チアシードとグラス
食の知識

管理栄養士監修:チアシードの効果とは?おすすめの食べ方も解説

スーパーフードとして知られる「チアシード」には、どのような効果があるのか気になっている方は多いのではないでしょうか?

チアシードはメキシコやグアテマラを原産とする「チア」という植物の種で、食物繊維やカリウム、α-リノレン酸などの栄養素を豊富に含みます。腸内環境の改善やむくみの改善、中性脂肪の低下といった効果が期待できる食物として注目されています。

そこで今回は、チアシードはどういった食材なのか、期待できる効果、食べる際の注意点を詳しく解説します。チアシードの効果的な食べ方もご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社
管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

チアシードとは:栄養価が高く腹持ちの良いスーパーフード

チアシードとは、メキシコやグアテマラを原産とする直径1mmほどのシソ科の植物「チア」の種です。無味無臭で、オメガ3系脂肪酸のα-リノレン酸や食物繊維などの栄養素を豊富に含んでいます[1]ゴマよりも小さな粒であるにもかかわらず栄養価が高い、スーパーフードです。

チアシードは、水などの液体につけると10倍以上に膨らみゼリー状になるため、満腹感を得やすい食品としても有名です。冷蔵保存の必要がなく、涼しく乾燥した場所であれば4〜5年間保存できるとされています。

また、チアシードは「チアシードオイル」の原料にもなります。

チアシードは主に白と黒の2種類ある

チアシードには、白と黒の2種類があります。

本来、チアシードの多くは黒色ですが、その中に栄養価の高い白い粒が混ざることがあります。その粒だけを選別し、品種改良したものが白いチアシードです。白いチアシードは、「ホワイトチアシード」や「サルバチアシード」と呼ばれています。

白いチアシードは、黒いものと比べて食物繊維や必須脂肪酸が豊富で、水を吸ったときも、より大きく膨らみます。

黒と白のチアシード

チアシードに含まれる主な栄養

チアシードには多くの栄養素が含まれています。下表[1]に主な栄養成分をまとめました。

成分名 可食部
100gあたり
大さじ1杯
10gあたり
エネルギー 446 kcal 44.6 kcal
たんぱく質 19,400 mg 1,940 mg
α-リノレン酸 19,000 mg 1,900 mg
食物繊維総量 36,900 mg 3,690 mg
ナトリウム 0 mg 0 mg
カリウム 760 mg 76 mg
カルシウム 570 mg 57 mg
マグネシウム 360 mg 36 mg
7.6 mg 0.76 mg
亜鉛 5.9 mg 0.59 mg

α-リノレン酸

チアシードに多く含まれる栄養素α-リノレン酸(オメガ3系脂肪酸)は、体内生成できないため食品から摂らなくてはいけない必須脂肪酸の一つです。

α-リノレン酸には、血液中の中性脂肪値を低下させたりアレルギーや炎症を抑えたりする働きがあります。

食物繊維

チアシードには食物繊維も豊富に含まれており、チアシード全体の栄養成分のうち約3分の1を占めます。こんにゃくと同じ種類の食物繊維である「グルコマンナン」を含むため、水分を吸収したときに10倍以上に膨らむという特徴があります。

食物繊維には整腸作用があり、便通を整える働きがあります。

タンパク質

チアシードは、植物の中で群を抜くタンパク質含有量を誇ります。

チアシードに含まれるタンパク質は、体内で生成できない必須アミノ酸を含む良質なものです。これは、筋肉や細胞など体をつくる役割を果たし、不足すると成長障害・体力や免疫機能の低下などにつながります。

カルシウム

チアシードは、カルシウムも多く含んでいます。カルシウムを多く含む食品としては乳製品が代表的ですが、チアシードはそれと同等かそれ以上のカルシウムを含むともいわれる食品です。

