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子どもがお金で困らないために 学校では教えてくれないお金のルール

親世代のころにはなじみが少なかった、電子マネーやクレジットカードなど「キャッシュレス」の普及によりお金が目に見えづらくなった昨今、子供たちには親世代よりもお金の知識が求められています。今ではお金についての授業を取り入れる学校なども出てきましたが、日本では「お金について話すことはタブー」という風潮がまだまだ根強いですよね。

親世代は学校教育としてお金について学んでいない方がほとんどで、お金について教えようと思っても、どのように伝えたらいいのか、どこまで教えたらいいのか悩んでしまいます。そこで今回は、キッズ・マネー・スクール代表 三浦康司 氏の著書『10歳までに身につけたい 子どもが一生困らないお金のルール』(青春出版社)より、学校では教えてくれない、親子だからできるお金のルールをご紹介します。

お金ってなんだろう?

子どもには、お金に苦労しないで育って欲しいものですが、学校はお金の教育をほとんどしてくれません。大人の中には、子どもがお金の話をすることにネガティブな印象を持つ人も少なくありません。

しかし、お金は幸せになるための大切な手段の一つです。お金を持っていることが幸せではありませんが、自分の夢を叶える手段になります。そして、少子高齢化に歯止めがかからず、将来の不安が増す日本では、お金を管理し、限りある中でやりくりし、ときには殖やすノウハウも、生きる力として必要になるでしょう。

リアリティを感じにくい現代

子どもは3歳くらいになると、買い物の場面などを通じて「お金があれば欲しいものが手に入る」ということを理解できるようになってきます。今の親世代は紙幣や硬貨を「交換する」「支払う」という場面を見て、感覚として物の価値を学んできましたよね。

しかし、現代ではカードで何でも済ませるシーンが非常に多くなっています。タッチパネルの操作や「ピッ!」とICカードをかざせば何でも手に入るのだと錯覚してしまいます。「買う」ということが分かってきても、苦労して欲しいものを手に入れるという経験が乏しい今の子どもたちは、お金の価値をリアルに感じにくいのです。

リアリティを感じにくい現代

お金の価値を知るには?

子どもが蛇口をじゃーじゃー開けっぱなしにしたり、ティッシュペーパーを無駄に何枚も抜き取ったりすると、「あー、もったいない!」と思いますよね。こんな時こそ、全てのものにはお金がかかっていることを教えるチャンスなのです。

では、どのように教えたらよいのか、その方法を見ていきましょう。

お金の歴史にふれる

お金の始まりは「物々交換」と言われています。

たとえば、貝、塩、米のように「腐らないもの」「みんながほしいもの」「価値がわかるもの」などがお金のように使われていました。お互いに欲しい物が一致したときに、物々交換が成立してモノが手に入るのです。

今はお金を使いますが、やっていることは変わりません。物々交換から便利な「お金」が発明されて、現在にまでつながっています。お金をテーマにした博物館や施設なら、体験をしながら学べますよね。

身近に施設がなくても、自宅にある古いお金と今のお金を見比べてみることや、電子マネーの500円と硬貨の500円を比べてみるなどしてお金の価値を知るのも良いのではないでしょうか。

見えないお金の価値を実感する

お金には限りがあるということを教えるためには、お金の価値を「目に見えるように」するとよいでしょう。

例えば、お風呂を1回溜めるのに必要な2Lペットボトル本数が書かれたイラストを見せて、説明するのも1つの方法です。普段は意識していなくても具体的なイラストにすると、「うわ、こんなに!」と子どもはびっくりするかもしれません。

これをきっかけに、ペットボトルが1本いくらで、何本あるから…と計算してみると、「お金って無限に湧いてくるものじゃないんだ」ということが分かってもらえるはずですよ。

1,000円紙幣と1,000円分の1円玉を持たせてみて、お金が単なる記号や数字ではないことを教える方法もあります。紙幣は軽いですが1円玉が1,000枚あるとずっしりとした重みを感じるはずです。同じ1,000円でも、リアルな「重み」を知っているとお金に抱くイメージは変わってくるでしょう。

