乳幼児

医師監修:離乳食は冷凍できる?注意点とポイントを解説

赤ちゃんには、できるだけ新鮮で衛生的なものを食べさせたいものです。しかし、離乳食は食材を茹でたり擦りつぶしたりと工程が多く、毎日作るのは大変だと感じているママ・パパも多いのではないでしょうか。

実は、注意点を守り、ポイントを押さえれば、離乳食は冷凍保存をしても問題ありません。時間があるときに離乳食をまとめて作り、冷凍保存しておけば、忙しい日にも手作りの離乳食を食べさせてあげられます。そこでこの記事では、離乳食を冷凍保存するコツをご紹介します。

監修者

井上 信明(いのうえ のぶあき)
医師/公衆衛生学修士(MPH)

日本の医学部を卒業後、アメリカとオーストラリアで医師として7年半勤務。

離乳食を冷凍するときの注意点

注意点さえ守れば、離乳食は衛生的に冷凍保存することができます。

まずは、離乳食を冷凍するときに気をつけたい注意点からご紹介します。

調理後すぐに冷凍する

離乳食に使う食材は、鮮度を保つために買ってきたその日のうちに調理し、調理後はできるだけ早めに冷凍しましょう。また、生のまま冷凍するよりも、茹でる・蒸すなど、一旦火を通してから冷凍する方が衛生的で安心です。

ただし、食材を熱いまま冷凍庫に入れると、庫内の温度が上がり、他の食材を傷めてしまうおそれがあるため、粗熱は取ってから入れましょう。風味を損なわず、鮮度を保つためには、急速冷凍がおすすめです。

赤ちゃんの成長に合わせて下ごしらえの方法や分量を変えながら、1回分の食事量に分けて冷凍すると解凍するときに便利です。

再冷凍はしない

離乳食も通常の食材と同様に、再冷凍は避けましょう。冷凍や解凍を繰り返すと食材が傷み、鮮度や味が落ちる可能性があります。

肉や魚の「解凍品」を購入した場合、自宅で冷凍すると再冷凍することになるため、注意が必要です。

食べる前に十分に再加熱する

冷凍保存した離乳食を食べさせる際は、必ずしっかりと再加熱してから食べさせましょう。

再加熱をせず自然解凍のみにすると、細菌が繁殖するおそれがあります。免疫機能が十分に発達していない赤ちゃんにとっては、大きなリスクになる可能性があるため、必ず電子レンジや鍋を使って加熱解凍をしてください。

なお、電子レンジで加熱すると、食品の表面と中心部で温度差ができることがあるので、しっかりと食品の中心部まで加熱できているか確認しましょう

冷凍した離乳食は1週間以内に使い切る

食品を冷凍すると、鮮度と味が徐々に落ちてしまうため、1週間以内に食べ切るのが基本です。

離乳食を作る際も、1週間で使い切れる量で作るようにしましょう。保存期限を忘れないように、冷凍する前に保存容器や保存袋に日付をメモしておくと安心です。

冷凍した離乳食は1週間以内に使い切る

冷凍できる食品と冷凍に向かない食品一覧

食品には冷凍に向き不向きがあるため、離乳食を作る際には冷凍できるかどうか確認してから冷凍しましょう。冷凍に向かない食品は、冷凍することによって風味や食感が損なわれることがあります。

ここでは、冷凍できる食品と冷凍に向かない食品を一覧でご紹介します。

冷凍できる食品:加熱した野菜・肉・魚など

加熱した野菜

野菜は加熱し、離乳食の進み具合に合わせてペースト状にするか、食べやすい大きさにカットしてから冷凍します。

冷凍に適した野菜は、にんじん、たまねぎ、だいこん、ほうれん草、小松菜、かぶ、かぼちゃ、さつまいも、キャベツ、白菜などです。

保存袋や小分けの保存容器、製氷皿などを活用して、野菜の形状に合わせて冷凍しましょう。

離乳食にお肉を取り入れる時期は、離乳食中期(月齢7~8か月)のころが一般的です。はじめは、脂肪分が少なくタンパク質が豊富な鶏ささみからスタートしましょう。

しっかり加熱調理し、茹で汁を加えながらなめらかになるまですりつぶして、1食分ずつ冷凍します。豚肉や牛肉は、ある程度噛む力がつく離乳食後期(月齢9~11か月)の後半以降に取り入れましょう。

魚類は、離乳食の初期段階(月齢5~6か月)から取り入れることができますが、おかゆや野菜などに慣れ始めた頃からスタートするのが良いでしょう。

初めて魚を与える際は、タイやカレイ、ヒラメなどの脂肪分の少ない白身魚を選びます。新鮮なものを使い、しっかり茹でて加熱調理してください。その後、茹で汁を加えながらなめらかにすりつぶして、1食分ずつ冷凍しましょう。

おかゆ・ごはん

おかゆやごはんも冷凍して保存することができます。離乳食初期(月齢5~6か月)の頃は、1回分の食べる量が少ないため、まとめて作って冷凍しておくと便利です。

例えば、1週間分のおかゆをまとめて作り、製氷皿などに小さじ1ずつ分けて冷凍すると良いでしょう。ごはんは、1食分をラップの上に広げ、粗熱が取れたらラップで包んで冷凍しましょう。