カルシウムは、骨や歯などを形成する栄養素なので、不足すると骨粗しょう症のリスクなどにつながります。

骨の真ん中のカルシウム

チアシードの効果

豊富な栄養素を含むチアシードには、どのような効果があるのか解説します。

ダイエット効果:少量で満腹感を得られる

チアシードは、水につけるとゼリー状になり約10倍に膨らむため、食べたときに満腹感を得やすい食品です。食物繊維の一種である「グルコマンナン」によって、胃の中でも水を吸って膨らみ、口に入れたとき以上の質量になります。少量でもお腹が満たされて食欲を抑えやすいので、ダイエットには効果的といえます。

ただし、チアシード自体はカロリーが高い点には注意が必要です。チアシード大さじ1杯、10gほどで約45kcalに相当します。ダイエットの効果を期待するのであれば、普段の食事にプラスして取り入れるのではなく、普段の食事と置き換える方が効果的です。
 
瓶に入ったチアシードをスプーンですくおうとしてる人

美肌効果・便秘改善:乳酸菌と共にとると効果アップ

チアシードは、食物繊維を豊富に含むため、腸内環境の改善に役立ちます。腸内環境が改善されると、便秘予防や美肌効果といった相乗効果も期待できるので、便秘や肌荒れにお悩みの方にもおすすめです。

また、腸内環境を整える乳酸菌は食物繊維をエサにするため、チアシードと一緒に乳酸菌を摂取すると効果がより高まります。

むくみ防止:カリウムが余分な塩分を排出する

チアシードには、カリウムも豊富に含まれており、その量は、乾燥チアシード大さじ1杯(10g)で約76mgです。

カリウムには体内の余分な塩分を尿と一緒に排出する働きがあるため、塩分の摂り過ぎを調節する効果のほか、むくみ防止などの効果も期待できます。

コレステロールや中性脂肪を下げる:心臓発作や脳卒中を防ぐ

チアシードに含まれる食物繊維には、余分な脂質を吸着したり、コレステロールの材料となる胆汁酸の排出を促したりする働きがあります。そのため、血中コレステロール値の低下に役立ち、心臓発作や脳卒中を防ぐ効果が見込めます。

チアシードは、オメガ3系脂肪酸であるα-リノレン酸も豊富に含むので、中性脂肪値低下の効果も期待できる食品です。

血糖値を下げる:糖尿病や生活習慣病を防ぐ

チアシードに含まれる食物繊維には、食後の血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。血糖値の急上昇を防ぐ働きによって、糖尿病や生活習慣病の予防効果が期待できます。
 
赤枠で囲われた糖代謝の項目

チアシードを食べる際の注意点

豊富な栄養素を含み、さまざまな効果が期待できるチアシードですが、食べる際に注意したいポイントもあります。主な注意点を5つ紹介します。

1日に食べる量はスプーン1杯

チアシードの摂取量は、1日あたりスプーン1杯程度が目安です。

チアシードは大さじ1杯(約10g)に、3.69gの食物繊維を含みます。これは、レタス1玉分以上の食物繊維となるため、食べ過ぎると消化に負担がかかり、腹痛や下痢などの不調をきたす可能性があります。
 
スプーンひとさじのチアシード

よく噛んで食べる

チアシードを食べる際は、よく噛みましょう。チアシードは固い殻に包まれているので、よく噛んで殻をつぶすことで、栄養が消化、吸収されやすくなります。

また、チアシードを一気に食べると消化器官が詰まってしまうおそれがあるので、ゆっくり食べるようにしましょう。

水分も一緒にとる

チアシードを食べる際は、十分な水分を一緒に摂りましょう。チアシードは水分を吸収して何倍にも膨らむ性質を持ちます。食べる際に水分が不足していると、腸など消化器官の水分を吸収してしまい、便秘などの症状につながります。

また、乾燥状態のチアシードの食べ過ぎにも注意が必要です。食物繊維を多く含む食品なので、適量を守らなかったり、単体もしくは少量の水分のみで食べたりすると、消化不良などの不調を引き起こす危険性もあります。