また、今の子どもは「カード」で何でも無限に買えると誤解してしまいやすい環境にあります。そこで、紙幣や硬貨とカードをテーブルに並べて、カードが現金と同じように有限の価値を持つものであることを教えてあげましょう。さらにカードのいいところ、悪いところを子どもと一緒に話し合って、見つけ出してみるのも良いのではないでしょうか。

売る側でイメージしてみる

売る側でイメージしてみる

お金が無限ではないことがわかっても、なぜお金を貰えるのか分からないと、大切さは分かりません。親が会社に行っているからお金があると分かっても、どうやったらお金が得られるのかはわからないのです。

そこで、子どもが「売る側」を体験して、お金を稼ぐ大変さを学んでもらうために「お店屋さんごっこ」をしてみましょう。

お金を儲けるには、お客さまにモノを買ってもらわないといけないですよね。買いたいと思って貰える商品を用意するだけではなく、いくらにするか、どう陳列するか、どうプロモーションするかなどを考える必要もあります。もちろん、決めた営業日にはお店に出て働かなければなりません。

また、モノを売って貰えるお金は、そのまま自分のものにはなりません。材料を用意したり、人を雇ったりなど経費がかかります。さらに、働いてもらう人にはやる気を出してもらわないとダメですよね。

お店屋さんごっこを通じて、1つのものを売ることの大変さが分かってきます。たくさんの工夫をして、ようやく得られるものが「お金」だということを感覚としてつかめてくるのです。そうすれば、子どものお金の使い方も変わってくるかもしれません。

将来のことを考えてみる

まず子どもに将来なりたいものを書いてもらい、実現するにはどういうやり方をしたらいいか考えてもらいましょう。そして夢が決まったら、それになるにはどうしたらよいか逆算してみるのです。

資格が必要なら資格が取れる学校に行く必要がありますし、学校にいくには必要な成績にまでなっていなければなりません。将来のことを考えると、自然と、「今をどう生きるか」と考える視点が生まれてきます。

子どもにそういう視点が芽生えたら、今暮らすのにどれだけのお金がかかっているかを一緒に考える絶好のチャンスです。

暮らしには税金、健康保険料、生活費、教育費など、欠かせない出費があります。自由に使えるお金は、欠かせない出費を給料から引いて残る分ですよね。全部を自由に使えるわけではないことを教えてあげましょう。そして、税金とは何かなど、経済的な話もするとよいでしょう。

家計のことを子どもに教えるのは抵抗があるかもしれませんが、今まで以上にモノや食事を大切にするようになってくれるかもしれませんよ。

おこづかいのルールを決めよう

子どもが「あれ、買って!」「これ、欲しいなあ」と言い出したら、それがおこづかいをあげるタイミングです。なぜなら、それはお金の概念を感じ取っているサインだからです。

大人になってから困らないためにも、失敗をおそれず、子どもにどんどんお金に触れさせましょう。

おこづかいのあげかた

おこづかいのあげ方は、大きく3つのタイプに分けられます。

  1. 「定額タイプ」は1ヶ月の定額を決めて渡すタイプで、お金の管理を学びやすいというメリットがあります。
  2. 「報酬タイプ」はお手伝いの対価によって金額を決めるもので、お金は仕事の対価だということが実感しやすい面があります。事前に「何をしたらいくら」を決めておき、当然の仕事にはお金は発生しないというルールにするとよいでしょう。
  3. 「混合タイプ」は1と2を混ぜたタイプです。報酬タイプは小さいうちは頑張ってやってくれても、子どもが大きくなるにつれて成り立たなくなることがあります。混合タイプは、報酬タイプから定額タイプへ移行するときに活躍するでしょう。