おかゆ・ごはんはまとめて作って冷凍する

うどん

うどんは塩分を多く含んでいるため、必ず下茹でして、流水にさらして塩抜きしてから冷凍してください。

柔らかくなるまでしっかり茹でて、月齢に合わせた大きさにカットしてから冷凍しましょう。塩分不使用の離乳食用うどんを使用する場合は、塩抜きの必要はありません。

パン

離乳食初期の頃は、パン粥を作り、製氷皿や保存容器に1食分ずつ冷凍しておきましょう。

離乳食後期になり、パンの掴み食べができるようになったら、パンの耳を切り落とした状態で冷凍しておくと便利です。食べやすいように、スティック状やサイコロ状にカットしてから冷凍するのもおすすめです。

りんご

りんごは、離乳食初期の頃はすりおろしてから柔らかく煮て、製氷皿や保存容器に1食分ずつ冷凍しておきましょう。

赤ちゃんの成長が進むにつれて、月齢に合わせてカットの大きさを変えながら、舌や歯茎でつぶせる硬さまで加熱してから冷凍します。

バナナ

バナナは、加熱して柔らかくしたものをペースト状にし、製氷皿や保存容器に入れて冷凍します。生のバナナが食べられるようになるのは、離乳食後期以降の9か月頃が目安です。

ただし、バナナは少数ながらアレルギー症状を起こすことが明らかな食品である「特定原材料に準ずる20品目」に含まれる食材のため、初めて与える際は十分注意しましょう。

バナナを離乳食する際はペースト状に

冷凍に向かない食品:豆腐・生の野菜など

豆腐

豆腐は離乳食の定番食材ですが、水分が多いため冷凍には向きません。冷凍すると水分が抜けてスポンジ状になり、食感が損なわれてしまいます。

生の野菜

生の野菜は水分が多く、そのまま冷凍すると食感が大きく損なわれます。また、生野菜は加熱した野菜に比べて消化が難しく、歯茎ですりつぶせない硬さのものがほとんどです。そのため、生野菜は離乳食に慣れて、歯が生えてくる1歳前後を目安に与えましょう。

生の野菜は離乳食に慣れた1年前後から

じゃがいも

茹でたじゃがいもは、そのまま冷凍すると水分が抜けてパサパサした食感になってしまいます。離乳食用に冷凍する場合は、ペースト状やマッシュポテトにしてから冷凍すると食感が損なわれず、おいしく食べられます。

繊維の多い野菜

タケノコやセロリ、ごぼうなどの繊維が多い野菜も冷凍には向きません。繊維質の野菜は解凍すると水分が抜け、筋っぽい食感になってしまいます。

茹で卵

茹で卵は白身部分に水分が多く、冷凍には不向きです。黄身だけを固ゆでしてほぐし、離乳食用に冷凍しておくことは可能です。ただし、どうしてもパサついてしまうため、おかゆやスープなどの水分の多い料理に混ぜて与えるのがおすすめです。

マヨネーズ

マヨネーズのような油分の多い食品は、冷凍により油が分離してしまいます。一度分離すると解凍後も元には戻らないため、冷凍保存は避けるのが望ましいです。

牛乳

牛乳も冷凍すると水分と油分が分離してしまいます。離乳食用に冷凍する場合は、ホワイトソースなどに調理してから冷凍するのが良いでしょう。

冷凍するときにおすすめの保存容器

離乳食を冷凍するときは、1食分ずつ小分けにしておくと解凍の際に便利です。

ここでは、離乳食作りにおすすめの保存容器をご紹介します。

牛乳を離乳食に使う際はホワイトソースなどに調理する

製氷皿:だし・スープなどに

離乳食初期のペースト状の食材や、だし、スープなどの保存には製氷皿がおすすめです。小分けに保存できるため、1食分ずつ計量しながら冷凍できます。

衛生面では、蓋付きの製氷皿を使用したり、ラップをかけてから冷凍したりするのが安心です。

離乳食初期の食材やだし・スープは製氷皿で冷凍する

食品包装用ラップ:米・野菜など

離乳食が進み軟飯になったときや、少量の野菜・肉・魚の小分け冷凍には、食品包装用ラップが便利です。ペースト状の食材も1食分ずつ包んで保存できます。

ほうれん草など、すりつぶすのに時間がかかる食材は、柔らかく茹でてからスティック状に包んで冷凍しましょう。食材を柔らかくすることで、凍ったままおろし金ですりおろしたり、すりつぶしたりする手間を軽減できます。

板状に薄く広げて冷凍すると、急速に冷凍しやすく、また冷凍庫内での収納性もアップします。

ジップ付き保存袋:魚・肉など

ジップ付き保存袋は、魚・肉の冷凍や、ペースト状の食品の保存に便利です。水分が多い食品でも漏れる心配がなく、薄く伸ばして冷凍すれば急速冷凍ができて、収納場所も取りません。

マッシュポテトなどの硬めのペーストは、袋の上から菜箸などで1食分に合わせて筋目をつけておけば、使いたい分だけを折って取り出せて便利です。

なお、食品は空気に触れると酸化して風味が落ちるので、保存袋に入れて封をする前には、しっかりと空気を押し出しておきましょう。

まとめ

離乳食を冷凍保存することで、時間と手間を削減できます。食材によって、冷凍に向き不向きがあるため、しっかり確認してから冷凍しましょう。

この記事でご紹介した注意点を守れば、冷凍保存しても衛生的でおいしい離乳食を赤ちゃんに食べてもらうことができます。離乳食の冷凍保存に便利なグッズも活用し、楽しみながら離乳食作りをしていきましょう。

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