コップの水を飲もうとしている女性

消化器官が弱い方は医師や管理栄養士と相談する

消化器官が弱い方など、体調に不安がある方は、チアシードを食べても問題ないか事前に医師や管理栄養士などに相談しましょう。

とくに、憩室症(けいしつしょう)や憩室炎(けいしつえん)といった消化器系の問題がある場合は、チアシードを食べる前に専門家に相談するのが望ましいです。

また、消化器官に不調がなくても、初めてチアシードを食べるときは、少量から始めるのがおすすめです。不調を感じた場合は、食べるのを控えてください。

アレルギーリスクに注意する

チアシードはチアというシソ科の植物の種です。そのため、シソ科の食品にアレルギーのある方は注意してください。同じシソ科の植物には、ゴマやマスタードなどがあります。これらでアレルギー症状が出る方は避けた方が無難です。

軽い症状であれば、一時的な吐き気や肌に湿疹が出る程度ですが、重症化する可能性もあるため、事前に医師に相談すると安心です。

チアシードの効果的な食べ方

チアシードの一般的な食べ方は、次の2つです。

  • ごまのように乾燥したまま食べる
  • 水で戻して食べる

チアシードは無味無臭のため、さまざまな料理に取り入れやすい食材です。栄養も豊富なので、1日10g程度という目安を守って食事に取り入れましょう。

栄養補給のためであれば、好きなタイミングで食べて問題ありません。ダイエット目的であれば、食事の約30分前に摂取することで急激な血糖値の上昇を抑えられるほか、満腹感を感じてその後の食事の量を減らせます。

ここでは、チアシードの効果が得やすいおすすめの食べ方をご紹介します。

スムージーやヨーグルトに混ぜる

チアシードは水分を多く含むフルーツや乳酸菌と相性が良いため、スムージーにしたりヨーグルトに入れたりして食べるのがおすすめです。

チアシードをヨーグルトやスムージーに混ぜ、一晩置いておくと、チアシードが水分を吸って適度な大きさまで膨らみます。目安は、ヨーグルトやスムージー100gから150gに対し、チアシードを小さじ1杯(3g)です。

ヨーグルトは水分が少なく、チアシードを入れ過ぎると硬くなり食べにくくなってしまうので、注意してください。はちみつや果物などをお好みで入れると水分が加わり、よりおいしく食べられます。
 
たくさんの果物やナッツが乗ったヨーグルトボウル

スープやサラダにトッピングする

チアシードは、乾燥状態のままスープやサラダのトッピングにして食べることもできます。

乾燥状態のチアシードはとても小さいため、たくさん入れてしまいがちですが、体内の水分を吸って膨らむことを忘れてはいけません。乾燥しているチアシードを料理に取り入れる際は、小さじ1杯程度を目安に、必ず水分と一緒に食べましょう。
 
チアシードがかかったサラダ

調味料と合わせる

乾燥したチアシードを調味料に混ぜることで、さりげなくチアシードを食事に取り入れられます。例えば、しょうゆなどの調味料とあわせてごま和え風にしたり、酢や油と混ぜてドレッシングにしたりできます。

乾燥したチアシードを取り入れる際は、すりつぶすことで殻が割れて消化しやすくなり、栄養を無駄なく摂取できます。すりつぶして使う場合は、ビタミンEを含むオリーブオイルやココナッツオイルなどと合わせると酸化を抑えられます。

オリーブオイルとチアシード

まとめ

豊富な栄養素を含むチアシードは、ダイエット効果、美肌・整腸効果、中性脂肪や血糖値を抑える効果など、さまざまな効果が期待できるスーパーフードです。無味無臭なので食事に取り入れやすく、少ない量でもさまざまな栄養を摂取できます。

ただし、摂りすぎると消化器などに不調を起こす可能性がある点や、十分な水分と一緒に摂取する必要がある点には注意が必要です。本記事で紹介した内容を参考に、食生活にチアシードを取り入れてみてください。

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