医師監修:初めての離乳食はいつから?生後5~6か月頃の進め方・注意点を解説
「離乳食に関する情報が多く、どれが正しいか分からない」
「離乳食をはじめるのが遅くなったけど、大丈夫なのだろうか?」
こうしたお悩みをお持ちのママ・パパは少なくありません。ミルク・授乳から離乳食に切り替えるタイミングは赤ちゃんごとに違うので、迷ってしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、離乳食をはじめる時期の目安や、適切な離乳食の量などについて解説を行います。
監修者
- 井上 信明(いのうえ のぶあき)
- 日本小児科学会専門医・同指導医/米国小児科専門医/米国小児救急専門医
日本の医学部を卒業後、日本、アメリカ、オーストラリアにて小児科および小児救急の研修を行う。
目次 [CLOSE]
初めての離乳食は5~6か月を目安にはじめよう
離乳食をはじめる目安は、一般的に生後5~6か月からのご家庭が多いようです。しかし、赤ちゃんそれぞれに発育や発達が異なるため、時期が後ろ倒しになることも珍しくありません。
離乳食は、赤ちゃんが成長し活発に動くようになるに従い、母乳や育児用のミルクだけでは足りないエネルギー・栄養素を補うことが、目的のひとつです。そのため、赤ちゃんによっては、まだまだ離乳食が不要、ということもあります。
発育や発達が早い赤ちゃんであっても、生後5か月よりも前に離乳食を与える必要はありせん。赤ちゃんには、母乳やミルクを飲むために、口に入ってきたものに吸い付く「吸啜反射(きゅうせつはんしゃ)」など、効率的に哺乳ができるように生まれつき備わっている反射(原始反射)があります。
また、固形物が口の中に入ってくると、舌を前に突き出す「舌挺出反射(ぜつていしゅつはんしゃ)」もあります。これらの原始反射は、生後5か月以降に消退していくのですが、生後4か月だとまだ哺乳反射が発生する場合が多く、スプーンを口に入れてくれないかもしれません。
生後5か月を目安に、
- 食べ物に興味を示しているか
- 首が座っているか
- 哺乳反射が弱まってきているか
を確認し、離乳食をはじめることをおすすめします。
離乳食の進め方(スケジュールと量をチェック)
離乳食を開始し、さらに成長に合わせて進める際のスケジュールについて、月齢で分けて解説します。
初期(生後5~6か月頃):1日1〜2食ほど与える
最初の1か月の離乳食は、エネルギーを補うためではありません。赤ちゃんが「離乳食に慣れる」「食べ方を覚える」「母乳やミルク以外の味に慣れる」ための期間です。そのため、離乳食を与えるのは1日1回からはじめましょう。足りない分は引き続き授乳・ミルクを与えてください。
日を追うにつれて、離乳食を与える分量を増やしていきます。最初は飲み込みやすい「つぶしがゆ」からはじめてください。つぶしがゆは、炊いたご飯を「水5:ご飯1」の割合でお鍋に煮詰め、ジェル状になっているのを確かめてから与えるようにしましょう。
7日後にはすりつぶした野菜を、11日後にはすりつぶした魚や豆腐なども少しずつ与えていきます。
赤ちゃんの成長・発達の状況によって、与える離乳食の量は調整が必要です。無理に食べさせる必要はないので、少しずつ進めていくことをおすすめします。
もし食物アレルギーが気になるようであれば、最初は耳掻き1杯分くらいからはじめ、問題がないことを確認してから徐々に増量すると良いでしょう。
つぶしがゆ | ペースト 野菜 |
白身魚、 豆腐、卵黄 |
|
---|---|---|---|
1~2 日目 |
小さじ×1 | - | - |
3~4 日目 |
小さじ×2 | - | - |
5~6 日目 |
小さじ×3 | - | - |
7~10 日目 |
小さじ×4 | 小さじ×1 | - |
11~15 日目 |
小さじ×5 | 小さじ×2 | 小さじ×1 |
16~25 日目 |
小さじ×6 | 小さじ×3 | 小さじ×2 |
26~30 日目 |
小さじ×7 | 小さじ×4 | 小さじ×3 |
中期(生後7〜8か月頃):徐々に与える食材や量を増やしていく
生後7〜8か月頃になると、離乳食も中期となります。それまで1日1食だった離乳食の回数を1日2食に増やしてみてください。ただし、それだけでは赤ちゃんが育つための栄養は足りないので、引き続き授乳は必要です。
食べさせる量は、全がゆ(水5:お米1の割合で炊き上げたご飯)80g、その他ジェル状にした野菜やおかず類10~15g程度を目安にしましょう。もちろん、赤ちゃんの成長度合によって量を変えても問題ありません。
