新生児の寝かしつけ
子育て

【医師監修】新生児が夜に寝ないのはなぜ?原因と寝かしつけるコツを解説

新生児の赤ちゃんがいるご家庭では、「夜になってもなかなか寝てくれない」とお悩みの方も多いのではないでしょうか。新生児は睡眠サイクルが短いため、昼夜に関わらず2〜3時間で起きてしまうことがありますが、もしかするとほかにも寝ない原因があるかもしれません。

本記事では、新生児が夜に寝ない理由をはじめ、生活リズム以外で考えられる原因、寝かしつけるコツについてご紹介します。ぜひ今日から実践してみてください。

監修者

野田 慶太(のだ けいた)
小児科専門医/産業医

小児科で研修・専門医取得後、救急医療・総合医療に従事。小児~高齢者の内因性疾患・外傷に対応。海外での勤務、医療アプリの監修、医療記事の監修なども担当している。

野田慶太

新生児が夜に寝ないのはなぜ?

生まれたばかりの赤ちゃんが夜に寝ない理由の一つに、昼夜の区別がついていないことが挙げられます。

新生児は1日の大半を寝て過ごしていますが、2〜3時間おきに起きてはミルクや母乳を飲み、再び眠ります。このように、昼夜問わず短いサイクルで睡眠と起床を繰り返します。

夜に寝ない・すぐに起きてしまうことを不安に感じてしまうかもしれませんが、大人のように生活リズムが整っていない新生児にとっては当たり前のことです。

新生児の睡眠リズムと平均睡眠時間

新生児が一日にとる平均睡眠時間は、約16〜20時間です。

「2〜3時間寝る→起きる→また2〜3時間寝る」といった睡眠と覚醒のサイクルをとるため、浅い眠りである「レム睡眠」が睡眠時間の大半を占めている状態となります。眠りが浅い分、新生児は少しの刺激や物音でも目を覚ましやすいです。

なお、赤ちゃんの成長と共にレム睡眠の割合は減っていき、徐々に大人と同じリズムになっていきます。睡眠リズムもあり自然と昼寝の時間が長くなりますが、夜に寝る時間を増やすためには、日中適度に遊ばせて活動量を増やすことが大切です。

睡眠リズム以外にも!新生児がなかなか寝ない5つの原因

新生児特有の睡眠リズム以外にも、身体的な原因や周囲の環境が理由で、「眠たいのに寝れない」という状態に陥ってしまっている可能性も考えられます。赤ちゃんがなかなか寝ないときには、以下の5つの原因に当てはまっていないか確認してみましょう。

お腹が空いている

赤ちゃんが眠らずに泣いているときは、お腹が空いている可能性があります。新生児は、母乳やミルクを吸う力が弱いため、1度の授乳では十分な量を飲むことができず、すぐにお腹が減りやすいです。

また、出産直後は母乳の分泌が追いつかず、赤ちゃんが吸っても十分な量が出ていないことも考えられます。ときには粉ミルクも取り入れながら、赤ちゃんのお腹を満たしてあげましょう。

排尿をしている

眠りを妨げていると考えられる原因の一つに、排尿をしていることが挙げられます。
赤ちゃんの膀胱は尿をたくさん溜めることができないため、母乳を飲んだあと排尿の回数が多くなりがちです。

また、赤ちゃんの薄い皮膚は敏感なため、睡眠中や眠りかけている途中でも、排尿や排便による不快感から目を覚ましてしまうことがあります。なかなか寝ない場合にはおむつの状態を確認して、必要があれば交換してあげましょう。

環境が睡眠に適していない

ママのお腹から出てきて日が浅い新生児は、音や温度などの周囲の環境に敏感です。わずかな刺激でも、赤ちゃんにとっては不快に感じる可能性があります。

睡眠に適した環境を作るためには、赤ちゃんの体温を確認して、気温が高すぎ・低すぎないように調節することが大切です。また、テレビの音や部屋の照明、スマートフォンの光も眠りを妨げる原因の一つです。眠るときには、暗く静かな場所を用意してあげましょう。

環境が睡眠に適していない

興奮状態になっている

眠らずにぐずっている場合は、興奮状態になっている可能性があります。興奮状態になる原因には、テレビの音や光、食べ物や香水の匂いなどが強い刺激になっていることが挙げられます。

大人では気にならない程度でも、赤ちゃんにとっては刺激が強い場合があります。前述した睡眠に適している環境をつくってあげるとよいでしょう。そのうえで、泣いておらず機嫌がよい状態であれば、寝ないからといって焦らずに見守ってあげてください。

体調が悪い

新生児が寝ない原因には、発熱やお腹が痛いなどの体調不良も考えられます。

新生児は大人と異なり体調が急変しやすいため、こまめに体温を計り、平熱を把握しておくことが重要です。いつもと様子が違う場合には、かかりつけ医に相談しましょう。

新生児を夜に寝かしつけるコツは?

