医師監修:とうもろこしを使用した離乳食のポイント!栄養素といつから食べられるかを解説
監修者
- 井上 信明(いのうえ のぶあき)
- 日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医
日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。
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とうもろこしは離乳食にピッタリ!
とうもろこしの特徴は「優しい甘さ」です。赤ちゃんにとって初めての食事になる離乳食として、とても食べやすい食材と言えるでしょう。また、とうもろこしはペースト状にできるため、喉に詰まるといった可能性も低く、安全性の面からもおすすめです。
ただし、固形のとうもろこしは喉に詰まって窒息や消化不全などのリスクが伴う点に注意が必要です。そのため、とうもろこしを離乳食として使うには、適切に調理することが大切です。
とうもろこしに含まれる栄養素
とうもろこしには、炭水化物やタンパク質、ビタミンB群、鉄分が豊富に含まれています。なかでも、赤ちゃんの成長に役立つ栄養素をいくつかご紹介します。
炭水化物 | 炭水化物は、赤ちゃんが脳や体を動かす際のエネルギーとなる。 |
---|---|
ビタミンB1 | 糖質をエネルギーに変換する酵素の働きを助けて、体を疲れにくくしてくれる。 |
ビタミンB2 | 脂質の代謝を助ける作用がある。皮膚や粘膜などの細胞の再生に役立ち、発育を促進。 |
鉄分 | 血液成分である赤血球に含まれ、酸素を体内へと運ぶ作用がある。貧血予防に役立つ。 |
食物繊維 | 便通を整え、便秘の予防などに役立つ。とうもろこしに含まれる食物繊維は水に溶けにくく、茹でても損なわれにくい。 |
離乳食のとうもろこしは生後5~6か月で食べられる!
とうもろこしを赤ちゃんに与えてよい時期は、生後5~6か月頃からです。離乳食初期から食べても問題ありません。ただし、成長段階によって最適な量が変わります。
成長段階 | 食事の量 |
---|---|
離乳食初期(生後5~6か月) | スプーン一杯程度から少しずつ |
離乳食中期(生後7~8か月) | 20g~30g |
離乳食後期(生後9~11か月) | 30g~40g |
離乳食完了期(1歳~1歳半) | 40g~50g |
とうもろこしを離乳食にする際のポイント
前項では時期ごとの食事量をお伝えしましたが、とうもろこしの調理方法にも工夫が必要です。とくに初期は薄皮や粒がない状態にして口に運んであげましょう。
初期(5~6か月)は裏ごし調理する
離乳食がはじまったばかりの時期なので、とうもろこしをできるだけ食べやすい状態にすることが大切です。柔らかく茹でた後、裏ごししてペースト状にしましょう。
裏ごしが難しい場合は、いったん鉢ですり潰すのがおすすめです。また、薄皮はしっかりと取り除き、飲み込みやすくしてあげてください。なお、アレルギー症状が出たときに、すぐに病院に受診することができるよう、食べ始めの頃は平日の午前中に食べるようにしましょう。
中期(7~8か月)はすり潰す
7~8か月は、少しずつ離乳食になれてきた時期です。舌で潰せるくらいに柔らかく茹で、さらに粗めにすり潰した状態で与えてみましょう。飲み込める程度まですり潰せば問題ありません。なお、薄皮はまだ早いので、取り除いてあげてください。
後期(9~11か月)は細かく刻む
後期の段階でもしっかり茹でるのは変わりありません。目安としては、歯茎で潰せる固さです。ただし、粒は細かく刻むと良いでしょう。赤ちゃんが食べやすい、5~8mm程度のサイズにしてあげるのがおすすめです。なお、少量であれば薄皮も含めて大丈夫です。もちろん、食べにくいようなら取り除いても問題ありません。
完了期(1~1歳半)は注意しつつ粒のまま与えてみる
1~1歳半は、柔らかいものなら自分で噛み砕けるようになってきた時期です。様子を見つつ、刻んだとうもろこしを粒のまま与えてみましょう。なお、硬い粒はまだ噛み砕けず、そのまま飲み込んでしまうと窒息の原因となり得ます。歯茎で潰せる固さを目安に、しっかりと茹でるのはお忘れなく。
離乳食にとうもろこしを使うときの注意点は?
