医師監修:新生児・赤ちゃんの体重増加の目安は?発育と発達を解説
新生児や赤ちゃんの体重が増えなくて、「体重が増えなくても大丈夫なの?」「体重が増えていくペースは?」といった不安を抱えている方も多いのではないでしょうか。
新生児の体重増加のペースは、生後1か月で1kg増が目安とされていて、1歳を迎えた時点で出生時の約3倍まで増えるのが一般的です。しかし、これらはあくまで目安であり、成長スピードは赤ちゃんによって異なるため、過度に心配する必要はありません。
今回は、新生児や赤ちゃんの体重増加の目安や、体重が増えないときに考えられる原因と対処法について解説します。
監修者
- 井上 信明(いのうえ のぶあき)
- 日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医
日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。
目次 [CLOSE]
新生児・赤ちゃんの体重増加の目安
生後半年以内の新生児は1日30g程度、生後半年を過ぎた赤ちゃんは1日20g程度のペースで体重が増加します。ただし、生後1週間では200〜300gほど体重が増えます。
生後1か月は1kg増が目安
出生時から生後1か月までに1kg体重が増えていれば、成長速度に問題はないと言えるでしょう。1日で約30g体重が増えていく計算です。
もちろん赤ちゃんの成長スピードには個人差があるため、体重増加が900gの子もいれば、1kg以上増えていく子もいます。1日に約30g増加という数字はあくまで目安として捉え、定期的に体重を確認しましょう。
生後12か月(1歳)の赤ちゃんの平均体重・身長
生後12か月(1歳)までの平均体重や身長の目安を、男女別にそれぞれ表にまとめると以下のとおりとなります。
月齢(男の子) | 体重 | 身長 |
---|---|---|
出生時 | 2.98kg | 48.7cm |
生後1〜2か月未満 | 4.78kg | 55.5cm |
生後2〜3か月 | 5.83kg | 59.0cm |
生後3〜4か月 | 6.63kg | 61.9cm |
生後4〜5か月 | 7.22kg | 64.3cm |
生後5〜6か月 | 7.67kg | 66.2cm |
生後6〜7か月 | 8.01kg | 67.9cm |
生後7〜8か月 | 8.30kg | 69.3cm |
生後8〜9か月 | 8.53kg | 70.6cm |
生後9〜10か月 | 8.73kg | 71.8cm |
生後10〜11か月 | 8.91kg | 72.9cm |
生後11〜12か月 | 9.09kg | 73.9cm |
月齢(女の子) | 体重 | 身長 |
---|---|---|
出生時 | 2.91kg | 48.3cm |
生後1〜2か月未満 | 4.46kg | 54.5cm |
生後2〜3か月 | 5.42kg | 57.8cm |
生後3〜4か月 | 6.16kg | 60.6cm |
生後4〜5か月 | 6.73kg | 62.9cm |
生後5〜6か月 | 7.17kg | 64.8cm |
生後6〜7か月 | 7.52kg | 66.4cm |
生後7〜8か月 | 7.79kg | 67.9cm |
生後8〜9か月 | 8.01kg | 69.1cm |
生後9〜10か月 | 8.20kg | 70.3cm |
生後10〜11か月 | 8.37kg | 71.3cm |
生後11〜12か月 | 8.54kg | 72.3cm |
※厚生労働省の「乳幼児身体発育調査」は約10年に一度実施されます。
男の子は生後12か月で「体重:約6.1kg」「身長:約25cm」成長します。
女の子は生後12か月で「体重:約5.6kg」「身長:約24cm」成長し、男の子よりも緩やかに体重・身長が増えていく傾向です。
体重増加には個人差がある
新生児の体重増加には個人差があり、成長スピードもそれぞれです。どんどん大きくなっていく赤ちゃんもいれば、緩やかに体重が増えていく赤ちゃんもいます。体重の増え方が緩やかでも、母乳やミルクをよく飲み機嫌がよく、排泄物が出ていれば過度な心配をする必要はありません。
赤ちゃんの体重増加の目安をチェックするには、厚生労働省が作成している「発育曲線」[2]と呼ばれるグラフを参考にするのがおすすめです。発育曲線は、各月齢・年齢における赤ちゃんの体重・身長の計測データをグラフ化したものです。
発育曲線は母子健康手帳にも記載されているため、生後12か月までは体重計測後に記入していくとよいでしょう。チェックしていく過程で、以下のパターンに当てはまる場合は注意が必要です。
- 発育曲線を大きく外れている(太りすぎや痩せすぎ)
- グラフが横ばいになった(成長が止まった)
- グラフの傾きが大きくなった(体重だけ増えた)