夜にぐっすり寝かせるためには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか。この章では、夜に赤ちゃんを寝かしつけるコツについて紹介します。

不快感をなくしてあげる

眠りが浅い新生児にとっては、少しの不快感さえも眠れない原因となってしまいます。不快感を取り除くためには、「赤ちゃんは何を不快に感じるのか」を把握しなければなりません。

赤ちゃんが不快に感じるものとして、以下が挙げられます。

  • ゲップが出ない
  • おむつが濡れている
  • 照明が眩しい
  • テレビの音が大きい
  • 暑い、もしくは寒い

このような状態になっていないか、赤ちゃんの状態や周囲の環境を確認して、適切な改善方法を探りましょう。ゲップを出させてあげたり、おむつを変えたりして、不快に感じていそうな原因を取り除いてあげることが大切です。

赤ちゃんが不快に感じるもの

新生児の適温に整える

赤ちゃんの寝室は、新生児に合わせた室温に保っておくことが大切です。赤ちゃんにとって適温とされる室内の温度は、夏場であれば26〜28度、冬場なら20〜23度が目安とされています。暑すぎても寒すぎても不快感を与えてしまいます。

また、赤ちゃんは体温調節機能が未熟のため、服や布団の枚数を増やす・減らすといった方法で体温を調節してあげることも必要です。扇風機やヒーターなどを使用する場合は、赤ちゃんに近づけすぎないように注意して、赤ちゃんが触れたり倒してしまったりする可能性がない配置場所を選びましょう。

夜間は興奮させるようなことを控える

夜にぐっすり寝かせるためには、興奮させるようなことを控えることが重要です。「疲れさせて眠らせる」といった方法もありますが、寝る直前に激しい遊びをしたり、テレビやスマホで映像を見せたりすることは、赤ちゃんへの刺激となり逆効果になってしまう可能性があります。

また、夜間に浴びる光は、家庭の照明であっても体内時計を遅らせる作用があるとされています[1]。眠る前はできるだけ強い光を避けて、落ち着ける環境を整えてあげましょう。

夜中の授乳は暗い場所で行う

夜に授乳する際は、赤ちゃんに光が当たらないような暗い場所で行うことがコツです。
うとうとしている状態の赤ちゃんに照明を見せると、目が覚めてしまい、再び寝かしつけるまでに時間がかかってしまうことがあります。

最近では授乳用として売り出されているやさしい光の小型照明があり、オルゴールやアラーム機能のついた商品も販売されています。赤ちゃんが大きくなれば、寝る前の絵本の読み聞かせや、ベッドライトとしても利用できるためおすすめです。

抱っこなどのスキンシップをとる

授乳やミルクを済ませておむつを替えたにもかかわらず、なぜか泣いているという場合には、抱っこをしたり、スキンシップを取ったりすることも効果的です。

赤ちゃんに安心感を与えるためには、抱っこやスキンシップは欠かせません。なかなか寝ないときには、ママやパパの姿が見えず不安で泣いているといった理由も考えられます。

家族の声や肌のぬくもりなどを感じると安心するため、すぐに眠ることもあります。抱っこしたり、優しく声をかけながら背中をトントン叩いてあげたりすると、気持ちよく眠りについてくれるかもしれません。

抱っこ

おくるみでくるむ

赤ちゃんに安心して眠りについてもらうために、おくるみでくるむこともおすすめです。おくるみは、新生児の体を包むために作られた大判の布です。

新生児から生後4か月程度までは、周囲の音や光の刺激で手足が動いたり、腕を広げてしまったりする「モロー反射」が起こりやすく、眠りを妨げる原因の一つとなります。おくるみにはこのモロー反射を防ぐ役割があるのです。お腹の中にいるように全身が包まれることで安心して眠れる赤ちゃんも多く、体温調整のサポートや、抱っこがしやすくなるといったメリットもあります。

ただし、おくるみをずっと使用することは股関節の動きを制限してしまうため控えましょう。落ち着いたところで外すようにしましょう。

少し様子を見る

さまざまな方法を試しても眠らない場合は、寝かしつけの努力が逆効果になっている可能性があります。「泣くことが赤ちゃんの仕事」といわれるように、ママやパパが何をやっても効果がないこともあるでしょう。そういったときには、何もせず少し様子を見ることも大切です。

なかなか寝てくれないことに焦りや苛立ちを感じてしまいがちですが、大きく深呼吸して気持ちを落ち着かせ、リラックスした気持ちで見守ってあげましょう。

寝ないこと以外に異常がある場合は医師に相談しよう

新生児が泣いたり寝なかったりすることは、多くのご家庭での共通の悩みとされており、自然なことといえます。
ただし、「いつもと様子や泣き方が異なる」「体温が平熱よりも高く、ぐったりして元気がない」などの異常が見られる場合は、すぐにかかりつけの病院に相談しましょう。

また、赤ちゃんが寝ないことで体力や精神が追い詰められ、産後うつなどにつながるケースもあります。悩みや相談ごとがある場合は、家族や専門医などに相談して、1人で抱え込まないようにしましょう[2]

医師に相談

新生児が夜寝なくて大変なママ・パパの対処法

1日中目が離せない新生児と過ごすと、体力的にも精神的にも疲れが溜まりやすくなります。なかなか寝てくれないとなると、大変に感じることもあるでしょう。

一人で思い詰めてしまわないように、赤ちゃんが寝ている間に好きな音楽や動画を観たり、ママ・パパ、家族と話す時間を作ったりしてリフレッシュしましょう。夜に限らず、赤ちゃんが寝ているタイミングで、できるだけ一緒に睡眠をとっておくことも体力回復には欠かせません。

また、子育て中のママやパパは、外出する機会が減ってしまい、社会から切り離されたような疎外感を感じてしまうこともあります。そのようなときには、SNSで同じ月齢の子どもを持つ人と交流してみることもおすすめです。共感したり、寝かしつけの方法を教えて貰ったりと、心強い味方となってくれるはずです。

まとめ

生まれてきたばかりの赤ちゃんは、生活リズムがまだ整っていないため、2~3時間の短い睡眠サイクルで眠ります。また、温度・音・光など、大人には気にならないものでも大きな刺激となり、睡眠を妨げる原因となることもあります。なかなか寝てくれないときには、おむつや空腹の不快感を取り除き、できるだけ新生児に合わせた快適な寝室を作ることがコツです。

ママやパパの体力的・精神的な負担が重くなりすぎないように、適度にリフレッシュしながら、「眠れない日もあったよね」といえる日を楽しみに成長を見守りましょう。

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