医師監修:2歳児の夜泣きの原因と対策は?夜驚症との違いも解説
毎日の夜泣きをなんとかやり過ごしているものの、「こんなに夜泣きをするのは普通なの?」「病気になっているのでは?」「夜泣きの原因と対策はあるの?」などと、心配している方も多いかと思います。
そこで今回は、夜泣きの原因と対策について紹介します。夜泣きと似た症状である夜驚症(やきょうしょう)との違いについても解説するので、夜泣きに悩んでいる方はぜひ参考にしてください。
監修者
- 井上 信明(いのうえ のぶあき)
- 日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医
日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。
目次 [CLOSE]
2歳児の夜泣きがひどい原因は?
2歳児の夜泣きには、いくつかの原因が考えられます。ここでは、その原因について詳しく解説します。
環境の変化による不安感・寂しさ
2歳児の夜泣きの原因として考えられるもののひとつに、外部環境の変化によって子どもが不安や寂しさを感じているケースがあります。
以下は、子どもが影響を受けやすい環境の変化の一例です。
- 怖い映像を見るなど、強い刺激を受けた
- 保育園へ入園した
- 引越しで住まいが変わった
- 旅行などでいつもと違う環境にいる
- きょうだいが生まれて寂しさを感じている
このような環境の変化は、生活していれば少なからずあるものです。環境の変化によって子どもが不安や寂しさを感じないよう、できる限りサポートしてあげましょう。
また、歩けるようになったり階段を行き来したりと、2歳児はできることが増え行動範囲が広がります。夜泣きは、子ども自身が毎日新たな発見をしながら成長している証とも言えます。
子どもの心身の変化によるストレス
子どもが心身の変化によって自分自身が受けているストレスも、夜泣きの原因のひとつです。例えば、次のようなストレスが挙げられます。
- 歯が生えてきて痛みを感じている
- 怖い夢を見た
- 卒乳・断乳によってストレスを感じている
2歳児は「何でも自分でやりたい」という気持ちが強くなりやすい時期です。しかし、やりたい気持ちに自分の身体や能力が追いつかず、苛立ちを感じて、泣き出してしまうこともあります。
また、2歳の頃にピークを迎えることが多いと言われる「イヤイヤ期」には、昼間の生活の中で思い通りにならなかったことを思い出し、夢で見ることで、泣き出してしまうこともあるといわれています。
寝苦しくて眠りが浅い
眠りの浅さが夜泣きの原因になるケースも見られます。例えば、風邪で鼻が詰まっていたり、暑さで寝苦しさを感じていたりする場合が考えられます。
また、日中に眠り過ぎてしまったときや、エアコンの効き過ぎで夜間に寒さを感じたときなども、夜の眠りが浅くなりやすく、夜泣きの原因につながります。
そのほか、エアコンフィルターの嫌なニオイが原因で寝苦しくなっている可能性もあるので、特にエアコンの使用頻度が増える夏や冬は、掃除をしてみるのも一つの手です。夜泣き対策するときは、心の面からのサポートも大切ですが、寝苦しさを取り除ける環境を用意することも意識しましょう。
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2歳児の夜泣きと夜驚症(やきょうしょう)の関係
2歳前後に訪れる症状のひとつに、夜中に泣き叫ぶ「夜驚症」があります。
ここでは、夜泣きとよく似ている夜驚症の症状や、それぞれの違いについて解説します。
夜驚症とは【夜中に一時的に泣き叫ぶ症状】
夜驚症とは、睡眠中の子どもが急に泣き叫びはじめ、どのような対応をしても泣き止まない症状をいいます。2〜10歳頃の子どもの1〜6%程度が発症するとされています。
夜驚症が発症する原因は正確にはわかってはいないものの、年齢が上がるにつれて自然に治る傾向にあります。
なだめても泣き止まなければ夜驚症の恐れあり
夜驚症が夜泣きと大きく異なる点は、なだめても症状が治まらないところです。通常の夜泣きであれば、親がなだめると落ち着くケースがほとんどです。
また、夜泣きは浅い眠りのときに起きやすいですが、夜驚症は眠り始めてから2〜3時間後に訪れる深い眠りである「ノンレム睡眠」で起こるとされています。
そのため、本人は深い眠りに入っていて意識がなく、親がなだめても症状は治まりません。ただ、何もしなくても10分程度で再び睡眠に戻るのが特徴です。
