乳幼児

パパとママの後悔をなくすために、感情的にならない子育て術

子どもに感情的な行動をとってしまい、自己嫌悪になった経験はありませんか。子育ては、最初は誰もが初体験。悩んだり戸惑ったりして当然です。ここでは、子育てアドバイザー・高祖常子氏の著書『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(かんき出版)をもとに、子どもと上手に接するためのポイントを紹介します。

親だからといって完全な人間なわけではありません。愛するわが子に対して、感情的になってしまったこともあるでしょう。でも、安心してください。たとえ、自分の態度に後悔した経験があったとしても、それはもう過去のこと。今から意識を変えればいいのです。イライラしたときにどのように心を落ち着けるかなど、ここに紹介する内容を子育てのヒントにしてください。

子育ては喜びと悩みの繰り返し

子どもにイライラする原因は、子どもに対して「こうして欲しい」と思う、親の一方的な気持ちにあることが珍しくありません。子育てでイライラしないための第一歩は、「子どもは親の思い通りに動かなくて当たり前」という意識を持つことです。

感情的になったら自分を振り返る

「どなる」「たたく」という行為には、即効性があります。なぜなら、相手はびっくりしたり怖がったりして、行動を止めるからです。しかし、親が子どもにそれらの態度をとったときは、本当にその選択肢しかなかったのかを考える必要があります。

子どもに感情的になる理由のほとんどが、親が困った状況に陥った場合です。「いくら言っても聞いてくれない」「なかなか泣き止まない」など、親自身が追いつめられたときに、突発的に「どなってしまった」「たたいてしまった」という行動に結びつくことがあるのです。

子どもに感情的になってしまったときは、「なぜどなってしまったか」「なぜたたきたくなってしまったか」を、自分に問いかけましょう。冷静に分析し、解決のヒントが得ることが大切です。

「どならない」「たたかない」と決める

しつけと思って、どなったり、たたいたりしても、子どもには心や体の痛みしか残らず、意味をなしません。場合よっては、「反発すると大きな罰が返ってくるかもしれない」と心を閉ざしてしまうかもしれません。さらに、それらを受けたストレスが、外に向いて誰かを傷つけたり、内に向いて自分を傷つけたりしてしまうかもしれません。

子育てでは、「どならない」「たたかない」と心に決めましょう。子どもの行動に困ったら、子どもの気持ちをキャッチし、コミュニケーションをとりながら解決する努力をしましょう。すると、子どもも、親に自分の気持ちを伝える方法を考えるようになります。

親が子どもの気持ちを受け止める努力をすれば、子どもは自分が大切にされていると感じ、自己肯定感が増してコミュニケーション力や思考力がアップします。その結果、親子の絆が深まっていくのです。

まずは子どもの気持ちを受け入れる

子育てをする中では、子どもの「イヤだ!」という反応に参ってしまうこともあるでしょう。しかし、そんなときにも子どもの気持ちに寄り添う姿勢が大切です。

たとえば、子どもを公園に連れて行ってあげようとしたら、「イヤだ!」と言われたとします。「なんで?」と言いたくなるところですが、子どもなりの理由を聞いてみましょう。上手に言えないようなら、「この靴は履きたくないのかな?」「もう少し家で遊びたいのかな?」など、子どもの気持ちを言語化してあげましょう。そうすることで、子どもは自分の気持ちを言葉にできるようになっていきます。

我が子とはいえ、親と子は別の人格です。子どもに対して共感できないことがあっても当然ですが、承認をする姿勢は必ず持つように意識しましょう。親に承認をされた子どもは、「気持ちを受け入れてくれた」「大切にされた」と自覚することができ、自己肯定感を育むことができます。

子育ては喜びと悩みの繰り返し

感情的にならないための対策

イライラしてしまいそうになったときは、どのように感情をコントロールしたらよいのでしょうか。その具体的な方法を紹介します。

イライラを抑えるクールダウンの方法

イライラした気持ちが大きくなると、怒りやつらさ、ときには悲しさがこみあげ、冷静な判断ができなくなってしまいます。心にゆとりを持たせるために、下記の方法を試してみましょう。

深呼吸をする

ストレスを感じると交感神経が優位に立ちますが、深呼吸をすることで、副交感神経を優位にしてリラックスすることができます。3秒くらいかけてたっぷりと息を吸い込んで、ゆっくりと吐き出しましょう。ゆっくりと数を数えることでも気持ちが落ち着きます。

少しだけ場所を離れる

子どもが安全な場所にいるなら、トイレに行くなど少し距離を置いて気持ちを落ちつけましょう。窓を開けて風を感じることでも気分が変わります。

手や顔を洗う

冷たい水で手や顔を洗うと、水の温度や心地よさでクールダウンができます。お皿を洗う行為も、洗う音のリズムで心を落ち着かせることができます。

鏡を見る

怒った自分の顔を見ることで、冷静に戻れることがあります。鏡を見て笑顔を作ってみましょう。また、好きな音楽を聴いたり、大きな声で歌ったりすることもリラックス効果を期待できます。