とうもろこしは離乳食に適した食材ですが、いくつかの注意点もあります。とうもろこしを赤ちゃんに与える前に、以下の項目をチェックしておきましょう。
薄皮は初期には与えない
前項でも解説したとおり、初期~中期にかけては薄皮を取り除いてあげてください。とうもろこしの薄皮は、赤ちゃんが噛み切れない可能性が高く、消化されないまま便に出てきてしまう恐れがあります。
アレルギーに注意する
とうもろこし自体は、食品表示法指定の「アレルギー症状が出やすい食品28品目」に含まれていません。そのため、「とうもろこしにはアレルギーがない」と思われている方もいらっしゃいます。
しかし実際には、口の周りや体に発疹が現れるアレルギー反応を起こすことがあります。もしとうもろこしを食べた後に症状が認められた場合、かかりつけの医師を受診しましょう。
離乳食のとうもろこしを選ぶときのポイント
次に、離乳食に用いるとうもろこしを購入する際のポイントについて見ていきましょう。
生とうもろこし:皮・ひげの色を確認する
離乳食に使用するとうもろこしは、新鮮なものを選びましょう。とうもろこしは鮮度が落ちると、甘みが失われてしまいます。鮮度を判断するには、以下の3つのポイントがあります。
まずは、皮の色を見てみましょう。新鮮なとうもろこしは皮の緑色が濃く、鮮やかです。一方、色があせているものは鮮度が落ちてきているため選ばないようにしましょう。
次のチェックポイントは、とうもろこしの先端に生えているひげの色です。新鮮なとうもろこしはひげが褐色や黒褐色になっています。こちらも、色あせが大きいものは避けておきましょう。
合わせてひげの量もチェックしてください。ひげはとうもろこしのめしべであり、ひげの数と粒の数は同じです。粒が多いとうもろこしは良品とされていますので、ひげの多いものを選ぶと良いでしょう。
なお、とうもろこしは鮮度が落ちやすい食材です。生のとうもろこしを購入し、皮をむいた後は、できるだけ早く調理しましょう。
缶詰とうもろこし:砂糖・添加物に注意
「クリームコーン」の缶詰は、とうもろこしをすでに処理してペーストにしているため、初期の離乳食には最適です。裏ごし処理などは手間がかかるため、必要に応じて利用しましょう。ただし、食塩が多く含まれていることがありますので、成分にはご注意ください。
なお、缶詰のとうもろこしも離乳食に便利ですが、食塩や砂糖、添加物が比較的多く使用されている場合があるので注意が必要です。できるだけ無添加のものを選んでください。調味料や添加物は、赤ちゃんの体にとって無駄な成分になり得ます。食べ過ぎると健康に悪い影響を及ぼす可能性もあるので、気をつけましょう。
粉状のフレークもおすすめ
粉状になったフレークタイプのとうもろこしも、裏ごしや薄皮を取り除く手間が省けて便利です。赤ちゃんが食べやすいように、ふっくらとした食感に調理できる点もおすすめポイントのひとつです。
ただし、缶詰と同様、含まれる成分には注意が必要です。購入の際には原材料がとうもろこしのみのものを選ぶようにしましょう。
各種とうもろこしの保存方法
とうもろこしは保存も可能な食材です。ただし、状態や形態によってポイントが異なるので注意が必要です。
生のとうもろこしの保存方法
生のとうもろこしは、冷蔵と冷凍の2つの方法で保存できます。
冷蔵保存する場合、皮を付けたままキッチンペーパーで包み、立たせた状態で保存してください。これにより、とうもろこしの新鮮さを2~3日間保てます。
冷凍保存する場合は、皮付きのまま一本ずつラップで包み、袋に入れて保存しましょう。保存期間は約2か月間です。調理する際は、ラップに包んだまま電子レンジで加熱するか、ラップを外して茹でてください。
茹でたとうもろこしの保存方法
茹でた後のとうもろこしも冷蔵・冷凍保存が行えます。
冷蔵保存の場合は、熱いうちに一本ずつラップで包み、粗熱を取ってから冷蔵庫に入れます。こうすることで3~4日間、とうもろこしの風味を保てます。