夜驚症には泣き叫ぶ以外にも、次のような症状が見られる場合があります。
- 立ち上がって異常な行動をとる
- 急に意味のわからない話を始める
- 汗をかく
- 心拍数が上がる
- 息が荒くなる
夜驚症は、深い眠りに入っているときに起こる症状であるため、これらの行為を本人は覚えていないことがほとんどです。急に立ち上がり歩き出す場合があるため、子どもがケガをしないように環境を安全に整えて見守る必要があります。
頻繁に症状が出るときや危険な行動を伴うとき、昼間の生活に支障が出ているときは、小児科や専門医に相談してみましょう。
2歳児の夜泣きの対策方法
2歳児が夜泣きをしたときは、以下の対策をしてみると症状が軽減される可能性があります。
ここでは、それぞれの対策方法について詳しく紹介します。
安心感を与えて不安を落ち着かせる
夜泣きを解消するためには、子どもが日中に受けたストレスや不安を和らげることが重要です。抱っこをしたりゆっくりお話をしたりするなど、スキンシップやコミュニケーションの時間を積極的にとりましょう。
親子で穏やかに過ごす時間が、子どもの不安を落ち着かせ、安心感を与えます。
日中で受けた刺激によって、怖い夢を見て泣いている様子があれば、一度起こしてしまうのも1つの手です。部屋を少し明るくして、ママやパパの顔を見せて安心させてあげましょう。
生活リズム・就寝環境を整える
一般的に、2歳児は、夜に約10~11時間寝るほかに、1~2時間のお昼寝も必要です。ただし、長い時間昼寝をしてしまうと、夜になってもなかなか眠れなくなることもあります。
したがって、特に午後の遅い時間に長時間の昼寝をさせることは避け、生活リズムを整えてあげましょう。早起きして日光を浴びさせると、生活リズムが整えられ寝付きが良くなります。
生活リズムが整って寝付きが良くなると、深い睡眠に入りやすくなり、浅い睡眠時に起こりやすい夜泣きを防ぎやすくなります。
また、できる範囲で、夕方以降はスマートフォンなどを見るのを避けてブルーライトを浴びさせないよう心掛けてみましょう。もともとブルーライトは、太陽光に含まれているものです。夜にブルーライトを見てしまうと体内時計のリズムが狂ってしまい、寝付きが悪くなったり浅い睡眠になったりします。
寝るときには音や光といった刺激を抑え、就寝環境を整えるよう意識しましょう。
適度な運動を心掛ける
日中の適度な運動を心掛けましょう。ほどよい疲労感があれば寝付きも良くなるため、夜泣きの原因を取り除けます。
一般的に2歳児は行動量が増えてくるので、運動の心配はいりません。しかし、天候によって外で遊べなかった日が続くときなどは、気をつけてあげた方が良いです。
室内での遊びばかりで外での運動量が少なくなると、スムーズに入眠できなくなり、夜泣きが発生してしまう可能性もあります。室内でできる身体を使った遊びを取り入れて、適度に運動するのが理想的です。
ただし、過度な運動は逆効果です。日中に活発に動き過ぎることで就寝時まで心身ともに興奮状態が続き、寝付けなくなってしまうケースも見られます。子どもの体格や性格などに合わせて、ぐっすり眠れる適度な運動量を見つけていきましょう。
就寝前のルーティーンを作る
就寝前のルーティーンが定まっていると、子どもが眠りにつきやすくなります。気分を落ち着かせるために、音楽をかけたり読み聞かせをしたり、今日の楽しかった出来事を話したりするのがおすすめです。
かける音楽は、ゆったりした雰囲気のものを選択しましょう。子どもの好きな曲をかけてしまうと、かえって興奮してしまうかもしれません。就寝前に子どもが安心できる時間を作って、気持ちを落ち着かせて眠りに入りやすい環境を整えましょう。
子どもが眠ることを惜しんだり嫌がったりするときもありますが、寝る前の行動がルーティーン化されていれば、納得して眠りやすくなるでしょう。
まとめ
2歳前後に起こりやすい子どもの夜泣きの原因は、環境や心身の変化によるストレスのほか、不安感や寂しさ、就寝時の寝苦しさ、昼間に受けた刺激などであるといわれています。似たような症状である夜驚症とは違い、夜泣きは日中の過ごし方を工夫すれば改善できる可能性があります。
日中は適度に身体を動かし、就寝前は子どもの心を落ち着かせてあげることが大切です。毎日夜泣きが続くと心配してしまうかもしれませんが、成長している証と考えて、夜泣き対策をしていきましょう。
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