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食育とは?重要性や学ぶメリット・家庭での実践方法を解説!

食育は、子どもの健やかな成長と豊かな人生にとって欠かせない大切な教育です。この記事では、子どもだけでなく、大人にとってもなぜ食育が重要であるか、利点を踏まえて説明します。また、家庭でも実践できる食育のポイントも紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

食育とは?

食育とは、栄養バランスやマナーなどの食に関する知識を学び、育むための教育を言います。農林水産省や文化科学省では、食育を以下のように定義しています。

農林水産省 生きる上での基本であって、知育、徳育及び体育の基礎となるべきもの[1]
文部科学省 子どもたちが食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けること[2]

食育を知ることで、健康に良い食べ物を選び、バランスの良い食事をする方法を学べます。これによって、子どもたちは体も心も健康に保つことができ、良い人生を送るための土台を作れるようになります。

食育を実践するメリット

子どもはもちろん、大人であっても食育を実践することは重要です。代表的なメリットについて解説します。

心身ともに健康的な生活が送れる

食育は、食事の栄養バランスを確認し、日々の食事に活かすことで、太り過ぎや病気にかかることを防げます。適切な栄養を摂ることで、体調を整えることにもつながるでしょう。

また、食育を実践することで、家庭の味を楽しむことはもちろん、家族で食卓を囲むことによるコミュニケーションも増えるため、心の安定や家族間の絆を深める効果も期待できます。

学力・体力の向上につながる

朝ごはんを食べる習慣や、毎日3回バランスのよい食事を摂る習慣をつけると、体に必要な栄養をきちんと摂れるようになります。これは脳の成長や体の発達にも良い効果をもたらします。特に朝ごはんは、その日一日の活動のためのエネルギー源です。学校の勉強やスポーツなどの活動をがんばるために必要な力をくれます。

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このような健康的な食習慣は、学力や体力の向上につながります。実際に、農林水産省の調査では、朝食を食べる習慣がある子どもたちは、学力テストや体力テストの結果が良い傾向にあることが示されています。[3]

社会性やマナーが身につく

食育を通じて、社会生活に必要なマナーやコミュニケーション能力を身につけることで、より円滑な人間関係が築けるようになります。例えば料理をする場合であれば、他人との協調性やコミュニケーション能力を学ぶ良い機会です。家族や友人と一緒に料理を作ることで、お互いの意見を尊重し、協力し合う力を養えます。

また、食事中には箸の使い方や話し方、姿勢などの食事におけるマナーが習慣として身につきます。食事中に適切なマナーを守ることは、他人との関係性を築く上でも重要です。

栄養バランスの摂り方が身につく

食育は、栄養素に関する理論的な知識だけでなく、実際に料理や食事を通じて身体に必要な栄養をどのように摂取すべきか、という実践的な知識を身につけられる重要な教育です。

食育では、それぞれの栄養素をどのような料理でどれだけとるのかといった、具体的な食事内容や量に関する知識を学びます。これにより、毎日の食事で適切な栄養バランスを意識して摂取することができるようになります。こうした知識が身につけば、健康的な体調を維持することが容易になり、病気の予防や体力の向上にもつながります。

食の大切さを実感できる

食育を通じて毎日の食事の大切さを実感することで、それに対する感謝の気持ちが芽生えます。これが、健康で充実した生活を送るための欠かせない土台づくりとなります。

女の子

食育では、食事の段階だけでなく、作物の栽培や生産の過程も学びます。これにより、食が私たちの生活に与える影響や、食べ物が農家や漁師などの多くの人々の労力によって生産されていることを理解できます。

さらに、作物が作られる過程を学ぶことで、食べ物への感謝の気持ちや、食材を大切に使う意識が高まります。これは、食品の無駄を減らし、環境について考えるきっかけになるだけではなく、精神的な豊かさや人間関係の向上にも寄与します。

家庭で食育を実践するには?年代別に解説

食育の実践方法は年代によってポイントが異なります。以下から、未就学児、小学生、中高生に分けて解説を行います。

未就学児の食育

未就学児に対して食育を実践する際は、子どもの興味や好みに寄り添いながら、食べる意欲を育てることを中心に進めていくことが重要です。以下のようなポイントに注意して食育を進めていきましょう。

食べる意欲を育てることに注力する

まずは子どもが食べ物に興味を持つこと。そして、自分から食べたいと思う気持ちを育てることが大切です。子どもが好きな食べ物や、好きな味付けを考えてあげることで、食べ物に対する興味を高められます。

子どもが興味を引く絵柄の食器を使用する

子どもの興味を引く絵柄や形状の食器を選ぶことで、食事への興味を喚起しやすくなります。

一度に出す量を減らす

子どもには、無理なく食べられる量の食事を出すことが大切です。そして、少しずつはじめての食べ物や料理に触れさせていきましょう。一度にたくさん出すのではなく、子どもがちょうど食べきれる量を出すことで「全部食べきった!」という達成感を感じてもらえます。