冷凍保存の場合は、とうもろこしを3~4cmの輪切りにするか、実だけを外します。その後、水気をふき取り、袋に入れて保存するのがおすすめです。なお、保存期間は約1か月です。
缶詰のとうもろこしの保存方法
缶詰のとうもろこしは、開封後は日持ちしないので注意が必要です。
冷蔵保存する場合は、余った分を容器に移し、汁ごと保存してください。2~3日であれば問題なく保存できます。
冷凍保存の場合は、ザルで水分を切った後、キッチンペーパーで水気をふき取ります。その後、ジップロックなどの袋に入れて冷凍してください。1食分をラップで包んでおくと使い勝手も良くなります。
とうもろこしフレークの保存方法
とうもろこしフレークは開封したかどうかで保存方法が異なります。
開封前であれば、直射日光や高温多湿を避けた場所で「常温」で保存してください。詳しくは、商品に記載された保存方法を確認しましょう。
開封後は、賞味期限にかかわらず、できるだけ早めに使いきることが推奨されています。どうしても保存しなくてはならないなら、清潔な容器に小分けして冷凍保存しましょう。ただし、保存期間は約2週間のため、早めに使いきるようにしてください。
とうもろこしを使った離乳食のレシピを紹介!
最後に、とうもろこしを使ったおすすめの離乳食レシピをご紹介します。
初期(5~6か月)の離乳食レシピ
<とうもろこしペースト>
- とうもろこしの皮をすべて取り除きます。
- 皮を取り除いたとうもろこしを半分に切ります。
- 大きな鍋に水を沸かし、とうもろこしを入れて7~8分茹でます。とうもろこしが柔らかくなったら火から下ろし、水分を切ります。
- 茹でたとうもろこしの実を包丁でそぎ落とします。指を切らないよう注意しましょう。
- そぎ落としたとうもろこしの実をブレンダーやフードプロセッサーに入れ、滑らかになるまで混ぜます。
- 裏ごしを使ってブレンダーにかけたとうもろこしの実をこし、薄皮を取り除きます。
中期(7~8か月)の離乳食のレシピ
<コーンスープ>
- みじん切りにした野菜を電子レンジで柔らかくします。野菜の種類や量により加熱時間が異なりますので、柔らかくなるまで適宜調整してください。
- 鍋にコーンクリームと牛乳を入れます。中火で温めつつ、混ぜ合わせます。
- レンジで柔らかくした野菜を鍋に加え、よく混ぜながら温めます。
- 赤ちゃん用のコンソメを適量加え、全体がよく混ざるようにさらに混ぜます。
後期(9~11か月)の離乳食のレシピ
<コーンロール>
- 食パンの耳を取り除きます。
- 取り除いた食パンをトースターで軽くトーストします。
- 食パンがまだ熱いうちに、コーンペーストを均一に塗ります。ここでコーンペーストを多く塗りすぎると、巻いたときにはみ出してしまうので注意してください。
- コーンペーストを塗った食パンを巻きます。
- 巻いた食パンを一口サイズ(1cm幅程度)に切ります。
完了期(1~1歳半)の離乳食のレシピ
<コールスロー>
- キャベツと白菜を一口サイズに切ります。食べやすさを考慮して、大きすぎないように切りましょう。
- 切った野菜ととうもろこしを混ぜ合わせ、レンジまたは鍋で3分ほど加熱します。
※とうもろこしが缶詰の場合は水分をよく切ってください。 - ボウルにマヨネーズ、酢、砂糖を入れ、よく混ぜ合わせてドレッシングを作ります。
- 加熱した野菜ととうもろこしにドレッシングを加え、全体が均一に絡むように混ぜます。
- 味を見て、必要に応じて調味料を追加調整し、全体がよく混ざったら完成です。
まとめ
優しい甘さと豊富な栄養が魅力のとうもろこし。正しく調理を行えば、赤ちゃんが喜ぶ離乳食として大活躍してくれます。子育て中の方は、ぜひ今回ご紹介したレシピなどを参考に、とうもろこしを使った離乳食を作ってみましょう。
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