食の知識

管理栄養士監修:ドラゴンフルーツの栄養素は?種類・食べ方も解説

鮮やかな色や独特な形状の果皮が特徴的なドラゴンフルーツですが、「ドラゴンフルーツってどう食べるの?」「どんな栄養素が含まれているのだろう?」と疑問を持ったことのある方も多いのではないでしょうか。

ドラゴンフルーツは、トロピカルフルーツ特有の味わいと栄養素の豊富さにより、近年注目を集めています。日本では、温暖な沖縄県や南九州の一部地域などで栽培されており、以前に比べてスーパーなどで見かける機会も増えています。

今回は、ドラゴンフルーツに含まれる栄養素や特徴、おいしく食べるポイントをご紹介します。優れた美容・健康効果があるとされる理由は何なのか、詳しくご紹介します。

監修者

保科 琴美(ほしな ことみ)
東京電力ホールディングス株式会社 管理栄養士

管理栄養士として医療の現場で栄養指導の経験と実績が豊富。日本糖尿病療養指導士。定期的にヨガ講師としての活動も行っている。

保科 琴美

目次 [CLOSE]

ドラゴンフルーツとは【サボテンの実】

ドラゴンフルーツはサボテン科ヒモサボテン属のサンカクサボテンなどの果実で、鮮やかで独特な形状の果皮が特徴です。

表面が架空の生き物である「ドラゴン」のうろこに似ていることから、日本では「ドラゴンフルーツ」と呼ばれています。一方、海外ではサンカクサボテンの果実の総称を指す「ピタヤ」という別名で呼ばれるのが一般的です。

ドラゴンフルーツはメキシコや中南米の熱帯雨林が原産地で、近年では、東南アジアや中国南部、そして日本の沖縄県などでも栽培されています。

多くが海外からの輸入品

スーパーなどで見かけるドラゴンフルーツの多くは海外からの輸入品です。

ドラゴンフルーツは完熟すると甘みが強くなりますが、熟してからは日持ちしない果物です。そのため、海外産は通常、未熟な状態で収穫・輸出されます。

ドラゴンフルーツには収穫後に熟成が進んで甘くなる「追熟」という現象がないので、海外産は歯ごたえのある果肉と糖度が少ないさっぱりとした味わいが特徴です。

沖縄県や南九州の一部地域で栽培される国産のドラゴンフルーツは、毎年7月から11月にかけて出回ります。国産品は多くの場合、完熟した状態で収穫・流通するため、海外産に比べて甘みが強いことで知られます。

多くが海外からの輸入品

ドラゴンフルーツの主要な栄養素と効果

ドラゴンフルーツはビタミンや食物繊維、ミネラルなどの栄養素を豊富に含む果物です。さらに、低カロリーでダイエット中の方にもぴったりです。

ここでは、ドラゴンフルーツに含まれる栄養素と健康効果をご紹介します。

カリウム:血圧上昇の抑制・むくみの軽減・夏バテ防止

ドラゴンフルーツは、カリウムを豊富に含んでいます。カリウムには、体内の余分なナトリウムを排出する働きがあり、むくみの軽減や高血圧の予防効果が期待できるでしょう。

また、慢性的なカリウム不足は夏バテの原因となることがあります。適量のドラゴンフルーツを食べて、夏場の体調管理を万全にしましょう。

マグネシウム:骨や歯の強化・ストレス改善

ドラゴンフルーツにはマグネシウムが豊富に含まれています。マグネシウムには骨密度を高めたり、歯を強化したりする役割があります。そのため、カルシウムやリンと同様に、骨や歯の健康維持に欠かせない栄養素の1つです。

さらに、マグネシウムには精神の安定やストレス軽減、集中力向上などの効果があるとされています。神経系に働きかける栄養素のため、不足するとイライラしやすくなったり、集中力が散漫になりやすくなったりします。

不溶性食物繊維:便通をスムーズにする

ドラゴンフルーツは、水に溶けにくい性質を持つ「不溶性食物繊維」をたくさん含む果物です。

不溶性食物繊維は、体内の水分を吸収して膨張する性質があります。膨らんだ食物繊維が腸の壁を刺激することで、便通を改善する効果があります。

また、便とともに糖や脂質、ナトリウムを排出する作用もあります。体重管理や生活習慣病の予防に役立つ栄養素といえるでしょう。

葉酸:胎児の成長促進・美肌効果

ドラゴンフルーツに多く含まれる葉酸は赤血球の生成を助け、細胞の分裂・増殖を促す栄養素です。妊娠中の女性に対しては、流産のリスクの低下や胎児の先天性異常を予防する効果があるとされます。

