分けられているものがあったり、「甲乙つけがたい」という慣用句があったりと、十干の言葉がベースになったものが存在しています。

イワシ


「鬼は焼いたイワシの匂いを嫌う」という言い伝えから、節分にはイワシを食べている地域もあります。また、魔除けや厄除けとして、節分には柊の枝に焼いたイワシの頭を刺した、「柊鰯(ひいらぎいわし)」と呼ばれるものを玄関先などに飾ることもあります。
柊鰯には、イワシの匂いと柊の葉の鋭いトゲで鬼を寄せ付けないようにする、という意味があるそうです。

そば

昔は一年の終わりが節分だったため、年越しそばの意味合いで、節分にそばを食べていたようです。(今も地域によっては「節分そば」の風習があります)

そばが、「縁起の良い食べ物」として年の終わりに食べられるようになった理由には、以下のような説があると言われています。

  • 細く、長く伸びるそばを食べて、長生きできるようになり、家運が伸びるように
  • 切れやすいそばを食べて、一年の悪いことを断ち切って新年を迎えられるように
  • 金銀細工師が金粉集めに使うそば粉にちなみ、金運を呼び込めるように

昔の人は、新たな年への願いをこめながら、一年の最後の日を締めくくっていたのですね。

福茶


節分に飲む福茶とは、豆まきに使う福豆を三粒ほど入れた湯のみに、お湯またお茶を注いだものです。豆と一緒に、「よろこぶ」の意味がある昆布(塩昆布や昆布の佃煮)、「松竹梅」のひとつでおめでたい意味のある梅を入れることもあります。

福茶は、一年間の無病息災を願っていただく飲み物です。大人になって年の数だけ福豆を食べるのがつらくなってきたら、福茶を飲んで福を呼ぶようにするのもよいですね。

昆布と梅を入れた福茶は、縁起物としてお正月に飲まれることもあります。

子どもと一緒に節分を楽しむアイデア


日本の伝統行事のひとつであり、豆まきなどのイベントも盛り上がる節分の日。お子さんと一緒に節分をもっと楽しむ方法をご紹介します。

鬼の姿で記念写真を

節分といえば、やっぱり「鬼」。コスプレ気分で、小さなお子さんに鬼のコスチュームを着せてみると、イベント気分が盛り上がりそうです。赤ちゃんだったら、トラ柄のスタイをつけてみたり、トラ柄のかぼちゃパンツをはかせてみたりするのも可愛いですね。鬼役の大人も、鬼のお面だけでなくトラ柄の鬼のパンツもはいてみると、もっと本格的な鬼の姿になります。一層気分が盛り上がりそうですね。

あれこれ準備する手間がない場合は、家族で鬼のお面をつけてみるだけでもよいでしょう。

節分のたびに鬼の写真を撮っておけば、「この年の節分はこんなことがあった」など、写真を後で見返したときにも思い出がよみがえるはずです。

折紙で三方や枡をつくってみよう

節分の豆を入れる器として、お子さんと三方や枡を折紙で作ってみるのもよいでしょう。節分のお話をしながら親子で折紙をすると、お子さんへの教育にもなりそうですね。三方や枡を作ったあとはシールを貼ったり名前を書いたりしてデコレーションすると、もっとオリジナル感が出てきますよ。

片付けがラクになる豆まきアイデア

豆まきは楽しいけれど片付けが面倒…そう思う方も多いのではないでしょうか。豆まきの片付けを楽にする方法のひとつに、豆まきの豆を落花生にする、というアイデアがあります。地域によっては豆まきに落花生を使っているところもあり、北海道や東北、信越などでは、以前から大豆の代わりに殻付きの落花生をまいているようです。

大豆よりも大きいから後で拾うのが簡単、殻付きだからまいた豆の中身も食べられる、という点が、落花生を豆まきに使うメリットです。

豆まきに炒り大豆を使いたい場合は、小袋に入った豆をまく方法もあります。三角形などの小袋に入った節分用の豆は、節分のシーズンになるとスーパーなどで売られていますので、チェックしてみてくださいね。小袋ごと豆をまくと、後で拾うのも楽ですし、中の豆も食べられるので、おすすめです。

健康でよい一年になるよう、家族で祈る節分

古い時代から、形を変えつつも大事にされて来た「節分」の儀式。家族の健康と幸せを願う気持ちは、今日まで続いてきたのですね。豆をまき、トラ柄のパンツをはいた色とりどりの鬼をやっつける――。今も節分のイベントとして親しまれている豆まきも、昔の人はいろいろな意味を持たせていたことがわかりました。

節分の日は、昔はその年を締めくくる一日でした。今は多くの人が大晦日に食べている「年越しそば」を節分に食べていた風習からも、大晦日のような一日だった名残がうかがえます。昔の人は、今以上に節分の日を大事にしていたのかもしれませんね。

そんな今日まで続いてきた節分の歴史を思いつつ、家族で節分の日を迎えてみると、いつもとは少し違った気持ちになりそうです。お子さんが大人になる頃には、また違った節分の楽しみ方ができているのかもしれませんが、家族の健康と幸福を祈る風習は、これからも続いてほしいですね。

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