「肯定」と「ほめる」声がけ

騒がしいときに「うるさい!」と注意しても、子どもには「どうしたらいいのか」が伝わっていない場合があります。「お口を閉じてね」「ありさんの声の大きさで話してね」など、具体的な行動を示しましょう。同様に、「走らないで」なら「歩こうね」、「立ち歩かないで」なら「座ろうね」のように、否定ではなく肯定的な言葉を使うほうが、意味が伝わりやすくなります。

叱られてばかりいる子どもは、自分をできの悪い子だと思ってしまいます。対して、ほめられている子どもは、「こうすればいいんだ」「こうするとママが助かるんだ」と、ポジティブな体験が脳に定着します。悪い行動を叱るよりも、よい行動をほめることを意識しましょう。

親がよい行動を承認することで、子どものよい行動が増えていきます。

子どもに問いかける技術

親は自分の経験値から、「ここではこうしたほうがいい」と、子どもに答えを提示しがちです。しかし、きちんと問いかければ、子どもなりの解決法を持っていることも多いのです。

子どもの主体性を伸ばすためには、自分で考える姿勢を尊重しましょう。たとえ失敗しても、「今度はこうしよう」と、新たなチャレンジにつながればいいのです。

親が「どうしたらいいかな?」と投げかければ、子どもなりに一生懸命に考えて、「こうしたい!」と言ってくれるはずです。「わからない」と言うのであれば、「こんな方法もあるよ」と選択肢を提示して、子ども自身に選ばせるようにしてみましょう。

子どもに指示型で接していると、子どもは自分の考えを持つことができなくなってしまいます。問いかける言葉がけを続けて、子どもに考える習慣が身につくように促しましょう。自分で自分の気持ちに向き合うという訓練は、社会に出て何かを決断するときの、心のベースを築くことにつながります。

感情的にならないための対策

子どもと向き合うために

もしも、子どもが家の中で、親から怒られないように「いい子」にしようと頑張っているとしたら、それはとても不自然なことです。「家ではいい子。外では悪い子」にならないためには、どうしたらいいのでしょうか。

わが子を無条件で受け入れる

親子の関係でとても大切なことは、家族や家庭が子どもの「安心・安全の場」であることです。まず、家の中で子どもが、安心して「食べる」「寝る」「トイレに行く」ことができる必要があります。もし、「言うことを聞かないからご飯を食べさせません」となれば、子どもは安心した生活ができなくなり、親にさからわないように緊張の中で暮らすことになります。

さらに大事なのが、「安心して自分の意見を言える」「自分の気持ちを出すことを否定されない」などの心の安心と安全です。子どもが自分の思いを表現したときに、バカにされたり、伝えること自体を否定されたりするようなことがあってはいけません。低次元の欲求が満たされないと、高次元の欲求は湧いてこないといわれています。

困ったときの4ステップ

子どもが親にとって困った行動をしたときは、4つのステップを意識して対応しましょう。ときに回り道となることもありますが、それも親子のいい経験となり、子どもの経験値を高めることにつながります。

ステップ1:子どもの気持ちを受け止める

まずは、子どもの気持ちへの共感です。共感できないことも「そっか、イヤだったんだね」「そっか、貸したくないのか」と、オウム返しで承認するだけで構いません。

ステップ2:相手や親の気持ちを伝える

次に、客観的な情報を与えて子どもの視野を広げます。「〇〇くんの気持ちはわかったよ」と共感したあとで、「でも、△△ちゃん(パパ・ママ)は、こういう気持ちだよ」と伝えます。

ステップ3:方法を考えさせる・アドバイスをする

さらに、子どもに「じゃあ、どうしたらいいかな?」と問いかけてみましょう。考えが出てこない場合は、「こういう方法はどうかな?」「こういう方法もあるよね」と選択肢を示します。

ステップ4:自分で決めて動くようにする

最後は、子どもの意思にゆだねて自分で決めさせましょう。疲れたり眠かったりして決められないことがあるかもしれません。また、「ママが決めてよ」と言うかもしれません。そんなときも、ゆっくり待ち、根気強く回数を重ねることによって、自分で決められるようになっていくはずです。

子どもと向き合うために

まとめ

子育てで感情的にならないためには、「子どもは親の思い通りに動かなくて当たり前」との意識を持ち、積極的にコミュニケーションをとることが大切です。親が子どもの気持ちを受け止める努力をすれば、子どもは自分が大切にされていると感じて自己肯定感が増し、親子の絆が深まっていきます。

イライラしてしまいそうになったときは、深呼吸などの「クールダウンする方法」や、具体的な行動を示す「肯定の声がけ」、子どもの考える姿勢を尊重する「問いかける技術」などを使って、感情をコントロールするように努めましょう。家族や家庭が「子どもの安心・安全の場」であることを意識し、わが子を無条件で受け入れる姿勢も大切です。

引用書籍:『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(高祖常子著/かんき出版)2017年10月出版

『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(高祖常子著/かんき出版)2017年10月出版

出版社・書籍紹介:『イラストでよくわかる 感情的にならない子育て』(高祖常子著/かんき出版)2017年10月出版
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