食に関する絵本を読み、関心を得る

食に関する絵本を読んで、子どもの関心を引き出す方法もおすすめです。絵本を使って食の大切さや楽しさを伝えることで、子どもの食に対する興味や理解が深まります。

小学生の食育

小学生に対して食育を実践する際は、基本的な食習慣やマナーを身につけさせることを中心に進めるのがポイントです。また、実際に食事の準備や料理に関わらせることで、食に対する理解や興味を深められます。

基本的な食習慣を育むことに注力する

小学生は、健康的な食習慣を身につけることが重要です。毎日同じ時間に食事をするといったリズムを作り、栄養バランスの良い食事を摂ることを習慣にできるよう食育を進めていきましょう。

マナーを教える

食事中のマナーを学ぶことで、子どもたちはきちんとした食事の仕方を覚えられます。箸の使い方や話し方、姿勢などの基本的なマナーから教えることが大切です。

配膳を手伝ってもらう

子どもに食事の準備や片付けを手伝ってもらうことで、食事に対する責任感や協力意識が育まれます。

食材の買い出しを手伝ってもらう

子どもに食材の買い出しをお願いすることで、食材の選び方や価格について学び、食に関する知識を深められます。

一緒に料理をする

子どもと一緒に料理をすることで、料理の楽しさや手間を実感してもらえます。また、料理を通じて栄養素のバランスや食材の役割について学べます。

中高生の食育

中高生に対して食育を実践する際は、自分で健康的な食事を選べる力を身につけさせることが大切です。食事のタイミングや栄養バランスについて学ぶことで、健康的で活動的な学生生活を送れるようになります。

食生活の重要性を理解してもらう

中高生は成長期であり、健康的な食生活が心身の発達に大きく影響します。なぜ健康的な食生活が重要なのかを理解し、自分自身で適切な食事を選ぶ力を身につけることが重要です。

食事のリズムを整える

適切な食事のリズムを身につけることで、生活習慣病の予防や免疫力の向上につながります。朝食をとる習慣や、3食バランスよく食べる習慣を身につけさせましょう。

栄養バランスを考えた食事の仕方を教える

中高生には、栄養バランスを考慮した食事の重要性を伝えていきましょう。たんぱく質、脂質、炭水化物などの主要な栄養素やビタミン、ミネラルなどの摂取のバランスを理解し、自分自身でバランスのよい食事が組み立てられる状態を目指しましょう。

食育の具体的な事例

次に、具体的な食育の事例についても見ていきましょう。子ども向けと大人向けに分けてご紹介します。

子ども向けの食育~学校での取り組み~

学校給食での事例

東京都葛飾区の小学校では、食育指導を工夫した「マナー給食」「バイキング給食」が実施されています。[4]

マナー給食では、5年生が和食マナー、6年生が洋食マナーを学び、実践しながら食べます。バイキング給食では、1学期に1回計3回のデザートバイキングが開催され、栄養士による栄養指導が行われます。

これらの取り組みにより、子どもたちは食に対する知識や興味関心が増え、楽しく学んでいます。その他にも、生徒自身が給食のメニューを検討するといった取り組みを行う学校もあります。

体験活動での事例

苗植えや草取り、水やり、害虫駆除など、農作物生産に関する体験活動に参加し、収穫までの過程の困難や喜びを学ぶといった取り組みを行う学校もあります。生産から消費までのサイクルを知ることは、食育にとってとても重要です。

また、実際に校内で野菜を育て、調理して食べることで、食事に対する知識や関心を向上させています。

大人向けの食育~資格の取得~

子どもに正しい食の知識を教えるためには、大人が食育に関連した資格を取得するのもおすすめです。

父と子

例としては、食育に関する専門的な知識を持つスペシャリストである食育アドバイザーをはじめ、食育インストラクターなどが挙げられます。その他にも、食生活アドバイザーといった関連資格でも十分な知識が得られます。

国を挙げて食育を推進。食育基本法とは?

政府は国の責務として、食育の推進に関わる活動を多く行っています。

2005年に内閣府によって制定された食育基本法は、食を大切にする心の欠如や栄養バランスの偏りなどの問題を解決し、健康な食生活を取り戻すこと目的としています。第2条から第8条にかけては、以下の基本理念が掲げられています。

  1. 国民の心身の健康の増進と豊かな人間形成を目指す。
  2. 食に関する感謝の念と理解を持つ。
  3. 食育の推進においては、国民や民間団体の自主性を尊重し、地域の特性を考慮する。
  4. 子どもの食育においては、保護者や教育関係者の役割が重要である。
  5. 食に関する体験活動と実践的な食育活動を行う。
  6. 伝統的な食文化や環境に配慮した食料の生産や農山漁村の活性化に貢献する。
  7. 食品の安全性に対する意識を高め、食に関する情報提供や意見交換を行う。

食育基本法をまとめると、食育を通じて正しい知識を身につけ、食べ物に対する感謝の気持ちを育むための活動を「さまざまなシチュエーションで実施していこう」といった内容が示されています。ご家庭での食育にも通じるものですので、ぜひ参考にしてみてください。

まとめ

食育とは、栄養バランスやマナーなどの食に関する知識を学び、育むための教育です。食は私たちが健康的であるための基盤であります。食の正しい知識をつけることで体だけではなく、心も健康に保つことができます。ぜひ、家庭でも食育を実践してみてください。

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