使い方は親子で話し合う

「失敗をおそれずに」とは言っても、まずはお金の使い方を教えてあげる必要があります。親子で話し合って、子どもが使うお金の計画を立てるのです。まず、おこづかいを3つの「枠」に分けましょう。毎月分ける額が変わってもOKです。

  • 「貯金枠」は半年~1年、もしくはそれ以上の期間、頑張って貯める枠です。「いつか何か欲しくなったときのために準備しておこうね?」という問いかけで促すとよいでしょう。
  • 「ありがとう枠」は感謝の気持ちや、誰かの役に立つための枠です。家族やお友だちの誕生日プレゼント、寄付など、人のために使う「感謝」のお金です。
  • 「自分枠」は生活の中で“必要に応じて買うもの”の枠です。おもちゃやジュース、おやつ、筆記用具など、自分が欲しいと思って買うものです。ただし、学校で使う文房具などは、自分で買うか、おうちの人が払うのか、など家族で決めるとよいでしょう。

おこづかい額と使い方を決めたら、おこづかい帳にもチャレンジしましょう。子どもが小さかったり、苦手意識を持つようならレシートをノートに貼り付けるだけでも大丈夫です。

おこづかい帳をつけることで、自分のお金の内訳や、「なにに」「いくら」使ったかわかりますよね。これにより、お金の「見える化」をしながら、管理の仕方も学ぶことができるのです。

投資の勉強も早めに始めよう

投資の勉強も早めに

投資の知識は、これからの時代には欠かせません。かつては銀行に預けているだけで高い利子がつきました。その名残で貯金を美徳とする傾向がいまだに根強いのが日本です。

しかし、今は消費税、社会保険料などが引き上げられる中で、給料は横ばいという企業も多くあります。ただ預けているだけでは増えるどころか減っているに等しくなってしまいます。

投資をしてお金を殖やすのにアドバンテージとなるのは「時間」です。子どもには、これから10年、20年、30年……とありあまるほどの時間のアドバンテージがあります。とくに複利(それまでの利子に元本を加え、その合計額に対してつけられる利子)は雪だるま式にお金が殖えるため、長期にわたって運用していたほうが有利になるのです。

しかし、投資と投機の違いについては注意が必要です。投資は成長しそうな企業や、経済成長が著しい国の株式などに、お金を預けることです。その企業や国が成長すれば株価が上がります。長期的なスパンで企業や国の成長を見守り、将来的な利益を求めて出資するのが投資の特徴と言えます。

一方、投機は株価が低い時に買って高い時に売るという短期的なスパンでの儲けを狙った売買のことを言います。投資と似ていますが、短絡的な相場の値動きに着目するため、投資と比較してリスクは高い傾向にあるでしょう。

日本人は「投資」も「投機」もギャンブルとみなしてしまう風潮がありますが、両者にはきちんとした違いがあるため、切り離して考える必要があります。

このように、投資とは長期的な考えが大切で、目先の儲けにとらわれてはいけません。子どもに与えられた何者にも変えられないアドバンテージである「時間」を最大限に使うことが、お金をつくる「投資」にもつながっていくのです。

まとめ

子どもたちには、親世代よりも将来のお金について知識が求められると言われていますが、一方でキャッシュレス社会が進む中でお金の価値は実感しにくくなっています。そんな子どもたちに、親は積極的にお金の価値や伝えていく必要があります。

価値を見えるようにしたり、手に入れる大変さを分からせたり、時には将来の夢について話し合うことも通じて、楽しみながらお金のことを学ばせていきましょう。そして、子どもが持つ最大の武器である時間を活かせる投資についても、必要な「生きる力」として身につけられると良いのではないでしょうか。

書籍紹介:「10歳までに身につけたい子供が一生困らないお金のルール」(三浦康司 著 / 青春出版社)2019年7月出版

10歳までに身につけたい子供が一生困らないお金のルール

出版社書籍紹介:「10歳までに身につけたい子供が一生困らないお金のルール」(三浦康司 著 / 青春出版社)2019年7月出版
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