もし心配であれば、産婦人科や小児科、自治体の子育て相談窓口に相談しましょう。
赤ちゃんの体重を量るタイミング・頻度
赤ちゃんの体重を量るタイミングは、毎日ではなく、4〜5日程度もしくは1週間ごとの頻度で問題ありません。
赤ちゃんの体重は、1週間や1か月など、幅のある期間では増えているものですが、毎日計測すると増える日もあれば減る日もあります。毎日の体重の増減はさほど気にする必要はなく、一定期間のなかで増加傾向にあれば問題はありません。したがって、特別な事情がない限り、毎日体重を量る必要はありません。
赤ちゃんの体重を量る方法は、赤ちゃんを抱いた状態で体重計に乗り、その後ママやパパの体重を引き算すれば、簡単に計測できます。
また、ベビースケールの利用もおすすめです。ベビースケールはクリニックや保健センターのほか、商業施設などの授乳室にも置かれています。授乳やおむつ替えなどで利用する際に、赤ちゃんの体重も計測しておくと良いでしょう。
母乳とミルクを与えたときの体重増加の違い
赤ちゃんに母乳を与えるのか、ミルクを与えるのかによっても、体重増加の傾向に違いが見られます。それぞれの方法で育児をした場合の違いについて詳しくお伝えします。
母乳育児
母乳育児とは、母乳で赤ちゃんを育てる方法で、母乳のみのことを「完全母乳」、足りない分をミルクで補うことを「混合」と言います。一般的に完全母乳で育てている赤ちゃんは、体重の増加が緩やかな傾向があります。
母乳は、あげた量が目に見えないため、不安に感じる方もいるかもしれません。しかし、母乳は赤ちゃんが欲しがった分だけ与えて良いと言われています。また、はじめは母乳の出が良くなくても、赤ちゃんに吸わせるうちに母乳が出てくるようになるので心配ありません。
ミルク育児
ミルク育児とは、粉ミルクや液体ミルクなど、人工乳で赤ちゃんを育てる方法を指します。哺乳瓶を使うため、授乳の際にどのくらいミルクを飲んだかわかりやすく、体重管理しやすいのがメリットです。
ただし、ミルクは母乳よりもゆっくり消化されるので、赤ちゃんがすぐには満腹感を得にくく、飲みすぎてしまう可能性があります。そのため、母乳と違って、欲しがった分だけ与えるのではなく、1回の目安量を大幅に超えないことと、間隔をあけることが大切です。
赤ちゃんの体重が増えない原因
赤ちゃんの成長は一定ではないとわかっていても、体重が増えていかないと不安に感じる方もいるのではないでしょうか。赤ちゃんの体重が増えない場合、いくつかの原因が考えられます。
ここからは、赤ちゃんの体重が増えない原因について、詳しくお伝えします。
母乳(ミルク)が足りていない・栄養不足
哺乳量が足りないと、栄養が不足して赤ちゃんの成長は遅れてしまいます。では、なぜ哺乳量が足りなくなるのでしょうか?
原因としては、新生児でまだおっぱいを吸うことに慣れておらず、一度にたくさん飲めないといったケースが考えられます。そのほかにも、母乳の出が悪く、必要な量を飲めていないという場合もあるでしょう。
以下のケースに当てはまる場合は、哺乳量が足りていない可能性が考えられます。
- おっぱいから離れたがらない
- 授乳する間隔が1時間程度
- 授乳後でも機嫌が直らない
- 排尿の回数が1日5回以下と少ない
- 便が2~3日に1回程度と少ない
赤ちゃんは言葉で意思を伝えられないため、上記のような態度や行動から、“飲み足りない”サインに気付いてあげてください。
カロリー消費量が多い
元気な赤ちゃんはその分、消費するカロリーも多くなります。消費カロリーと摂取カロリーが同じくらいなら、体重は増えません。
ただし、活動的で毎日排泄物が出ているような赤ちゃんであれば、そこまで心配はいりません。より多くの母乳やミルクを飲むことで、自然に成長していきます。
体重が増えづらい病気を抱えている
何らかの原因で強度の貧血になっている、心臓や腎臓の病気を抱えている、特定の染色体異常があるなどの場合、十分に授乳していても体重の増加が望めない場合があります。
赤ちゃんの様子について気になる点があれば、早めに小児科に相談しましょう。
赤ちゃんの体重が増えない場合の対処法
赤ちゃんの体重が増えていかない場合に、家庭でもできる対処法があります。ここからは、新生児や赤ちゃんの体重が増えないときの対処法について、詳しくお伝えします。
哺乳量を確認する
体重がなかなか増えないと感じたら、哺乳量を正しく把握するよう努めましょう。
まずは、授乳前に赤ちゃんの体重を量ります。授乳後、再度体重を量れば、その差が哺乳量です。適切な哺乳量については、後述の「▼赤ちゃんの哺乳量・哺乳間隔の目安」で解説します。
足りない場合はミルクで補う
哺乳量が足りないとわかった場合には、その原因を考えましょう。単に哺乳の回数が少ないだけなら、時間を決めて定期的に授乳すると体重が増える可能性があります。