また、葉酸には貧血を予防する効果もあります。日頃から貧血気味の方、妊娠中の方は積極的に摂取したい栄養素です。

鉄分:集中力の向上・貧血予防

ドラゴンフルーツは鉄分を豊富に含みますが、鉄分には血中の酸素運搬に不可欠なヘモグロビンの形成を助ける働きがあります。

適切に鉄分を摂取することで、体の酸素不足が解消され、身体のだるさや疲労感の軽減、集中力の向上が期待できます。

特に、女性は月経による鉄分損失が多いため、ドラゴンフルーツのように鉄分を多く含む食べ物を積極的に摂取することで、貧血予防にも繋がります。

ベタシアニン:生活習慣病の予防

「レッドピタヤ」と呼ばれる赤い果肉を持つ品種には、ポリフェノールの一種であるベタシアニンが含まれています。

ベタシアニンの強力な抗酸化作用は、体内の活性酸素を除去する働きがあり、生活習慣病の原因となる過酸化脂質の生成を抑制します。

適切に摂取すると、動脈硬化や心臓病といった生活習慣病の発症リスクを低減するとされています。

ドラゴンフルーツの種類別の味・特徴

ドラゴンフルーツには「ホワイトピタヤ」や「レッドピタヤ」などの種類があり、それぞれ果肉の色や味わいが異なります。

ここでは、ドラゴンフルーツの主な種類と特徴、味わいについてご紹介します。

果肉が白色のホワイトピタヤ:甘みが少なくさっぱりしている

ホワイトピタヤは別名「ホワイトドラゴン」とも呼ばれ、日本のスーパーなどでもよく見かけるメジャーな品種です。

鮮やかな赤色の果皮と白色の果肉が特徴で、甘さは控えめ。酸味はなくさっぱりとした後味なので、フルーツサラダにぴったりです。

果肉が白色のホワイトピタヤ:甘みが少なくさっぱりしている

果肉が赤色のレッドピタヤ:甘みが強く香りがよい

真っ赤な果皮と果肉を持つレッドピタヤは「レッドドラゴン」とも呼ばれ、ホワイトピタヤに比べてやや甘みが強く香りも豊かです。

赤色の色素の正体はベタシアニンで、強力な抗酸化作用が美容と健康面において注目されています。鮮やかな色合いと風味豊かな味わいから、デザートやスムージーの材料に使われます。

果肉が赤色のレッドピタヤ:甘みが強く香りがよい

皮が黄色いイエローピタヤ:甘みが強くてジューシー

黄色い果皮と白い果肉のイエローピタヤ(別名:イエロードラゴン)は、ほかの種類に比べてやや小ぶりな品種です。

ホワイトピタヤやレッドピタヤよりも甘みが強く、ジューシーな食感が特徴です。酸味がほとんどなく、ヨーグルトやアイスクリームのトッピングに使われます。

皮が黄色いイエローピタヤ:甘みが強くてジューシー

果肉がピンク色のピンクピタヤ:甘みが最も強い

ピンクピタヤは、人口的に開発された品種で、ピンク色の果肉が特徴です。

ドラゴンフルーツの中で最も甘みが強く、独特の色合いから「ピンクドラゴン」と呼ばれます。ほかの種類に比べて希少性が高いため、特別なときの贈り物にすると喜ばれるでしょう。

果肉がピンク色のピンクピタヤ:甘みが最も強い

おいしいドラゴンフルーツの特徴・選び方

おいしいドラゴンフルーツを見極めるポイントは、「重さ」と「果皮の色味」にあります。スーパーなどで購入する場合、内袋の水滴もチェックしましょう。

ここでは、おいしいドラゴンフルーツの特徴・選び方をご紹介します。

丸みがありずっしりとしている

おいしいドラゴンフルーツは丸みがあり、球体のような形状をしています。

ポイントは、手で持ったときの重さをチェックすることです。たっぷりと果汁を含んだものは見た目以上に重く、ずっしりとしています。

皮全体が濃いピンク色でうろこの部分がしなびていない

新鮮なドラゴンフルーツは、果皮全体が濃いピンク色をしています。さらに、表面にある葉のような突起部分がピンと張っており、しなびていないものは新鮮な証拠です。

反対に突起部分がしおれていたり、乾燥していたりするものは、収穫から長い時間が経過し、鮮度が失われている可能性があります。

袋入りの場合は水滴がついていないものを選ぶ

ドラゴンフルーツをはじめとする果物は、時間経過によって内部の水分が蒸発します。

そのため、袋入りのドラゴンフルーツを購入する場合は、袋の内側に水滴がついていないかどうかを確認してください。袋に結露のような水滴がついているものは、鮮度が低下している可能性があります。