6:00 | 授乳・ミルク |
---|---|
10:00 | 離乳食+授乳・ミルク |
14:00 | 離乳食+授乳・ミルク |
18:00 | 授乳・ミルク |
22:00 | 授乳・ミルク |
後期(9〜11か月頃):少し固めの食べ物を1日3食与える
生後9〜11か月頃になると、もう離乳食は後期のタイミングです。1日3食を目安に与えても問題ありません。この頃からフォローアップミルクやおやつなどの量を増やしていきましょう。
目安としては、全がゆ(水5:お米1の割合で炊き上げたご飯)80gに加え、細かく刻んだ野菜や果物40gを無理のないペースで与えてみてください。
6:00 | 授乳・ミルク |
---|---|
10:00 | 離乳食+授乳・ミルク |
14:00 | 離乳食+授乳・ミルク |
18:00 | 離乳食+授乳・ミルク |
22:00 | 授乳・ミルク |
完了期(生後12〜18か月):大人とほぼ同じ食事を細かくして与える
生後12〜18か月までくれば、赤ちゃんも大人と同じ時間に3食を食べるようになります。この時期になれば、母乳を欲しがらないようになるかもしれません。
また、離乳食を手づかみで食べることもできるようになってきます。そのため、食材を細かく切った状態で器に盛ってあげましょう。咀嚼力はまだ弱いため、与える食べ物は柔らかいものが良いです。普通に炊いたご飯や柔らかい葉物の野菜がおすすめです。
7:00 | 離乳食 |
---|---|
10:00 | 間食(補食) |
12:00 | 離乳食 |
15:00 | 間食(補食)・おやつ |
18:00 | 離乳食 |
初めての離乳食を与える際の注意点
ここからは、離乳食を赤ちゃんに与える際に注意しておきたいポイントを解説します。安全に離乳食を進められるよう、事前に知っておきましょう。
調理器具や食器を清潔に保っておく
まずは基本的な準備として、調理器具や赤ちゃん用の食器をていねいに洗うことからはじめましょう。赤ちゃんはまだ体の抵抗力が弱く、様々な病原体に感染しやすい特徴があります。食器に病原性のある細菌やウイルスが残っていると、食中毒など大きな問題になりえます。
大切なのは、常日頃から調理器具や食器を清潔な状態にしておくことです。不安であれば、調理後だけでなく、調理前も調理器具や食器を洗うようにするといいでしょう。
無理に食べさせない
離乳食をはじめる・進めるタイミングは、赤ちゃんによって異なります。目安で示した月齢どおりに食べてくれるとは限りません。
あまりにも遅いようなら、かかりつけ医への相談も必要ですが、赤ちゃんの成長に合わせて離乳食を進めていけば基本的に問題ありません。
なお「せっかく作った離乳食を食べてくれない」といったことも起こってきます。愛情を込めて作った食事を捨てなくてはならないのは、確かに寂しいですよね。ここで大切なのは、親と赤ちゃん、双方が負担にならないようにすることです。赤ちゃんに食べる意思があれば与えるくらいのおおらかな心持ちで進めるなど、ストレスをできるだけ減らしていきましょう。
入れてはいけない食材を知っておく
手作りで離乳食を作る場合には、いくつか知っておかなくてはならない注意点があります。
まず前提として、乳幼児の口に運ぶものは、すべて加熱調理を行いましょう。生肉や生卵といった、細菌が感染している危険性のある食材であれば念入りに火を入れるようにしてください。
また、とくに注意したいのはハチミツです。1歳を過ぎる前に、ハチミツそのものやハチミツを使った料理、ハチミツ入りの飲料・お菓子などを食べさせると、赤ちゃんが乳児ボツリヌス症にかかってしまうおそれがあります。実際に死亡例も報告があるため、絶対に食べさせてはいけません。なお、ハチミツ以外の食材であったとしても、離乳食を口にした赤ちゃんに異変がある場合は、早めに病院を受診しましょう。
ただし、あまりに慎重になり、常に同じ食材ばかりを食べさせるのも考えものです。とくに離乳食開始時期の赤ちゃんは、鉄やビタミンD不足になる傾向があります。栄養のバランスも踏まえて、離乳食の献立は考えてあげましょう。
まとめ
離乳食は赤ちゃんが踏み出す大人への第一歩です。しっかりと親が見守り、サポートしてあげましょう。時期はあくまでも目安なので、遅れても心配することはありません。お子さんの様子を見ながら、よいタイミングを見計らってあげてください。
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