一方、母乳量が足りない場合は、ミルクで補いましょう。ただし、はじめから完全にミルクへは置き換えず、母乳+ミルクの混合で様子を見るのがおすすめです。その後、母乳がしっかり出るようになったら、完全母乳に戻すのがよいでしょう。
なお、補うミルクの量や完全母乳へ戻すタイミングなど、わからないことは産院、または家庭を訪問する自治体の保健師や助産師に相談しましょう。
赤ちゃんの体重が増え過ぎた場合
体重が思ったように増えていかない赤ちゃんがいる一方で、体重が増え過ぎる赤ちゃんもいます。体重が増える原因は、ほとんどが母乳やミルクの飲み過ぎです。
赤ちゃんへの授乳は、基本的には赤ちゃんが欲しがるタイミングで与えて構いませんが、あまりに頻繁に欲しがる場合は、おしゃぶりをくわえさせるなど工夫してみましょう。
赤ちゃんは、起きている時間が長くなり活動量が増えれば、消費エネルギーが自然に増えていきます。体重の増加も緩やかになっていくので、焦らずしばらくは様子を見ましょう。
基本的に、1歳になる前の赤ちゃんの体重が増え過ぎることに大きな問題はないと言われていますが、発育曲線からあまりにも離れ過ぎてしまったら、かかりつけ医に一度相談することをおすすめします。勝手な判断で授乳回数やミルクの量を減らすのは、かえってよくありません。
赤ちゃんの哺乳量・哺乳間隔の目安
赤ちゃんが痩せすぎず、太りすぎず、すくすくと成長するためには、適切な哺乳量と哺乳間隔に気をつけましょう。
赤ちゃんが1日に必要とする哺乳量は、平均すると体重1kgあたり約150mLです。例えば、現在の体重が8kgだとしたら、哺乳量は約1,200mLになります。
一度にこの量を飲んでもらうのは難しいため、何回かに分けて哺乳を行います。1回当たりの哺乳量は赤ちゃんの体重1kgあたり約20mLが目安です。体重が8kgであれば、160mLとなるため、1日8回程度の哺乳を行う計算になります。
なお、適切な哺乳間隔は、基本的に赤ちゃんが欲しがっているときです。飲む回数が少なく、体重がなかなか増えない場合は、哺乳時間を決めて定期的に飲んでもらうのも考えてみましょう 。
哺乳量が足りているかは、赤ちゃんの様子を観察するのが目安となります。以下を参考にしてください。
- 元気に行動していて、手足がよく動く
- お肌に張りがある
- 交換時、おむつがおしっこやうんちでしっかり濡れている
また、すでにご紹介した発育曲線と照らし合わせて、きちんと体重が増えているか確認してみましょう。不安なときは、かかりつけ医に相談してみてください。
まとめ
今回は、新生児や赤ちゃんの体重増加について詳しくお伝えしました。体重があまり増加しないと不安になってしまう方も多いはずです。しかし、新生児ごとに出生体重が違うように、体重増加のペースも人それぞれです。
赤ちゃんが元気であれば、それほど神経質に考える必要はありません。計測した赤ちゃんの体重を、母子健康手帳に記載されている「成長曲線」に沿って記録していき、グラフに偏りがある場合は産院やかかりつけの小児科などに相談しましょう。
- 厚生労働省
平成22年乳幼児身体発育調査の概況について - 厚生労働省
平成22年乳幼児身体発育調査報告書(概要)
KEYWORD
#人気のキーワード
RECOMMENDED
#この記事を読んだ人におすすめの記事
-
医師監修:キャベツの離乳食レシピ!月齢別の調理法も解説
-
赤ちゃん連れの帰省時の持ち物は?必要な物から準備まで紹介
-
医師監修:2歳児の夜泣きの原因と対策は?夜驚症との違いも解説
-
医師監修:離乳食は冷凍できる?注意点とポイントを解説
-
早生まれの七五三はいつ祝う?満年齢・数え年別の実施時期を解説
-
3歳(年少)におすすめ習い事8選!選び方やメリットデメリットを解説
-
保育園見学の流れは?確認ポイント・時期・服装・持ち物を解説
-
室内遊びのアイデア26選!雨でも子どもと楽しめる遊び方やおすすめ施設
-
1歳児のお弁当アイデア&レシピ7選!保育園のお弁当にぴったり
-
イヤイヤ期はいつから始まる?何歳で終わる?期間と接し方を解説
-
雛人形は誰が買うのが主流?風習・近年の傾向・注意点を解説!
-
医師監修:初めての離乳食はいつから?生後5~6か月頃の進め方・注意点を解説
-
子育ては不安を抱えやすい?不安の理由と解消する方法を紹介!
-
医師監修:とうもろこしを使用した離乳食のポイント!栄養素といつから食べられるかを解説
-
食育とは?重要性や学ぶメリット・家庭での実践方法を解説!
-
医師監修|3歳児が言うことを聞かない理由とは?NG行動と対処法を解説
-
くらひろまとめ|子育てのお悩み解決特集【幼児編】
-
くらひろまとめ|子育てのお悩み解決特集【赤ちゃん編】
-
子どもの手洗い習慣で感染症対策!指導の方法について紹介
-
毎月12日は育児の日!育児の日が生まれたキッカケや、家庭で育児に取り組むヒント