ドラゴンフルーツの保存方法

ドラゴンフルーツの適切な保存方法は、カット前・カット後でそれぞれ異なります。いずれにしても、購入後はできるだけ早く食べきるのがおすすめです。

ここでは、ドラゴンフルーツの保存方法をご紹介します。

追熟しないため購入後は1週間以内に食べる

ドラゴンフルーツはバナナなどとは違い、収穫後に甘くなる「追熟」のない果物です。そのため、購入後はポリ袋に入れておき、1週間以内に食べ切りましょう。

保存する場合は、野菜室での冷蔵保存が基本ですが、ドラゴンフルーツのような温暖な地域の果物は、過度に冷やしすぎると甘みが落ちる可能性があるため注意してください。

野菜室で保存する場合、食事の1時間前により冷えた冷蔵庫に入れ替えておけば、ほどよく冷えておいしく食べられます。

カット前は袋に入れて野菜室に保存する

カット前なら、ビニール袋やポリ袋に入れて、冷蔵庫の野菜室で保存しましょう。袋の中の空気をしっかりと抜くことで乾燥しにくく、鮮度を長く保てます。

ほかの食べ物の匂い移りを防ぐ効果もあるため、基本的には袋で保存してください。

カット後は袋に入れて冷凍室に保存する

一度に食べきれなかった場合は、冷凍用の保存袋に入れて冷凍しましょう。

ポイントは、袋に入れる前に、トレイに並べて軽く表面を凍らせることです。袋の中でドラゴンフルーツ同士がくっつかないため、解凍後に食べやすくなります。

カット後は袋に入れて冷凍室に保存する

ドラゴンフルーツのおすすめの食べ方

独特な見た目で、食べ方に迷う方が多いドラゴンフルーツ。シンプルに4等分したり、ペースト状にしたりと、さまざまな楽しみ方があります。

ここでは、ドラゴンフルーツをおいしく食べるためのコツをいくつかご紹介します。

皮ごと縦に4等分に切って食べる

ドラゴンフルーツをシンプルに楽しむなら、皮ごと4等分に切るといいでしょう。

最初に水で果皮を洗い、表面の汚れを落とします。次に包丁で縦に十字4等分してください。柔らかい果肉なので、包丁が簡単に入ります。

切り分けたら、果肉をスプーンですくって食べましょう。果肉には小さな黒い種が含まれていますが、一緒に食べても問題ありません。種を含めた食感は、キウイフルーツに似ているとされます。

甘くない場合はペースト状にして蜂蜜やジャムとあえる

ドラゴンフルーツは、品種や熟度によって甘さが異なります。甘みが足りないと感じた場合、ペースト状にして蜂蜜やジャムとあえるのがおすすめです。

方法は簡単で、ドラゴンフルーツの果肉をミキサーにかけてペースト状にし、お好みのジャムなどを加えてよく混ぜます。ヨーグルトやグラノーラにかけても絶品ですので、ぜひ試してみてください。

レッドピタヤはピタヤボウルにするのがおすすめ

甘みの強いレッドピタヤは、「ピタヤボウル」にするのがおすすめです。

ピタヤボウルとは、レッドピタヤをスムージー状にし、その上にイチゴやバナナなどのフルーツやグラノーラを加えた料理です。さっぱりとした味わいなので、暑い夏でも食べやすいですよ。

レッドピタヤはピタヤボウルにするのがおすすめ

まとめ

ドラゴンフルーツにはカリウムやマグネシウムが豊富に含まれており、むくみの軽減や骨・歯の健康維持に効果があります。低カロリーなので、ダイエット中の方にもおすすめの果物です。

食生活を改善したい方、成人病を予防したい方、不足しがちな栄養素を摂取したい方は、ぜひ一度ドラゴンフルーツを召し上がってみてください。

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